全国的に増加傾向にある空き家は、それぞれの地方にとって大きな問題です。
また所有者側にとっても苦労の種となりやすい空き家は、各自治体から空き家の活用や解体をサポートする積極的な対策のための助成制度が打ち出されています。
今回は、各自治体がおこなう空き家対策について「補助金」を中心にご紹介します。
- 空き家対策の補助金の種類
- 国土交通省が行う空き家対策
- 空き家の売却に適用できる3,000万円の特別控除
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
具体的にどんなことをしているのかな?
目次
空き家対策の補助金は自治体が主体
使われていない家屋であっても、空き家は個人や法人が所有権をもつ立派な財産。不要に見える空き家でも、自治体が勝手に処分はできません。
そのため各自治体では、以下のような4つの空き家対策に向けた施策を実施。その中の一つが、空き家対応にともなう費用をサポートする補助金制度です。
▼自治体による空き家対策
情報収集 | 地域内の空き家状況を調査し、データベース化を進める |
再利用の検討 | 空き家や跡地の再利用方法を検討 |
特定空き家への措置 | 特定空き家に指定された空き家への行政指導。状況が改善しない場合には行政代執行も検討される。 |
財政面・税制面のサポート | 空き家の利用・撤去に関する費用への補助、税控除の適用 |
自治体は、空き家を使いやすくするためにどんな補助をしてくれるんだろう?
空き家対策の補助金1. リフォーム補助金
築年数が経過した傷みが激しい空き家は、そのままでは賃貸に出せず、売却もできません。一方でリフォームを行えば、住居としての再利用や賃貸物件としての活用など、空き家を資産として再利用する道が開けます。
自治体の給付例1. 東京都台東区
東京都台東区では「東京都台東区民間住宅活用モデル事業(空き家活用モデル事業)」として、子育てに配慮した住宅への改修工事費用の一部を助成しています。
対象空き家は区内にある、延べ床面積が50平方メートル以上の空き家。補助額は50万円を限度として、対象費用の2分の1が助成されます。
自治体の給付例2. 京都府京都市
京都府京都市では「京都市空き家活用・流通支援等補助金」として、1年以上空き家となっている適法な一戸建て・長屋建て住宅の改修に対し、最大100万円の改修費用を助成します。
リフォーム後の活用目的は、地域の居場所作り、若手芸術家や学生の住まい、小売業・飲食店など広範囲です。
家が邪魔になるようだったら、思い切って補助金をもらって解体しちゃおう!
空き家対策の補助金2. 空き家解体補助金
空き家の多くは家屋に資産価値をもたないばかりか、家屋があるせいで売却できないケースも少なくありません。家屋を解体し更地にすることで、利用の選択肢が多い土地として売却できるようになり、空き家問題の解決につながります。
自治体の給付例1. 東京都杉並区
東京都杉並区は「老朽危険空家除却費用の助成制度」として、空き家の解体に助成を行っています。
助成対象は区内の特定空き家等および特定空き家等に準ずるもの(不良住宅)。助成率は除却工事費の80%、最大150万円までとされています。
自治体の給付例2. 埼玉県行田市
埼玉県行田市は「老朽空き家等解体補助制度」として、解体費用を一部補助。上限を50万円とし、解体工事総額の2分の1まで補助金を給付します。
なお、補助を受けるには以下のような条件を満たさなければなりません。
- 市からの条例にもとづく助言・指導を受けている
- 「空家等対策の推進に関する特別措置法に基づく勧告」を受けてない
- 家屋・建物が1年以上使用されていない
空き家の場所がビジネスチャンスになることもあるんだ。
空き家対策の補助金3. 空き家事業補助金
空き家そのものに価値はなくても、土地に商業的な価値があるケースは多々あります。住宅街なら駐車場として活用してもよし。商業エリアなら商売をはじめてもよいでしょう。
そういった事業としての空き家・空き土地活用は、地域の活性化や住民増につながるため、自治体からの支援を受けられる場合があります。
自治体の給付例1. 兵庫県
兵庫県は「空き家活用支援事業」として、一戸建て・共同住宅の空き家を改修する際、改修工事費の一部を助成しています。
対象は政令市(神戸市)、中核市(姫路市、尼崎市、西宮市、明石市)以外の市町に限定。6ヶ月以上空き家となっている築20年以上の一戸建て・共同住宅を住居や事業所、地域交流拠点として活用するための改修費用のうち、最大500万円の助成を行います。
自治体の給付例2.東京都荒川区
東京都荒川区では「荒川区空家利活用事業」として、区内で特定分野の事業をおこなう際の空き家改修工事にかかる費用を補助しています。
対象となるのは以下の7分野です。
- 地域交流事業
- 福祉事業
- 子育て支援事業
- 教育関連事業
- 防災事業・防犯事業
- 国際交流・観光事業
- 環境・まちづくり事業
これらの事業の補助対象経費に対し、消費税・地方消費税を除いた額の3分の2(上限200万円)を限度とした補助が給付されます。
補助金をもらって手頃な空き家を購入してみよう。
空き家対策の補助金4. 空き家購入補助金
新型コロナの影響によるテレワーク推奨や、出勤義務を伴わない会社の増加は、地方への移住を見直すきっかけとなりました。
地方へ移住したい人々や、移住者向けに家を貸し出す不動産投資家が増える中、地方自治体では移住が推進されるように、空き家の購入代金サポートに力を入れています。
自治体の給付例1. 埼玉県本庄市
埼玉県本庄市では「本庄市住まいる応援金」として、本庄市への転入を目的とした住宅取得費用の一部を支援しています。
住宅の所有者または配偶者が40歳以下である世帯に対し、基本額20万円を給付。さらに家族構成や住宅ローンの利用状況などにより、最大23万円が加算されます。
自治体の給付例2. 兵庫県朝来市
兵庫県朝来市では「空き家活用促進事業」として、朝来市外からの転入者が築10年以上の空き家を購入した場合、改修費用の助成を行っています。
補助対象は
- 台所改修
- トイレ改修
- 風呂改修
- 下水道接続
- 上記のほか補助することが適当を認められる内部改修費用
と、水回りの改修経費の2分の1(最大60万円)までが給付。さらに市内に事業所をもつ法人・個人には、補助対象経費の10分の1(上限10万円)が加算されます。
国はどんな対策を進めているのかな?
国土交通省が進める「空き家再生等推進事業」
国土交通省もまた空き家問題は大きな課題と認識し、地方自治体と連携した対策をおこなっています。
注意!国土交通省の助成は個人が対象ではない
ただし、国土交通省からの助成は、個人に対しては行われません。
国土交通省の助成は地方自治体が対象。地方自治体が主体となる空き家対策に対し、国が一部の費用を負担します。
空き家再生等推進事業1. 除却事業タイプ
画像引用:国土交通省「空き家再生等推進事業」
空き家となった家屋や建物の除去に対し、必要費用の一部を国が負担します。助成対象となる費用は以下の3項目です。
- 不良住宅、空き家住宅又は空き建築物の除却等に要する費用
- 不良住宅、空き家住宅又は空き建築物の所有者の特定に要する費用
- 空家等対策計画の策定等に必要な空き家住宅等の実態把握に要する費用
国からの助成は、かかった費用の5分の2が上限とされています。
空き家再生等推進事業2. 活用事業タイプ
画像引用:国土交通省「空き家再生等推進事業」
空き家となった家屋や建物を活用するための費用の一部を国が負担します。空き家の活用先は滞在体験施設、交流施設、体験学習施設、活動施設、文化施設など広範囲に渡り、助成す対象となる費用には移転・増築・改築などが該当します。
助成対象となる費用は以下の3項目です。
- 空き家住宅又は空き建築物の除却等に要する費用
- 空き家住宅又は空き建築物の所有者の特定に要する費用
- 空家等対策計画の策定等に必要な空き家住宅等の実態把握に要する費用
国からの助成は、かかった費用の2分の1またはは3分の1が上限とされています。
空き家は他の不動産よりもずっとお得に売却できるんだよ。
空き家売却時の税制優遇
空き家の多くは「個人が所有する使い道のない家」です。
相続などで手に入れた家を処分したいけれど、税金が多くかかるため手放せないという人も多いことでしょう。国は空き家問題を加速させないため、少しでも手放しやすくなるように税制面での優遇措置を行っています。
譲渡所得に対して3,000万円の特別控除
不動産を売却した場合、譲渡所得に対して所得税・住民税が課税されます。税額は対象不動産の所有期間によって変わり、5年以下なら合計39.63%、5年超なら20.315%の税金が課せられます。
しかし空き家を売却した場合に限り、譲渡所得に対し「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」として、3,000万円の控除が適用されます(以下、3,000万円特別控除)。
仮に空き家の売却額から必要経費を引いた譲渡所得が2,500万円だった場合、通常なら5年以下で約990万円、5年超で約500万円の税金を払わなければなりません。これに3,000万円特別控除が適用されると譲渡所得は0円となるため、税金を支払う必要がなくなるのです。
注意!特別控除を適用するには条件あり
ただし、空き家の譲渡なら必ず3,000万円特別控除が適用できるわけではなく、いくつかの所定条件を満たす必要があります。
3,000万円特別控除の対象は「相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋および敷地等」です。また「被相続人居住用家屋」と認められるには、以下の条件を満たす必要があります。
- 昭和56年5月31日以前に建築された
- 区分所有建物登記がされている建物でない
- 相続開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいない
- 家屋が老人ホームなどに入居していた被相続人の所有物を保管するために利用されていた
- 被相続人が老人ホームのような施設に入居した日から相続が開始されるまで、家屋が事業や貸付けなどに利用されていなかった など
まとめ:空き家の「売買」「再生」のご相談はイエツグまで
空き家は、社会的な問題として早期の対策が求められています。しかし問題解決には多くの費用が必要な場合もあり、なかなか腰が上がらないという空き家オーナーも多いでしょう。
弊社イエツグでは、一都三県の空き家の売買を承っております。弊社では、基本的に仲介手数料182,900円(税別)の定額制。さらに、ご売却前に空き家を弊社負担でリフォームするプランもご提供しています。
また、空き家問題の解決に一石を投じるべく「空き家再生事業」を展開。自治体の補助金利用のアドバイスも含め、使い道に悩む空き家の再生をお手伝いさせていただきます。また豊富な仲介の経験を活かし、空き家売却も全力サポート。空き家対策にお困りの際には、ぜひイエツグまでご相談ください。