不動産の買い換えを売り買いセットで考えてはいけない理由

不動産の買い替えは、物件の売却・購入でそれぞれ手続きが発生します。不動産売買の手続きには手間がかかるため、つい同じ不動産会社に依頼しがち。しかし買い換え主のメリットをしっかり考えると、1社に依頼をまとめるのが最善であるとは限りません

今回は不動産の買い替えは1社にまとめて任せてはいけない理由について、仲介手数料の観点から解説。これから不動産の買い換えを検討する方は必見です。

この記事でわかること
  • 不動産会社が買い替え両方を扱いたがる理由
  • 買い替え時に発生する仲介手数料4つのパターン
  • 4つのパターンそれぞれのメリット・デメリット
執筆者 丹拓也
執筆者 丹拓也株式会社イエツグ代表取締役
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
イエツグくん
不動産の買い替えは売却と購入手続き両方が必要。
不動産会社が熱心に両方を扱いたがるのはなんでだろう?

不動産会社が買い替え両方を扱いたがる理由

不動産会社は仲介手数料無料をエサに、不動産買い換え時の売り買い両方を任せるように交渉してきます。一見買い替え主にとって得な取引に思えますが、条件次第では無料になった仲介手数料以上の損につながるリスクがあるのです

不動産会社は仲介手数料を無料にしても利益を得られる

不動産の売買を不動産会社に任せた場合、依頼主は「物件価格の3%+6万円」を上限とした仲介手数料を支払います。これはあくまで上限であるため、不動産会社によっては一部割引や完全無料としている場合もあります。

仲介手数料無料には損につながるリスクあり

不動産会社側から「売り・買いの両方を任せてくれるなら、売却物件の仲介手数料無料」と持ちかけてくるケースは少なくありません。2回受け取れる仲介手数料のうち、1回分をサービスで放棄しているようにも見えますが、これも片方を無料として確実に売却の媒介契約を手にする営業戦略のひとつです。

また、その売り物件を購入する買主の仲介を自社で扱えるなら、買主側からの仲介手数料が期待できるため、売主側の仲介手数料を無料にしてでも売却の媒介契約が欲しいのです。

しかしその売却・購入両方を自社で扱う「両手取引」を実現させるために、売主が売りたいタイミングや価格で売れなくなるリスクが生まれます

また売却を成立するために、買主側からのムリな値下げに応じてしまうことも。結果的に仲介手数料以上の損につながる場合もありますので、必ずしも仲介手数料無料が得とは限りません。

イエツグくん
仲介手数料の支払いは大きく分けて4パターン。
どれが一番お得になるのかな?

不動産買い替え時に支払う仲介手数料4つのパターン

不動産会社によっては売り・買いどちらか、もしくは両方の仲介手数料を無料にする場合があります。それぞれのパターンにおいて、不動産会社、買い換え主の双方にどんなメリット・デメリットがあるか、4つのパターン別に考えてみましょう。

なお、説明のため仲介手数料の割引なしを「満額」、割引もしくは無料とした場合を「無料」として表記します。

パターン1. 売り・買い両方とも満額

大手不動産会社に買い換えの仲介を依頼する場合、一般的にはどちらの取引にも満額の仲介手数料が発生します。

4つのパターンにおいて最も高額の仲介手数料が発生しますが、それだけ不動産会社側も積極的に販売活動へ力を入れますので、決して悪い話ではありません。

パターン2. 売りは無料、買いは満額

購入する物件には仲介手数料が発生する代わり、売却物件からは取らないパターンです。パターン1に比べるとおよそ半額程度になりますので、金銭的にはお得に見えます

ただし、売却が無事に成立するまでは本当に得なのかはわかりません。購入が先に成立して仲介手数料を支払ったのに、不動産会社が物件を売却してくれず、結局他の不動産会社に乗り換えなければならないというケースもありえます。

どんなに売主が早く売りたくても、理想の買主が見つかるまで売らないケースや、媒介契約期間中に売り抜くために安く売り払ってしまうケースもあります。仲介手数料無料と引き換えに、売主が主導権を失ってしまうリスクには注意が必要です。

パターン3. 売りは満額、買いは無料

パターン2とは反対に、購入物件の仲介手数料は無料とし、売却物件から仲介手数料を取るパターンです。

パターン2と同じように見えますが、売却に比べ購入は買主側が主導権を握りやすいため、売却前に別の物件購入を成立させ、無料の恩恵を受けやすいパターンといえます。

とはいえ売却が先に成立したのに購入物件が見つからないというケースに陥るリスクはゼロではありません。このケースであっても、パターン1に比べ積極的に購入物件を探してくれる期待はあまり持てないでしょう。

パターン4. 売り・買い両方とも無料

購入・売却どちらに対しても仲介手数料を払わないパターンです。高額になりやすい仲介手数料がゼロになるため、金銭面では非常に大きなメリットがあるように見えますが、一方で大きなリスクも伴います。

媒介契約における不動産会社への報酬は仲介手数料のみです。買い替え主から一切仲介手数料を受け取れない不動産会社は、相手側の売主・買主からの仲介手数料に期待するほかありません。

そのため、確実に仲介手数料を手にするための両手取引の実現が必須です。自社物件のみを買い替え主に提供するため、売買の成立には非常に時間がかかる上、取引結果が希望通りになる期待はもてないでしょう

まとめ:損をしたと感じたら不動産会社を乗り換えよう

仲介手数料を無料にしている会社がすべて悪いとは限りません。しかし多くの会社では仲介手数料無料と両手取引のための囲い込みをセットにしているため、無料になった仲介手数料以上に損をする場合もあります。

本来不動産の購入と売却はそれぞれ独立した取引です。両方を同じ会社に任せるメリットはあまりありません。両方の取引を1社に任せることで必ず損をするとは限りませんが、もし損をしていると感じたらすぐに対応できるよう、不動産会社を乗り換える準備はしておきましょう

弊社イエツグは不動産売買におけるコストを徹底的に見直し、サービスの質を保ちながら仲介手数料を定額化。一律182,900円(税別)を実現しております。

また売主・買主両方を仲介する両手取引となった場合は、買主側からの仲介手数料を無料化。不動産会社側の利益に左右されない、お客様ファーストの仲介をモットーとしております。

不動産売買におけるパートナー選びは、何よりも信頼が大切です。不動産売買でご不明な点、ご不安な点がございましたら、ぜひ弊社イエツグまでご相談ください。

イエツグは、住宅とともに想いを”人から人に継ぐ”という願いから付けた社名です。仲介手数料を格安・定額にすることで、節約できた費用を住宅の質を向上させるために使っていただきたいと考えております。住まいを”継ぐ”には、耐震性や価値を向上することが不可欠だと思うからです。 イエツグ代表の私、丹は、元消防士。東日本大震災で多くの家屋が倒壊し、大切なものを失った方々を目の当たりにしたことにより、既存住宅の価値を上げ、良質な住宅を流通させることがこの国の急務なのではないかと考えるようになりました。小さな会社ではありますが、社員一同、同じ志を持って対応させていただいております。ぜひ一度ご相談ください。

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