未公開物件は本当に魅力的か?現役不動産会社経営者が解説!

皆さんは”未公開”という言葉に、どのような印象をお持ちでしょうか?
響きとしては限定感があるような感じがして、なんだか魅力的なイメージがありますよね!
そのようなイメージをお持ちのお客さまから、「イエツグさんで取り扱っている未公開物件があれば紹介してほしい!」という問い合わせは毎月結構あります。
不動産は同じものが2つとしてないので、”未公開物件”と言われると魅力的に感じるのも頷けます。

しかし、未公開物件がどういう状態の物件のことなのかをちゃんと理解していないと、”大損”をこいてしまうかもしれません
そこで今回は、実需物件の未公開物件について
「未公開物件は本当に魅力的であるのか?」
「未公開物件は買っても良いのか?」
というテーマで解説をしていきます。

この記事でわかること
  • 未公開物件の種類
  • 未公開物件のメリット・デメリット

未公開物件の種類

「未公開物件が本当に魅力的であるのか?」を解説する前に、まずは「そもそも未公開物件とはどのような状態の物件なのか?」を紹介していきます。
基本的に未公開物件は次の4つの物件を指します。

おとり物件

おとり物件とは、集客が目的の売るつもりのない物件、またはこの世に存在しない架空の物件のことを言います。
つまり、この世に存在しない物件をお客さまの目に付くように未公開物件としてでっち上げ、顧客の獲得を目的としたツールとしているということです。

不動産屋はコンビニの数より多いというのは有名ですよね。
競争が激化する市場でどこの不動産会社も新規の顧客を獲得することに翻弄されているため、企業の存続のためには嘘も方便と言わんばかりにこの世に存在しない架空の未公開物件、つまりおとり物件をでっち上げてしまっているのです。

公開を停止した物件

当たり前の話ではありますが、未公開物件の反対の言葉は公開物件です。
市場に流通しているほとんどの不動産は、売主さんが不動産屋に依頼をして公開物件として世に出回っています。
そして、皆さまもよくご存じのSUMMO(スーモ)やLIFULL HOME’S(ライフルホームズ)、at home(アットホーム)などの不動産ポータルサイトに物件が公開されます。

公開を停止した物件というのは、今までは不動産ポータルサイトに掲載されていたけれど、何らかの事情によって公開を停止された物件になります。
つまり、これが未公開物件と呼ばれているというわけです。

何らかの事情と言いましたが、その理由の1つに物件を不動産ポータルサイトに公開しても売れなかったというのがあります。
売れなかったのには様々な理由が考えられますが、「そもそも人気なエリアではなかった」、「そもそもニーズがなかった」、あるいは「価格が高かった」などが大多数を占めている場合が多いです。

公開してもなかなか売れないのであれば公開するのを一旦停止して、「皆大好き未公開物件!」に仕立てて再チャレンジするといった具合ですね。
販売価格も何も変えずに単に不動産ポータルサイトの掲載を停止して、「はい、未公開物件です」とすることもあれば、中古戸建てを土地としての販売に変更して未公開物件というプレミアを付加することもあります。
やり方は様々ですが、やはり未公開物件という響きに魅了される人がある一定層いるということは間違いないですからね。

こっそり売りたい物件

公開物件とは、主に不動産ポータルサイトなどインターネット上に公開される物件のことを言います。
多くの人が自宅は高く早く売りたいと思っているもの。
しかし、一方ではもちろん高く早く売りたいけれど、それ以上に周りの人に自宅の売却を知られたくないという人もいらっしゃいます。

この場合では、物件をインターネット上に掲載しないことがあります。
不動産屋が売主さんからそのような依頼を受けた場合に、物件をインターネット上に掲載せずに買い手を見つけるためには、自社に登録されているお客さまへ専ら情報を提供することになります。

その際、「この物件はインターネット上などには一切掲載のされていない未公開物件です」、とちゃっかりプレミア感を出して紹介しているというわけですね。

公開までタイムラグがある物件

不動産の売却を依頼された不動産会社は、広告をする前に必ず物件の調査をして土地面積や建物面積などを正確に把握しておく必要があります。
そのため、物件の所有者である売主さまから売却の依頼を受けたとしても、直ぐに公開物件にすることはできません。
物件の公開まではおおよそ1週間程度かかります。

この間に自社のお客さまに向けて「未公開物件仕があります」、と内々で営業をかけることができるというわけですね。
しかし、調査前の物件をインターネット上に掲載するのも、メールなどでお客さまに情報提供するのも、実は不動産公正取引調査会の罰則規定では禁止事項となっています

未公開物件のメリット・デメリット

未公開物件のメリット

未公開物件のメリットは1つだけあります。

それは、物件を学区限定や地域限定で探している人にとっては、欲しいエリアの物件情報をいち早く知れるということです。

恐らく多くの人は不動産屋に物件の希望条件を伝えて資料を貰っていたり、インターネットで検索したりしているかと思います。
しかし、希望条件に合う物件はなかなかないものです。
そこで、未公開物件を探し始めた人も多いのではないでしょうか?
特定のエリアに絞って物件を探しているのであれば、未公開物件を探すというのは当然のプロセスなのかもしれません。

はい、以上が未公開物件のメリットです。
不動産取引のプロである私からするとこれ以外のメリットは思いつきません。
他にも未公開物件のメリットがあるという人がいらっしゃれば、ぜひSNSでシェアして教えていただけると嬉しいです!

未公開物件のデメリット

この記事で最もお伝えしたい内容が未公開物件のデメリットになります。
最初にお断りしておきますが、未公開物件の購入が一概にダメだと言っているわけでは決してありません
住宅探しをしている人の状況によっては、未公開物件の購入が最善であることももちろんありますので、あくまでも参考程度にしてください。

それでは、未公開物件のデメリットを2つ紹介します。

未公開物件は割高でしかない

冒頭で、市場に流通しているほとんどの物件はインターネット上に掲載されているというお話をしました。
しかし、何らかの事情により公開を停止した物件もあります。
売れなかったために公開を停止した物件で最もたる理由は、やはり価格につきます。

不動産業界では、「売れない不動産はない」という言葉が出回っていますが、正にこの言葉の通り価格を下げて適正金額にすればいつかは売れてしまうものです。
売れなかったから未公開物件にしてプレミア感を演出するという手法が取られることがありますが、そもそも適正価格で物件を販売していれば公開した時点で売れているはずです。

また、企画商品である建売住宅の未公開物件の場合は、そもそも急いで売る理由がないため販売価格が割高であることが一般的です。

なぜ、建売戸建ての未公開物件は割高なのでしょうか?

理由は至ってシンプルです。
そもそも未公開物件の建売住宅は、更地であるか建物が完成していない状態がほとんどです。
そのため、買い手が見つかって売買契約が成立したとしても、建物が完成していなければ引き渡しができないのです。
つまり、物件を適正価格で販売して急いで買い手を見つけたところで、建物が完成していないので商品を引き渡せないということですね。

当然、商品を引き渡せなければ販売会社は商品代金を受け取ることができません。
資金繰りの観点からすると、未公開物件の建売住宅は急いで売る意味がないため、割高で販売されているしかあり得ないということです。

皆さんも実際に経験されたことがあるかと思いますが、建売住宅が100万円、200万円値下げされているのは見たことありますよね。
未公開物件の時点では相場よりも高く売り出し、「エリア限定だから割高でも良いから欲しい」というお客さまにあわよくば買ってもらえればラッキーとしているわけです。

買取業者には勝てない

「割高でも良いから未公開物件のあの物件が欲しい」となっても、実際に物件を買うことができるかどうかはわかりません。
それは、未公開物件の情報を営業マンから「あなただけに教えます」と言われつつも、実際には情報は既にあちこちへ広まっており、結局は公開物件と同様に一番先に手を上げなければ買うことができないからです。
そして、未公開物件の陰には常に買取業者の存在があることを意識しなければなりません。

というのも、買取業者は不動産取引のプロであるからです。
買取業者には不動産を現金で買い取ることができる会社が多く、住宅ローンを利用する個人がスピード勝負での勝ち目はありません。
不動産の売買契約も不動産会社同士のやり取りであればツーといえばカーですからね。

まとめ

「未公開物件は本当に魅力的であるのか?」についてお話をしましたが、エリア限定で物件を探している人でどうしても購入したいという場合には魅力的と言えるでしょう。

しかし、未公開物件の正体は、単に割高である物件を適正価格よりも高いと感じさせないように工夫された割高感を未公開物件というプレミア感にすり替えられた物件であったり、この世に存在しない架空の物件であったり、直ぐに引き渡しができない割高の物件です。

しつこいようですが、決して未公開物件を全否定しているわけではありません。
予算が許すのであれば、あなたの希望条件に適した物件が未公開物件の中から見つかる可能性もあります。
未公開物件は魅力的に見えがちですが、デメリットもあることをしっかりと認識した上で購入について検討をしてほしいと思い、この記事を執筆いたしました。

一昔前は不動産屋に行かなければ買えない物件が多くありましたが、インターネット時代の現代では、インターネット上に掲載されていない未公開物件はほぼなくなってきています。
今はインターネット時代ですからそもそも未公開物件という言葉自体が死語になりつつあるのかもしれません。
この記事をお読みくださった皆さまは、未公開物件という特別感だけで割高物件を掴まされないようにくれぐれもご注意ください

イエツグでは、未公開物件をご紹介する際にはしっかりと相場をお伝えしてじっくりと検討していただいております。
私がお客さまによく言う言葉があります。
「不動産購入は不動産売却の始まりでもあります」

「終の棲家として不動産を購入するんだ」という人が多いかと思いますが、人生には色々あります。
もしかしたら何かしらの理由で転居や自宅を売却しなければいけないということも考えられます。
その時に、あなたの購入した不動産の価値がなければ、住宅ローンの残債が売却金額を上回り、売るに売れないという状況に陥ってしまいます。

「いつか売るかもしれない」
不動産の購入時には将来の自宅売却に備えて適正に不動産を評価し、長い目で損をしないようにしたいものですね。
もちろん、私を含めてイエツグでは長い目で不動産が買いなのか、買わない方がよいのかをアドバイスいたします。

不動産の購入時に諸費用の大部分を占める仲介手数料は、イエツグでは定額の18万2,900円(税込201,190円)です。
諸費用を抑えて不動産をお得に購入したいという方は、ぜひお問い合わせください!