不動産売買も”脱ハンコ”化へ!重要事項説明書への押印が不要に!

不動産売買の手続きには多くの書類があり、その数だけハンコを押す必要があります。しかし10月23日に政府が重要事項説明書を電子化する方針を発表。今後不動産取引における脱ハンコ化は加速していくでしょう

重要事項説明書への押印が不要となることで、不動産売買はどう変わっていくのでしょうか。今回は重要事項説明書の押印不要化の影響と、押印や実印が必要な不動産売買手続きについて解説します。

この記事でわかること
  • 重要事項説明書とは
  • 不動産売買で押印が必要な書類
  • 不動産売買で実印が必要な場面
執筆者 丹拓也
執筆者 丹拓也株式会社イエツグ代表取締役
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
イエツグくん
いよいよ不動産業界にも脱ハンコの波がやってくるよ!
ところで重要事項説明書って何…?

脱ハンコ化が進む不動産売買の「重要事項説明書」とは

今回脱ハンコ化が現実的となった重要事項説明書とは、どんな役割をもつ書類なのでしょうか?

重要事項説明の役割

重要事項説明書とは、敷地や建物の状態、法令による制限など、売買・賃貸を行う不動産に関する重要事項を記載する書類です。

不動産の賃貸・売買手続きの際、仲介業者は関係者に対し、宅地建物取引士による口頭説明を行う義務があります

関係者全員の押印が必要

重要事項説明書は、重要事項説明の実施に関わった関係者全員の押印が必要な書類です。売買・賃貸それぞれにおいて、以下の関係者による押印を集める必要があります。

売買
  • 売主
  • 買主
  • 不動産会社
賃貸
  • 貸主
  • 借主
  • 不動産会社

売買でも「IT重説」が導入へ

2017年10月から、賃貸契約においてはテレビ電話による重要事項説明(IT重説)が正式に導入されています。

売買においては、2019年10月から行われた社会実験において大きな問題がなかったため、国土交通省は2020年10月12日、売買においてもIT重説を可能とする方針を固めました

ただしIT重説は重要事項説明を受ける本人が移動する必要はありませんが、説明を受ける際、手元に重要事項説明書を置いておく必要があります。

そのため説明前には書類を送付し、テレビ電話で説明を受けた後に押印した書類を返送するアナログさが残っています。

書類の紛失や記入欄間違え、他の印影に被せて押印してしまったなどの問題が起きてしまうと、再作成した書類を往復させ直さなければなりません。

しかし今後押印が不要となれば、紛失や署名押印ミスのリスクがなくなり、よりスピーディな手続きが行えるようになるでしょう。

イエツグくん
脱ハンコが進んでいるとはいえ、現状ではまだ押印が必要。
どんな書類にハンコを押すか復習しておこう!

不動産売買で押印が必要な書類

2020年11月時点の不動産売買において、押印が必要な書類は次に紹介する3種類です。押印する印鑑は実印である必要がなく、コンビニなどで売っている三文判が使用できます

なお、効力の上ではインク付きのゴム印(シヤチハタ)も有効です。しかしシヤチハタのインクは時間経過で消えやすく、コピー時に印影が薄くなるため、多くの不動産会社では使用不可としています。

売買契約書

不動産売買における取引内容を明記した書類です。
物件本体や備品・付帯設備の情報に加え、代金の授受や契約解除の詳細な条件など、権利に関する取り決めも多く含まれています。

なお、契約の有効性という点では認印で問題ありませんが、契約の安全性を高めるために実印による押印が求められる場合もあります

重要事項説明書

敷地や建物がどのような状態か、法令によりどんな制限を受けているかなど、不動産を賃貸・売買する際に説明を受ける重要事項が記載されている書類です。

媒介契約書

不動産会社と売主が媒介契約を結ぶ際に必要な書類です。不動産会社が行う業務や売買にともなう義務、物件の売り出し価格や仲介手数料など、依頼する仲介に関する条件が細かに明記されています。

その他

押印必須とされる3種類の書類のほか、不動産会社によっては以下の書類に押印が求められます。

その他の書類
  • 物件状況等報告書
  • 付帯設備表
  • 資金計画書
  • 個人情報取扱同意書 など

なお、これらは手続き上必須ではありませんが、不動産会社側からではなく、売主・買主から提出を要求される場合もあります

イエツグくん
不動産取引はとっても大きな買い物。
安全に取引するために、実印が必要な場面もあるんだ。

不動産売買で実印が必要な場面

これまで紹介してきた書類とは異なり、次の2つの手続きには「実印」が必要です。

実印として使用する印鑑は市区町村に登録が必要です。市区町村は正式にその印鑑が登録されていると証明する「印鑑証明書」を発行し、捺印がたしかに本人の意思によって行われたと証明します

不動産登記

不動産物件の名義を売主から買主に変更する「所有権移転登記」を行う際、売主の承諾の上で不動産物件が譲渡されていると法務局が判断するため、実印による意思表示が必須とされています。

実印の捺印は登記の目的を証明する「登記原因証明情報」、移転登記手続きを司法書士に委任するための「委任状」に必要です。またそれぞれに捺印する際には、一緒に印鑑証明書を提出する必要があります。

金銭消費貸借契約

銀行などの金融機関が、買主へ住宅ローンなどの融資を行う際には、購入する不動産を担保とする「抵当権設定登記」が必要です。

抵当権は悪用されると、簡単に不動産を失ってしまいます。そのため法務局が買主の承諾の上で抵当権が設定されているか確認できるよう、実印での捺印が要求されます。

なお、抵当権設定登記が正常に行われないと、融資の不成立や無担保での融資実行といった、重大な問題が発生しかねません。そのため万が一にも手続きを失敗しないよう、司法書士への委任は必須です。

まとめ:不動産売買は今後も脱ハンコ化が加速します

近年ではネット銀行を中心に、金銭消費貸借契約の電子化が整備。手続きがネット上で完結するようになっており、メガバンクも追随する動きを見せています

今後売買契約書も電子化が進めば、押印のみならず収入印紙も不要となる日がくるかもしれません

弊社イエツグは、売買におけるIT重説の社会実験に実験開始当初から参加。IT重説に関する豊富な経験を活かし、今後脱ハンコ化が進んでも、どこよりもスムーズに対応できると自負しております。

オンラインを活用した不動産売買契約にご興味がありましたら、ぜひイエツグまでご相談ください。

イエツグは、住宅とともに想いを”人から人に継ぐ”という願いから付けた社名です。仲介手数料を格安・定額にすることで、節約できた費用を住宅の質を向上させるために使っていただきたいと考えております。住まいを”継ぐ”には、耐震性や価値を向上することが不可欠だと思うからです。 イエツグ代表の私、丹は、元消防士。東日本大震災で多くの家屋が倒壊し、大切なものを失った方々を目の当たりにしたことにより、既存住宅の価値を上げ、良質な住宅を流通させることがこの国の急務なのではないかと考えるようになりました。小さな会社ではありますが、社員一同、同じ志を持って対応させていただいております。ぜひ一度ご相談ください。

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