不動産営業がなくなる?経営者視点から業界の未来予想

学歴不問・未経験でも活躍できる職業のひとつに不動産営業があげられます。実績さえあげれば、20代で年収1,000万オーバーも可能といわれる夢のある職業。しかし不動産営業はIT技術の進化により、今後消滅する危機に見舞われています

不動産営業はなぜ消滅の危機に瀕しているのでしょうか。
今回は不動産営業を経て仲介会社を経営する丹が、不動産営業の実態と今後の未来予想についてお話いたします。

この記事でわかること
  • 不動産営業マンとはどんな仕事?
  • 不動産営業マンの一日
  • 不動産営業の将来性
執筆者 丹拓也
執筆者 丹拓也株式会社イエツグ代表取締役
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
イエツグくん
一攫千金を目指せる不動産営業!
毎日どんな仕事をしているのかな?

不動産営業の仕事内容

私は消防士を経て不動産売買の仲介営業へ就職。入社当初、毎日どのようなスケジュールで業務を行っていたか、一日の流れをご紹介します。

一日のタイムスケジュール

私が新人営業マンとして不動産業界で働いていた当初、平日は以下のようなタイムスケジュールで過ごしていました。

営業マンのタイムスケジュール例
  • 8:30 出社、掃除
  • 9:30 朝礼
  • 10:00 店舗営業開始、新規広告掲載物件の調査
  • 13:00 営業エリアの物件下見
  • 18:30 帰社
  • 19:00 営業電話
  • 21:00 管理職ミーティング
  • 22:00 退社

正式な定時は9:30から18:30まででしたが、実際には上記のように13時間以上拘束される毎日。ブラックな業界という噂に違わぬ長時間労働で成り立っている業界といえます。

広告掲載物件の調査

毎日行う業務のひとつに「広告掲載物件の調査」があります。

ほぼすべての不動産会社の取扱物件が登録されるデータベース「REINS(レインズ)」を確認し、他社が所有している新規売り出し物件を調査。見つかった場合には広告掲載の手配を行います

広告と言ってもその種類はさまざま。以下のような媒体を利用するため、手配にもそれなりの時間と手間がかかりました。

不動産広告が掲載される媒体
  • 大手不動産ポータルサイト
  • ネット広告
  • 新聞折込みチラシ
  • バス広告
  • 電車のつり革広告
  • 劇場広告
  • ポスティング など

なお、不動産会社の各店舗には多くの営業マンが所属し、いくつもの部署が組織されています。それぞれの部署ごとに営業成績を求められるため、良質な物件があれば、同一店舗内の部署間で取り合いになることも珍しくありません

営業エリアの新着物件下見

午後は自店舗の管轄営業エリア内の物件下見を行います。

不動産売買を求めるお客様へのご案内はほぼ土日に行います。そこで希望条件をヒアリングし、当日のうちに物件を案内。できれば契約まで行いたいと不動産会社は考えています。

スムーズに案内から手続きまで進めるためには、すべての物件情報を頭にたたき込んでおき、希望条件に合った物件をすぐさま提案できなければなりません

そのため不動産営業は、毎日の下見でどれだけの情報を仕入れておけるかが勝負。営業成績に直結する下見は、平日に行う仕事の中でもっとも重要なもののひとつです。

不動産会社が内見だけで帰らせてくれない理由とは?

営業電話

土日に来社していただけるお客様とのアポイントを獲得するのも、営業マンの大事な仕事です。

優良な見込み客は多くの場合、先輩営業マンや上司が担当します。そのため新人のうちは担当できるお客様が少なく、過去にお問い合わせをいただいたお客様へ、新着物件のご案内と称した営業電話をかけ続けなければなりません

さらに下っ端の新人は、何十年も前の古いリストや、問い合わせ客ですらない電話帳から営業電話をかけ続けます。すでに不動産売買が不要な方や、まったく興味が無い方にも電話することになりますので、お相手から怒られることもしばしばです。

この営業電話の時間が、不動産営業の中でもっとも過酷な業務かもしれません。

イエツグくん
想像以上にハードな不動産営業だけど、
将来も稼ぎ続けられる職業なのかな?

不動産会社に転職する将来性

不動産営業は成績さえ上げれば、年収1,000万円も狙える職業です。
しかし、近年の社会情勢の変化や技術の進歩の影響に鑑みると、私は不動産営業の将来性は乏しくなっていくと考えています。

オススメしない理由1.業務領域へのAI進出

現在の不動産営業は人間である営業マンによって行われていますが、今後その業務の多くはAIに取って代わられると私は予想しています。

物件調査は精度の高い検索エンジンが対応

お客様が大手ポータルサイトなどで探した物件情報をもとに、不動産営業マンは類似の物件をいくつも紹介します。

その行為は必ずしもお客様のために行われているとは限りません。問い合わせの多い物件を手元に残しつつ、類似の売れにくい物件を売りたいという不動産会社側の思惑も隠れています。

今後AIの発達により検索エンジンの精度が上がれば、お客様が検索した条件に対し、不動産会社側の思惑に影響されない検索結果が提示されるようになります

より条件に近い物件を検索できるようになれば、不動産会社が勧めたがる物件に時間を取られることも無くなっていくでしょう。

スマートロックの普及で営業マンの同伴が不要に

内見時の解錠は、原則として同伴する営業マンが行います。そのため同伴のための合流を理由に不動産会社に集合し、その後営業マンの送迎する車で何軒もの物件を巡ることになるでしょう。

今後、解錠の回数や時間帯を電子制御できるスマートロックが普及すれば、お客様が直接物件を訪れて内見が可能。解錠のための同伴が不要となります。また同時に送迎も不要となるため、営業マンの出番は大幅に減るでしょう。

銀行ではすでに人余りが始まっている

すでに銀行の分野ではフィンテックの登場により、ネットを経由した送金や決済サービスが誕生。銀行の業務が部分的に縮小しはじめています

さらに住宅ローン審査の一部にAIを導入している銀行も登場し、人間が行わなければならない仕事の領域が狭まってきています。

近年では早期退職制度や週3日、週4日勤務制度の導入が進んでいますが、これはAIやITに仕事を取って代わられた人余りの現われです。

今後人余りの波は必ず不動産業界、とくに営業マンを襲うことになるでしょう。

オススメしない理由2.消費者ニーズの変化

賃貸物件を所有しているオーナーは非常に勉強熱心な方が多く、大抵の営業マンよりも不動産に関する知識が豊富です。

不動産売買においてもインターネットを通じて情報を得やすくなったことも後押しとなり、購入希望者の知識は増加傾向にあります。そう遠くないうちに、購入希望者の知識が不動産営業マンを超える日がやってくるでしょう。

またインターネットの発達により、フィナンシャル・プランナーや弁護士、税理士といった専門家へ簡単に接触できるようになりました。不動産売買に問題が発生したとしても、中途半端な知識の営業マンではなく、各分野の専門家に頼る傾向は今後も強まると予想できます。

営業に強く、勉強熱心なら可能性あり

発達したITやAIに不動産営業マンの職域が侵されていくなら、今後営業マンが提供できるのは重要事項説明書の作成のみとなりかねないでしょう。

不動産売買の仲介手数料は物件売買価格の3%+6万円。5,000万円の物件なら、売主は156万円を支払わなければなりません。

決して安くない仲介手数料を快く支払っていただくためにも、営業マンはAIに取って代わられない付加価値を提供する必要があります

お客様へのメリット提供を第一に考えられる営業マンにならなければ、営業マンとして生き残るのは困難。豊富な知識と情熱をもって、お客様に利益をもたらす営業マンのみが求められる時代がやってきます

これから不動産営業マンを目指すなら、営業に強いという特長をもつのはもちろん、常に勉強を続け、お客様にとってのベストを考え続けられる存在になりましょう

まとめ:これからの不動産営業で生き残るには

AIやIT技術の発達によって、さまざまな業界で変革が起きています。不動産業界も例外ではなく、とくに営業分野においては今後、急速に需要の縮小が進んでいくでしょう

今後不動産営業として生き残っていくには、AIやネット上の情報だけではカバーできない付加価値を提供していく必要があります

弊社イエツグの代表である丹は、不動産営業を経てイエツグを設立。現在もお客様の利益を第一に営業活動を行っております。不動産を通じて多くの方が幸せになれるよう、お客様に寄り添える営業マンが増えることを願ってやみません。

イエツグは、住宅とともに想いを”人から人に継ぐ”という願いから付けた社名です。仲介手数料を格安・定額にすることで、節約できた費用を住宅の質を向上させるために使っていただきたいと考えております。住まいを”継ぐ”には、耐震性や価値を向上することが不可欠だと思うからです。
イエツグ代表の私、丹は、元消防士。東日本大震災で多くの家屋が倒壊し、大切なものを失った方々を目の当たりにしたことにより、既存住宅の価値を上げ、良質な住宅を流通させることがこの国の急務なのではないかと考えるようになりました。小さな会社ではありますが、社員一同、同じ志を持って対応させていただいております。ぜひ一度ご相談ください。