住宅を購入するときは、多くの方が「自分は住宅ローンの審査に通過できるのだろうか・・・」と不安になります。
住宅の価格は非常に高額ですので、審査に通過できず住宅ローンを組めなければ、夢のマイホームを購入できなくなるからです。そしてもし審査に通るローンが見つかったとしても、借り入れ条件が悪く、毎月の返済額や総返済額が高額になってしまう可能性があります。よって、できるだけあなたにとって好条件の住宅ローン審査に通過することが、住宅購入のポイントの1つだといえるのです。
しかし住宅ローンの審査基準は、一般に公開されているわけではありません。そのため金融機関が、どのような基準で審査をしているのか、ご存じない方がほとんどでしょう。
そこで今回は、住宅ローンの審査基準について、わかりやすく解説していきます。
- 住宅ローン審査の流れ
- 住宅ローンの審査では何がチェックされるのか
- 住宅ローンの審査に落ちてしまう理由
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
目次
住宅ローンの審査は事前審査と本審査の2段階
住宅ローンの審査は、物件の契約前におこなわれる事前審査と、物件を契約したあとにおこなわれる本審査に分かれています。住宅ローンを借り入れるためには、事前審査と本審査の両方に通過しなければなりません。
事前審査
事前審査では、年収や職業、勤続年数などから個人の返済能力が審査されます。
とくに、不動産会社を経由して申し込んだ都市銀行や地方銀行による事前審査は、非常に精度が高いです。事前審査の段階で、本人確認書類や源泉徴収票などの書類をもとに審査されるだけでなく、個人の信用情報や物件の担保力も入念に調べられるからです。
そのため都市銀行や地方銀行の事前審査に通過すると、本審査も十中八九通過するといわれています。
一方でインターネット銀行の事前審査は、申込者本人の自己申告による簡易的な審査となります。よってインターネット銀行では、事前審査を通過しても本審査に落ちるケースも珍しくありません。
本審査
本審査では、主に物件の担保力や個人の健康状態、信用情報が審査されます。また事前審査で見られた項目も、源泉徴収票や確定申告書などの書類をもとに、より厳しい目でチェックされます。
金融機関が審査で物件の担保力を確認する理由は、住宅ローンの返済が滞ったときに、物件を競売にかけて融資したお金を回収できるかどうか確認するためです。
そのため本審査では、売買契約書や重要事項説明書をもとに、ローンを用いて購入する物件に担保としての価値があるかどうかが、入念にチェックされます。
本審査の審査結果は、1週間程度でわかりますが、中には1ヶ月以上かかる金融機関もあります。
ここまで、住宅ローン審査の流れを解説しました。それでは住宅ローンの審査では、それぞれの項目がどのように確認されるのでしょうか?順番に確認していきましょう。
住宅ローンの審査基準1.年収・返済比率
住宅ローンを借りても、借り入れる人が借入額に見合っただけの年収を得てないければ、返済できません。そこで住宅ローン審査では、借入額が年収に対して適正かどうかを、返済比率(返済負担率)を計算して審査します。
返済比率とは、年収のうちローンの返済に充てても良い割合です。返済比率の設定は、金融機関によって異なりますが、以下のように年収に応じて変わることが多いです。
年収 | 返済比率 |
400万円未満 | 30% |
400万円以上600万円未満 | 35% |
600万円以上 | 40% |
金融機関が返済比率を上記のように設定した場合、500万円の人は、住宅ローンの年間返済額が175万円(500万円×35%)以内であれば、金融機関は融資を実行してくれます。
反対に、年間返済額が175万円を超えていると、金融機関は「この人は返済を滞納する確率が高い」と判断し、融資を実行しません。
住宅ローンの審査基準2.他の借入状況
住宅ローンの借入額が、返済比率の範囲内であっても、以下のような他からの借入があり、返済比率が金融機関の基準を超えると審査に落ちてしまいます。
- 車のローン
- 教育ローン
- 奨学金
- 消費者金融からの借入
また住宅ローンの申し込みから、融資が実行されるまでに他の借入をすると、審査に落ちる可能性が高まります。
加えてクレジットカードのキャッシング枠は、利用していなくても借入とみなされることがあるため、不要なカードは解約しておきましょう。
住宅ローンの審査基準3.勤続年数・職業
住宅ローンを借り入れる人が、収入の安定した職業に就いていなければ、返済を滞納される可能性があります。そのため審査では、借り入れる人の職業や勤続年数もチェックされるのです。
職業や勤続年数から考える、住宅ローンの審査に通りづらい人の特徴は、以下の通りです。
- 転職を繰り返している
- 勤続年数が浅い
- 自営業(とくに事業継続年数が3年未満)
- 歩合制の会社で働いている
- 契約社員・パート・アルバイトで働いている
上記に当てはまるからといって、必ず住宅ローン審査に落ちるわけではありません。しかし公務員や企業の正社員よりは、審査に通過しづらくなります。
また住宅ローンの申し込みから、融資の実行までの間に転職した場合は、審査に落ちる可能性が非常に高まります。
転職をするのであれば、住宅ローンの審査に通過し融資が実行されたあとの方が好ましいということですね。
住宅ローンの審査基準4.年齢・健康状態
多くの金融機関は、住宅ローンの完済時の年齢を80歳までとしています。そのため住宅ローンの借入期間を、完済時の年齢が80歳を超えるような設定にしていると、審査に通過できません。
ではなぜ、多くの金融機関が住宅ローンの完済時の年齢を80歳までにしているのでしょうか?その理由は、団体信用生命保険に加入できる年齢が、多くの場合で80歳までだからです。
団体信用生命保険とは、住宅ローンを借り入れた人に万一のことがあった場合に、保険会社から保険金が支払われて残債が0円になる保険です。多くの金融機関が、団体信用生命保険への加入を融資の条件にしています。
団体信用生命保険に加入するには、健康状態が所定の基準を満たしていなければなりません。そのため健康状態が良くなく、団体信用生命保険に加入できない人は、住宅ローンを借りられなくなります。
しかし健康状態に自信がないからといって、住宅ローンの利用を諦める必要はありません。持病を持っている人や、過去に大病を患った経験がある人は、通常の団信よりも引受基準が緩和されたワイド団信に加入するのも一つの方法です。
ただしワイド団信に加入すると、住宅ローンの金利に0.2〜0.3%程度を上乗せするかたちで保険料を支払う必要があります。そのためワイド団信は、返済シミュレーションを確認し、返済負担に問題がないか確認したうえで加入しましょう。
住宅ローンの審査基準5.個人の信用情報
住宅ローンは、借り入れる人の信用情報に問題があると、どれだけ高収入で安定した職業についていても審査に通過できません。
信用情報に問題があると判断される例は、以下の通りです。
- クレジットカードの支払いを短期間で複数回にわたって滞納した
- 奨学金の返済を3ヶ月以上にわたって滞納した
- 借金が返済できず過去に自己破産をしたことがある
信用情報は、信用情報機関に対して開示請求できます。ご自身の信用情報が気になる場合は、開示請求をして確認してみると良いでしょう。
これはあまり知られていない話なのですが、審査時に提示する運転免許証によって、住宅ローン審査に落ちてしまうこともあります。免許証の紛失回数が多いかたは、ぜひ以下の記事をチェックしてみてください。
審査基準が“厳しい”“緩い”は金融機関によっても、審査を受ける人によっても異なる
審査基準は、金融機関によって異なります。そのため「A銀行では審査に落ちたのにB銀行では通過した」といったケースもありえるのです。
また、フラット35は審査基準が低く、自営業をしている人や転職して間もない人でも審査に通過しやすいといわれています。
そのため、住宅ローン審査に落ちたからといって、悲しむ必要はありません。申し込む金融機関を変えると、住宅ローンを組める可能性はあります。
ただし、あまり手当たり次第の銀行で審査を依頼するのはおすすめできません。
住宅ローンを審査したときに、金融機関が信用情報を開示請求した履歴は、信用情報機関に残されています。そのため何度も住宅ローンを申し込むと、金融機関から「この人、他の金融機関の審査に通らなかったのかな?」と疑われて審査に通過しづらくなることがあるのです。
まとめ:住宅ローンは年収や勤続年数などが一定基準を満たさないと通過できない
住宅ローンの審査では、年収や勤続年数、信用情報などのさまざまな視点から、個人の返済能力が確認されます。 審査基準にあてはまらないものが一つでもあると、住宅ローンの審査に通過できません。
一方で金融機関によって審査基準が異なるため、一度審査に落ちた人でも、別の金融機関では審査に通過できる可能性があります。
しかし金融機関の審査基準は、顧客に公開されているわけではないため、住宅ローンに通過しやすい金融機関がどこかなんてわからないですよね。
もしあなたが、どこの金融機関で住宅ローンを組めばよいかわからないのであれば、弊社イエツグにお任せください。
イエツグには、FPや住宅ローンアドバイザーといった専門資格のあるスタッフが、弊社とお付き合いのある複数の金融機関の中から、審査に通過できる可能性の高い住宅ローンをお探しいたします。どうぞお気軽にご相談ください。
大手保険会社で培った知識と経験から、保険、不動産、税金、住宅ローンなど幅広いジャンルの記事を執筆・監修。