住宅を購入する多くの方が悩む、住宅ローンの借り方。住宅ローンは、金利タイプ・毎月の返済額・借入期間などさまざまな要素を検討して選択しなければなりません。
本記事では、2020年9月に独立行政法人住宅金融支援機構が発表した「住宅ローン利用者調査(2020年5月調査)」の内容を大公開!
この調査は、2019年10月から2020年3月までに、居住用の住宅ローン(借換ローンやリフォームローンなどを除く)を借り入れた方を対象に行われました。新型コロナが流行し始めたころに住宅を購入した人もアンケート調査に含まれています。
- みんなが選択している住宅ローン金利
- 住宅ローン利用者の借入額と返済額
- 正しい住宅ローンの選び方
【動画目次】
00:00 はじめに
01:15 ①選択された金利タイプの内訳
03:19 ②借入額の実態
05:12 ③住宅ローンを借り入れた人の思考
08:10 まとめ

不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
目次
みんなの住宅ローン金利は?利用者が選んだ金利タイプ

住宅ローンを借り入れる際に、もっとも悩む人が多いのが金利タイプです。住宅ローンの金利タイプは、以下の3種類から選択します。
- 変動金利型:返済期間中に状況に応じて金利が変動する
- 全期間固定型:返済期間中の金利が固定される
- 固定期間選択型:借入当初の一定期間、金利が固定される
2020年5月の住宅ローン利用者調査では、変動金利型で借り入れる人が前年に比べて上昇し、固定期間選択型と全期間固定型がわずかに減少しています。
※出典:独立行政法人 住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査(2020年5月調査)」
2020年現在も、歴史的な低金利の状態が続いています。そのため住宅ローン金利は、低金利を固定できる全期間固定型で借り入れる人が増える可能性もありました。
しかし実際は、全期間固定型よりも借入当初の金利が1/2以下である、変動金利型と固定期間選択型を選択する人が前年よりも増えて、全体の約9割を占めています。
また、以下のように購入した住宅の種類にかかわらず、変動金利選択した人の割合が最も多い結果となりました。
※出典:独立行政法人 住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査(2020年5月調査)」
変動金利を選択した人の割合は、中古住宅の購入者よりも新築住宅の購入者の方が多いです。一般的に、新築住宅の方が中古住宅よりも高額であるため、返済負担を抑えるために、借入当初の金利が低い変動金利を選択した人が多いと考えられます。
住宅ローンを借り入れる人が選んだ理由(決め手)
住宅ローンを借り入れた人は、以下のように金利タイプにかかわらず金利の低さを重視して選んでいます。
※出典:独立行政法人 住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査(2020年5月調査)」
また、全期間固定金利であるフラット35を選んだ人の決め手は、「金利上昇に備えて返済額を確定しておきたかった」に続いて「金利が低い」が2番目に多い結果となりました。
※出典:独立行政法人 住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査(2020年5月調査)」
住宅ローンを借り入れた人が考える今後1年間の金利見通し
次に、住宅ローンを借り入れた人が考える「今後1年間の住宅ローンの金利見通し」を確認していきましょう。
※出典:独立行政法人 住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査(2020年5月調査)」
全体では、今後1年間の住宅ローン金利が「現状よりも上昇する」「今とほとんど変わらない」と回答した人は、前年より減っています。一方で、「現状よりも低下する」「見当がつかない」と答えた人は増加しました。
金利タイプ別に確認すると「現状よりも上昇する」と考えている人の割合は、変動金利がもっとも少ないです。金利が今後上昇すると思う人が前年より減り、低下すると思う人は増えたため、変動金利を選択する人の割合が上昇したと考えられます。
固定金利で借り入れた人は、今後の金利について「見当がつかない」と答えた人の割合が、他の金利タイプよち多いだけでなく、前年よりも約10%増えています。
2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により、将来の先行きが不透明な状況となりました。そのため、住宅ローンの金利も今後どうなるかわからないという不安から、固定金利を選択した人が多いようです。
みんなはいくら借りてる?住宅ローンの年間返済額

次に、住宅ローンを借り入れる人が、年間でいくら返済しているのかを見ていきましょう。
以下のグラフは、住宅ローンを借り入れた人の返済負担率です。返済負担率とは、年収のうち住宅ローンの返済に充てている割合を示します。
※出典:独立行政法人 住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査(2020年5月調査)」
返済負担率が「15%超20%以内」である方が、もっとも多い結果となりました。
住宅ローンの審査では、返済負担率を30〜35%に設定して行われていますが、無理なく返済をしていけるのは25%以下といわれています。
よって実際に住宅ローンを借り入れている人は、借入可能額をいっぱいに借り入れるのではなく、返済負担が家計を圧迫しないよう、現実的な金額を借り入れていると考えられます。
住宅ローンを借り入れている人の世帯年収
住宅ローンを借り入れている世帯の年収は、以下のようにどの金利タイプも400万円超800万円以下の世帯がもっとも多いです。
※出典:独立行政法人 住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査(2020年5月調査)」
金利タイプの選択に、年収による差は見られません。見方を変えると、年収400万円超800万円以下の世帯がもっとも住宅ローンを借り入れている、とも読み取れます。
住宅ローンの借入額
以下のグラフは、購入価格の借り入れで資金を調達した割合(融資率)を表しています。
※出典:独立行政法人 住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査(2020年5月調査)」
変動金利を選択した人のうち、約3割が購入価格の「90%超100%以下」を借り入れています。変動金利は固定金利よりも金利が低いためか、購入価格いっぱいまで借り入れる人が多かったようです。
一方で全期間固定金利は、約3割の方が「80%超90%以下」を借り入れています。これは、全期間固定型の代表であるフラット35を借り入れる場合、融資率が9割を超えてしまうと利息計算時に適用される金利が上昇するためでしょう。
ここまで、実際に住宅ローンを借り入れた人がどのような選択をしたのか解説しました。
しかし、実際に借り入れた人の情報だけを参考にして、住宅ローンを選んでも良いのでしょうか?次は、正しい住宅ローンの選び方を解説します。
住宅ローンは有資格者に相談して慎重に選ぶ

住宅ローンを選ぶときは、FPや住宅ローンアドバイザーに相談し、商品性やリスクをよく理解することが大切です。
今回の住宅ローン利用者調査では、変動金利を選択した人が前年よりも増えました。また住宅ローンを借り入れた人の約9割が、変動金利または固定期間選択型選択をしています。
しかし多くの方が選んでいるからといって、あなたにとって最適な住宅ローン金利が変動金利や固定期間選択型とは限りません。金利ごとの特徴やリスクを理解したうえで、ご自身に合ったものを選ぶことが大切です。
にもかかわらず、変動金利や固定期間選択型で借り入れた人のうち約1〜2割が、商品性や金利リスクをよく理解せずに借り入れています。
※出典:独立行政法人 住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査(2020年5月調査)」
たとえ低金利で借り入れられても「金利上昇時に返済額がいくら増えるのか」「どのタイミングで金利や返済額が変わるのか」などを知らないと、不安を抱えながら返済することになるかもしれません。
また「購入価格のうちいくらを借り入れるのか」や「年収のうちいくらを返済に充てるのか」は、資金計画を練ったうえで決める必要があります。
住宅ローンは、FPや住宅ローンアドバイザーに相談して、商品性やリスクをよく理解し、入念に資金計画を立てて借り入れることが大切です。
まとめ:住宅ローンは「みんながどうしているか」だけで選んではいけない
住宅ローンを選ぶときに、「みんな変動金利を選んでいるから」や「みんな目いっぱいの借り入れをしているから」などの理由だけで判断するのはおすすめできません。あくまで判断材料の一つにとどめておき、有資格者に相談して選ぶことが大切です。
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大手保険会社で培った知識と経験から、保険、不動産、税金、住宅ローンなど幅広いジャンルの記事を執筆・監修。