住宅購入後の大きな税控除制度である住宅ローン控除には、築年数の制限があります。
・非耐火住宅(木造戸建てなど):20年
・耐火住宅(マンションなど):25年
ただし、上記要件を満たしていない場合にも、住宅ローン控除を受けることは可能です。その適用要件の1つが、耐震基準適合証明書の発行です。
耐震基準適合証明書の発行には費用がかかりますので、適用を受けようとする方は資金の準備が必要です。
本記事では、耐震基準適合証明書の発行にかかる費用について徹底解説していきます。
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
中古住宅の住宅ローン控除適用要件
住宅ローン控除とは、年末のローン残高または住宅の取得対価のうち少ない方の金額の1%が、10年に渡り所得税・住民税から控除されるという非常に大きな減税制度です。
ただし、使用用途や面積、築年数(中古住宅の場合)には一定の要件が定められているため、どんな住宅でも控除を受けられるというわけではありません。
新築・中古ともに共通する適用要件
まずは、新築・中古にかかわらず必要となる要件です。
自ら居住すること
住宅の引き渡しまたは工事の完了から6カ月以内に、自ら居住しなければなりません。「居住」とは住民票を移すことであり、別荘やセカンドハウスは該当しません。
床面積50㎡以上
対象の住宅は、床面積が50㎡以上である必要があります。床面積の測定方法は、戸建て住宅の場合は「壁芯」、マンションなどの共同住宅の場合は「内法」で測定します。
(出典:国土交通省)
借入期間が10年以上
合計所得金額が3000万円以下(3000万円を超える年の控除が受けられない)
中古住宅の適用要件
(出典:国土交通省)
中古住宅では、耐震性能を有していることが住宅ローン控除を受ける要件の1つとなります。
耐震性能を有しているとみなされるには、“一定年数以下の築年数であること”あるいは“耐震基準に適合していることが確認された住宅であると証明されたこと”が必要です。
「一定年数以下の築年数」というのが、冒頭で説明した“非耐火構造(木造戸建てなど):20年以下”、“耐火構造(マンションなど):25年以下”という基準となります。
そして、「耐震基準に適合していることが確認された住宅」と証明するには、次の3つの基準のいずれかを満たす必要があります。
- 耐震基準適合証明書によって証明する
- 既存住宅性能評価書によって確認する
- 既存住宅売買瑕疵保険に加入
今回は、この3つの基準のうち、耐震性を証明してもらうための「耐震基準適合証明書」の発行にかかる費用について解説するというわけです。
なお、耐震基準適合証明書の基礎知識については、以下の記事で詳しく解説しています。
耐震基準適合証明書発行にかかる費用1.耐震診断
耐震基準適合証明書は、その名の通り耐震基準に適合しているか証明するための書類なので、交付を受けるには耐震性を診断しなければなりません。
この診断に、まず費用がかかります。
(出典:国土交通省)
上記、耐震基準適合証明書のフロー上でいうと、赤枠で囲った部分にかかる費用です。
診断費用は10万円前後が相場
耐震診断は、建築士あるいは専門機関がおこないます。
費用は業者によって異なりますが、10万円前後が相場です。
診断自体は数時間で終わりますが、診断結果の送付までには1週間~10日ほどかかるのが一般的です。
耐震基準適合証明書発行にかかる費用2.耐震工事費(耐震性が認められない戸建の場合)
一般的に、旧耐震基準で建てられていて耐震工事歴がないマンションは耐震性が認められることは少なく、また所有者1人の一存で耐震工事はできないので、耐震基準適合証明を取得するのは困難だと思っておきましょう。マンションの規模や構造によっては取得が可能な場合もありますが、その場合にも耐震工事を伴うことは想定されないため、こちらでは、戸建ての耐震工事について解説させていただきます。
耐震診断の結果、耐震性が認められなかった場合には耐震工事をおこなう必要があります。
気になる耐震工事費ですが、申し訳ありませんがこれは物件によるとしか言いようがありません。傾向としては、やはり築年数が古く、工事範囲が広いほど費用は高額になります。
(出典:国土交通省)
国交省が上記のような目安を策定していますが、耐震改修工事にかかる費用が100万円を超えることは多いものです。また、工事には時間がかかるため、住宅ローン控除の適用要件の1つである「6カ月以内の入居」に間に合わないケースも考えられます。
そのため、耐震改修工事が必要な場合は、耐震基準適合証明書の発行を諦めてしまう方も少なくありません。
耐震基準適合証明書発行にかかる費用3.発行費用
(出典:国土交通省)
耐震性が認められれば、適合証明書が発行されます。発行時には、発行費用がかかります。
発行費用も機関によって異なりますが、相場は5万円前後です。
耐震補強工事を要さない場合にも、耐震診断の申請から実際に証明書が発行されるまでには1カ月前後かかります。
既存住宅売買瑕疵保険で代用することも考える
耐震基準適合証明書が発行可能かどうかは、中古住宅を購入する前に必ず確認するようにしましょう。いざ購入して住宅ローン控除を受けようと申請しても、「耐震補強工事ができない」「工事ができても高額」といった理由で、耐震基準適合証明書の発行を泣く泣く諦める方もいらっしゃいます。
とはいえ、住宅ローン控除は最大400万円もの控除が受けられる制度。そう簡単には諦められないですよね。
そんな方は、イエツグの仲介物件のご購入をご検討ください。というのも、弊社仲介による物件は、既存住宅瑕疵保険が5年間付帯しております。(条件を満たした物件のみ)
先ほど掲載した図ですが、既定の築年数を超えた物件でも「耐震基準適合証明書」以外にも住宅ローン控除を受けるための基準がありましたよね。
その1つが、「既存住宅瑕疵保険」への加入です。
イエツグの仲介物件は、弊社の手配によって既存住宅瑕疵保険に加入いたします。つまり、買主様が面倒な手続きを踏む必要も、多額の費用をかける必要もなく、住宅ローン控除が受けられるということです。
さらに弊社仲介物件をご購入いただいた買主様には、仲介手数料無料+キャッシュバックキャンペーンをおこなっておりますので、この機会にぜひご検討ください。
まとめ:耐震基準適合証明書の発行費用は、耐震工事が不要な場合は15万円ほど
耐震基準適合証明書の発行費用自体は、そこまで高額ではありません。
しかし、どんな物件でも発行できるわけではなく、発行までに耐震工事が必要になれば100万円以上の費用がかかるケースもあります。
購入してから「耐震基準適合証明書が発行できない!」となってしまっては、一大事。必ず、ご購入前には住宅ローン控除が受けられる物件なのか確認するようにしましょう。
弊社仲介による物件で基準を満たしているものについては、既存住宅瑕疵保険に加入しております。「既存住宅瑕疵保険への加入」についても、住宅ローン控除における中古住宅の耐震性を満たすための要件の1つです。併せてご検討ください。