【取引事例】相続した実家を売却する前に確認したいこと|相続登記・空き家3,000万円控除・解体タイミング

確認すべき3つ

「親から相続した実家、誰も住まないし売った方がいいのかな」――不動産売買の現場では、こうしたご相談が本当に増えています。実家の売却は、ただ査定して売り出せば終わり、というほど単純ではありません。相続登記、空き家の管理、解体するかどうか、税金の特例が使えるかどうか。売却前に確認することが、地味に多いです。今回は、横浜市内にある相続した実家を売却した架空の取引事例をもとに、宅建士の実務目線で整理します。

この記事について:この記事は、過去の取引事例をもとに、個人情報保護の観点から内容を一部変更・一般化して再構成したものです。税金や登記については一般的な考え方を整理したものであり、最終判断は税理士・司法書士・税務署等へご確認ください。税制は改正されることがあるため、最新情報の確認が必要です。

目次

この記事で分かること
  • 売却前に確認したい判断ポイント
  • 買主様や関係者が不安を感じやすい場面
  • トラブルを避けるために先に整理しておきたい順番
最初に押さえたい考え方

不動産売却では、本文中の注意点を順番に整理するだけで、判断しやすさが大きく変わります。

この章の要点

この章では、判断に迷いやすいポイントを実務目線で整理します。

【取引事例】相続した実家を売却する前に確認したいこと|相続登記・空き家3,000万円控除・解体タイミングの比較図
項目確認ポイント
確認すること条件や費用、関係者の役割を分けて見る
注意することその場で即決せず、根拠を確認する
相談すること不明点は早めに専門家へ確認する
確認の順番
  1. 現状を整理する
  2. 条件を確認する
  3. 不安点を相談する
ミニまとめ

まずは判断材料を分けて整理し、急いで結論を出しすぎないことが大切です。

条件を分けて確認

【取引事例】相続した実家を売却する前に確認したいこと|相続登記・空き家3,000万円控除・解体タイミングの費用・条件整理図
確認時の注意

個別事情で判断は変わるため、本文の内容を補助材料として確認してください。

【取引事例】相続した実家を売却する前に確認したいこと|相続登記・空き家3,000万円控除・解体タイミングの手順図
  • 今回の取引事例
  • 最初に確認したポイント
  • この事例で問題になったこと
  • 実務ではどのように整理したか
  • 税金・登記・制度面で注意したいこと
  • 同じようなケースで注意すべきポイント
  • まとめ・よくある質問

今回の取引事例

今回の相談者は、東京都内に住む40代の佐藤さんご兄妹という設定です。お父様が亡くなり、横浜市青葉区周辺にある築45年ほどの戸建てを相続しました。土地は約38坪、建物は木造2階建て。駅から徒歩圏ではあるものの、建物はかなり古く、しばらく空き家の状態でした。

相続人は長男・長女の2名。お二人ともすでに持ち家があり、相続した実家に住む予定はありません。最初のご相談内容はシンプルで、「このまま売るのと、解体して土地で売るのと、どちらがいいですか?」というものでした。

この質問、現場ではかなり多いです。しかも答えは「ケースによります」。便利なようで、相談者からすると一番困る返答ですね。ただ、不動産は本当にケースによります。料理でいえば、同じカレーでも家庭ごとに味が違うようなものです。築年数、道路、境界、買主層、税金、相続人の事情。全部混ぜて判断する必要があります。

今回の事例をざっくり整理すると
  • 物件:横浜市内の築45年ほどの戸建て
  • 状況:お父様から長男・長女の2名が相続
  • 悩み:古家付きで売るか、解体して更地で売るか
  • 確認点:相続登記、遺産分割協議、税金の特例、境界、建物状態
相続した実家の売却における相談関係図。相続人、被相続人、売却対象不動産、売却前に確認すべき事項を整理した図解。
相続した実家の売却では、まず「誰が売るのか」「何を売るのか」「何を確認するのか」を整理します。

最初に確認したポイント

まず確認したのは、「誰が所有者として売れる状態なのか」です。相続した不動産を売却する場合、基本的には相続登記を済ませ、登記名義を相続人に変更してから売却手続きを進める必要があります。売主が亡くなったお父様のままでは、売買契約や所有権移転登記をそのまま進めることはできません。

実務メモ:最初に見るのは価格ではなく「売れる状態か」

相続不動産の売却では、いきなり査定価格を見るよりも、まず誰が売主として契約できる状態なのかを確認します。名義、遺産分割協議、相続登記が整理されていないと、買主が見つかっても契約・決済で止まってしまうことがあります。

次に確認したのは、遺産分割協議の状況です。兄妹の間で「売却して代金を分ける」という方向性は合っていたものの、どちらの名義にするのか、共有名義にするのか、売却代金の分け方はどうするのかを整理する必要がありました。相続人が2人でも、ここを曖昧にすると後で揉めます。相続人が3人以上になると、話し合いの難易度が一気に上がります。RPGでいうと、いきなり中ボスが出てくる感じです。

物件面では、建物の状態、再建築の可否、接道状況、境界標の有無、越境の有無、上下水道・ガス管の引込状況を確認しました。古い戸建ての場合、建物そのものよりも「土地として見たときにどうか」が重要になることがあります。買主が建物を使わず、解体前提で検討することが多いからです。

確認項目実務上の見方
相続登記売却前に名義整理が必要。司法書士への相談が現実的です。
遺産分割協議誰が売主になるか、売却代金をどう分けるかを整理します。
建物状態中古戸建てとして売るか、古家付き土地として売るかに影響します。
境界・越境土地売買では買主の不安材料になりやすい部分です。
税金の特例空き家3,000万円控除などの適用可能性を税理士・税務署で確認します。

この事例で問題になったこと

一番大きな論点は、建物を解体してから売るべきか、それとも古家付きのまま売るべきかでした。売主側から見ると、解体すれば見た目がすっきりして売りやすくなるように見えます。実際、更地の方が買主は建築計画を立てやすい場合があります。

一方で、先に解体すると固定資産税の住宅用地特例に影響する可能性があります。住宅が建っている土地は、一定の要件のもと固定資産税の課税標準が軽減されますが、更地にするとその軽減がなくなる可能性があります。売却まで時間がかかると、思ったより負担が重くなることがあります。

注意:解体は「先に壊す」より「先に確認」

古い建物を見ると、つい「壊して更地にした方が売りやすそう」と考えがちです。ただし、解体のタイミングによっては、固定資産税、税務特例、買主との条件調整に影響する可能性があります。

売却前の解体は、気軽に押せるボタンではありません。押したら戻せないタイプのボタンです。

さらに、被相続人居住用財産、いわゆる空き家の3,000万円特別控除の検討も必要でした。この特例は、相続した空き家を売却する際、一定の要件を満たすと譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる可能性がある制度です。ただし、要件は細かく、建築時期、区分所有建物でないこと、相続直前の居住状況、譲渡期限、耐震基準や解体の扱いなどを確認する必要があります。

ここで大事なのは、「使えるかもしれない」と「使える」は違うということです。不動産会社としては制度の概要や確認ポイントは整理できますが、税務上の最終判断は税理士・税務署の領域です。現場で一番危ないのは、売却価格だけ見て走り出し、あとから「その順番だと特例が使いにくいかも」と気づくパターンです。これはけっこう冷や汗案件です。

実務ではどのように整理したか

この事例での整理

今回は、売主様が先に解体費用を負担するリスクや、税金・固定資産税への影響を踏まえ、まずは建物を残したまま「古家付き土地」として売り出す方針で整理しました。

今回の事例では、まず相続登記と遺産分割協議を司法書士に確認してもらい、売却できる権利関係を整えることを優先しました。売却活動そのものは並行して準備できますが、契約・決済まで見据えると、登記関係の整理を後回しにしない方が安全です。

次に、建物を残したまま「古家付き土地」として売り出す方針にしました。理由は、解体費用を売主が先に負担しなくてよいこと、買主側で建築会社や解体業者を選びたいニーズがあること、そして売却までの期間が読み切れなかったことです。

ただし、古家付きで売る場合も、建物の不具合を隠してよいわけではありません。雨漏り、シロアリ、傾き、残置物、設備の故障など、分かっていることは告知書に整理します。建物を使わない前提であっても、買主から見れば「解体までの管理リスク」「近隣への影響」「残置物処分費用」は気になるところです。

売出価格は、近隣の土地成約事例、更地渡しの場合の価格、古家付き現況渡しの場合の価格、解体費用の概算を比較して設定しました。実務上、売主様はどうしても「査定価格の一番高い数字」に目が行きがちです。もちろん高く売りたいのは当然です。私も売主なら高く売りたいです。ただ、高く出しすぎて数か月動かず、結果的に値下げを繰り返すケースもあります。最初の価格設定は、不動産売却の初速を左右します。

相続した実家を売却するまでの流れ。相続人確認、遺産分割協議、相続登記、資料収集、現地調査、価格査定、税務確認、解体判断、売却活動、契約決済までを整理した図解。
相続した実家の売却は、相続登記・税務確認・売却方針を並行して整理することで、契約直前の手戻りを防ぎやすくなります。

税金・登記・制度面で注意したいこと

税金まわりは、「使えるかもしれない制度」を売却前に洗い出すことが大切です。あとから気づくと、売却の順番や条件を戻せないことがあります。

相続不動産の売却では、相続登記の義務化を確認しておく必要があります。令和6年4月1日から相続登記の申請が義務化され、不動産を相続したことを知った日から3年以内の登記が必要とされています。過去の相続も対象になるため、「昔の相続だから関係ない」とは考えない方が安全です。

譲渡所得の計算では、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引く考え方が基本です。取得費には購入代金や建築代金、購入時の手数料、一定の設備費・改良費などが含まれる場合があります。一方、譲渡費用は土地や建物を売るために直接かかった費用で、仲介手数料、売主負担の印紙税、売却のための建物取壊し費用などが該当する場合があります。どこまで入るかは個別判断になるため、領収書や契約書は必ず保管しておきましょう。

空き家3,000万円控除については、相続または遺贈により取得した一定の被相続人居住用家屋や敷地等を、一定期間内に売却した場合に適用できる可能性があります。ただし、令和6年1月1日以後の譲渡で相続人が3人以上の場合、控除額の上限が2,000万円となる場合があります。こういう細かい変更点は、現場で見落としやすいところです。

また、小規模宅地等の特例のように、相続税側で関係する制度がある場合もあります。売却するか、保有するか、誰が相続するかによって論点が変わることがありますので、相続税が関係しそうな場合は、早い段階で税理士に相談するのが現実的です。

同じようなケースで注意すべきポイント

  • 売却前に相続登記と遺産分割協議の整理をする
  • 解体する前に、固定資産税・税金特例・売却戦略を確認する
  • 空き家3,000万円控除は「使える可能性」と「実際に使える」を分けて考える
  • 古家付きで売る場合も、建物の不具合や残置物は丁寧に整理する
  • 境界・越境・道路・ライフラインは、買主の判断に大きく影響する
同じような方にお伝えしたいこと

相続した実家を売るときは、「高く売る方法」だけでなく、「安全に売れる状態を整えること」が大切です。特に、相続登記・税務確認・解体判断は、売却活動の前に一度整理しておくと安心です。

まとめ

相続した実家の売却は、感情面と実務面が重なります。思い出のある家を売るだけでも大変なのに、相続登記、税金、解体、境界、残置物まで出てくると、頭の中が不動産用語の満員電車になります。

だからこそ、最初に全体像を整理することが大切です。「誰が所有者か」「いつまでに売るのか」「建物を残すのか」「税金の特例は確認したか」「買主が不安に思う点は何か」。この順番で確認すると、かなり進めやすくなります。

相続不動産・空き家の売却相談はイエツグへ

相続した実家、空き家、古家付き土地の売却でお困りの場合は、株式会社イエツグまでお気軽にご相談ください。売却できるか分からない不動産でも、権利関係・現地状況・法令上の制限・買主目線のリスクを確認しながら、宅建士が実務目線で分かりやすく整理します。

よくある質問

Q. 相続登記をしていない実家でも売却できますか?

A. 売却活動の準備はできる場合がありますが、最終的に売買契約や所有権移転登記を進めるには、相続登記の整理が必要になります。早めに司法書士へ確認することをおすすめします。

Q. 古い家は解体してから売った方が高く売れますか?

A. 更地の方が売りやすい場合もありますが、解体費用や固定資産税、税務特例、売却期間との兼ね合いがあります。先に解体すべきかは、個別に判断する必要があります。

Q. 空き家の3,000万円控除は誰でも使えますか?

A. 誰でも使える制度ではありません。建物の建築時期、相続直前の居住状況、譲渡期限、耐震基準や解体の状況など、細かい要件確認が必要です。最終的には税理士・税務署へご確認ください。

Q. 残置物が多い実家でも売却できますか?

A. 売却自体は可能な場合があります。ただし、残置物撤去を売主側で行うのか、買主側に任せるのかで価格や契約条件が変わることがあります。

参考情報

【不動産を高く売るための本当の方法】

不動産売却を検討中の方は是非、下記サイトを参考にして高額売却を実現してください!

マンションを高く売るための方法を解説するサイト