【相続税対策】不動産の親族間売買|贈与・相続との税金比較と「みなし贈与」にならない価格設定

「親から子へ、愛着のある家を円満に引き継ぎたい」「将来の相続税の負担を、少しでも軽くしてあげたい」そんな想いから、不動産の親族間売買を検討している方も多いのではないでしょうか。

しかし、その親族間売買、相続税対策のつもりが、かえって数千万円もの「贈与税」を招く危険な一歩になっていませんか?良かれと思って進めた取引が、税務署から「みなし贈与」と判断され、予期せぬ高額な税金を課されるケースは後を絶ちません。

この記事では、不動産の資産承継における「親族間売買」「生前贈与」「相続」という3つの選択肢を、税金の観点から徹底的に比較します。この記事を最後まで読めば、あなたの家族にとって最も賢い資産の引き継ぎ方が明確になり、税務署にも否認されない、安全な取引の進め方が分かります。

【第1章】なぜ親族間売買は「相続税対策」として有効なのか?

難しい税金の話に入る前に、まず「なぜ親族間売買が相続税対策の選択肢になるのか」という、その基本的な仕組みを理解しておきましょう。ポイントは、現金と不動産とでは、相続税を計算する際の価値の評価方法が全く異なる、という点にあります。

例えば、一郎さんが現金で1億円を持っていた場合、その財産は相続税の計算上も「1億円」として評価されます。しかし、一郎さんがその1億円で、時価1億円の不動産(例えばマンション)を購入したとします。すると、相続税を計算する際のそのマンションの評価額は、時価ではなく「路線価」などを基準とするため、一般的に時価の7割〜8割程度、つまり7,000万円〜8,000万円にまで下がります。

この「現金」と「不動産」の評価額の差額を利用して、相続財産の総額を合法的に圧縮するのが、不動産を使った相続税対策の王道です。

親族間売買は、この仕組みを応用したテクニックです。例えば、多額の現金を持つ父(一郎さん)が、息子(健太さん)の所有する不動産を適正な時価で買い取ります。これにより、父の財産は「現金」から「評価額の低い不動産」へと姿を変え、将来の相続財産が圧縮されるのです。これが、親族間売買が単なる不動産取引ではなく、高度な「相続対策」の一環として利用される最大の理由です。

このような相続税対策は、税務の専門知識が不可欠です。イエツグでは、不動産のプロとして、提携する税理士と連携し、お客様の資産状況に合わせた最適なご提案をいたします。まずはお気軽にご相談ください。
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【第2章】【最重要リスク】「みなし贈与」とは?税務署が親族間売買を監視する理由

親族間売買を検討する上で、絶対に知っておかなければならない最大の地雷、それが「みなし贈与」です。これは、当事者同士は「売買」のつもりでも、税務署から「実質的には贈与である」と判断され、予期せぬ高額な税金が課される最悪のシナリオを指します。

なぜ税務署は親族間の取引に厳しいのか?

その理由は、相続税や贈与税の不当な「税金逃れ」を防ぐためです。もし、市場の相場からかけ離れた低い価格での不動産売買が自由にできてしまうと、誰もが相続ではなく、生前に超低価格で資産を子供に移すことで税金を回避しようとします。それでは税の公平性が保てないため、税務署は親族間の取引に特に厳しい目を光らせているのです。

「著しく低い価額」とはいくら?目安は時価の8割

では、どのくらい安いと「みなし贈与」と判断されてしまうのでしょうか。法律で「〇〇円以下」と明確に決まっているわけではありませんが、過去の判例などから、実務上は「客観的な時価の80%」が、危険水域のボーダーラインとされています。つまり、時価よりも大幅に安い価格で取引すると、その差額分が「贈与」とみなされ、買主に高額な贈与税が課されるリスクが跳ね上がるのです。

【衝撃シミュレーション】「みなし贈与」で発生する税金の真実

その恐ろしさを、具体的なシミュレーションで体感してみましょう。仮に、時価が5,000万円の不動産を、善意で息子に1,000万円で売却したとします。この場合、税務署は差額の4,000万円を「みなし贈与」と判断する可能性があります。

その結果、買主である息子には、なんと約1,530万円もの贈与税が課される計算になります。これはまさに、良かれと思ってした親切が、子供を数千万円の借金地獄に突き落としかねない、親族間売買の最も恐ろしい側面なのです。

「みなし贈与」と判断されないためには、客観的な根拠に基づいた価格設定が不可欠です。イエツグでは、豊富な取引データに基づき、税務署にも否認されない「適正価格」のご提案が可能です。価格設定に少しでも不安があれば、まずはお気軽にご相談ください。
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【第3章】【徹底比較】「売買」「贈与」「相続」税金が一番安いのはどれ?

不動産を親族に引き継ぐ方法は、主に「親族間売買」「生前贈与」「相続」の3つです。どの方法があなたの家族にとって最も税負担を抑えられるのか、それぞれのメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。

パターン①:「親族間売買」で引き継ぐ場合

これは、親子間などであっても、あくまで「売買」として不動産を取引する方法です。売主は売却代金を得られ、買主は購入代金を支払います。売主には売却益に対して譲渡所得税(約20%〜40%)が、買主には物件の評価額に対して不動産取得税(約1.5%〜3%)登録免許税(約1.5%〜2%)がかかります。最大のデメリットは、売主がマイホーム売却時の「3,000万円特別控除」といった強力な節税特例を使えない点です。

パターン②:「生前贈与」で引き継ぐ場合

親が生きているうちに、子へ無償で不動産を譲る方法です。この場合、不動産をもらった側(子)に贈与税がかかります。贈与税は税率が非常に高く(最大55%)、数千万円単位の不動産を一度に贈与すると、莫大な税金が発生します。また、不動産取得税と登録免許税も売買時より高い税率で課されます。親の意思で、特定の子供へ確実に資産を渡せるのがメリットです。

パターン③:「相続」で引き継ぐ場合

親が亡くなった後に、遺産として不動産を引き継ぐ方法です。相続人には相続税がかかる可能性がありますが、「3,600万円+相続人の数」という大きな基礎控除があるため、多くの場合で非課税となります。税金面だけを見れば最も有利になることが多いですが、誰がどの財産を相続するかで家族が揉める「争族」のリスクを抱えています。

【結論】あなたの場合はどれ?最適な承継方法の見つけ方

結局、どの方法がベストなのでしょうか?以下の質問に順番に答えていくことで、あなたの家族にとっての最適な選択肢が見えてきます。

Q1. 買主となる子(または孫)に、不動産を適正価格で購入できるだけの十分な自己資金はありますか?

→ いいえ、ありません。
その場合、選択肢は「生前贈与」か「相続」の2つに絞られます。税負担を考えれば「相続」を待つのが基本ですが、どうしても生前に引き継ぎたい特別な理由があるなら「生前贈与」を検討します。

→ はい、あります。
素晴らしいです。その場合、「親族間売買」が有力な選択肢となります。次の質問に進んでください。

Q2. 「相続」まで待てない、特別な理由はありますか?(例:特定の子供に確実に家を継がせたい、相続で兄弟が揉めるのを避けたい等)

→ いいえ、特にありません。
その場合、無理に取引コストのかかる「親族間売買」を選ぶ必要はないかもしれません。税負担の最も軽い「相続」が、あなたの家族にとって最適な選択である可能性が高いです。

→ はい、あります。
その場合、「親族間売買」は、あなたの想いを実現するための非常に有効な手段です。売却にかかる譲渡所得税などのコストと、あなたの目的を天秤にかけ、最終的な判断を下しましょう。

このように、最適な方法はご家族の状況や想いによって全く異なります。イエツグでは、お客様一人ひとりのご事情を丁寧に伺い、不動産のプロとして、税金だけでなく家族の未来も見据えた最善のご提案をいたします。
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【第4章】親族間売買を成功させるための4つの鉄則

親族間売買を進める決断をされた場合、その取引を安全かつ円満に完了させるためには、絶対に守るべきルールが存在します。これからお伝えする4つの鉄則は、一つでも欠けると取引全体が破綻しかねない、極めて重要なものです。

鉄則1:【価格】客観的根拠のある「適正価格」で取引する

第2章で詳述した通り、価格設定は親族間売買の生命線です。「みなし贈与」と判断されないために、当事者の希望ではなく、客観的なデータに基づいた価格で取引しなければなりません。不動産鑑定評価書が最も安全ですが、少なくとも複数の不動産会社による査定価格などを根拠にしましょう。そうでなければ、税務署からの指摘に対抗することはできません。

鉄則2:【契約】どんなに親しくても「売買契約書」を必ず作成する

たとえ親子間の取引であっても、口約束は絶対に禁物です。後々のトラブルを防止し、税務署に対して「これは贈与ではなく、正当な売買である」と証明するための唯一の証拠が、法的に有効な売買契約書です。この契約書がなければ、それは「売買」ではなく「贈与」と見なされても文句は言えないと心得てください。

鉄則3:【資金】安易に考えない。「住宅ローン」の壁と支払い計画

親族間売買では、金融機関の住宅ローン審査が非常に厳しくなるのが現実です。買主は、安易にローンをあてにせず、融資が通らない可能性を前提とした資金計画を立てなければなりません。自己資金で購入するのか、金融機関に頼らない分割払いにするのか、代金の支払い方法を契約前に明確に確定させておく必要があります。

鉄則4:【最重要】税金より怖い「家族トラブル」を避ける

税金のリスク以上に深刻なのが、家族・親族間の感情的なトラブルです。特定の親族に不動産を売却することで、他の相続人(特に兄弟姉妹)が「親の財産を不当に独り占めされた」と感じ、関係に修復不可能な亀裂が入るケースは少なくありません。取引を始める前に必ず全員に計画を伝え、その目的と内容について誠実に説明し、理解を得ておくこと。これが、円満な取引を実現するための絶対的な大前提です。

これら4つの鉄則をすべて遵守し、安全な取引を進めるには専門的な知識が不可欠です。イエツグでは、お客様の状況に合わせて、価格査定から契約書作成のサポート、資金計画のご相談まで、ワンストップで対応します。まずはお気軽にご相談ください。
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【まとめ】専門家チームと進めることが、円満な資産承継の唯一の道

今回は、不動産の親族間売買について、相続税対策としての有効性から、税務上のリスク、そして具体的な進め方の鉄則までを網羅的に解説しました。

「みなし贈与」という最大の地雷を避け、客観的な根拠に基づいた「適正価格」で取引し、法的に有効な「売買契約書」を交わす。そして何より、将来のトラブルの火種を残さないよう、家族全員の理解を得る。親族間売買とは、これら全ての条件をクリアして初めて成功する、極めて繊細な取引です。

お気づきの通り、この取引は税金、法律、不動産市場という複数の専門領域が複雑に絡み合っています。税理士は登記の専門家ではなく、司法書士は税務のプロではありません。だからこそ、それぞれの専門家が連携する「チーム」として、あなたの売買を多角的にサポートする体制が不可欠なのです。

あなたの真の目的は、単に不動産の名義を変えることではないはずです。大切な資産と、そして何より大切な家族の関係性を、より良い形で未来へ引き継いでいくこと。その目的を達成するため、専門家の力を借りることは、決して遠回りではありません。むしろ、それが唯一の確実な近道なのです。

イエツグは、お客様の状況に応じて、提携する税理士や司法書士といった専門家とチームを組み、複雑な親族間売買をワンストップでサポートします。仲介手数料定額制で余計なコストを抑えつつ、最高の専門家チームで、あなたの円満な資産承継をお手伝いさせてください。
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