不動産の売却を考えたとき、多くの方がまず「何から手をつければ良いのだろう?」と疑問に思うでしょう。売却のプロセスは複数の段階に分かれており、それぞれにやるべきことや注意点があります。
この記事では、不動産を売却する際の一般的な流れを7つのステップに集約し、各段階でのポイント、おおよその期間、必要な費用について詳しく解説します。この記事を読めば、不動産売却の全体像がクリアになり、計画的に売却準備を進めるための知識が身につきます。
目次
1. 【図解で早わかり】不動産売却の全ステップと期間の全体像
不動産の売却は、検討を開始してから買主への引渡しが完了するまで、いくつかの段階を経て進んでいきます。それぞれのステップで何をするのか、そしてどれくらいの時間がかかるのかを最初に把握しておくことで、売却活動全体のスケジュール感を掴みやすくなります。
ここでは、一般的な不動産売却の流れを7つの主要なステップに分け、それぞれの概要と目安となる期間を分かりやすく図解も交えながら解説します。マンション、一戸建て、土地など、物件の種類に関わらず共通する基本的な流れですので、まずはこの全体像をしっかりと頭に入れましょう。
1-1. 不動産売却7ステップの全体ロードマップ
不動産売却のプロセスは、大きく分けると以下の7つのステップで進行します。各ステップの詳細は後の章で詳しく説明しますが、まずは全体の流れと、それぞれのステップで何が行われるのかを大まかに理解しましょう。
- ステップ1:売却相談と情報収集・相場調査 – 売却の意思決定、不動産会社への相談、売却価格の相場把握
- ステップ2:不動産会社による査定と物件調査 – 正確な売却可能価格の算出、物件の法的・物理的状況の確認
- ステップ3:不動産会社との媒介契約締結 – 売却活動を依頼する不動産会社との契約
- ステップ4:売却活動の開始 – 物件情報の公開、購入希望者の募集、内覧対応
- ステップ5:購入希望者との交渉と売買契約締結 – 条件交渉、重要事項説明、売買契約書の取り交わし、手付金の受領
- ステップ6:決済と物件の引渡し – 残代金の受領、所有権移転登記、鍵の引渡し
- ステップ7:売却後の手続き(確定申告など) – 譲渡所得税の申告・納税(必要な場合)
1-2. 各ステップにかかる期間の目安と総期間
不動産売却にかかる期間は、物件の種類、所在地、市場の状況、売却価格の設定など様々な要因によって変動しますが、一般的に売却活動を開始してから物件の引渡しが完了するまでには、およそ3ヶ月から6ヶ月程度を見込むのが一つの目安とされています。
さらに、売却の準備段階(情報収集、査定、不動産会社選び)や売却後の手続き(確定申告)も考慮に入れると、全体のプロセスには半年以上かかることも珍しくありません。
ステップ | 主な内容 | 期間の目安 |
1. 売却相談・相場調査 | 情報収集、不動産会社選定準備 | 1週間~1ヶ月程度 |
2. 査定・物件調査 | 査定依頼、現地調査 | 1週間~2週間程度 |
3. 媒介契約 | 契約内容の確認、締結 | 数日~1週間程度 |
4. 売却活動 | 広告、内覧対応 | 1ヶ月~3ヶ月程度(長引く場合あり) |
5. 売買契約 | 条件交渉、契約締結 | 1週間~2週間程度 |
6. 決済・引渡し | 残金受領、登記、鍵引渡し | 売買契約後1ヶ月~2ヶ月程度 |
7. 売却後の手続き | 確定申告 | 売却翌年の2月中旬~3月中旬 |
特に売却活動の期間は、買主がいつ見つかるかによって大きく左右されます。スムーズに買主が見つかれば短期間で済みますが、なかなか見つからない場合は3ヶ月以上かかることもあります。売却を急ぐ事情がある場合は、不動産会社にその旨を伝え、売却戦略を相談することが重要です。反対に、時間に余裕がある場合は、じっくりと希望価格での売却を目指すことも可能です。
不動産売却の流れと期間の全体像を把握することで、計画的な準備が可能になります。次の章からは、各ステップの具体的な内容を詳しく見ていきましょう。
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2. 不動産売却の第一歩:情報収集から信頼できる不動産会社選びまで
不動産を売却しようと決めたら、まず何から始めるべきでしょうか。多くの方が最初に直面するのは、売却価格の相場感の把握と、どの不動産会社に相談すれば良いのかという問題です。
この初期段階での情報収集と準備が、その後の売却活動をスムーズに進めるための重要な基盤となります。ここでは、売却の意思決定から不動産会社への査定依頼、そして物件調査に至るまでの具体的なステップを解説します。
2-1. ステップ1:売却の意思を固め、情報を集め、相場を調べる
不動産売却を成功させる最初のステップは、売却の目的や希望時期、希望価格などを明確にすることです。例えば「子供の独立を機に住み替えたい」「転勤のため早期に売却したい」「少しでも高く売りたい」など、ご自身の状況や要望を整理しましょう。
この売却の意思や条件が明確であるほど、不動産会社との相談も具体的かつスムーズに進みます。 次に、ご自身の不動産がいくらくらいで売れそうなのか、おおよその相場を調べることが重要です。インターネット上には、国土交通省が運営する「不動産情報ライブラリ(旧:土地総合情報システム)」や、不動産流通機構が運営する「レインズ・マーケット・インフォメーション」といった公的なデータベースがあります。
これらを利用すると、近隣エリアでの類似物件の成約価格や売り出し価格を調べることができます。また、大手の不動産ポータルサイト(SUUMOやHOME’Sなど)で現在売りに出されている物件情報を参考にするのも良いでしょう。ただし、これらの情報はあくまで目安であり、個別の物件状況によって実際の売却価格は変動します。正確な価格を知るためには、次のステップである不動産会社による査定が不可欠です。
2-2. ステップ2:不動産会社に査定を依頼し、物件調査をしてもらう
売却の意思が固まり、ある程度の相場観を掴んだら、いよいよ不動産会社に査定を依頼します。査定には、物件の基本情報(所在地、面積、築年数など)からおおよその価格を算出する「机上査定(簡易査定)」と、実際に不動産会社の担当者が現地を訪問し、物件の状態や周辺環境などを詳細に確認して価格を算出する「訪問査定」の2種類があります。
より正確な査定価格を知るためには、訪問査定を依頼することが推奨されます。 査定を依頼する不動産会社は、1社だけでなく複数社に依頼することがポイントです。複数の会社から査定額や売却戦略の提案を受けることで、査定価格の妥当性を比較検討できます。また、担当者の知識や対応、会社のサービス内容なども比較し、信頼して任せられるパートナーを見つけることができます。
最近では、インターネット上で複数の不動産会社に一括で査定を依頼できるサービスも便利です。 イエツグでも無料査定を実施しており、お客様の不動産の価値を丁寧に評価いたします。訪問査定の際には、不動産会社の担当者が物件の状況(日当たり、風通し、間取り、設備の状況、劣化具合など)を詳細に確認します。
さらに、法務局や役所で、登記情報、都市計画法や建築基準法などの法的規制、インフラの状況などを調査し、物件の正確な評価を行います。売主様は、この物件調査のために、登記済権利証(または登記識別情報)、固定資産税納税通知書、購入時のパンフレットや図面、マンションの場合は管理規約など、物件に関する資料をできる限り準備しておくと、調査がスムーズに進みます。
不動産売却の初期段階である情報収集、相場調査、そして不動産会社への査定依頼は、売却の方向性を決定づける重要なプロセスです。焦らず、しかし的確に情報を集め、信頼できるパートナーを見つけましょう。
イエツグの無料査定や売却相談については、こちらからお気軽にお問い合わせください:株式会社イエツグ お問い合わせ
3. 売却のパートナー選び!不動産会社との媒介契約の種類とポイント
不動産会社による査定結果や売却提案に納得できたら、次はいよいよ売却活動を正式に依頼するための「媒介契約」を不動産会社と締結します。
この媒介契約は、売主と不動産会社間の約束事を書面で明確にするものであり、売却活動の進め方や仲介手数料の額などが定められます。媒介契約にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。
ご自身の売却方針や物件の特性に合わせて最適な契約形態を選ぶことが、スムーズな売却への重要な一歩となります。ここでは、媒介契約の主な種類とその違い、契約時のチェックポイントについて解説します。
3-1. ステップ3:媒介契約を締結する|3つの契約形態を理解する
不動産会社と締結する媒介契約には、主に「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があります。それぞれの特徴を理解し、メリット・デメリットを比較検討することが大切です。
- 専属専任媒介契約:
- 依頼できる不動産会社:1社のみ
- 売主自身による買主発見(自己発見取引):不可
- 不動産会社から売主への業務報告義務:1週間に1回以上
- 指定流通機構(レインズ)への物件登録義務:契約締結日の翌日から5日以内
- 特徴:不動産会社に最も積極的に売却活動を行ってもらえる可能性が高い契約形態です。不動産会社は他の会社に顧客を取られる心配がないため、広告費用などをかけて熱心に販売活動を行う傾向があります。ただし、売主自身が買主を見つけてきても、必ずその不動産会社を介して契約しなければなりません。
- 専任媒介契約:
- 依頼できる不動産会社:1社のみ
- 売主自身による買主発見(自己発見取引):可
- 不動産会社から売主への業務報告義務:2週間に1回以上
- 指定流通機構(レインズ)への物件登録義務:契約締結日の翌日から7日以内
- 特徴:専属専任媒介契約と同様に1社にしか依頼できませんが、売主自身が知人や親族など買主を見つけてきた場合は、不動産会社を通さずに直接契約することができます。不動産会社からの手厚いサポートが期待できる一方で、自己発見取引の余地も残されています。
- 一般媒介契約:
- 依頼できる不動産会社:複数社可能
- 売主自身による買主発見(自己発見取引):可
- 不動産会社から売主への業務報告義務:任意(法令上の義務なし、ただし報告を行う会社もある)
- 指定流通機構(レインズ)への物件登録義務:任意(登録しない会社もある)
- 特徴:複数の不動産会社に同時に売却を依頼できるため、より多くの購入希望者に情報が届く可能性があります。ただし、不動産会社にとっては他社で契約が決まってしまうリスクがあるため、専任系の契約に比べて積極的な販売活動や広告投下が行われにくい場合があります。また、複数の会社とやり取りをする手間も生じます。一般媒介契約には、他に依頼している不動産会社を明示する「明示型」と明示しない「非明示型」があります。
どの契約形態を選ぶかは、物件の人気度、売却を急ぐ度合い、不動産会社との信頼関係などを考慮して決定しましょう。
例えば、人気エリアの物件で早期売却が期待できるなら一般媒介で競争させるのも一手ですし、特定の一社にじっくりと販売戦略を練ってもらいたい場合は専任系の契約が適しているかもしれません。
3-2. 媒介契約締結時の重要チェックポイント
媒介契約を締結する際には、契約書の内容をしっかりと確認することが不可欠です。特に以下の点は重要なチェックポイントとなります。
- 売り出し価格:不動産会社の査定価格や売主の希望を踏まえて決定されます。あまりに高い価格設定は売れ残りの原因になり、逆に安すぎると損をしてしまう可能性があります。不動産会社とよく相談し、納得のいく価格を設定しましょう。
- 仲介手数料の金額と支払い時期:仲介手数料は、売買契約が成立した場合に不動産会社へ支払う成功報酬です。法律で上限額(売買価格が400万円を超える場合:売買価格 × 3% + 6万円 + 消費税)が定められています。イエツグでは、この仲介手数料を1億円までの物件については定額182,900円(税別)としており、諸費用を大幅に削減できる可能性があります。契約書には、この上限額の範囲内で具体的な金額と、支払い時期(例:売買契約時と引渡し時に半金ずつ)が明記されているか確認しましょう。
- 契約期間:媒介契約の有効期間は、法律で最長3ヶ月と定められています。自動更新はできず、更新する場合は再度契約を締結する形となります。
- 不動産会社の提供するサービス内容:どのような販売活動を行ってくれるのか(広告媒体、レインズへの登録有無など)、内覧の対応方法、売主への報告頻度や内容などを具体的に確認しておきましょう。
- 契約解除に関する条件:万が一、契約期間中に契約を解除したい場合の条件や、違約金が発生するケースなどについても事前に理解しておくことが大切です。
媒介契約は、不動産売却の成否を左右する不動産会社との大切な約束事です。契約内容について不明な点や疑問点があれば、遠慮なく不動産会社に質問し、全て納得した上で署名・捺印するようにしましょう。
イエツグとの媒介契約やサービス内容について、詳しくお知りになりたい方はお気軽にご相談ください:株式会社イエツグ お問い合わせ
4. いよいよ売却活動スタート!買主を見つけるための具体的なアクション
不動産会社との媒介契約が無事に締結されると、いよいよ本格的な売却活動がスタートします。この段階では、不動産会社が主体となって様々な販売手法を駆使し、あなたの不動産を購入してくれる可能性のある買主を探し出します。
売主様ご自身も、内覧対応などで協力する場面が出てきます。ここでは、どのような売却活動が行われるのか、そして売主としてどのような準備や心構えが必要なのかを具体的に見ていきましょう。
4-1. ステップ4:売却活動の開始|広告戦略と情報公開
媒介契約に基づき、不動産会社はあなたの物件情報を広く公開し、購入希望者を募るための活動を開始します。主な広告・販売戦略としては、以下のようなものがあります。
- 指定流通機構(レインズ)への登録:専任媒介契約や専属専任媒介契約の場合、不動産会社は物件情報をレインズに登録する義務があります。レインズは全国の不動産会社が閲覧できる物件情報システムであり、ここに登録されることで、他の不動産会社が抱える購入希望者にも情報が届くようになります。これにより、より広範囲な買主候補へのアプローチが可能となります。
- 不動産ポータルサイトへの掲載:SUUMO(スーモ)、HOME’S(ホームズ)、at home(アットホーム)といった大手の不動産情報サイトに物件情報が掲載されます。これらのサイトは多くの人が物件探しに利用するため、非常に重要な広告手段です。物件の写真や間取り図、アピールポイントなどが掲載され、購入希望者の目に触れる機会を増やします。
- 自社ホームページや顧客への紹介:不動産会社自身のウェブサイトや、既に登録されている購入希望顧客のリストに対しても物件情報が紹介されます。特に地域に強い不動産会社の場合、そのエリアで物件を探している見込み客を抱えていることがあります。
- チラシ・ポスティング・新聞折り込み:物件の周辺地域を中心に、チラシのポスティングや新聞折り込み広告が行われることもあります。これにより、近隣に住んでいて住み替えを考えている層や、その地域に住みたいと考えている層に直接アプローチできます。
- オープンハウス・現地販売会の開催:特に一戸建てやマンションの場合、特定の日時を決めて物件を自由に見学できるようにするオープンハウス(または現地販売会)が開催されることがあります。これにより、多くの購入希望者に一度に物件を見てもらう機会が作れます。
どのような販売活動を行うかは、媒介契約の種類や不動産会社の戦略、物件の特性によって異なります。事前に不動産会社とどのような活動を重点的に行うのか、確認しておくと良いでしょう。
4-2. 購入希望者からの問い合わせと内覧対応の準備
売却活動が始まると、物件に興味を持った購入希望者や他の不動産会社から問い合わせが入るようになります。
問い合わせの多くは、まず媒介契約を結んでいる不動産会社が対応します。そして、購入の意思が比較的高いと判断された希望者からは、実際に物件を見てみたいという「内覧」の希望が入ります。
内覧は、購入希望者が物件を直接確認し、購入の意思を固めるための非常に重要な機会です。売主様は、この内覧に向けて物件の準備を整える必要があります。第一印象が大きく影響するため、以下の点を心がけましょう。
- 清掃と整理整頓:室内はもちろん、玄関や水回り(キッチン、浴室、トイレ、洗面所)は特に念入りに清掃し、清潔感を保ちましょう。不要な物は片付け、モデルルームのようにスッキリとした空間を演出することが理想です。イエツグでは、売却前のハウスクリーニングサービス(無料、条件あり)もご用意していますので、ご活用いただけます。
- 明るさと風通し:内覧当日は、事前に窓を開けて空気を入れ替え、照明を全てつけて室内を明るくしておきましょう。
- 臭い対策:ペットの臭いやタバコの臭い、生活臭などが気になる場合は、換気や消臭対策を行います。
- 物件のアピールポイントの整理:日当たりの良さ、収納の多さ、近隣施設の利便性など、物件の良い点を内覧時に伝えられるようにまとめておくと効果的です。ただし、過度なセールストークは避け、質問には正直に答える姿勢が大切です。
- 立ち会い時の心構え:内覧に立ち会う場合は、購入希望者がリラックスして見学できるよう、付かず離れずの距離感を保ち、質問があれば丁寧に答えるようにしましょう。不動産会社の担当者に任せ、売主は不在にするという選択肢もあります。
内覧の準備と当日の対応は、売却の成否に大きく関わります。不動産会社の担当者とよく相談し、万全の体制で臨みましょう。
売却活動は、不動産会社と売主が二人三脚で進めていくプロセスです。積極的に協力し、購入希望者に良い印象を与えられるよう努めましょう。
効果的な売却活動や内覧準備についてのご相談も、イエツグが親身に対応いたします。お気軽にお問い合わせください:株式会社イエツグ お問い合わせ
5. 交渉から契約へ!売買契約締結までの重要ステップ
不動産会社による売却活動が実を結び、あなたの不動産に購入希望者が現れると、いよいよ具体的な交渉と契約手続きの段階へと進みます。
このステージは、売却価格や引渡し条件など、売買に関する最終的な取り決めを行う非常に重要な局面です。購入申込から売買契約締結までの流れと、それぞれのステップで注意すべきポイントをしっかりと理解しておきましょう。
5-1. ステップ5:購入申込みと条件交渉
購入希望者が物件を気に入り、購入の意思を固めると、不動産会社を通じて「購入申込書(買付証明書とも呼ばれます)」が売主に提出されます。この書類には、購入希望価格、手付金の額、契約希望日、引渡し希望日、住宅ローンの利用有無(ローンの場合は融資承認予定日など)といった購入希望者の具体的な条件が記載されています。
売主は、この購入申込書の内容を確認し、提示された条件で売却するかどうかを検討します。希望価格よりも低い金額が提示された場合や、引渡し時期などの条件が合わない場合は、不動産会社を通じて買主側と交渉を行うことになります。例えば、価格については「〇〇万円なら売却する」といった回答をしたり、引渡し時期の調整を申し入れたりします。この条件交渉は、不動産会社の担当者が間に入って進められるのが一般的です。
お互いが納得できる条件で合意に至るまで、数回のやり取りが発生することもあります。 イエツグでは、お客様の利益を最大限に考え、有利な条件で契約できるよう交渉をサポートいたします。
特に仲介手数料が定額制であるため、物件価格が下がってもイエツグの報酬は変わらず、お客様の立場に立った価格交渉が可能です。
5-2. 重要事項説明:契約前に必ず確認すべきこと
売主と買主の間で売買条件が合意に至ると、売買契約締結の前に、宅地建物取引士の資格を持つ不動産会社の担当者から買主に対して「重要事項説明」が行われます。
これは法律で義務付けられている手続きで、物件に関する重要な情報や契約条件などを買主が十分に理解した上で契約を結ぶためのものです。 重要事項説明書には、登記記録に記載された事項(所有権の種類、抵当権の設定状況など)、都市計画法や建築基準法などの法令に基づく制限、私道に関する負担、飲用水・電気・ガスの供給施設の状況、建物の状況(アスベスト使用調査や耐震診断の有無など)、契約解除に関する事項、損害賠償額の予定または違約金に関する事項などが詳細に記載されます。
売主としても、この重要事項説明書の内容に誤りがないか、事前に確認しておくことが大切です。特に、物件の状況について売主が知っている情報(例えば、過去の雨漏りやシロアリ被害、近隣との申し合わせ事項など)は、「物件状況報告書(告知書)」として正確に不動産会社に伝え、それが重要事項説明書にも反映されるようにする必要があります。後々のトラブルを避けるためにも、正直な情報提供が求められます。
5-3. 売買契約の締結と手付金の受領
重要事項説明が終わり、買主が内容を理解・承諾すると、いよいよ売買契約の締結です。通常、売主、買主、そして仲介する不動産会社の担当者が一堂に会し、契約手続きが行われます。 まず、売買契約書の内容を読み合わせ、最終確認を行います。
売買契約書には、売買物件の表示、売買代金、手付金の額、残代金の支払日と引渡し日、所有権移転登記の申請時期、契約不適合責任(以前の瑕疵担保責任)、契約解除の条件、違約金の取り決めなどが明記されています。内容に不明な点があれば、その場で必ず質問し、納得した上で署名・捺印(実印)をします。
契約締結と同時に、買主から売主へ手付金が支払われます。手付金は売買代金の一部に充当されるもので、その額は売買価格の5%〜10%程度が一般的です。
手付金には、契約の成立を証する「証約手付」、契約解除権を留保する「解約手付」、債務不履行があった場合の違約金としての性質を持つ「違約手付」などの意味合いがあります。手付金を受領したら、売主は領収書を発行します。
購入申込みから売買契約締結までは、不動産取引における大きな山場です。契約条件や書類の内容をしっかりと確認し、不明な点は専門家である不動産会社に確認しながら慎重に進めましょう。
売買契約に関するご不明点や交渉の進め方についても、イエツグが丁寧にサポートします。お気軽にご相談ください:株式会社イエツグ お問い合わせ
6. ゴールは目前!決済と物件引渡しの手順と最終確認事項
売買契約が無事に締結されると、不動産売却のプロセスもいよいよ最終段階に入ります。残代金の受領と物件の引渡しを行う「決済」は、売買取引を完了させるための非常に重要な手続きです。
このステップでは、売主、買主、不動産会社、そして多くの場合、登記手続きを代行する司法書士が一堂に会して行われます。ここでは、決済と引渡しの具体的な流れと、売主として最終確認すべき事項について詳しく解説します。
6-1. ステップ6:決済の準備と当日の流れ
売買契約で定められた決済日(通常は契約締結から1ヶ月〜2ヶ月後程度)に向けて、売主・買主双方が準備を進めます。売主側の主な準備としては、引越しを済ませて物件を空の状態にしておくこと、住宅ローンが残っている場合は金融機関と一括繰り上げ返済の手続きを進め、抵当権抹消に必要な書類を準備することなどが挙げられます。
また、固定資産税や都市計画税、マンションの場合は管理費や修繕積立金などの日割り清算金の計算も行います。 決済日当日は、多くの場合、買主が住宅ローンを利用する金融機関の応接室などで行われます。当日の大まかな流れは以下の通りです。
- 登記申請書類の確認:まず、司法書士が売主・買主双方の本人確認を行い、所有権移転登記や抵当権抹消登記(必要な場合)に必要な書類が全て揃っているかを確認します。売主は、登記済権利証(または登記識別情報)、印鑑証明書(発行後3ヶ月以内)、実印、固定資産評価証明書などを提出します。
- 残代金の受領:買主から売主へ、売買代金から既に受領している手付金を差し引いた残額(残代金)が支払われます。通常は銀行振込で行われ、着金確認をもって代金の受領とします。
- 諸費用の清算:固定資産税・都市計画税、管理費・修繕積立金(マンションの場合)などの未経過分を、引渡し日を基準として日割り計算し、買主から売主へ清算金として支払われます。
- 関係各所への支払い:売主は、受領した売買代金の中から、住宅ローンが残っていればその残債を一括返済し、抵当権抹消手続き費用を司法書士へ支払います。また、不動産会社へ仲介手数料の残額(契約時に半金を支払っている場合)を支払います。
- 鍵の引渡しと関係書類の交付:全ての金銭の授受と支払いが完了したら、売主から買主へ物件の鍵(全ての鍵)を引き渡します。同時に、建築確認済証、検査済証、物件の付帯設備の取扱説明書や保証書など、物件に関する書類一式も買主に交付します。
- 登記手続きの依頼:最後に、司法書士が法務局へ所有権移転登記および抵当権抹消登記(必要な場合)の申請手続きを行うことを確認し、決済は完了となります。登記が完了すると、後日、買主には新しい登記識別情報通知書が、売主には登記完了の連絡(または抵当権抹消後の登記事項証明書など)が司法書士から送られてきます。
6-2. 物件引渡し時の最終チェックと確認事項
物件の引渡しは、売主としての責任を完了させる重要な瞬間です。引渡しにあたっては、以下の点を最終確認しましょう。
- 物件の状態:売買契約時に取り決めた状態で物件を引き渡せるか確認します。例えば、「エアコンは残置する」「〇〇は修繕しておく」といった契約条件があれば、それが履行されていることを確認します。契約時と物件の状態が大きく異なる場合は、トラブルの原因となる可能性があります。
- 付帯設備表・物件状況報告書との整合性:売買契約時に買主に提出した「付帯設備表(キッチン設備、給湯器、エアコンなどの有無や状態を記載したもの)」や「物件状況報告書(雨漏りやシロアリ被害の有無、近隣との申し合わせ事項などを告知したもの)」の内容と、実際の物件状況に相違がないか最終確認します。
- 鍵の引渡し:全ての鍵(玄関、勝手口、窓、物置など)を漏れなく買主に引き渡します。スペアキーも全て渡しましょう。
- 公共料金の精算:電気、ガス、水道などの公共料金は、引渡し日までの分を売主が精算し、それ以降は買主が負担するように手続き(使用中止・開始連絡)を済ませておきます。
- 私物の撤去:引渡し日までに、物件内に売主の私物が残っていないように完全に撤去します。ゴミの処分も忘れずに行いましょう。
これらの確認を怠ると、引渡し後に買主との間でトラブルが生じる可能性があります。最後まで気を抜かず、誠実な対応を心がけることが大切です。
決済と引渡しが無事に完了すれば、不動産売却の主要な手続きはほぼ終了です。あとは売却後の税務処理を残すのみとなります。
長かった売却プロセスも、もう一息です。
決済や引渡しに関する手続きでご不明な点がございましたら、イエツグが最後までしっかりとサポートいたします。お気軽にご相談ください:株式会社イエツグ お問い合わせ
7. 売却後の大切な手続き:確定申告と税金の納付
不動産の引渡しが無事に完了し、売買代金を受領した後にも、売主として忘れてはならない重要な手続きが残っています。それは、不動産売却によって得た利益に対する税金の申告と納付、すなわち「確定申告」です。
特に売却によって利益が出た場合や、税金の特例を利用する場合には、この確定申告が必須となります。ここでは、不動産売却後の確定申告の必要性、申告時期と流れ、そして注意点について解説します。
7-1. ステップ7:確定申告の準備と実施|なぜ必要なのか?
確定申告とは、1年間の所得とそれに対する所得税額を計算し、税務署に申告して納税する一連の手続きのことです。
不動産を売却して利益(譲渡所得)が生じた場合、その譲渡所得は給与所得など他の所得とは分離して税額が計算され(分離課税)、確定申告によって納税する必要があります。 確定申告が必要となるのは、主に以下のようなケースです。
- 不動産売却によって譲渡所得(利益)が発生した場合:譲渡所得がプラスであれば、その金額に応じて所得税・住民税が課税されます。
- 税金の特例(特別控除など)を利用する場合:例えば、「マイホームを売ったときの3,000万円特別控除」や「特定の居住用財産の買換えの特例」などを利用して税金の負担を軽減する場合、たとえ計算上の納税額が0円になったとしても、その特例の適用を受けるためには確定申告が必須です。申告をしなければ、特例は適用されません。
- 不動産売却によって譲渡損失が発生し、他の所得と損益通算したり、損失を繰り越したりする場合:特定の条件を満たせば、売却損を他の所得と相殺して税負担を軽くしたり、翌年以降に損失を繰り越して控除を受けたりできる場合があります。これらの特例を利用するためにも確定申告が必要です。
つまり、不動産を売却した場合は、利益が出ても損失が出ても、何らかの税務上の手続きや判断が必要になることが多く、確定申告の要否を必ず確認する必要があります。
7-2. 確定申告の時期と大まかな流れ
不動産を売却した年の翌年が、確定申告を行う期間です。原則として、毎年2月16日から3月15日までの1ヶ月間が申告および所得税の納税期間となります。この期間内に、必要書類を揃えて税務署に申告書を提出します。 確定申告の大まかな流れは以下の通りです。
- 必要書類の収集・準備:売却した不動産の売買契約書(購入時と売却時)、譲渡費用や取得費を証明する領収書、登記事項証明書、各種控除の適用を受けるための証明書類などを集めます。
- 譲渡所得の計算:「譲渡価額 − (取得費 + 譲渡費用) − 特別控除額」の計算式に基づいて、課税譲渡所得金額を算出します。
- 申告書の作成:国税庁のウェブサイトにある「確定申告書等作成コーナー」を利用すると、画面の案内に従って数値を入力するだけで比較的簡単に申告書が作成できます。手書き用の申告書も税務署で入手可能です。不動産売却の場合は、通常の申告書Bに加えて「分離課税用の申告書(第三表)」や「譲渡所得の内訳書」などが必要になります。
- 税務署への提出:作成した申告書と添付書類を、住所地を管轄する税務署へ持参するか郵送します。e-Tax(電子申告)を利用すれば、オンラインで提出することも可能です。
- 納税:申告によって算出された所得税額を、納期限(通常は3月15日)までに納付します。住民税については、確定申告の内容に基づいて市区町村が税額を計算し、後日(通常5月〜6月頃)納税通知書が送られてきます。
7-3. 確定申告をしないとどうなる?注意点
不動産売却によって利益が出て納税義務があるにも関わらず、確定申告を怠ったり、期限に遅れたりすると、ペナルティが課される可能性があります。主なペナルティとしては、本来納めるべき税金に加えて「無申告加算税」や「延滞税」が課されます。
無申告加算税は、原則として納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合で課されます(税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合は5%に軽減されることがあります)。
延滞税は、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて課される利息のようなものです。 また、意図的に所得を隠したり、虚偽の申告をしたりした場合には、さらに重い「重加算税」が課されることもあります。
不動産売却後の確定申告は、売主としての最後の重要な義務です。不明な点があれば税務署や税理士に相談し、必ず期限内に正しい申告と納税を行うようにしましょう。イエツグでは、売主様の確定申告をサポートする無料代行サービス(譲渡所得の申告のみ。媒介契約締結が条件)もご用意しています。
専門家がお手伝いしますので、安心して売却後の手続きを終えることができます。
不動産売却の一連の流れは、確定申告をもって完了となります。最後まで気を抜かず、必要な手続きを確実に行いましょう。
不動産売却後の確定申告に関するご相談や、イエツグの無料確定申告代行サービスについて詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください:株式会社イエツグ お問い合わせ
【まとめ】不動産売却の流れを理解し、計画的な準備でスムーズな取引を!
不動産売却は、多くの方にとって一生に何度も経験することではない大きな取引です。売却を決意してから買主への引渡し、そして売却後の確定申告に至るまで、多くのステップと手続きが必要となるため、不安を感じるのも無理はありません。
しかし、この記事で解説してきたように、事前に不動産売却の全体像と各ステップでやるべきことを正確に理解しておけば、計画的に準備を進め、安心して取引に臨むことができます。
改めて、不動産売却の基本的な7つの流れを振り返ってみましょう。
- 売却相談と情報収集・相場調査:まずは売却の意思を固め、専門家である不動産会社に相談し、ご自身の不動産の価値や市場の動向を把握します。
- 不動産会社による査定と物件調査:信頼できる不動産会社に物件を詳細に調査してもらい、適正な査定価格を把握します。
- 不動産会社との媒介契約締結:売却活動を依頼する不動産会社と、契約の種類(専属専任、専任、一般)や条件を明確にした媒介契約を結びます。
- 売却活動の開始:不動産会社が広告活動や内覧対応などを行い、購入希望者を探します。売主様も内覧準備などで協力します。
- 購入希望者との交渉と売買契約締結:購入希望者からの申込みを受け、価格や条件を交渉し、合意に至れば重要事項説明を経て売買契約を締結します。
- 決済と物件の引渡し:残代金の受領、所有権移転登記、鍵の引渡しなど、取引の最終手続きを行います。
- 売却後の手続き(確定申告など):売却によって利益が出た場合や特例を利用する場合は、翌年に確定申告が必要です。
これらの各ステップにおいて、信頼できる不動産会社をパートナーとして選ぶことが、売却成功の最も重要なポイントの一つと言えるでしょう。査定価格だけでなく、販売戦略、担当者の知識や対応、そして売主の立場に立ったサポートを提供してくれるかを見極めることが大切です。
株式会社イエツグでは、お客様の不動産売却を最初から最後まで、親身にサポートさせていただきます。仲介手数料は1億円までの物件であれば定額182,900円(税別)と、諸費用を抑えたいお客様にもご満足いただける料金設定です。
また、売却前のハウスクリーニングサービス(無料、条件あり)や、売却後の確定申告サポート(無料、譲渡所得の申告のみ、媒介契約締結が条件)など、お客様の負担を軽減するための各種サービスも充実しています。不動産売却の流れの中で生じる様々な疑問や不安に対しても、専門知識を持ったスタッフが丁寧にお答えします。
これから不動産売却をお考えの方、あるいは既に売却活動を始めているものの流れがよく分からずお困りの方は、ぜひ一度イエツグにご相談ください。お客様にとって最善の売却が実現できるよう、全力でお手伝いいたします。
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不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士