新型コロナウイルスの影響で、収入が減少してしまった人や失業者が急増しています。
厚生労働省によれば、2020年10月2日時点のコロナ関連による解雇や雇止めが、見込みを含めて6万3,347人に。雇用調整の可能性がある事業所数は10万2,876事業者までに増加しています。さらに政府は、今後も失業者は増える恐れがあるとの見解を示しています。
働きたくても働けない人が増加している現状に対し、国や地方自治体で各種給付金・助成金の給付が行われていることをご存じでしょうか?
コロナに関連する給付金・助成金は、職業にかかわらず個人で受けられるものから、個人事業主・中小企業を対象としたものまで種類は様々です。本記事では、生活を安定させるため、また事業を継続させるために受けられるコロナに関連する給付金・助成金制度をまとめてご紹介します。
- コロナに関連する給付金・助成金制度まとめ
- 住宅ローンの返済が厳しくなったらどうすればいい?
- 競売を避けられる「任意売却」ってなに?
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
目次
【一覧】政府・自治体による「個人」への新型コロナ給付金・助成金の条件まとめ
新型コロナウイルスに関連した助成金・給付金には様々な種類があり、現在も次々と給付範囲や給付対象が拡大されています。それに伴い制度の複雑化が進んでおり、自分がどんな給付を受けられるかわかりにくいという声も少なくありません。
ここでは、多くの人が給付・助成の対象になる代表的な助成金を紹介します。
なお、こちらでご紹介しきれない制度もありますので、各都道府県・市区町村のホームページや厚生労働省の「生活を支えるための支援のご案内」を併せてご確認下さい。
またコロナで税金の納税が厳しいという方は、以下の記事で納税猶予の解説をしておりますのでご参照ください。
まずは個人向けの給付金・助成金です。
特別定額給付金【個人】※全自治体受け付け終了
画像引用:総務省
給付対象者 | 基準日(令和2年4月27日)において、住民基本台帳に記録されている者 |
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受給権者 | 給付対象者の属する世帯の世帯主 |
給付額 | 給付対象者1人につき10万円 |
住民基本台帳に記録されている居住者全員が、対象の給付金です。申し込みは「郵送方式」「オンライン申請」の2種類があります。
郵送方式は、各市区町村から受給権者(世帯主)宛てに郵送される申請書に必要事項を記載し、必要書類とともに給付元である市区町村へ返送します。
オンライン申請は、マイナンバーのポータルサイト「マイナポータル」の申し込みページに必要事項を入力します。なお、オンライン申請にはマイナンバーカードおよび、マイナンバーカードの情報を読み取るカードリーダーが必要です。
給付は、基準日に住民基本台帳に記録されている人が対象とされ、基準日以降に亡くなった人も対象に含まれます。なお、基準日以降に出産した子どもは給付対象に含まれません。
なお、特別定額給付金の受付および申請期限は、郵送方式の申請受付開始日から「3ヶ月以内」に定められています。
申請期限は各市町村ごとに異なりますので、以下からご確認下さい。
※10月30日をもって、全自治体の受付を終了しました。
住宅確保給付金【個人】
画像引用:厚生労働省
給付対象者 |
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受給権者 | 給付対象者の属する世帯の世帯主 |
給付額 | 家賃相当額を原則3ヶ月(最大9ヶ月)ただし月額あたりの支給上限あり
※東京都特別区の支給上限額 1人世帯:53,700円 2人世帯:64,000円 3人世帯:69,800円 |
生活の困窮を理由に、家賃の支払いが難しい世帯を対象とした給付制度です。物件の借主が手続きを行う必要があり、その物件を貸し出しているオーナーへ直接支給されます。
申請・相談は全国に1,317箇所設置されている「自立相談支援機関」に行います。厚生労働省のホームページを参考に、自分が住んでいる地域に該当する機関へ申請しましょう。
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金【個人(中小事業労働者)】
画像引用:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金のご案内」
給付対象者 | 以下2つの条件を満たした方 (1)令和2年4月1日から9月30日までの間に、事業主の指示により休業した中小事業主の労働者 (2)その休業に対する賃金(休業手当)を受けることができない方※申請には「休業」を証明するため、労使合同で作成する「支援要件作成書」による確認が必要 「休業」確認に関する概要はこちら |
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支給額 | 休業前の1日当たり平均賃金×80%(1日当たりの支給額上限は11,000円)×(各月の日数-就労したまたは労働者の事情で休んだ日数) |
申請期間 | ・令和2年4月~9月に休業 ⇒令和2年12月31日(木)・令和2年10月~12月に休業 ⇒令和3年3月31日(水)※申請開始日は休業した月の翌月初日から |
新型コロナウイルス感染症まん延防止措置のため休業させられた中小企業の労働者を対象とした制度です。
この制度の利用には労働者からの申請だけでなく、事業主からの申請も必要です。
10月9日にオンライン申請の窓口が開設されました。
またこの制度は日本国籍を持つ方だけでなく、海外からの技能実習生も対象です。
英語、中国語(繁体字・簡体字)、ベトナム語、タガログ語、インドネシア語、タイ語の案内資料が用意されており、カンボジア語、モンゴル語、ミャンマー語は大使館ホームページまたはフェイスブックにて情報が公開されています。
▶海外技能実習生向け「新型(しんがた)コロナウイルス感染症(かんせんしょう)について」
【一覧】「個人事業主」「中小企業」新型コロナ給付金・助成金の条件まとめ
続いて、個人事業主や中小企業向けのコロナによる給付金・情勢金の一覧です。
持続化給付金【個人事業主/中小企業】※令和3年1月15日まで
画像引用:中小企業庁
給付対象 | ・新型コロナウイルス感染症の影響により、ひとつきの売上が前年同月比で50%以上減少している事業者
・2019年以前から事業による事業収入(売上)を得ており、今後も事業を継続する意思がある事業者 ※法人の場合 ・資本金の額または出資の総額が10億円未満、または ・常時使用する従業員の数が2,000人以下 |
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給付額 | 中小法人等:200万円
個人事業者等:100万円 ※昨年1年間の売上からの減少分を上限 |
売上減少分計算方法 | 前年の総売上(事業収入)-(前年同月比▲50%月の売上×12ヶ月) |
事業者向けの給付制度です。法人だけでなく、これまで政府からの支援を受けにくかった自営業者やフリーランスも支援の対象となっています。
申請は、持続化給付金の特設ホームページから行います。
必要事項の入力、必要書類の添付を行い申請します。提出内容に問題がなければ、およそ2週間程度で給付の決定を知らせる「給付通知書」が到着し、指定の銀行口座へ入金されます。
小学校休業等対応支援金【個人事業主】※令和3年2月末まで延長予定
画像引用:厚生労働省
給付条件 | 以下のいずれにも該当する方
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給付額 | ・令和2年2月27日から同年3月31日までにおいて、仕事ができなかった日について、1日あたり4,100円
・令和2年4月1日から同年12月31日までの間において、仕事ができなかった日について、1日あたり7,500円 |
申請期間 | ・仕事ができなかった日が令和2年2月27日から同年9月30日までの期間分 ⇒令和2年3月18日(水) ~ 同年12月28日(月)(消印有効)・仕事ができなかった日が令和2年10月1日から令和3年3月31日までの期間分 ⇒令和2年10月1日(木) ~ 令和3年3月31日(水)(必着) ※令和3年2月末まで延長予定 |
小学校の休業に伴う子どもの世話のため、個人で請け負った仕事が対応できなかった個人事業主向けの支援です。
申請は厚生労働書のホームページから申請書をダウンロードし「学校等休業助成金・支援金受付センター」へ郵送します。対象期間によって申請書の書式が異なるため、対応する申請書をご利用ください。
▶厚生労働省「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金」
家賃支援給付金【個人事業主/中小企業】※令和3年1月15日まで
画像引用:経済産業省
給付対象者 |
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受給権者 | 上記の条件を満たす者 |
給付額 | ①法人=下記算定額の6倍(最大600万円) ・月額の支払賃料が75万円以下=支払賃料×2/3 ・月額の支払賃料が75万円以上=50万円+[支払賃料75万円の超過分×1/3] ※上限100万円 ②個人事業主=下記算定額の6倍(最大300万円) ・月額の支払賃料が37.5万円以下=支払賃料×2/3 ・月額の支払賃料が37.5万円以上=25万円+[支払賃料37.5万円の超過分×1/3] ※上限50万円 |
申請期間 | 2021年(令和3年)1月15日(金)までに受付完了
※電子申請の受付は2021年(令和3年)1月15日(金)24時まで |
出典:経済産業省ホームページ「家賃支援給付金に関するお知らせ」、「家賃支援給付金」ポータルサイト
5月の緊急事態宣言の延長などにより。売上に影響を受けた事業者が対象となる給付です。
申請は以下の家賃支援給付金ポータルサイトから行えます。
法人の事務所賃料だけでなく、駐車場や資材置き場などの借地賃料、個人事業主の事務所兼自宅の家賃など、対象は広範囲です。
給付条件が持続化給付金と類似しているため、持続化給付金受給者の多くは対象に含まれます。
ただし、自己保有の土地・建物のローンは対象にならないなどの制限もある点は注意が必要です。給付条件は以下のガイドを参考にしてください。
コロナの影響で住宅ローンの支払いが厳しいというような場合には、以下の記事を参考に住宅ローンの組み替えもご検討下さい。
各自治体による助成金・協力金の種類と申請方法
国からの支援だけでなく、同時に各地方自治体からの支援も行われています。
例として、東京都では品型コロナウイルス対策への支援として、以下の給付金や支援金制度を運用しています。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた休業や失業等による緊急小口資金、総合支援資金【個人】
<緊急小口資金>
対象者 | 休業などにより収入の減少があり、緊急かつ一時的な生活維持のための貸付を必要とする世帯 |
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貸付額 | 20万円以内(一括交付) |
据置期間 | 1年以内 |
返済期間 | 2年以内 |
備考 | 連帯保証人不要、無利子 |
<総合支援資金(生活支援費)>
対象者 | 収入の減少や失業などにより生活に困窮し、日常生活の維持が困難になっている世帯 |
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貸付額 | 世帯人数2人以上:月額20万円以内
単身:月額15万円以内 |
貸付期間 | 原則3ヶ月以内(送金は1ヶ月ごとの分割交付) |
据置期間 | 1年以内 |
返済期間 | 2年以内 |
備考 | 連帯保証人不要、無利子
※緊急小口資金と同時貸し付け不可 |
収入減少により生活が困難になっている都民を対象に、一時的に生活資金を貸し付ける制度です。
こちらの制度は現金給付ではなく、返済の必要があります。据置期間を含めれば3年以内に返済すればよいため、金融機関から借金をするよりも余裕を持った返済ができるでしょう。
営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金(11/28~12/17実施分)【個人事業主/中小企業】
対象要件 |
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支給額 | 一事業者あたり一律40万円 |
申請方法 | 近日中に発表 |
引用:東京都産業労働局「「営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金(11/28~12/17実施分)」について」
都より出された、酒類の提供を行う飲食店およびカラオケ店への営業時間の短縮要請を受け、要請に全面的に協力する飲食事業者に対し協力金の支給が決定しました。
申請方法は後日発表とのことです。
▶「営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金(11/28~12/17実施分)」について
コロナで住宅ローンの返済が困難になってしまった人向けの支援策
画像引用:金融庁
収入の減少によって、大きな問題となるのが住宅ローンの返済です。給与やボーナスのカットにより、計画していた返済が難しいと感じるようなら、すぐにでも住宅ローンを組んでいる金融機関へ相談しましょう。
各金融機関は、新型コロナウイルスにより収入が減少した事業者・個人に対し、専用の窓口を設けて相談に乗るなど、積極的な支援に取り組んでいます。
金融庁も各金融機関に対し、返済が困難となった利用者に対して、迅速かつ柔軟な対応を行うよう呼びかけています。
返済期間の延長
給与の減少や離職の影響によって従来通りに毎月の返済が難しい場合には、返済期間の延長を相談してみましょう。
もし住宅ローンを25年の返済期間で組んでいた場合、30年や35年といった長期間に変更することで、毎月の支払い額を低く抑えることができます。
ただし、金融機関によっては、その金融機関が定めている返済期間の上限や年齢制限によりより延長できない場合があります。
なお、返済期間を延長することで毎月の支払い額を抑えることはできますが、その分利息は多く支払わなければなりません。一時的に支払いが楽にはなりますが、返済総額は増えることになることは注意しておきましょう。
ボーナス払いの見直し
新型コロナウイルスへの対策に伴う業績悪化により、ボーナスがカットされる企業が続出することが予想されます。もしボーナス払い月の支払いが厳しいようなら、ボーナス払いの見直しを金融機関に相談してみましょう。
ボーナスが遅延するようならば「支払い月の変更」、ボーナスが減額されるようなら「返済額の調整」、ボーナスが全カットされてしまうようなら「ボーナス払いの停止」など、支払い額を変更できる可能性があります。
ただし、ボーナス払い月に多額の返済を行っていた分、ボーナス払いを取りやめることで毎月の支払い額は増額します。毎月どの程度の増額なら家計が耐えられるか、十分に計算した上でボーナス払いの見直しを行いましょう。
一定期間の返済猶予
収入が減少し従来通りの返済が難しい場合、返済条件によっては一時的に元本の返済を猶予してもらえる場合があります。元本の返済を猶予してもらえれば、毎月の支払いは利息分だけとなり、支払い額を大きく減額することができます。
ただし、これは一時的に元本の支払いを据え置きするだけであり、ローンの総返済額が減額されるわけではありません。
元本が減らないまま利息だけを支払う期間が長引けば、その分総支払額は大きく膨れ上がっていきます。あくまで一時的に返済額を減らし、その分完済を先送りにしていることは理解しておきましょう。
滞納は絶対に避ける
住宅ローンの支払いが難しいと感じたなら、支払いを滞納してしまう前に金融機関へ相談しましょう。どんなことがあっても、滞納は避けるべきです。
住宅ローンの金利は、店頭で表示されている金利に「金利優遇」が適用されることで、最終的な金利が決定します。店頭に表示されている金利が2.475%で、仮にここに1.5%の金利優遇が適用されると、実質的な金利は0.975%となり、非常に低い金利でローンを借りることができます。
しかし、住宅ローンの契約書の多くには「延滞発生時には金利優遇の対象外となる」といった記述があります。
ローンの返済が滞納してしまうと、金利優遇にて低く抑えられていた金利が店頭表示価格に変更されてしまいます。適用されていた金利優遇によっては、3倍以上の金利に変更されることもあり、毎月の支払いがさらに困難になることもあるでしょう。
また債務者による返済が滞納すれば、金融機関は該当不動産を強制的に競売にかける権利を有しています。競売手続きが始まれば、金融機関は債務者に対し、一括返済を要求します。
住宅ローンの返済プランを変更することで、結果的に総支払額が増えてしまう場合がありますが、滞納によって受ける損害に比べれば大きな問題とはなりません。少しでも支払いが危ないと感じたら、できるだけ早く金融機関へ相談し、無理の無い返済プランに組み替えるのが最善の方法です。
ローン返済が厳しい場合は任意売却の検討も
ローンの返済が困難となり延滞してしまうと、金融機関により担保となっている不動産が競売にかけられてしまいます。競売による売却は物件の条件や落札者によって異なりますが、市場価格の5割~7割程度とかなりの程度安い価格で落札されるのが一般的です。
もし今後ローンを継続して返済していくことが難しいようなら、延滞してしまう前に「任意売却」を検討しましょう。
任意売却とは競売を避けるための”救世主”のような売却方法
任意売却とは、住宅ローンの滞納が続いて競売手続きが始まってしまった物件や売却しても住宅ローンを完済できない物件を売却するための方法です。
基本的に、不動産を売るには”住宅ローンの完済”が避けて通れません。それは、金融機関が競売にかけられる権利=抵当権を抹消しないことには、買い手がつかないからです。誰も、借金の担保になっている不動産を購入したくはありませんよね。
しかし任意売却では、金融機関の特別な許可により、住宅ローンを完済しない状態で抵当権を抹消してもらい売却し、売却後に残った債務を返済していくことになります。
任意売却では一般的な不動産売却と変わりない方法によって売ることができるため、競売のように相場価格の半値ほどになってしまうことはほとんどなく、相場価格に近い金額での売却が可能に。「競売物件」のレッテルを張られることもないので、プライバシーも守られます。
とはいえ、任意売却は法的な知識や交渉力を要するため、どんな不動産会社でも対応してくれる売却方法ではありません。弊社イエツグでは、専門性の高いスタッフが責任をもって金融機関へ交渉し、弁護士などの専門家と連携して任意売却することが可能です。
もちろん、住宅ローンを滞納させる前には、一般的な方法によってできるだけ早く不動産を売却できるよう尽力いたします。その場合の仲介手数料は、定額182,900円。収入が減ってしまった方、少しでも売却にかかる諸費用を抑えたい方は、どうぞイエツグにご相談ください。
まとめ:コロナで収入が減少してしまった個人・中小企業は給付金・助成金・返済条件の変更・任意売却で乗り切りましょう!
新型コロナウイルスの影響により、私たちの生活は大きく変化してしまいました。収入が減少したり、解雇されたりしてしまった場合には、政府や自治体による給付金・助成金の申請をしましょう。また、ローンの返済が厳しくなる見込があるのなら、滞納が発生する前に返済条件を変更してもらうか任意売却を検討してみてください。
弊社イエツグには、FPや住宅ローンアドバイザーの有資格者が在籍しています。急に収入が減ってしまってお困りの場合には、住宅ローンの返済条件の変更や不動産の売却によって窮地を脱せる可能性があります。
新型コロナウイルスにより苦しくなった生活は、一刻も早く立て直さなければなりません。コロナ禍、アフターコロナで不動産のことでお悩みの方は、お気軽に弊社にご相談下さい。