不動産は立地や周辺環境がよい物件ほど人気があるため、条件がよくない物件は売れるまでに時間がかかります。なんとかして不動産を現金化したいけれど、条件がよくないので、どうしたらよいかわからないという人もいるのではないでしょうか。
条件がよくない不動産を売却するならば、不動産買取がおすすめです。また、不動産業者は現金買取するのが通常なので、不動産買取は早く不動産を現金化したい人にも向いています。
この記事では、不動産買取を利用するメリットとデメリットについて詳しく解説します。
- 不動産買取のメリット
- 不動産買取のデメリット
- 不動産買取に向いているケース

不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・賃貸不動産経営管理士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
目次
不動産買取を利用する8つのメリット

不動産は「仲介」による売却が一般的であるため、不動産買取についてはあまり聞いたことがないという人もいるかもしれません。
仲介と比較するとあまり広まっていない不動産買取ですが、不動産を売りたい人が不動産買取を利用するメリットはたくさんあります。
1.売却難易度が高い物件でも売れる可能性が高い
「仲介」で売却するには、売却難易度が高い不動産もあります。たとえば以下のような物件です。
- 都心に立地しているが駅から極端に遠い
- 周辺にスーパーなど生活利便施設が少ない
- 築年数が長く経過している
- 建て替えなどができない再建築不可物件
上記のような条件を持った物件は、仲介で売却しようとすると人気が出にくいため、売却完了までに時間がかかります。
しかし、不動産買取であれば、このような物件でも買取してくれる不動産業者が見つかる可能性は高いです。中には、再建築不可物件を専門に買取している不動産業者などもいます。
不動産は売却活動期間が長引くほど人気が落ちるので、条件の悪い物件は、最初から不動産買取を検討するほうがよい場合もあります。
2.内覧対応で何度も掃除する必要がない
不動産買取による売却をする場合は、不動産会社による査定の時だけ掃除しておけば問題ありません。複数の不動産業者を比較する場合でも、訪問査定の日にちをまとめておけば、掃除する回数を減らせます。
他方、仲介による売却では、買主候補者から内覧を希望されることもあり、成約までに何度内覧をするかわかりません。細かなことではありますが、物件の印象をよくするために、特に水回りなどの掃除は丁寧にする必要があります。
また、仲介の場合は物件をきれいにするだけではなく、売主の人柄という点でも気を遣って対応しなくてはなりません。不動産買取は、仲介での売却よりも手間と気苦労が少なくて済みます。
3.仲介手数料が必要ない
不動産買取で物件を売却する場合には、仲介手数料がかかりません。不動産業者を介して物件を売却するわけではなく、物件の持ち主が直接不動産業者に物件を売却するからです。
仲介での物件売却には何種類かの手数料がかかりますが、仲介手数料は一番金額が大きいです。また、大半の不動産業者は、仲介手数料を売却価格の3%+6万円に設定しています。取引に際して仲介手数料の比率が下がることはほとんどありません。
物件売却において一番大きな比率を占める手数料がかからなくて済むのは、大きなメリットです。
4.短期間で物件を現金化できる
不動産買取を利用すると、業者の選定から買取代金の入金までが数週間から1ヶ月ほどで完了します。また、不動産業者は現金で買取するのが通常なので、売主は確実に短期間でまとまった金額を入手できます。
短期間での現金化ができるので、たとええば以下のような時間がない人には不動産買取が向いています。
- 転勤が決まっていてスケジュールに余裕がない
- できる限り早く現金が必要
- 相続税の支払い期限が迫っている
一方、仲介による売却の場合は、買い手の募集活動から始めるため、売却完了までに3ヶ月以上かかるのが一般的です。なお、買い手が見つからなければ、半年や1年以上かかることも少なくありません。
また、仲介による売却は、ローンを利用希望する買い手が審査に落ちてしまうと、募集活動をやり直さなくてはなりません。入金までの期間が短いこととリスクの低さは、不動産買取の大きなメリットです。
5.スケジュールを立てやすい
不動産買取には、不動産業者と契約締結する時点で入金日が確定するので、スケジュールを立てやすいメリットがあります。住み替えにあたっては、新居探しや引越しのほか、不用品処分などやることが多いです。
不動産業者を選ぶ時点で引渡し期日は見当がつくので、逆算したスケジュール設定ができます。
一方、仲介による売却はスケジュールに不確定要素が多いものです。買い手の募集活動を開始後、買い手が見つかるまでにどのくらい時間がかかるのか予測がつきません。また、買い手がローンを利用する場合は審査にも時間がかかります。
仲介では、買い手がローン利用者なのか現金購入者なのかによってスケジュールが大きく変わるため、柔軟な対応が必要です。
6.契約不適合責任を負う必要がない
仲介による売却では、所有権移転後に契約内容と適合していない水漏れや雨漏りなど不具合が発生すると、売主が費用負担のうえ修繕する責任があります。これを、売主の契約不適合責任と呼びます。
不動産買取の場合は、売主が契約不適合責任を負う必要はありません。とくに不動産の資格など持たない人が不動産業者に物件を売却する場合は、専門知識を持つ不動産業者のほうが、あらかじめ物件について調べる義務を負うと定められているためです。不動産買取では、後々費用負担するリスクを負わなくても済みます。
7.物件の売却を周囲に知られずに済む
仲介による売却活動では不動産の宣伝広告を行います。Webの不動産ポータルサイトに情報が掲載されるほか、不動産屋の店頭に物件情報が掲示されるなどが一般的です。そのほか、周辺の住居にチラシが投函されるなどのこともあります。
仲介の場合は、これらの宣伝広告を通じて、売却活動をしていることを周辺住民などに知られやすいです。
しかし、不動産買取の場合は不動産業者が売却先になるので、webやチラシなどで宣伝広告する必要がありません。仲介と比較すると、不動産買取は売却について周辺住民に知られる可能性が低いです。
できる限り周囲に知られたくない事情などがある場合は、不動産買取を利用するのがおすすめです。
8.最初に仲介での売却活動もできる
不動産買取には、「即時買取」と「買取保証」の2種類があり、売主はどちらで買取してもらうのか選べます。
即時買取は、不動産業者による査定の後に買取価格や引渡し時期などを交渉し、すぐに買取手続きに入ります。
買取保証を選択した場合は、最初に一定期間仲介での売却活動を進めることが可能です。仲介での売却活動をしても買い手が見つからなかった場合は、最初に提示された買取金額で不動産業者に買い取ってもらえます。
仲介で売却するほうが買取よりも高く売れるので、売却難易度が高いけれどもスケジュールには余裕があるという場合は、買取保証を利用するのも1つの選択肢です。
仲介による売却よりも価格が低い点がデメリット

不動産買取による売却には、現金化までの期間が短いなど様々なメリットがあります。しかし、注意を要するのは、不動産買取の金額は仲介での売却よりも価格が低いということです。
不動産業者は、不動産を買い取った後にリフォームやリノベーションを施して転売します。不動産買取は、不動産業者にとって物件仕入れのようなものなので、買取額は仕入れ値と位置づけられています。
仲介での売却は周辺相場に合わせた金額で売却できますが、買取の場合は周辺相場よりも20%〜30%程度金額が下がるので要注意です。
不動産買取に向いているケース

不動産買取を利用する最大のメリットは、仲介では売れにくい物件も売れることと、現金化までの期間が短いことです。しかし、買取価格が仲介による売却相場の20~30%ほど落ちてしまうことはデメリットだといえるでしょう。
不動産買取のメリット・デメリットを踏まえると、不動産買取に向いているのは以下のような人だと考えられます。
- 相続税の支払いが迫っている人
- 離婚で一刻でも早く売却したい人
- 忙しくて売却にかける時間が取れない人
- 周りになんとしても知られたくない人
- 住み替えで売らなければならない期日がある人
金額よりも期間を優先したいという場合は、ぜひ不動産買取も検討してみてください。
まとめ:不動産買取のメリットとデメリットを十分把握して判断しよう
- 売却難易度が高い物件でも売れる可能性が高い
- 内覧対応で何度も掃除する必要がない
- 仲介手数料が必要ない
- 短期間で物件を現金化できる
- スケジュールを立てやすい
- 契約不適合責任を負う必要がない
- 物件の売却を周囲に知られずに済む
- 最初に仲介での売却活動もできる
仲介による売却より20~30%価格が落ちてしまう
不動産買取のメリット・デメリットを把握し、適切な判断をしてください。イエツグでは、仲介による売却も不動産買取も扱っているため、どちらかを無理に勧めるようなことはいたしません。お客様のご事情やご希望を最大限考慮し、適切なご提案をさせていただきます。

現在はフリーライターとして、国内不動産および海外不動産投資関連の記事を多数執筆している。