不動産の売却には、様々な諸費用が発生します。不動産を売却する機会は人生の中で何度もあるわけではないため、なににどれくらいの費用がかかるかをご存じない方も多いのではないでしょうか?
不動産の売却に必要な諸費用を知らずに売却をすると、手元に残る金額が思ったよりも少なくなってしまいます。 不動産の買い替えを検討している場合には、希望の物件を購入できなくなる可能性もあるでしょう。
そこで今回は、不動産の売却にどのような費用が発生するのか解説し、さらに費用を抑える方法もまとめました。
不動産の売却に失敗したくないという方は、ぜひ参考にしてみてくださいね!
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
目次
不動産売却時にかかる諸費用は全部で5つ
不動産売却には、売却金額のおよそ4%の諸費用がかかるといわれています。物件価格が3000万円であれば諸費用は約120万円にもなるということですから、決して安いものではありません。
不動産売却に必要な費用は、大きく分けて次の5種類です。
- ①仲介手数料
- ②印紙税
- ③登記費用
- ④譲渡所得税
- ⑤その他の費用
それぞれについて、詳しく確認していきましょう。
1.仲介手数料
仲介手数料は、不動産を売却するときに仲介してもらう不動産会社に対して支払う報酬のことです。
不動産会社がおこなう仲介業務には、以下のようなものがあります。
- 不動産の広告
- 新しい入居者の募集
- 買主と売主の交渉
- 売買契約時の立会い
- 書類の作成
仲介手数料には上限があり、売買価格が400万円以上の場合は以下の計算式で算出できます。
(売買価格×3%+6万)×消費税
例えば、売買価格が3,000万円の不動産売却を仲介してもらった場合の手数料の上限は96万円(税別)です。
先述で、「売却にかかる諸費用は売却金額のおよそ4%」とお伝えしましたよね。仲介手数料のパーセンテージを見てみると、売却金額の3%以上となっています。つまり、売却にかかる諸費用のほとんどは仲介手数料が占めているということなんです。
ただ実は「(売買価格×3%+6万)×消費税」というのは、不動産会社が請求することができる上限額です。多くの不動産会社が上限いっぱいいっぱいに請求してきますが、仲介手数料の金額は不動産会社によって様々。不動産会社を選ぶときは、仲介手数料を明示してもらって比較すると良いでしょう。
2.印紙税
印紙税とは、不動産売買契約書に貼る収入印紙で支払う税金のことです。収入印紙を購入し、売買契約書に添付して印鑑で消印をすることで納税したことになる仕組みです。
なお、売買契約書に記載される金額が10万円を超え、平成26年4月1日〜令和2年(2020年)3月31日までの間に作成されたものについては、以下のように軽減税率が適用されます。
(出典:国税庁)
例えば、売買金額が3,000万円の不動産を購入した場合、印紙税の金額は1万円となります。
収入印紙は、郵便局やコンビニで購入できますが、コンビニで購入できる収入印紙は種類が少ないため、できるだけ郵便局で購入すると良いでしょう。売買契約時に不動産会社が用意してくれることもあります。その場合、不動産会社に費用を支払います。
3.登記費用
住宅ローン残債がある不動産を売却する場合、抵当権を抹消する登記に費用がかかります。
抵当権とは住宅ローンが返済できなくなった場合に、担保にしている不動産を金融機関が差し押されて売却できる権利のこと。いつ取り上げられるか分からないような物件を買う人はいないため、売却時に抵当権を外しておく必要があるのです。
抵当権を外すための費用は、固定資産税評価額の2%。ただし軽減税率が適用となっておりますので、以下記事をご参照ください。
さらに登記の手続きを司法書士に依頼する場合は、5,000〜2万円の費用が別途必要です。
ちなみに、登記の手続きは司法書士に依頼しなくても、自分自身で行うと1,000円〜2,000円程度に抑えることもできます。しかし、登記の手続きは複雑なだけでなく法律の専門的な知識も必要なため、専門家に依頼した方がスムーズでしょう。
そして、抵当権を外すためにはローンを完済しなければなりません。ローンを繰上げ返済する場合は手数料が必要で、金融機関や返済の方法(電話、窓口など)によって金額は5,000円〜3万円ほど必要です。
4.不動産の売却益にかかる税金
不動産売却によって売却益(譲渡所得)が発生した場合は、所得税や住民税の課税対象となります。譲渡所得の計算方法は、以下の通りです。
譲渡所得=不動産の売却金額−不動産の取得費用−不動産売却時の費用
譲渡所得にかけられる税率は、以下のように不動産を所有した期間によって異なります。
所有期間 | 所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 | 合計 |
5年以下 | 30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
5年超 | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
譲渡所得に対する税金を納めるには、確定申告をしなければなりません。売却時に支払うわけではないため注意しましょう。
5.その他の費用
不動産の売却時には、状況によって以下のような様々な諸費用が発生します。
● 引越し費用
● 家具などを処分する費用・ハウスクリーニング代
● 建物の解体費用
● 土地の境界や面積を明確にするための測量費用
上記の費用のうち引っ越し費用は、仮住まいに引っ越す場合、2回分の引越し費用が必要となります。また、建物の解体費用は、見積もりだけではなく作業内容も確認しましょう。
不動産を売却するときの諸費用を抑える2つのポイント
不動産を売却するときは、できるだけ費用を抑えたいものですよね。実は、売却に必要な費用を抑える方法が2つあります。
1.税金が優遇される制度を利用する
不動産の売却益には税金が発生しますが、特別控除を利用することで、課税の対象となる譲渡所得の金額を少なくして、所得税や住民税の負担を抑えることができます。
例えば、居住用のマイホームを売った場合には「3,000万円の特別控除」を利用することで、譲渡所得から3,000万円を控除できます。
また、所有期間が10年を超えている不動産を売却し、売却益が6,000万円以下だった場合は軽減税率が適用され、税率が14.21%(所得税10%、住民税4%、特別復興所得税0.21%)に軽減。
そして、売却する不動産が相続したもので、被相続人(亡くなった人)のマイホームだった場合には譲渡所得から3,000万円が控除されます。
マイホーム(居住用財産)として認められるためには、売却する時点で実際に居住している必要があります。もし退去している場合は、退去した日から3年経過した日が属する年の年末までに売却しなければなりません。その他、適用要件が詳しく定められていますので、確認する必要があります。
2.良い不動産仲介会社を探す
不動産を売却する際は、仲介手数料が安いだけでなく、多くのサービスが付帯されている仲介業者を探しましょう。手数料負担が低くても、サービスや広告費等に別途料金がかかると、費用負担がかえって大きくなる可能性もあります。
そのため、不動産仲介会社を探す時は、仲介手数料の金額と提供されているサービスの両方を確認することが大切です。
弊社イエツグでは、売却時の仲介手数料を定額182,900円(税別)とさせていただいております。また、住宅診断や既存住宅瑕疵保険、ハウスリーニングのサービスも無料で提供いたしております。
もちろん、お客様の不動産が1日でも早く、そして納得のできる価格で売却できるように、不動産売買に精通した専門スタッフが精一杯サポートさせていただきます。ぜひ一度お気軽にご相談ください。
まとめ
不動産売却にかかる諸費用の金額を把握することは、売却を成功するためには不可欠。印紙税や登記費用など高確率で負担が必要な費用もあれば、税金やハウスクリーニング代など状況に応じて必要になる費用など様々なものがあります。
まずはご自身の不動産を売却した場合に、どのような費用がかかるのかを調べましょう。その上で今回お話しした費用を抑える2つの方法を意識していただくと、不動産売却に成功する確率が高まります。
● 税金が優遇される制度を利用する
● 良い不動産仲介会社を探す
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大手保険会社で培った知識と経験から、保険、不動産、税金、住宅ローンなど幅広いジャンルの記事を執筆・監修。