不動産を購入する時だけでなく、不動産を売却する時にも税金の支払いが発生することをご存知ですか?負担が必要な税金は、以下の3種類です。
税金と聞くと仕組みや計算方法が複雑で、理解することが難しいと考えている方も多いのでではないでしょうか?そこで今回は、不動産の売却時に発生する税金の種類や金額の計算方法、税金対策を分かりやすくまとめました。
この記事を読んでいただくことで、不動産の売却時にどれだけの税金がいくら発生するのかがわかり、手元に残る金額を予想できるようになるのでぜひ参考にしてみてください。
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
目次
不動産売却にかかる税金1.譲渡所得
譲渡所得とは、簡単にいうと不動産の売却によって発生する利益のこと。以下の計算方法で求められます。
譲渡所得が発生した場合、所得税や住民税の課税対象となります。つまり、不動産を売却して得たお金から、購入にかかった費用と売却時に必要になった費用を差し引いて利益が出た場合は、税金を支払わなければならないのです。
税率は、不動産を所有していた期間によって異なります。
所有期間 | 所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 | 合計 |
5年以下 | 30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
5年超 | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
所有期間は、売却した年の1月1日時点での経過年数で判断されます。例えば、平成24年6月に購入した不動産を平成29年の11月に売却した場合は5年以上経っていますが、譲渡所得は短期譲渡所得になります。なぜなら、平成29年1月1日時点での所有期間が5年以下だからです。
譲渡所得に対して税金が発生した場合は、確定申告をしなければなりません。税金ごとの支払うタイミングは以下の通りです。
● 所得税・特別復興所得税:確定申告時に納税
● 住民税:翌年度に支払う住民税と合算して納税
このように、譲渡所得にかかる税金は売却時に支払うわけではないため注意しましょう。
取得費用の計算方法
譲渡所得を計算する時は、まず不動産の取得費用を計算しなければなりません。注意しなければならないのは、不動産を購入する時に支払った金額とは違う点です。
不動産の取得費用は、購入した代金や仲介手数料、登記費用などの諸費用だけでなく、購入してからの経過年数に応じた減価償却費も考慮する必要があります。
減価償却費とは、不動産の建物部分が年数の経過で劣化したことによって減少した価値のことです。そして減価償却費が発生するのは建物部分のみ。なぜなら、土地は経年劣化しないからです。
減価償却費は、以下の計算式で求められます。
償却率は、建物の構造ごとに決められた耐用年数によって、以下のように定められています。なお、以下はマイホームやセカンドハウスなどの「非事業用」の耐用年数と償却率です。
木造 | 鉄骨造 | 鉄筋コンクリート | |
耐用年数 | 33年 | 40年 | 70年 |
償却率 | 0.031 | 0.025 | 0.015 |
ここで、以下のモデルケースを用いて、不動産の取得費用の計算をシミュレーションしてみましょう。
● 土地部分の代金:2,000万円
●建物の構造:木造
● 経過年数:25年
● 購入時の諸経費:150万円
まず、減価償却費を計算します。
=1,500万円×0.9×0.031×25年
=1,046万円
=2,000万円+(1,500万円−1,046万円)+200万円
=2,654万円
譲渡所得の税金対策
譲渡所得にかかる税金には、特定の条件を満たすと特別控除が適用されます。譲渡所得から特別控除を差し引くことで、所得税や住民税の軽減や非課税化が可能です。
例えば、自分が住んでいた家を売却した場合は、譲渡所得から3,000万円が控除されます。
また、被相続人(亡くなった人)のマイホームを相続して売却した場合も、譲渡所得から3,000万円を控除することが可能です。
ただし、マイホーム(居住用財産)と認められるためには、売却する時点で実際に住んでいるか、退去した日から3年経過した日が属する年の年末までに売却しなければなりません。
そして、特定の条件を満たすと軽減税率の適用が可能です。具体的には10年を超えて所有していた不動産を売却し、譲渡所得が6,000万円以下だった場合は、税率が14.21%(所得税10%、住民税4%、特別復興所得税0.21%)に軽減されます。
このように、譲渡所得にかかる税金には多くの優遇制度があるのです。
不動産売却にかかる税金2.印紙税
印紙税とは、不動産売買契約書に貼る収入印紙で支払う税金。印紙税で支払う金額は、売買契約書に記載されている金額(不動産の売買価格)によって変わる仕組みです。
(出典:国税庁)
例えば、売買契約書に記載されている金額が2,000万円だった場合、印紙税の金額は1万円です。
印紙税を納めるためには、郵便局やコンビニで収入印紙を購入し、売買契約書に添付し印鑑で消印をする必要があります。
不動産会社が印紙を用意してくれるときには、不動産会社に費用を支払います。
不動産売却にかかる税金3.登録免許税
登録免許税とは、不動産の登記手続きをする際に課税される税金。売却する不動産を購入するときに住宅ローンを組んだ場合は、不動産の売却時に抵当権の抹消登記をするために登録免許税を支払う必要があります。
ちなみに、不動産の所有権を移転させる登記は不動産の買主が行うため、売却する側が行う必要はありません。
抵当権とは
抵当権とは住宅ローンが返済できなくなった場合に、金融機関が担保にしている不動産を差し押さえて競売にかけて売却し、得たお金をローンの弁済に充てられる権利のこと。つまり住宅ローンが返済できなくなったら、強制的に不動産を取り上げられ売られてしまうのです。
競売とは、裁判所主体で行われる競りのようなものをイメージすると分かりやすいでしょう。そして、競売が開始される時期や売却の価格、競売される不動産を退去する時期などに口出しは一切できません。
売却する不動産に抵当権が残っていると、それを購入した人の意思や事情に関係なく取り上げられてしまう可能性があることになります。そのため、不動産を売却する時は住宅ローンを完済して抵当権を外しておく必要があるのです。
登録免許税の費用
登録免許税の費用は、固定資産税評価額の2%。固定資産税評価額とは固定資産税を算出するときの基準となる評価額のことで、市場で取引される価格を表す公示価格の70%程度です。なお売却時期によって、登録免許税には軽減税率が適用となりますので以下の記事をご参照ください。
さらに、抵当権を外すために住宅ローンを繰り上げで一括返済する場合は、手数料負担が必要です。住宅ローンを借り入れている金融機関や、返済の方法(電話や窓口、ネットなど)によって5,000〜3万円程度の負担が発生します。
税金対策のための控除を受けるには確定申告が必須
不動産売却にかかる税金は、控除特例の適用を受けることで大幅に節税することも可能です。ただし、各種控除は自動的に適用となるわけではありません。
控除適用には、売却した年の翌年に確定申告する必要があります。
不動産売却時の確定申告はイエツグにおまかせ
不動産売却時の確定申告は、正直言ってとても面倒です。
譲渡所得を計算して、適用要件を確認して、確定申告書類を作成して…と1日や2日で終わる作業ではありません。また売却益がなかった場合にも、損益を給与などの所得と通算し、繰越控除までできる可能性もあります。これらの特例の概要や要件を全て把握して申告までするのは、プロでもない限り一筋縄ではいかないんですね。
弊社イエツグでは、面倒な確定申告の無料代行サービスを提供しております。弊社仲介によるお客様には、顧問弁護士が代わって確定申告をさせていただきますので安心・確実です。
さらにイエツグでは売却時の諸費用の中で税金以上の割合を占める仲介手数料を、定額182,900円(税別)とさせていただいているため、売却時の費用負担を大きく減らすことが可能です。
また、住宅診断や既存住宅瑕疵保険、ハウスリーニングのサービスも無料で提供いたしております。
不動産を売却する際は複雑な税金や諸費用の計算も含めて、適切な価格で売却できるように手厚くサポートさせていただきますので、ぜひお気軽にお問合せください。
まとめ
今回は、不動産売却の際に発生する税金の種類や計算方法について解説しました。
税金は仕組みが複雑なだけでなく、税制自体が改正される可能性もあります。そのため、不動産売却によって手元に残る金額を知りたい場合は、不動産売買の専門家の力を積極的に借りることをおすすめします。
また、税金については費用負担を抑えることが必ずしも正解とは限りません。例えば、抵当権の抹消登記をする際に、行政書士への報酬を削って自分で行なった場合、かえって大きな負担となったり時間を浪費してしまったりするリスクがあります。
不動産売却のことでお困りのことがあれば、弊社までご相談ください。FPや住宅ローンアドバイザーの資格を持った担当者が、お客様の不動産売却における「お金」の悩みを解決できるように、専門的な視点からご提案させていただきます。
大手保険会社で培った知識と経験から、保険、不動産、税金、住宅ローンなど幅広いジャンルの記事を執筆・監修。
② 印紙税
③ 登録免許税