「とりあえず売って、お金ができたら買い戻せばいい」
リースバックの営業担当者にそう言われて、安易に契約しようとしていませんか?実は、リースバックで最もトラブルが多いのが、この「買い戻し」の局面です。「いざ買い戻そうとしたら、売った金額よりもはるかに高い金額を請求された」という相談が後を絶ちません。
売却した家を取り戻すには、正しい知識と事前の対策が不可欠です。この記事では、買い戻し価格が決まる仕組みや相場、そして価格を抑えるための交渉テクニックを、不動産のプロが包み隠さず解説します。あなたの大切な家を守るために、ぜひ最後までお読みください。
目次
結論:買い戻し価格の相場は「売却価格の1.1倍~1.3倍」が目安
まず、現実を直視しましょう。リースバックで売却した家を買い戻す場合、売った金額と同じ金額では戻ってきません。一般的には、売却価格に一定の割合を上乗せした金額が設定されます。
1.【計算式】2,000万円で売った家を買い戻すには2,200万~2,600万円が必要
買い戻し価格の相場は、「売却価格 × 1.1〜 1.3」です。具体的な数字で見てみましょう。
もしあなたが自宅を2,000万円でリースバック会社に売却した場合、買い戻すために必要な金額は以下のようになります。
- 1.1倍の場合:2,200万円(差額200万円)
- 1.3倍の場合:2,600万円(差額600万円)
売却して手元に入ったお金を使わずに取っておいたとしても、数百万円足りない計算になります。これが「買い戻しは難しい」と言われる最大の理由です。
2.なぜ売った金額より高くなる?上乗せされる「諸費用」と「業者利益」の正体
なぜ、こんなに高くなるのでしょうか。業者が不当に儲けているわけではなく、構造的な理由があります。
不動産の所有権が移転するたびに、税金や手数料がかかるからです。
- 購入時の諸費用:業者があなたの家を買う時、登記費用や不動産取得税を払っています。
- 保有コスト:業者が家を持っている間、固定資産税を負担しています。
- 業者の利益:ボランティアではないので、事業利益を確保する必要があります。
これらをすべて回収するために、価格が上乗せされるのです。
3.契約期間が長いほど価格が下がる「減価償却型」の契約もある
すべての契約で価格が上がるわけではありません。一部の業者では、長く住めば住むほど買い戻し価格が下がるプランを提供しています。
これは、あなたが支払う家賃の一部を「家の代金の分割払い」のように扱ってくれる仕組みです。10年以上住み続ける予定なら、当初の売却価格よりも安く買い戻せる可能性があります。契約前に、そのようなプランがあるか確認してみましょう。
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足元を見られないために!買い戻し価格を安く抑える2つの交渉テクニック
相場は1.1倍〜1.3倍ですが、言いなりになる必要はありません。契約前の交渉次第で、買い戻し価格を抑えることは可能です。プロが使うテクニックを伝授します。
1.【逆転の発想】あえて「買取価格」を下げて、家賃と買い戻し価格を圧縮する
多くの人は「少しでも高く売りたい」と考えますが、将来買い戻すなら逆効果です。高く売れば、それに応じて家賃も高くなり、買い戻し価格(売却価格×1.1倍)も高くなるからです。
「あえて安く売る」のが正解です。
必要な資金額が1,500万円なら、査定額が2,000万円でも「1,500万円で売ります」と交渉します。そうすれば、家賃も下がり、買い戻し価格も(1,500万×1.1倍=1,650万円)と、大幅に抑えられます。
2.「買戻し特約(民法)」と「再売買の予約」の違いを知り、有利な方を選ぶ
契約書には2種類の書き方があります。どちらを選ぶかで、将来の運命が変わります。
- 買戻し特約(民法):買い戻し価格は「売買代金+契約費用」を超えてはいけないという法律の制限があります。価格は抑えられますが、期限は最長10年です。
- 再売買の予約:価格や期限を自由に決められます。期限を柔軟にできますが、価格が高くなりがちです。
価格を最優先するなら「買戻し特約」での契約を交渉してみましょう。ただし、業者が嫌がることも多いです。
3.諸費用を節約するなら「仲介手数料無料」の業者を選ぶのが鉄則
リースバックの取引でも、間に不動産会社が入ると「仲介手数料」が発生します。売る時と買い戻す時、往復で手数料がかかると大きな負担です。
自社で直接買い取ってくれる業者や、仲介手数料を無料にしている会社を選びましょう。例えば2,000万円の取引なら、片道で約70万円、往復で約140万円もの節約になります。これが買い戻し資金の一部になります。
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【警告】「いつか買い戻せる」という口約束は絶対に信じるな!3つのリスク
一番怖いのは、契約書に書かれていない「口約束」です。「余裕ができたら買い戻していいですよ」という言葉を信じて、家を失った人は数え切れません。以下の3点は必ず確認してください。
1.契約書に「金額」と「期限」が明記されていない約束は無効
「時価で買い戻せる」といった曖昧な表現は危険です。数年後に不動産価格が上がっていたら、手の届かない金額を提示されます。
必ず「〇〇年〇月〇日までは、金〇〇万円で買い戻すことができる」と、具体的な数字と日付が入った契約書(再売買予約契約書など)を作成してもらいましょう。これがないと、法的に権利を主張できません。
2.勝手に転売される?「仮登記」がないと第三者に対抗できない
リースバック業者が、あなたの家を別の投資家に転売してしまうことがあります。新しい持ち主から「買い戻しの話なんて聞いていない、出て行ってくれ」と言われたら、対抗できません。
これを防ぐには、登記簿に「仮登記(買い戻す権利があることの記録)」をつける必要があります。ここまで対応してくれる業者は信頼できます。
3.家賃を一度でも滞納すると「買い戻し権」が消滅する条項に注意
契約書の細かい文字を読んでください。「家賃を滞納した場合、買い戻しの権利は消滅する」という条項が入っていることがほとんどです。
たった一度のうっかりミスや、数日の遅れで、家を取り戻す夢が消えてしまいます。リースバック期間中は、何があっても家賃の支払いを最優先にしなければなりません。
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いざ買い戻す時の「お金」はどうする?住宅ローン利用の厳しい現実
契約上の準備ができても、最後にお金の問題が立ちはだかります。数千万円の現金をどう用意するか。多くの人がここでつまずきます。
1.本人が高齢の場合、通常の住宅ローン審査はほぼ通らない
「買い戻す時にまた住宅ローンを組めばいい」と考えているなら、それは甘い見通しです。
リースバックを利用した時点で、年齢が高くなっていることが多いでしょう。また、過去に債務整理などをしていると信用情報に傷がついています。大手銀行の住宅ローン審査に通る可能性は極めて低いです。
2.子供に協力してもらう「親子間売買」ならローンの可能性がある
現実的な解決策は、お子さんにローンを組んでもらい、名義をお子さんにする方法です。
ただし、銀行は「親子間売買」の融資に消極的です(相続税逃れなどを疑うため)。それでも、一部の地方銀行や信用金庫など、事情を汲んで融資してくれる金融機関はあります。粘り強く探す必要があります。
3.金利は高いが「ノンバンク」や「不動産担保ローン」を活用する
銀行がダメな場合、ノンバンク(貸金業者)の不動産担保ローンを利用する手があります。
金利は3%〜9%程度と高くなりますが、審査基準は柔軟です。まずはノンバンクで買い戻し、その後、実績を作ってから低金利のローンに借り換えるという「二段階作戦」も検討の価値があります。
親子間売買でも仲介手数料は発生します。
親族間の取引こそ、定額制で無駄なコストを削減しましょう。
リースバックの買い戻しに関するよくある質問
最後に、よく寄せられる疑問にお答えします。後悔のない選択をするために確認しておきましょう。
Q1. 買い戻し価格は分割払いできますか?
A. 基本的にはできません。一括払いが原則です。
業者は不動産を売却して資金を回収したいので、分割払いに応じるメリットがありません。そのため、住宅ローンなどを利用して一括で支払う必要があります。
Q2. 買い戻しを断念したら、そのまま住み続けることはできますか?
A. 賃貸契約が続いていれば可能です。
「普通借家契約(更新できる契約)」であれば、家賃を払い続ける限り住み続けられます。ただし、「定期借家契約(期限が決まっている契約)」の場合は、契約満了時に退去しなければなりません。契約の種類を必ず確認してください。
Q3. リースバックと「任意売却」はどちらが得ですか?
A. 「住み続けたい」ならリースバック、「借金を減らしたい」なら任意売却です。
リースバックは家賃が発生しますが、住み続けられます。任意売却は家を手放すことになりますが、市場価格に近い価格で売れるため、ローン残債を大きく減らせます。目的によって使い分けましょう。
不動産売却や資金調達に関する疑問は、FAQページでも詳しく解説しています。
後悔しない選択のために、ぜひご覧ください。
まとめ:買い戻しは「契約」が全て。相場の仕組みを理解し、書面で権利を守ろう
リースバックで家を買い戻せるかどうかは、最初の契約で9割決まります。
- 相場は売却価格の1.1倍〜1.3倍。
- 安く買い戻したいなら、あえて安く売る戦略も有効。
- 口約束は無効。「金額」と「期限」を書面にする。
- 買い戻し資金の調達は、親子間売買も視野に入れる。
「家を守りたい」というあなたの気持ちを逆手に取るような契約には注意してください。イエツグでは、お客様の利益を最優先に考え、無理のないプランをご提案します。契約書にハンコを押す前に、ぜひ一度ご相談ください。
リースバックか、売却して住み替えか。
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不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士