「毎月の返済負担を減らしたい」「 低金利のうちに金利を固定にしたい」などの理由で、住宅ローンの借り換えを検討されている方も多いのではないでしょうか。
2020年9月現在は歴史的な低金利ですので、借り換えには大きなメリットがありそうですよね。しかし住宅ローンの借り換えには、メリットだけでなくデメリットもあるため、借り換え後の返済シミュレーションを確認したうえでの慎重な判断が必要です。
本記事では、住宅ローンを借り換えるメリットやデメリットを、わかりやすく解説しています。住宅ローンの借り換えで悩まれている方は、ぜひご一読ください。
- 住宅ローンを借り換えるメリットとデメリット
- 住宅ローンの借り換えによる返済シミュレーション
- 毎月の返済が厳しい人は売却も視野に入れる
【動画目次】
00:00 はじめに
00:57 ①住宅ローンを借り換えるメリット
03:20 ②住宅ローンを借り換えるデメリット
05:22 ③借り換えするかどうかの判断基準
07:32 まとめ

不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
目次
住宅ローンを借り換えるメリット4選

住宅ローンを借り換えるメリットは、以下の4点です。
- 返済負担を減らせる
- 団信の保障を充実できる
- リフォーム費用を借り入れに含められる
- 固定金利に切り替えると金利上昇の不安をなくせる
1つずつ解説していきます。
1.返済負担を減らせる
住宅ローンを借り換えて、適用される金利が低くなると、毎月の返済額や利息額を下げられます。
たとえば、借入額3,000万円、金利2.0%、借入期間35年の住宅ローンを借り入れていたとしましょう。
借入当初の返済額は、毎月99,379円です。返済10年目で金利0.6%の住宅ローンに借り換えた場合、毎月の返済額は84,182円まで下げられます。※借り換え時の諸費用は考慮していません。
また借り換えでは、返済期間を短縮したりボーナス返済をなくしたりできるため、より現在の生活スタイルに合わせた返済プランに見直せる可能性があります。ただし、返済期間を延長できない点に注意しましょう。
2.団信の保障を充実できる
団体信用生命保険とは、住宅ローンを借り入れた人が死亡したリ高度障害状態に該当したりした場合に、保険金で残債が完済される保険です。借り換えることで、死亡・高度障害以外の状態でも、保障される団信に切り替えられる場合があります。
たとえば、auじぶん銀行の住宅ローンは、以下の保障が上乗せ保険料を負担することなく付帯されています。
- がん50%保障団信:所定のがんと診断された場合に残債が半分になる
- 月次返済保障:病気やけがで連続して31日以上入院したときに、住宅ローン返済月額(ボーナス返済額含む)と同額の保険金が支払われる
ただし金融機関によっては、団信の保障を充実させる際に、住宅ローン金利に0.1〜0.3%の上乗せが必要です。
団体信用生命保険の保障内容は、生命保険のように途中で見直せません。団信の保障内容で、借り換え先の住宅ローンを選ぶのも一つの方法です。
メリット3.リフォーム費用を組み入れられる
借り換え時にリフォームやリノベーション工事をする場合、工事費用を借り換え先の住宅ローン残高に含められる場合があります。
リフォームやリノベーションの工事費用は、リフォームローンで借り入れられますが、住宅ローンと比較して高金利。住宅ローンの借入残高にリフォームの工事費用を組み入れられると、低金利で借り入れられます。
また太陽光発電設備の導入費用も、住宅ローン残高に含められる場合があります。太陽光発電設備を設置して自家発電をすると、電気代を削減でき、余った電気は電力会社に買い取ってもらえるため、家計を楽にできる可能性があるのです。
メリット4.固定金利にすると金利上昇の不安をなくせる
返済期間中に金利が変わる変動金利で借り入れている人は、返済中に金利が変わらない固定金利に借り換えることで、金利上昇に対する不安をなくせます。
2020年9月現在の固定金利は、おおむね1%台前半です。ひと昔前の変動金利よりも低い値であるため、返済負担をあまり変えずに金利を固定できる可能性があります。
住宅ローンを借り換える際のデメリット・注意点2選

住宅ローンの借り換えには、一般的に以下のようなデメリット及び注意点があるといわれています。
- 諸費用がかかる
- 審査が再び必要
それぞれについて、確認していきましょう。
デメリット1.諸費用がかかる
住宅ローンを借り換えるときは、新規で借り入れるときと同様に、以下のような諸費用の支払いが発生します。
諸費用名 | 費用の目安 | |
1 | 登記費用 | 借入金額の0.1%+5〜10万円 |
2 | 収入印紙(印紙税) | 契約金額によって異なる |
3 | 事務手数料 | 数万〜数十万円 |
4 | 保証料 | 0〜数十万円 |
5 | 団体信用生命保険料 | 一括もしくは住宅ローン金利に上乗せ |
※金額は、金融機関によって異なります
諸費用は、借り換え時に一括で支払うか、住宅ローンの残高に含めて返済するかのどちらかを選べます。借り換えによる金銭的なメリットは、必ず諸費用の金額を含めて考えるようにしましょう。
もし住宅ローンの新規借入時に保証料を一括で支払っていた場合、借り換え時に残余期間に応じた金額が戻ってきます。戻ってきた保証料を、借り換え時の諸費用の支払いに充てるのも一つの方法です。
デメリット2.審査が再び必要となる
借り換えの際には、住宅ローン審査や団体信用生命保険の審査を再び受けなければなりません。審査の結果次第では、借り換えできない可能性があるのです。
たとえば、新規の借り入れから借り換えのまでの間に、マイカーローンや教育ローンなどを組んでいた場合や、転職をしていた場合は、住宅ローン審査に通過しづらくなります。
また、ほとんどの金融機関は、団信への加入を住宅ローンの借り入れ条件としているため、健康状態が悪く団信に加入できないと、借り換えはできないのです。
加えて、審査が完了するまでには時間がかかるだけでなく、源泉徴収票や健康診断の結果などの必要書類も集めなければなりません。
住宅ローンの借り換えには、手間や時間がかかるため、ご自身にとってメリットがあることを入念に確認してから行いましょう。
メリットが出る金利差とは?住宅ローンの借り換えをシミュレーション

ここで住宅ローンを借り換えた場合、どのような条件であれば金銭的なメリットがあるかシミュレーションで確認しましょう。
以下のように、借り入れから15年後に金利差が約1.5%ある住宅ローンへ借り換えするとします。
借り換え前 | 借り換え後 |
・借入額:3,500万円 ・返済期間:35年 ・金利:2.0%(変動) |
・15年経過後の借入残高:24,446,718円 ・残りの返済期間:15年 ・金利:0.41%(変動) |
なお、返済方式は、どちらも元利均等方式(毎月の返済額が一定である返済方式)とします。計算の結果は以下の通りです。
借り換え前 | 借り換え後 | 差額 | |
毎月の返済額 | 115,942円 | 106,112円 | -9,830円 |
返済総額 | 48,695,627円 | 44,017,619円 | -4,678,008円 |
うち利息総額 | 13,695,627円 | 9,017,619円 | -4,678,008円 |
※借り換え前の返済総額や利息総額は借り換えをせずに最後まで返済をした場合の金額
毎月の返済負担は約1万円、返済総額と利息総額は約469万円軽減できました。仮に借り換え時の諸費用が60万円であったとしても、約400万円の削減効果が期待できます。
ただし借り換え前後の金利差があまり無い場合や、返済期間が短い場合、借入残高が少ない場合は、借り換えの効果を得られません。
住宅ローンを借り換える際は、借り換え後の返済シミュレーションを入念に確認し、ご自身にとってメリットがあるかを慎重に判断しましょう。
住宅ローンの返済が厳しい場合は売却も視野に入れる

もし毎月の返済が厳しい方で、借り換えによる金銭的なメリットがあまりない場合は住宅を売却するのも一つの方法です。
たとえば、金利0.975%で4,000万円を返済期間35年(元利均等方式)で借り入れて、10年後に0.525%の住宅ローンに借り換えるとしましょう。借り換え前の返済額は毎月112,449円、借り換え後は106,469円となり、返済負担は約6,000円しか下がりません。
加えて数十万円の諸費用を支払わなければならないため、借り換えをしても金銭的な負担をあまり減らせないでしょう。
築年数が浅く立地の良い物件であれば、高額で売却できる可能性があります。毎月の返済負担を大幅に減らしたいのであれば、物件を売却して、より住居費が下がる選択をしてみてはいかがでしょうか。
まとめ:借り換えの失敗を防ぐには入念に計算して慎重に判断する
住宅ローンの借り換えは、諸費用の支払いも考慮に入れたうえで返済シミュレーションを確認し、ご自身にとってメリットがある場合に行いましょう。毎月返済負担が厳しいという理由で借り換えを検討されている方は、不動産を売却するのも選択肢の一つです。
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大手保険会社で培った知識と経験から、保険、不動産、税金、住宅ローンなど幅広いジャンルの記事を執筆・監修。