不動産を購入したときや相続したときに必要になる、登記。費用を少しでも抑えるために、「自分で登記できないか」と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
登記は、必ずしも専門家に頼まなければならないわけではありません。しかし、登記の種類によってはたくさんの書類を用意しなければならないケースもあり、専門的な知識が必要とされることもまた事実です。
そこでこの記事では、不動産のプロが自分で登記することのリスクと登記の専門家に依頼するメリット・デメリットを解説します。
自分で登記して費用を節約したい!と考えている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
だけどその場合には手間や時間がかかることがあって、さらに一定のリスクもあるから注意が必要だよ。
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
目次
中古物件や相続物件の登記は自分でできる
中古物件や相続物件の名義変更は、登記の専門家である司法書士にお願いすることが一般的です。ただ実は、当事者が自分で登記手続きすることも可能です。
各法務局では相談窓口を設けており、一般の方向けに登記についての相談業務を無料で行っています。司法書士に登記の代理を頼まず自分で登記申請をすれば、司法書士への報酬を支払う必要がなくなりますから、名義変更にかかるコストを抑えることができるのです。
登記は自分の権利を守るためのもの
では、そもそもなぜ登記が必要なのでしょうか?
それは、不動産の権利が自分にあるということを公示するためです。
不動産を購入したり、相続したりしたとしても、登記をしていなければ自分が所有者だと他の人に主張することができなくなってしまいます。自分の権利を守るために、不動産登記する必要があるんですね。
不動産の名義変更以外にも登記する機会がある
不動産の登記は、所有者変更に伴う名義変更のほか、不動産に関する様々なシーンで必要になります。
- 不動産の所有者が変わった→所有権移転登記
- 土地の地目を農地から宅地に変更した→地目変更登記
- 建物を新築した→表示登記・保存登記
- 不動産を担保にお金を借りた→抵当権設定登記
- 所有者の住所が変わった→住所変更登記
- 建物を取り壊して更地にした→建物滅失登記
不動産登記には、単独で申請できる登記と共同で申請できる登記の2種類があります。
例えば住所変更登記や建物滅失登記は、単独申請が可能です。一方、売買に伴う名義変更の場合は売主と買主の共同申請になります。
単独申請の場合は相手がいない登記なので、自分で登記したいと思ったら問題なくチャレンジできます。ただし共同申請の場合は相手の存在があるので、相手の理解がないと自分で登記をすること自体難しいこともあるので注意が必要です。
自分で登記する場合の基本の流れ
では肝心の自分で登記をする方法ですが、まずは登記の基本的な流れについて解説していきます。どの種類の登記でも、基本的に申請方法は同じです。
2. 必要書類を集める
3. 登録免許税を支払う
4. 登記申請をする
5. 登記が完了したら登記識別情報(権利証)を受け取る
登記の種類によって、申請書に記載する内容や必要な書類、登録免許税の額は変わります。
必要書類には、自ら作成する書類と役所で取得する書類があります。自ら作成する書類は、契約書や遺産分割協議書など。役所で取得する書類は、印鑑証明書や住民票、戸籍謄本などが当てはまります。
申請書の書き方や、必要な書類については法務局で聞くことも可能です。登録免許税は、収入印紙で支払います。登記申請から登記完了までだいたい1~2週間ほどでしょう。
中古物件を自分で登記する流れ
では、続いて中古物件を購入した場合はどのように登記をすることになるのでしょうか?
不動産会社に仲介によって不動産購入した際には、登記の専門家である司法書士が登記してくれるのが一般的です。ただ知人や親族同士などの個人取引の場合には、仲介手数料を節約するために不動産屋さんを介さないこともあるでしょう。
この場合は、売主と買主が一緒に申請する共同申請になります。個人間売買においても司法書士に依頼することはできますが、自分たちで登記する場合には以下の書類を用意しましょう。
- 所有権移転申請書
- 売買契約書
- 権利証
- 売主の印鑑証明書
- 買主の住民票
- 評価証明書
- 登録免許税(印紙で添付)
相続物件を自分で登記する流れ
では続いて、相続した物件を自分で登記する流れをみていきます。
相続した物件を自分で登記する場合には、不動産の持ち主が亡くなっているので相続人自らが単独で登記申請することになります。ただし、複数の相続人で相続不動産を共有する場合には、共有者全員で申請しなければなりません。
遺産分割協議によって不動産の持ち分を決めた場合、登記申請には以下の書類が必要になります。
- 所有権移転申請書
- 遺産分割協議書
- 死亡した方の出生から死亡までがわかる戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
- 不動産を相続する相続人の住民票
- 評価証明書
- 登録免許税(印紙で添付)
費用面だけ考えるのではなく、自分で登記する場合と専門家に依頼する場合の違いについても知っておこうね。
登記を自分でする場合と専門家に依頼する場合の違い
どの登記も基本的には申請書を作成して、必要な書類を添付し登録免許税を納めれば申請自体は完了するので、一見誰にでも簡単にできる作業のように思えるかもしれません。
しかし実際には申請書の書き方にルールがあったり、必要書類を取得するのに手間取ったりしてスムーズに登記申請できない場合が多いのも事実です。
登記の種類、内容によっては、お金を払ってでも専門家に依頼した方が良い場合もあります。
自分で登記するデメリット
自分で登記する場合のデメリットをまとめてみました。
- 法務局に行くために会社を休む必要がある
- 役所で必要書類を集めるのに手間がかかる場合がある
- 不動産トラブルに巻き込まれる可能性がある
- 所有権移転登記を自分でおこなうための条件がある
1.法務局に行くために会社を休む必要がある
まず、法務局は平日しか業務を行っていないので、登記の申請や相談には会社を休んで行く必要があります。登記相談は予約制だったり時間が限られていたりする場合があるので、内容によっては数回通うことも必要です。
遠方に物件があって、その不動産を管轄する法務局まで出向く場合には、さらに時間を取られる上に多額な交通費がかかる可能性もあります。
2.役所で必要書類を集めるのに手間がかかる場合がある
相続登記の場合は、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本や相続人全員の戸籍謄本が必要です。昔の戸籍謄本は手書きで形式も今とは違うため、出生までのつながりを追うのが素人には難しい場合もあります。専門家に頼めば費用はかかりますが、全て代わりに取得してもらえます。
3.不動産トラブルに巻き込まれる可能性がある
自分で登記をする場合、時間があるときにしようと思っていると危険です。
前所有者が、登記の名義がまだ自分にあることをいい事に物件を担保にお金を借りて抵当権を設定してしまうことも考えられますし、相続不動産の登記を怠っていると被相続人の債権者に物件を差し押さえられてしまう可能性もあるのです。
専門家に頼むとスムーズに確実に登記できるので、上記のようなリスクを回避できる可能性が高いといえるでしょう。
4.所有権移転登記を自分でおこなうための条件がある
なんでもかんでも自分で登記できるわけではありません。
具体的には住宅ローンを利用時の所有権移転登記や抵当権設定登記であり、自分で登記することができないことがほとんどです。
個人間売買で住宅ローンを利用せずに、自分で登記をしようと考えている方は多いと思います。
しかし、住宅ローンを利用する場合は金融機関とのやり取りが発生し、不動産売買の安全を担保するためにも登記の専門家である司法書士に依頼することが融資の必須条件としている金融機関がほとんどです。
特に、低金利でおなじみのネット銀行は、抵当権の設定登記は銀行指定と公式で発表していることから、自分で登記することは諦めましょう。
不動産を取得する場合多くの方が住宅ローンを利用されます。
住宅ローンを利用する場合は所有権移転登記が必須であり、自分で登記手続きをしたくても、金融機関の規定により司法書士による登記申請が必須ということです。
専門家に登記を頼むメリット・デメリット
簡単なようで、実は面倒な登記。「やはり自分で登記をするのが大変そうだな」と感じたら、登記の専門家として認められている司法書士にお願いすることをおすすめします。まずは、相談だけしてみてもいいでしょう。
専門家にお願いすると費用がかかるというデメリットがありますが、以下のようなメリットもあります。
- どんな内容の登記でもスムーズに対応してもらえる
- 戸籍謄本などの書類の取得を代行してもらえる
- 安心して取引ができる
1. どんな内容の登記でもスムーズに対応してもらえる
長年登記事項の変更をせず放置されていた不動産などの場合、実際は完済しているのに抵当権が抹消されていないなど、素人では現状の登記内容にどんな問題があるのかがわからないケースがあります。
司法書士にお願いすれば、実態を把握したうえで登記をしてもらえるので安心です。
2.戸籍謄本などの書類の取得を代行してもらえる
相続登記の場合、被相続人が転籍を繰り返していたり、相続人がたくさんいたりする場合には、戸籍謄本の取得だけでも手間がかかります。司法書士は相続手続きに必要な戸籍謄本等を代わりに取得することが認められているので、あらゆる手続きを代行してもらえます。
3. 安心して取引ができる
不動産は、非常に高額な取引。不動産会社や銀行を介さず売買をする場合には、相手が本当に信頼できる相手かどうかを見極めることが非常に大切です。
少し前に話題になった「地面師詐欺」のようなことも起こらないとも限りません。司法書士が立ち会うことで、トラブルになりそうな取引を未然に防ぐことができます。
相続登記が義務化されます!
ところで近年、相続登記がされずに所有者不明になってしまった不動産が急増して社会問題になっていることをご存知でしょうか?
山間部の山や林、古民家など、所有してもメリットがなく納税負担ばかりが増えてしまいそうな不動産の相続人が、あえて相続登記をしないケースが増えているのです。この問題を解消するために、2021年12月14日に所有者不明土地問題解消のため、民法をはじめ不動産登記法などの法改正の施工日について閣議決定しました。
施行日は令和6年4月1日となり、相続不動産の不動産登記が義務化となります。
今までは権利に関する登記(甲区、乙区)について登記の義務はなく、罰則規定もありませんでした。しかし、令和6年4月以降に正当な事由が無いのにもかかわらず登記を怠った場合、10万円以下の過料となりますので注意が必要です。
また、住所変更等の登記についても、改正法公布後5年を超えない範囲内で今後政令で定める予定とのことですので、いずれ義務化され罰則規定が設けられると思料されます。
・相続登記をしないまま次の相続が始まると相続人が枝分かれするように増えていき不動産の権利関係がどんどん複雑になり、所有者がわからなくなってしまう。
・公共事業のために収用の対象になっても誰が持ち主なのかわからないので交渉が進まない。
・空き家が増えることで周辺地域の治安が悪化する。
・災害があっても対応ができない。
不動産の登記を見直すには今がチャンス
もし長年登記をせずにいる不動産があれば、今が登記内容を見直すチャンスです。
とくに相続物件については、内容によって登録免許税の免税措置を受けることもでき、少ない負担で権利関係を整理できる可能性があります。
また近年は不動産価格が安定しており、空き家を有効活用した新たなビジネスモデルなども多数登場しているので、今なら条件の難しい不動産でもうまく売却できるかもしれません。
まとめ:登記は自分ですることもできるが、確実性と効率性をもとめるなら司法書士に依頼を
「登記は自分でしたいけど自信がない」「自分でも簡単にできる登記なのかどうかを知りたい」とお悩みでしたら、法務局に相談する前にまずは不動産会社に相談してみるのも一つの手です。
弊社イエツグでも自分で登記をしたいと考えている方や、個人間・親族間売買をお考えの方などに、ご希望に合わせたサポートをさせていただいております。必要があれば、不動産に精通した司法書士をご紹介することも可能ですので、ぜひお気軽にお問合せください。
しかしながら、住宅ローン利用時に金融機関から、司法書士に登記の依頼をしてくださいと言われるケースが大半です。
不動産取引の費用を節約したい方が本記事を閲覧していただいているかと思います。
「住宅ローンを利用するので司法書士を利用しなければいけない、でも不動産取引における諸費用は節約したい!」
そういったお客様のニーズにお応えするために、インターネットに掲載のある物件購入時の仲介手数料は無料+売主報酬55%プレゼント(キャッシュバック)もしくは仲介手数料定額18万2,900円(税抜)にてお手伝いしております。
不動産取引をしたいけど少しでもお得におこないたいという方は、是非一度お問い合わせください(匿名相談可)!
・登記を自分でする場合のリスク
・報酬を支払ってでも専門家にお願いした方がいいの?