不動産購入の諸費用は住宅ローンへの組み込みも可能!借り入れにいくらかかるかも徹底解説!

不動産購入で住宅ローンを借り入れる場合、手数料や税金などの諸費用の支払いが必要です。住宅ローンの諸費用額は物件価格の2%といわれており、金融機関や借入額によっては100万円近くかかることもあります。

また仲介手数料や不動産取得税などの諸費用も一定の金額が必要であるため、不動産購入には住宅ローンの諸費用を含め、物件価格の7~10%ほどのまとまった資金を準備しなければなりません。

不動産購入に際し、

「諸費用を支払うだけの現金がない」

「お金はあるけれども、できるだけ手元に残しておきたい」

と考えている方もいらっしゃるでしょう。その場合、不動産購入にかかる諸費用を住宅ローンや諸費用ローンに組み込むことも可能です。

ただし無計画にお金を借りてしまっては、住宅購入後の生活が苦しくなるだけそのため諸費用をローンで支払う場合は、何にいくらかかるのかを把握し、入念に資金計画を立てることが大切です。

そこで今回は、住宅ローンの諸費用や負担を抑える方法をわかりやすく解説します。

この記事で分かること
  • 諸費用をローンで支払う方法と注意点
  • 住宅ローンを借り入れる際に支払う諸費用の種類と金額
  • 住宅ローン諸費用の負担を抑える方法
執筆者 丹拓也
執筆者 丹拓也株式会社イエツグ代表取締役
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士

諸費用は「住宅ローンへの組み込み」や「諸費用ローン」で支払える

冒頭で述べた通り、不動産購入には物件価格の7~10%ほどの諸費用がかかります。

住宅ローンを借り入れるための諸費用は、そのうちの2%ほどを占めます。

基本的に諸費用は現金で用意する必要がありますが、金融機関によっては、諸費用額の一部もしくは全部を住宅ローンの借入額に含められるオーバーローンに対応しています。できるだけ低金利で諸費用分の資金も借り入れたい場合は、オーバーローンに対応した金融機関で住宅ローンを組みましょう。

ただし諸費用分も併せて借り入れると、毎月の返済負担が重くなります。そのため諸費用を住宅ローンに含める場合は、返済額が家計を圧迫しないかを確認することが大切です。

また住宅ローンを諸費用に組み込めない金融機関の中には、諸費用ローンを取り扱っているところもあります。諸費用ローンの金利は、2〜3%と住宅ローンと比較して高いため、借り入れるかどうかは慎重に判断しましょう。

住宅ローンの諸費用は何にいくらかかる?

では住宅ローンの諸費用には、どのようなものがあるのでしょうか?

諸費用の種類と、金額の目安を確認しましょう。

諸費用名 費用の目安
1 登記費用 借入金額の0.1%+5〜10万円
2 収入印紙(印紙税) 契約金額によって異なる
3 損害保険料(火災保険料・地震保険料) 10万~50万円
4 事務手数料 数万〜数十万円
5 保証料 0〜数十万円
6 団体信用生命保険料 一括もしくは住宅ローン金利に上乗せ
諸費用総額 物件価格の2%

それぞれの諸費用について、支払いが必要な理由を解説します。

1.登記費用:借入金額の0.1%+5〜10万円

住宅ローンを契約すると、抵当権設定登記をする必要があります。抵当権とは、住宅ローンを借り入れた人が返済できなくなった場合に、物件を担保として没収し、競売にかけて得た売却金を優先的に債務の回収に充てられる権利です。

不動産を購入する場合、所有者が誰であるのかを明確にするため、不動産登記をします。つまり住宅ローンを借り入れた場合は、不動産登記と抵当権設定登記の2つの登記手続きを行う必要があるのです。

抵当権設定登記の際に支払う登録免許税の金額は、「借入金額(債権価格)×0.1%」です。本来の税率は0.4%ですが、所定の条件を満たした住宅を購入する場合、2022年3月31日までは軽減税率が適用されます。

また登記の手続きには、法律の専門知識が必要となるため、司法書士に依頼するのが一般的です。そのため司法書士への報酬として、5〜10万円程度を支払う必要があります。

2.収入印紙(印紙税):契約金額によって異なる

印紙税とは、不動産売買契約書や住宅ローンの金銭消費貸借契約書に収入印紙を添付して収める税金です。

住宅ローン契約の印紙税は、不動産売買契約とは異なり軽減税率が適用されません。そのため住宅ローンの印紙税額は、以下の表の本則税率に記載されている金額となります。

契約金額 本則税率 軽減税率
10万円超 50万円以下 400円 200円
50万円超 100万円以下 1,000円 500円
100万円超 500万円以下 2,000円 1,000円
500万円超 1,000万円以下 10,000円 5,000円
1,000万円超 5,000万円以下 20,000円 10,000円
5,000万円超 1億円以下 60,000円 30,000円

※国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」をもとに作成

たとえば物件価格が3,000万円で、全額を住宅ローンで借り入れる場合、軽減税率が適用される売買契約書には10,000円分の収入印紙を添付します。一方で住宅ローンの契約書には、20,000円分の収入印紙の添付が必要です。

3.損害保険料(火災保険料・地震保険料):10万~50万円

火災保険とは、住宅が火災や風災、水災の被害に遭った際に、建物本体や家財(住居内の家具・家電など)の損害を補償する保険です。ほとんどの金融機関が、火災保険への加入を住宅ローンの融資条件としています。

地震保険は、火災保険の補償対象外である地震や津波が原因による損害を補償する保険です。住宅ローンの融資条件に、地震保険への加入は含まれていません。そのため地震保険に加入するかどうかは、個人の判断となります。

火災保険の保険料は、建物の構造や補償範囲、保険期間(補償される期間)、加入先の保険会社などによって異なります。一方で地震保険の保険料は、建物の構造と所在地によって決まり、保険会社による金額設定の違いはありません。

4.事務手数料:数万〜数十万円

事務手数料とは住宅ローンを借り入れる金融機関に対して支払う手数料です。事務手数料額の決まり方には、以下の2種類があります。

  • 定率型:借入額の1〜2%(税別)
  • 定額型:3万円や30万円などの定額
仮に事務手数料が借入額の2.2%(税込)である金融機関で、3,000万円を借り入れた場合、事務手数料の金額は66万円となります。

また住宅ローンの手続きを不動産会社に代行してもらう場合は3万〜数十万円程度のローン代行事務手数料を請求されることがあります。

5.保証料:0〜数十万円

保証料とは、住宅ローンの保証会社に保証人となってもらうために支払う費用です。

もし住宅ローンの返済が滞った場合、保証会社は住宅ローンを返済してもらえる権利(債権)を金融機関から買い取って、抵当権を行使し住宅を競売にかけます。

しかし競売で得られる売却金は、相場の6〜7割程度。そのため保証会社は、競売だけでは貸したお金の全額を取り戻せないため、住宅ローン契約者に保証料を支払ったもらい損失に備えているのです。

保証料の支払い方法は、以下の2種類です。

  • 外枠方式:住宅ローン契約時に一括で支払う方法
  • 内枠方式:住宅ローン金利に0.2%ほどを上乗せして支払う方法
外枠方式の場合、保証料額は、借入額と返済期間によって決まります。たとえば、りそな銀行の保証料は、借入期間が35年の場合、借入額100万円あたり20,614円です。そのため3,000万円を借り入れたときの保証料は、約61.8万円となります。※出典:りそな銀行

またネット銀行の住宅ローンでは、基本的に保証料を支払う必要はありません

6.団体信用生命保険料:一括もしくは住宅ローン金利に上乗せ

団体信用生命保険(以下、団信)とは、借り入れた人が死亡したり重い障害状態になったりした場合に、住宅ローン残債と同額の保険金が、保険会社から金融機関に支払われる保険です。多くの金融機関が、団信への加入を住宅ローンの融資条件としています。

団信の保険料は、金融機関が負担してくれることもあります。もし保険料の支払いが必要な場合は、住宅ローン契約時に一括で支払うか、金利に上乗せして支払うかを選択可能です。

団信の詳細については、以下の記事に詳しくまとめてありますので、併せてご確認ください。

<内部リンク:「住宅ローン 団信」>

住宅ローンの諸費用を抑えるポイントは火災保険と団信

団信の保証料の支払いを金利上乗せに

住宅ローンに付帯させる団体信用生命保険料は、保証内容によっては高額にもなります。

ただし、購入時に現金を用意できない・現金で支払いたくないという場合には、保証料を一括で支払わずに、毎月の返済の金利に上乗せることも可能です。

毎月の負担は増えますが、選択肢の1つとして支払い方を検討してみるといいでしょう。

火災保険を自分で探す

住宅ローン諸費用の中で、最も負担を抑えやすいのは火災保険料です。火災保険は、不動産会社がすすめる商品に加入する必要はなく、ご自身で保険料が最も安い保険会社を選べます。

さらに保険会社によってはホームセキュリティ割引」や「オール電化住宅割引などを実施しています。複数の見積もりを比較し、もっとも保険料負担の低い保険会社で火災保険に加入しましょう

また購入予定の住宅が建っているエリアのハザードマップを確認し、浸水や土砂災害の恐れがない場合は、水災の補償を削ると保険料を節約できます

加えて火災保険の保険期間(補償が有効である期間)は、最長の10年で契約するのがおすすめです。

近年は、自然災害によって住宅が損害を受けるケースが増えた影響で、火災保険料が値上がりしています。保険期間を最長にして契約すると、契約から2,3年後に保険料が値上がりしても、保険期間の満了までは値上がりの影響を受けなくて済むのです。

団信の代わりに生命保険(収入保障保険)に加入する

もし団信の保険料の支払う必要のある住宅ローンを組む場合、あえて団信に加入せずに収入保障保険に加入する方法があります。

収入保障保険に加入すると、死亡または高度障害になった場合に、毎月一定額の保険金が保険期間の満了まで支払われます。毎月の保険金額を住宅ローンの返済額、保険期間を住宅ローンの完済年齢に設定すると、団信の代わりとなるのです。

収入保障保険の中には、「喫煙していない」のような所定の条件を満たす健康な人が加入すると、保険料を割り引いてくれるものがあります。また収入保障保険で支払った保険料は生命保険料控除の対象であるため、所得税や住民税を節税できる可能性があります。

このように、団信に加入するよりも収入保障保険に加入した方が、金銭的な負担を抑えられる場合があるため、検討してみるといいでしょう。

保証料が0円の住宅ローンはお得ではない

ネット銀行の住宅ローンのように保証料が無料である金融機関は、事務手数料が借入額の2%と高額です。反対に大手都市銀行や地方銀行などは保証料を高額にする代わりに、事務手数料は約3万〜5万円に設定しています。

よって、どの金融機関も保証料と事務手数料の合計額はほぼ同じであるため、保証料が無料だからお得とは限らないのです。

むしろ保証料は、繰り上げ返済や借り換えをすると残りの返済期間や返済残高に応じた金額が戻ってきますが、事務手数料は戻ってきません。将来的に繰り上げ返済をする予定がある方や、借り換えをする選択肢を残したい方は、保証料が高額な住宅ローンを選ぶと良いでしょう

まとめ:諸費用は住宅ローンに組み込める!諸費用を抑えることも可能

住宅ローンを借り入れる場合、物件価格の2%ほどの諸費用を負担する必要があります。住宅ローンの諸費用を現金で支払いたくない場合は、返済負担を確認したうえで住宅ローンや諸費用ローンを利用すると良いでしょう。

もし住宅をできるだけお得に購入したいのであれば、住宅ローンの諸費用だけでなく、仲介手数料のような不動産購入時に発生する高額な諸費用も抑えることが大切です。

弊社イエツグの仲介手数料は、物件の価格にかかわらず定額の182,900円です。さらに売主様から仲介手数料をいただける物件は、「仲介手数料無料+現金キャッシュバック」となるキャンペーンを実施しています。

そのためイエツグでは、仲介手数料を法律の上限である「物件価格×3%+6万円」としている不動産会社よりも、お得に住宅を購入いただけます。どうぞお気軽にご相談ください。

イエツグは、住宅とともに想いを”人から人に継ぐ”という願いから付けた社名です。仲介手数料を格安・定額にすることで、節約できた費用を住宅の質を向上させるために使っていただきたいと考えております。住まいを”継ぐ”には、耐震性や価値を向上することが不可欠だと思うからです。 イエツグ代表の私、丹は、元消防士。東日本大震災で多くの家屋が倒壊し、大切なものを失った方々を目の当たりにしたことにより、既存住宅の価値を上げ、良質な住宅を流通させることがこの国の急務なのではないかと考えるようになりました。小さな会社ではありますが、社員一同、同じ志を持って対応させていただいております。ぜひ一度ご相談ください。
監修者 品木彰
監修者 小林だいさく金融ライター、ファイナンシャルプランナー。
大手保険会社で培った知識と経験から、保険、不動産、税金、住宅ローンなど幅広いジャンルの記事を執筆・監修。

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