不動産会社がネット銀行の住宅ローンを勧めない理由とは?営業マンの建前と本音を解説!

「住宅ローンの返済負担はできるだけ減らしたい!」というのは、住宅を購入する誰しもが考えること。負担減のため、住宅ローンの金利がより低いネット銀行の利用を検討されている方も多いのではないでしょうか?

しかし多くの不動産会社は、「ネット銀行の住宅ローンにはリスクがあるので危険です」と言って、ネット銀行を勧めません。中には、「この物件を購入したいのであればネット銀行は使えないです」と言ってくる不動産会社もあります。

ではなぜ不動産会社は、ネット銀行を勧めないのでしょうか?それは、お客様がネット銀行で住宅ローンを組むと、不動産会社の営業マンにさまざまな不都合が発生するからです。

そこで本記事では、不動産会社の営業マンがネット銀行の住宅ローンを勧めない理由について解説していきます。

本記事を読んでいただくことで、住宅ローンの総返済額が100万円も200万円も変わってくる可能性があるため、ぜひ最後までご一読ください。

この記事で分かること
  • 住宅ローン選びが大切な理由
  • 不動産会社がネット銀行を勧めない表向きの理由
  • 不動産会社がネット銀行を勧めない本当の理由
イエツグくん
今回も不動産会社の”裏側”を暴露しちゃうよー!
執筆者 丹拓也
執筆者 丹拓也株式会社イエツグ代表取締役 不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。 保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士

不動産購入で住宅ローン選びが大切な理由は「金利と返済額が変わるから」

最初に本記事の根幹をお伝えすると、「不動産会社がネット銀行を利用できないと言うなら仕方ないか」と簡単にあきらめてはいけないということです。

不動産の購入において、住宅ローン選びは非常に大切です。住宅ローンの金利は、金融機関によって違い、選択次第で返済額が大きく変わるためです。

たとえば、5,000万円の物件を、44歳以下の方が返済期間35年(元利均等方式)で住宅ローンを組んだとしましょう。この場合、金利がたった0.1%違うだけで、総返済額は約90万円も変わってしまうのです。

2020年5月21日現在の金利は、都市銀行の変動金利が0.525%であるのに対し、ネット銀行の変動金利の最安値は0.38%となります。※auじぶん銀行で「auじぶん銀行の住宅ローン」と「じぶんでんき」をセットで契約した場合

都市銀行とネット銀行の金利差は、0.145%です。そのため、住宅ローンを35年間返済し続けた場合、総返済額は約130万円と軽自動車1台買えるほどの金額が変わります。

ネット銀行の住宅ローンは、申込手続きの全てをウェブ上で完結できます。よって、人件費がかからない分、窓口のある都市銀行や地方銀行、信用金庫よりもネット銀行の方が金利は低くなります。

ではなぜ、購入希望者にとってメリットがあるネット銀行の住宅ローンを、多くの不動産会社は勧めないのでしょうか?

次項から、不動産会社がネット銀行をすすめない表向きの理由と、本当の理由を解説していきます。

不動産会社がネット銀行の住宅ローンをすすめない表向きの理由

金利が低いのであれば、ネット銀行の住宅ローンを積極的に利用したいものですよね。しかしお客様が不動産会社の営業マンに、ネット銀行で住宅ローンを組みたいと伝えると、多くの場合でこう言われてしまいます。

ネット銀行の住宅ローンは、5年ルールと125%ルールが適応されないため、リスクが高くてかなり危険です

5年ルール・・・?125%ルール・・・?
と、「???」が浮かんでしまったあなたも大丈夫。

ここからは、5年ルールと125%ルールそれそれの仕組みも含めて、5年ルールと125%ルールが適応されないリスクについて解説していきます。

「5年ルール」と「125%ルール」の仕組み

「5年ルール」と「125%ルール」は、返済期間中に金利が変わる可能性のある、変動金利型の住宅ローンに適用されるルールです。具体的には以下の通り。

  • 5年ルール:返済額は5年に1度しか見直されない仕組み
  • 125%ルール:見直し後の返済額は見直し前の125%までしか上昇しない仕組み
変動金利型の住宅ローン金利は、半年に1度見直されます。しかし半年に1度の金利見直し時に返済額まで変わってしまうと、金利が上がり続けた場合、ローンの返済負担が生活を大きく圧迫してローンを返済できなくなってしまうかもしれません。

住宅ローンの返済を滞らせる人が増えてしまうと、銀行は経営できなくなってしまいます。そこで金利が上昇しても、借り主が住宅ローンの返済に困らないように、5年間は返済額を据え置いてくれるのです。

そのため金利が変化しても、返済額が見直されるタイミングでない場合、返済額はそのままで元金と利息の割合のみが変わります。

また、5年後の返済額を見直すタイミングで、金利が5年前と比較して大きく上昇したとしても、返済額は見直し前の1.25倍(=125%)までしか上昇しません。

たとえば、月々の返済額が10万円であるとしましょう。見直し後の返済額が20万円となるほど金利が上昇していても、125%ルールにより返済額は125,000円となり、返済負担が急激に増えるのを防げます。

以上の点から、「5年ルール」や「125%ルール」のない変動金利型住宅ローンは、半年ごとに返済負担が上がり続けるリスク返済負担が急激に増大するリスクがあるのです

イエツグくん
「5年ルール」や「125%ルール」がないことによるリスクはあるよ。だけど、不動産会社がネット銀行を勧めない理由はほかにあるんだ…!

不動産会社がネット銀行の住宅ローンを勧めない本当の理由

不動産会社がネット銀行を勧めない理由は、5年ルールと125%ルールの有無ではありません。なぜならネット銀行の住宅ローンのほとんどに、5年ルールや125%ルールがあるためです。

実際に、5年ルールと125%ルールのない銀行は、ソニー銀行と新生銀行のみ。他のネット銀行の変動金利型住宅ローンには、5年ルールや125%ルールが存在します。

しかし、5年ルールと125%ルールのないネット銀行が2行しかないにもかかわらず、不動産会社はネット銀行にこれらのルールがないと説明するのでしょうか?

それは不動産会社がネット銀行を勧めない理由が別にある、もしくは5年ルールと125%ルールが存在しないのはソニー銀行と新生銀行のみであることを知らないためです。

また、そもそも5年ルールや125%ルールがないから危険とも限りません

日本は2022年現在、日本銀行による金融緩和政策により、住宅ローンは超低金利時代が続いています。2022年1月にはauじぶん銀行の変動金利0.289%と住宅ローン金利は0.2%台に突入しています。

未来の予測は難しいですが、日本の景気が大きく回復しない限り金融緩和政策はしばらく継続されるでしょう。

金融緩和政策が継続される限り、住宅ローンの金利は現在のような低金利状態が続き、急激な金利上昇は、短期的には起こりにくいといえます。

では、不動産会社がネット銀行をすすめない理由は何なのでしょうか?本当の理由は次の2つです。

  • そもそも不動産屋がネット銀行と取引ができない
  • 不動産会社の営業マンの手間や時間がかかるから
次項から順番に詳しく解説していきます。

本当の理由1.そもそも不動産屋がネット銀行と取引ができない

不動産を購入する人の多くは住宅ローンを利用するため、必然的に不動産会社と銀行のやりとりは増えて関係が密接になります。

しかし銀行は、過去に違法や不正を行ったことのある不動産会社とは決して取引しません。そのため不動産の契約を結ぶ不動産会社と、住宅ローンを組もうとしている銀行が取引停止となっている場合、お客様は希望の銀行で住宅ローンを組めないのです。

ここで、不動産会社の立場になって考えてみましょう。もし物件を購入予定のお客様が、自社と取引停止となっているネット銀行で住宅ローンを組もうとしていると知ったとき、不動産会社の営業マンはどのような気持ちになるでしょうか?

不動産会社の営業マンは、お客様に取引停止となっている銀行を利用して欲しくないと思うでしょう

しかし不動産会社は「〇〇銀行と弊社は取引停止となっているので他の銀行を利用してください」とは正直に言いません。

あなたは過去に不正を働いた疑惑のある不動産会社で、住宅を購入するでしょうか?きっと他の不動産会社を利用しますよね。

そのため取引停止になっていることをお客様に知られると、お客様は別の不動産会社経由で物件を購入しようとします。

そこで、自社と取引停止になっているネット銀行をお客様が利用しないように「ネット銀行は返済額が急激に増えるリスクがある」と言ってくるのです。

本当の理由2.不動産営業マンの手間や時間がかかるから

また、取引のないネット銀行を利用されてしまうと、不動産営業マンにとって次の3つのデメリットが発生します。

  • 審査が遅い
  • ローンの進捗について介在できない
  • 融通が利かない
それぞれについて詳しく解説していきます。

審査が遅い

住宅ローンを借りる際は、金融機関によって借りる人の年収や勤務先、他の借り入れ状況などがチェックされ、融資をしても大丈夫かどうか審査されます。

ネット銀行以外の窓口がある都市銀行や地方銀行、信用金庫などは、早ければ当日、遅くとも3〜4営業日で審査が完了します。しかし、ネット銀行の場合は、審査が完了するまでに1週間以上かかることも珍しくありません。

住宅ローンの審査を行っている間に、お客様が住宅を購入する意欲が下がって契約をキャンセルされてしまうと、不動産会社や営業マンの売上が減ってしまいます。

お客様からの契約キャンセルを防ぐためにも、審査期間の長いネット銀行はできるだけ利用してほしくないのです。

ローンの進捗について介在ができない

不動産会社は、全てのネット銀行と提携しているわけではありません。もしお客様が利用するネット銀行と不動産会社が提携していない場合不動産営業マンはお客様のローン審査の進捗状況を確認できなくなります。

営業マンが「お客様の本審査の回答はいつ頃ですか?」と銀行に質問しても「個人情報なので教えられません」と回答を拒否されてしまうのです。

ノルマが厳しい不動産会社の営業マンは、次の契約に向けてスケジュールを立てなければなりません。そのため、今後のスケジュールを把握しづらいネット銀行はわずらわしい存在なのです。

融通が利かない

銀行の審査スケジュールは「銀行と契約してから5営業日以降でなければ融資が実行できない」のように、詳細に決められています。

しかし、窓口がある銀行では「何とか月末までに融資を実行してくれませんか?」と不動産営業マンが依頼すると、融通を効かせて早めに融資を実行してくれる場合があるのです。

不動産会社の売上である仲介手数料は、契約時に半分、物件の引渡時に残りの半分をもらう会社が多いです。そのため契約から物件の引渡までを早めに完了させて、仲介手数料を全額もらった方が、歩合制であることの多い不動産営業マンの収入は増えます

しかしネット銀行の場合は、窓口のある銀行のように審査の融通が利きませんもし契約日から引渡日が月をまたげば、得られる仲介手数料が半分となり営業マンの収入が大きく下がってしまう可能性があるのです。

まとめ:ネット銀行を勧めない理由は「不動産会社本位」のことがほとんど

不動産会社は、ネット銀行の住宅ローンに5年ルールと125%ルールの適用が無く、リスクが高いように説明してネット銀行を使わないように誘導してきます。

しかし2022年1月時点で、5年ルールと125%ルールが適用されないのはソニー銀行と新生銀行の住宅ローンだけ。そのため、不動産会社がネット銀行をお客様に利用して欲しくない真の理由は、5年ルールと125%ルールの存在ではなく、以下の2つにあるといえるでしょう。

◯不動産会社がネット銀行を勧めない真の理由
  • 1.過去の不正により不動産会社とネット銀行の取引が停止になっていることを正直にいうとお客様を逃してしまうため
  • 2.ネット銀行は審査が遅い、審査に介在できない、融通が利かない、など不動産営業マンにとってデメリットの多い存在であるため

たしかに、5年ルールや125%ルールがないリスクはあります。

しかしリスクを理解をして対策を練り、自分が納得したうえでネット銀行の住宅ローンを利用するのであれば、リスクの有無は大きな問題ではありません。

住宅購入に失敗したくない方は、専門家である不動産屋の話しだけを鵜呑みにするのではなく、ご自身で住宅ローンについて学ぶことが大切です。

弊社イエツグには、FP資格や住宅ローンアドバザーなど住宅購入に関する専門知識を持ったスタッフが、あなたの住宅ローン選びを徹底的にサポートいたします。

ネット銀行も含めて、日本全国にある金融機関の住宅ローン商品を全て加味し、最適な金融機関をご提案いたします。

住宅ローンについてのご相談は無料で承っておりますので、お気軽にご相談ください。

また、弊社は住宅ローンの相談にとどまらず、諸費用として不動産購入の際にかかる仲介手数料は定額18万2,900円(税抜)です。

一般的な不動産会社と比べて大幅に諸費用を抑えることができる為、

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という方は是非一度弊社イエツグまでご連絡ください!

イエツグは、住宅とともに想いを”人から人に継ぐ”という願いから付けた社名です。仲介手数料を格安・定額にすることで、節約できた費用を住宅の質を向上させるために使っていただきたいと考えております。住まいを”継ぐ”には、耐震性や価値を向上することが不可欠だと思うからです。 イエツグ代表の私、丹は、元消防士。東日本大震災で多くの家屋が倒壊し、大切なものを失った方々を目の当たりにしたことにより、既存住宅の価値を上げ、良質な住宅を流通させることがこの国の急務なのではないかと考えるようになりました。小さな会社ではありますが、社員一同、同じ志を持って対応させていただいております。ぜひ一度ご相談ください。

監修者 品木彰
監修者 小林だいさく金融ライター、ファイナンシャルプランナー。
大手保険会社で培った知識と経験から、保険、不動産、税金、住宅ローンなど幅広いジャンルの記事を執筆・監修。

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