お住まいを探している人の中には、中古住宅をリフォームして新築に近づけたいと考えている人も多いのではないでしょうか?
中古住宅をリフォームするならば、費用を抑えるために補助金制度を利用するのがおすすめです。補助金を利用してリフォーム費用の持ち出しを減らせれば、住宅購入資金に充てる金額も増やせます。
本記事では、中古住宅のリフォームに利用できる補助金制度に加え、リフォームによって適用される減税制度についても解説します。
- 補助金制度の探し方
- 中古住宅のリフォームに利用できる補助金制度
- リフォームによって適用される現在制度
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
目次
中古住宅のリフォームに利用できる補助金制度
中古住宅のリフォームには、様々な補助金制度を利用できます。
まずは、自治体ごとの補助金制度と国が運営する補助金制度について解説します。
自治体の補助金制度を探す方法
効率的に補助金制度を探すためには、情報検索エンジンで検索するのがおすすめです。
普段は触れる機会があまりなくてご存じないかと思いますが、住宅リフォームについては自治体ごとに様々な補助金制度が定められています。ただし、問い合わせなどで全部を把握するのは大きな時間と労力が必要です。
また、同じ自治体の中でも、補助金の内容によって担当部署が違うことは多々あります。複数の窓口に問い合わせするのは手間がかかるものです。しかし、検索サイトを利用してエリアごとに絞り込んでいけば、手軽に情報をピックアップできます。
goo住宅・不動産
検索エンジンgooでは、住宅に関する補助金もしくは助成金制度のほか、子育てに関する給付金制度などを自治体ごとに検索できるようになっています。
中古住宅のリフォームに関する補助金・助成金制度を探すのであれば、「住まいの給付金(補助金・助成金)」の一覧から「増築・改築・改修」をクリックし、自治体ごとに絞り込んでいくのが効率的です。
地方公共団体における住宅リフォームに係る支援制度検索サイト
一般社団法人住宅リフォーム推進協議会が運営するwebサイトでは、制度内容と都道府県を選択すれば、住宅リフォームに関する補助金・助成金制度を検索できます。
▶地方公共団体における住宅リフォームに係る支援制度検索サイト
こちらのwebサイトは「goo住宅・不動産」と重複する内容もありますが、両方とも確認しておけば、チェック漏れを防げるでしょう。
補助金制度利用上の注意点
補助金制度を検索していくと、国の補助金制度と自治体の補助金制度とで内容が重複しているものも見つかるかもしれません。内容が重複している補助金については、併用できるものとできないものとがあります。
補助金制度を併用できないのは、自治体の補助金制度が国庫を財源としている場合です。併用が認められない理由は、国費の二重取りを防ぐためです。しかし、財源が別々であれば併用できる可能性が高いので、問い合わせ窓口に確認してみると良いでしょう。
長期優良住宅化リフォームをした場合の補助金制度
リフォーム工事で定められた基準を満たす場合は、「令和2年度長期優良住宅化リフォーム推進事業」の補助対象となります。補助金制度の概要は、以下の通りです。
補助対象となる住宅 | 戸建住宅と共同住宅のいずれも対象 |
補助対象となる工事 | 住宅の性能を向上させるリフォーム工事 玄関やトイレの増設など三世代同居対応工事 子育て環境の整備に貢献する工事 |
補助率 | 工事費用のうち3分の1 |
補助限度額 | 工事内容によって1戸あたり100万円〜300万円 |
交付申請期限 | 交付申請書の郵送期限は2021年1月29日(必着) |
(出典:建築研究所)
補助対象となる工事のうち、「住宅の性能を向上させるリフォーム工事」とは、たとえば以下の工事などが該当します。
- 断熱サッシの導入など省エネ工事
- 給排水管の更新など住宅の維持管理に伴う工事
- バリアフリー設備の導入工事
補助金申請の必要要件
長期優良住宅化リフォーム工事に関する補助金制度を利用するためには、リフォーム後の住宅が以下の性能を有することが必要です。
- 躯体構造等の劣化対策が施されていること(住宅の骨組みが劣化するのを防ぐ工事)
- 耐震性が確保されていること
- 省エネ対策が施されていること
また、リフォーム工事を施工する前には、「インスペクション」を実施することが義務付けられています。インスペクションとは専門家による点検調査のことです。雨漏りやシロアリ被害などの有無を確認する調査が含まれています。
さらにインスペクションに加え、工事履歴を示す書類の作成と保存も義務付けられています。書類作成については、施工業者に相談すると良いでしょう。
中古住宅のリフォームで利用できる減税制度
リフォーム工事の中には、補助金だけではなく、所得税と固定資産税の減税を申請できるものもあります。
ここからは減税制度の詳細について解説します。
長期優良住宅化リフォームをした場合の減税制度
先述で長期優良住宅化リフォームの補助金について解説しましたが、当該リフォームは補助金の他に減税も申請可能です。
所得税の減税
長期優良住宅化リフォームは、補助金を利用する場合でも、50万円以上の費用を自費で支払う場合、所得500万円までの部分に対して10%が所得税から控除されます。
具体的には、たとえば所得が600万円であれば50万円が控除され、所得が400万円であれば控除額は40万円です。
この減税制度は「投資型減税」に分類され、現金または返済期間5年未満の短期ローンで工事する場合に適用されます。なお、投資型減税は、補助金制度で解説した劣化対策・耐震性確保・省エネ性能確保の3種類全部の工事を施工した場合に利用可能です。
もう1つ、「ローン型減税」に分類される減税制度もあります。返済期間5年以上のローンを利用する場合は、ローン型減税の対象です。また、ローン型減税は、劣化対策と省エネ性能確保の2種類しか施工しない場合でも利用できます。
ただし、2種類しか工事をしない場合は補助金の給付対象になりません。なお、ローン型減税も補助金を除いて50万円以上の支払いが必要です。控除額は劣化対策工事費用のうち2%とそのほかの工事費用1%までです。最大62.5万円が5年間控除されます。
固定資産税の減税
劣化対策・耐震性能確保・省エネ対策の3種類を施工した場合は、固定資産税のうち3分の2が減税されます。なお、減税される期間は1年間です。
耐震改修リフォーム
ここまで長期優良住宅化リフォームについて解説してきましたが、耐震改修リフォーム単体にも減税制度があります。減税対象となる住宅は、以下の要件を満たすことが必要です。
- 1981年5月31日以前に建築された建物であること
- 申請者が居住するための住宅であること
- 工事内容が現行の耐震基準に適合していること
- 2021年12月31日までに工事を施工すること
所得税の減税
工事費用から補助金額を差し引いた金額のうち、10%までが所得税から控除されます。ただし、控除額の上限は25万円です。なお、控除対象期間は1年間となります。
固定資産税の減税
耐震改修工事を施工すると、税額のうち2分の1を上限として固定資産税が減税されます。減税期間は1年間です。
また、家屋面積120㎡相当分までとされているため、建物の面積が120㎡を超えている場合は適用範囲が限定されます。
省エネ化リフォーム
省エネ化リフォームも単体でも減税制度が利用可能です。減税適用対象となるためには、以下の要件を全部満たす必要があります。
- 2021年12月31日までに申請者が居住していること
- 工事完了後6ヶ月以内に入居していること
- 減税を受ける年の年収が3,000万円以下であること
- 補助金を除いて50万円以上の費用がかかる工事であること
- 一般省エネ改修工事に該当する工事であること
- 50㎡以上の面積を持った住宅であること
- 店舗や事務所と兼用する住宅の場合は、住居部分が半分以上の面積を占めていること、費用の半分以上が住居部分の工事費用であること
所得税の減税
太陽光発電設備を設置する場合は35万円、設置しない場合は25万円を限度として所得税が減税されます。
なお、減税額は、国が定めた計算方法で「一般省エネ改修工事の標準的な費用の額」を算出することによって決定されます。一般省エネ改修工事の標準的な費用の額のうち、10%相当額が減税額です。
固定資産税の減税
省エネ化リフォームを施工すると、1年間に限り固定資産税額のうち3分の1が減税されます。
なお、固定資産税についても家屋面積120㎡相当分までが限度です。
まとめ:中古住宅のリフォームは補助金制度を使ってお得に!
中古住宅のリフォームに利用できる補助金制度には、各自治体が運営しているものと国が運営しているものとがあります。自治体が運営している補助金制度を探すためには、検索サイトを利用するのが効率的です。
また、工事内容によっては補助金制度と減税制度とを両方とも活用できるものがあるので、工事の計画時にチェックしてみてください。
現在はフリーライターとして、国内不動産および海外不動産投資関連の記事を多数執筆している。