不動産の売却価格は、不動産会社による「査定」の結果が大きく影響します。査定結果は査定方法や、査定を行う不動産会社によって結果がさまざま。査定結果を売り出し価格にどう反映させるかによって、売却のスピードや金額も大きく変わってくるのです。
不動産を売りたい売主は、査定に対してどんな注意をすればいいのでしょうか?
今回は不動産の価値を判断する査定の方法と、不動産の売買価格となる売り出し価格の関係についてご紹介します。
- 不動産価値を査定する3つの方法
- 査定価格と売り出し価格の違い
- 査定を依頼する時の注意点
物件に応じた3つの方法で、的確に価値を算出するよ!
目次
不動産の査定方法の3つの種類
不動産の金銭的価値を見定める査定は、売買を仲介する不動産会社によって行われます。
査定は物件の種類や条件などに応じて、以下の3つの方法で行われます。
- 原価法
- 取引事例比較法
- 収益還元法
戸建ての建物部分は「原価法」
原価法は、対象の物件を現時点で新築したと仮定した価格から、築年数に応じて減価修正を行う査定方法です。
仮に、総面積200平方メートルの築15年木造一戸建てを査定するとします。木造新築の単価が1平方メートルあたり30万円の場合は、以下のようになります。
- 200平方メートル × 30万円 = 6,000万円
- 6,000万円 × (22年※木造建築の法定耐用年数 -15年) ÷ 22年 = 1,909万円
もちろん査定では、劣化の状況やリフォーム履歴、地域の需要なども考慮されますが、ざっくりとしたイメージは上記です。
この査定方法は、主に個人向けの戸建て住宅の建物部分に採用されています。
マンション・土地の査定は主に「取引事例比較法」
取引事例比較法は、対象の不動産に近い条件の取引価格と比較する査定方法です。
不動産物件の査定方法としては一般的な方法とされており、マンションや戸建ての土地部分などの査定に用いられます。
投資物件の査定は主に「収益還元法」
収益還元法は、対象の不動産が将来生み出すと予想される収益の総額を試算し、不動産の価値を求める査定方法です。この査定方法は、主に投資向けの収益物件の査定に用いられます。
計算方法には、「直接還元法」「DCF法」の2種類があります。
1. 直接還元法
直接還元法は、一定期間に生み出される総収益と還元利回りから、不動産の価値を導き出す査定方法です。以下の計算式を用いて価値を算出します。
この式における純収益は、総収益から経費を差し引いた後に残る利益を指しています。仮に一年間の総収益が300万、経費が100万、還元利回りが5%とされる物件を直接還元法で査定すると
(300万円 - 100万円) ÷ 5% =4,000万円
という価値が導き出されます。
なお、直接還元法は収益が永遠に続くと見なした計算となるため「永久還元法」とも呼ばれています。
2. DCF法
DCF法は「現在よりも将来のお金は価値が下がる」という考えから、物件の保有期間に得られる純利益と売却時の想定価格を現在価値に割り引いて算出する査定方法です。
仮に年間200万円の収益が得られる物件を、3年後に2,000万円で売却する想定とします。
そのまま計算すれば
2,000万円 + (200万円 × 3年) = 2,600万円
となりますが、DCF法では未来には現在より価値が下がると考え、一定の割引率で価値の減少を考慮します。
割引率を5%と想定した場合、各年度の収益は
1年目:200万円 ÷ (1+0.05) = 190万円
2年目:200万円 ÷ (1+0.05)² = 181万円
3年目:200万円 ÷ (1+0.05)³ = 173万円
さらに3年後の物件価格を現在価値に割り引くと
2,000万円 ÷ (1+0.05)³ = 1,728万円
これらを合計し、この物件の不動産価格は
190万円 + 181万円 +173万円 + 1,728万円 = 2,272万円
と算出されます。
査定価格と売り出し価格はどんな関係があるのかな?
不動産の「査定価格」と「売り出し価格」の違いとは
不動産は、必ずしも査定で算出された価格のまま売却できるとは限りません。
物件の状態や需要の変化により、実際の売却価格は上がりも下がりもします。売主は市場の変化を踏まえ、売り出し価格を決めましょう。
査定価格はあくまで参考価格
査定価格は、あくまで一定の計算式に基づき価値を算出された価値です。物件に需要があれば査定価格以上で売れる場合もあり、需要がなければ下げても売れません。
売り出し価格は、売主自身が任意で設定する不動産の値段です。査定価格は参考価格であるため、いくら高い売り出し価格をつけるも売主の自由です。
ただし、あまりに相場からかけ離れた高い売り出し価格をつけてしまうと、なかなか買い手がつきません。不動産会社も売れない物件を積極的に管理したがらず、積極的に販売活動をしてもらえなくなる恐れがあります。
売却期間を想定しておく
売り出し価格を決める際には、同時にいつまでに売りたいかの売却期間も想定しておきましょう。
不動産は売りに出してもすぐに買い手がつくとは限らず、また査定額よりも高めに値付けをした物件は、売却までの時間を必要とする傾向があります。
売却まで長い期間を待てるなら高めの価格で様子を見つつ、徐々に値下げして市場の様子をうかがう余裕をもてるでしょう。ただしあまり細かく値下げを繰り返すと、価格の信頼性を失い買主から敬遠される恐れがあります。
一方、売却までの期間が決まっており、急いで現金化したい場合には、査定額よりも低めの価格で早期売却を狙うのもひとつの選択肢です。
どちらにしても、希望時期に売却するためには、売買を仲介する不動産会社の協力が不可欠です。希望の売却時期を伝えておけば、市場を見ながら適切な売り出し価格を提示してくれるでしょう。
最低売却価格を決めておく
売り出す物件を確実に売却したいなら、あらかじめ最低売却価格を決めておきましょう。買主によっては価格交渉を持ちかけてくるため、最低限どの程度までなら下げてもよいか決めておくと、価格交渉をスムーズに進められます。
最低売却価格は、住宅ローンの残債や住み替え先の価格などが判断基準となります。最低いくらで売れればスムーズな住み替えができるか、綿密に計画を立てた上で価格を決めましょう。
正確な査定をしてもらうために注意するポイントを教えるよ!
不動産の売却価格査定依頼時の注意点
不動産会社には得手不得手があるため、査定の依頼先によっては、査定額が大きく上がりも下がりもします。
市場からかけ離れた高い査定額が出てしまうと、なかなか売れずにその後の計画に遅れが出てしまう場合も。低すぎる査定額は、本来得られる利益の喪失につながってしまいます。
適切な査定額を算出してもらうためにも、査定の依頼は次のポイントに注意して臨みましょう。
1. 複数の会社から相見積もりをとる
査定には一定のルールはありますが、不動産会社によって査定基準がことなる上、ジャンルの得手不得手があるため、査定価格にはある程度の高低差が出ます。
希望物件のジャンルを得意とする会社を見つけるためにも、複数の会社に査定を依頼する「相見積もり」を利用しましょう。
2. 相場を事前に確認しておく
査定価格は、対象不動産の価値を概算したものにすぎず、必ずその価格で売れるという保証はありません。
不動産会社の中には、仲介の依頼を受けるために査定価格をつり上げ、依頼を受けた後に低い売り出し価格を勧める悪質な会社もあります。
不当な査定価格を出す不動産会社との契約を避けるためにも、事前にある程度相場を知っておくとよいでしょう。
3.査定価格の「根拠」を確認
査定価格は不動産会社によって大きな差があり、物件によっては数百万の差が生まれる場合もあります。もし査定価格に疑問を感じたようなら、なぜその価格で査定したのか根拠を提示してもらいましょう。
同じ仲介を専門にしている不動産会社でも、地域や住居形態など、得意とするジャンルは異なります。
得意なジャンルの物件であるほど、過去の取引事例や経験などはっきりとした根拠を示してくれますので、説明内容に説得力がある不動産会社を選ぶとよいでしょう。
まとめ:不動産物件の査定はイエツグにご相談ください
不動産は同じ地域にある物件でも、それぞれ異なる価値を持っています。物件がもつ価値は査定を通じて算出されますが、不動産会社によって査定額は異なり、また実際に売却できる価格にも差があります。
弊社イエツグは、不動産売買の仲介を専門とする渋谷の不動産会社です。首都圏を中心に一戸建て・マンション問わず、さまざまなジャンルの不動産物件の査定を対応しております。お客様が大切にされている物件の価値を、豊富な経験から正確に査定いたします。
不動産売買において、査定は最初の入り口です。今後末永くお付き合いいただけるよう、イエツグは誠心誠意お客様のご希望を叶えるよう努めて参ります。物件の売買を検討される際には、ぜひイエツグにご相談ください。