住み替えローンのメリットとデメリットとは?適用要件をプロが解説

住み替えするときに、頭を悩ませるのはお金のこと。特に住宅ローン残債があると、住み替ることに不安を感じてしまうのではないでしょうか?

しかし、ご安心ください。残債がある場合でも、住み替えローン(買い替えローン)を利用すると、旧居の住宅ローン残債と新居の住宅ローンをまとめることができるのです。

本記事では、住み替えローンに関する以下の3つのお悩みについて回答いたします。

この記事でわかること
・住み替えローンにはデメリットもあるの?
・住み替えでローン控除が受けられる条件って?
・ローンなしで住み替えても受けられる控除制度はある?

住み替えローンのメリットとデメリットについて、そして税金控除が適用になる条件をプロが徹底解説!住み替えローンを組む予定がある人は、ぜひ参考にしてください。

イエツグくん
旧居のローンを完済できない人でも、住み替えを可能にしてくれるのが”住み替えローン”なんだ。
でも住み替えローンにも注意点やデメリットがあるから要チェックだよ!
執筆者 丹拓也
執筆者 丹拓也株式会社イエツグ代表取締役
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士

まずはここから!残債があるときに便利な住み替えローンについて


住み替えの原則として、ローンを完済できないと家は売れません。

ローン残債があると、自宅に担保として設定されている「抵当権」の抹消ができないからです。

抵当権とは?

抵当権は、住宅ローンを借り入れている金融機関が持つ権利。債務者のローン返済が滞った際には、金融機関は抵当権を行使して、不動産を強制的に競売にかけることができます。

売却金を充てても住宅ローンを完済できないときは、以下のいずれかの方法がおすすめです。

  • 住み替えローンを借りる
  • ダブルローンを借りる

この2つの方法は、返済しきれないローンと新居の購入費をまとめて借り入れることができます。あたらに借り入れたローンで、これまでの残債を清算し、さらに新居を購入するための資金に充てることができるというわけです。

ただし、誰でも簡単に住み替えローンを組めるわけではありません。状況によっては住み替えローンを組むと損をしてしまうケースもあります。

住み替えローンとは?メリット・デメリットについて

住み替えローンは、「新居の購入資金の調達」と「借入中のローンの返済」を同時にできる融資方法のひとつです。売却金で残債を返済しきれないとき、残債分を含めて融資を受けることができます

住み替えローンのメリットとデメリットは以下の通りです。

住み替えローンのメリット
  • 売却金で完済できなくても新居購入ができる
  • 登記費用の資金調達にもなる
住み替えローンのデメリット
  • 残債額が大きくなる
  • 売買の決済日を同じ日にしなければいけない

「思った以上に高値で自宅が売れなかった」「相場よりも家の価値が下がってしまった」などの理由で、住み替え前の家の住宅ローンが完済できなかったときに住み替えローンが役立ちます。

住み替えローンは、旧居の残債を新居の住宅ローンにまとめることができるものなので、抵当権が設定されるのは新居のみ。抵当権の問題も解消することができます。

しかし住み替えローンは、売買の決済日を同じ日にしなければいけないというデメリットがあります。これについては後述しますが、決済日を同じにするのは簡単なことではありません。

また、新居の購入費用と一緒に残債分も借りるということは、融資額が多くなるということ。中途半端な返済計画を立ててしまうと生活が苦しくなってしまいますし、さらに住宅ローン審査も厳しくなることにも注意してください。

ダブルローンとは?メリット・デメリットについて

住宅ローンを返済しきれないとき、ダブルローンを組むという方法もあります。

ダブルローンは、残債を清算しないまま新しい融資を受けるという方法です。借り入れ先が二重になるため、ダブルローンと呼ばれています。

ダブルローンのメリットとデメリットは以下の通りです。

ダブルローンのメリット
  • 売買の決済日を同じ日にしなくてもいい
  • ゆっくり新居を探せる
ダブルローンのデメリット
  • 月々の返済額が大幅に増える
  • 住宅ローン控除が適用されない
  • 融資条件が通常よりも厳しくなる

「住み替えローンは売買の決済日を同じ日にしなければいけない」と解説しましたが、ダブルローンの場合は売却の決済日と新居購入の決済日が別々でも構いません。つまり、好きなタイミングで売却し、ゆっくり新居を探せるというメリットがあります。

反対に、ダブルローンは月々の返済額が倍以上にもなるため、金融機関の融資審査も非常に厳しいものにもなります。また住宅ローン控除が適用されないため、還付金を受け取れません。このことから、ダブルローンは経済的に余裕のある人におすすめの方法だといえるでしょう。

家を買い替えするなら「住み替えローン」がおすすめ

住み替えローンとダブルローンのメリットとデメリットを紹介してきました。「残債が返せない」という方は、ほとんどの人が住み替えローンを選択する傾向にあります。

住宅ローンは1世帯1件までが基本であり、金融機関も安易に返済額を増やすことを良しとしていません。契約者の返済額を増やしてしまうことで、破産されたら融資したお金を回収できないからです。

以上のことから、なるべく返済負担が軽い住み替えローンを検討することをおすすめします。少しの間だからといって、毎月の負担を安易に増やすことはおすすめできません。

ただし住み替えローンを利用する場合にも、新居の予算を下げるなどし、ローン総額が増えすぎないようにするべきです。

イエツグくん
住み替えローンを使えば、できないはずだった住み替えも可能になるかもしれないんだね!
でも住み替えローンにも注意点があるんだ。しっかり認識しておこうね!

住み替えローンを申し込むときに確認すべき2つの注意点

住み替えローンのデメリットとして、以下のような注意点があるとご説明しました。

・残債額が大きくなる
・売買の決済日を同じ日にしなければいけない

住み替えローンは、残債がある人でも家を買い替えることができる画期的なおまとめローンです。しかし、旧居の住宅ローンが無くなるわけではないため、デメリット部分も意識して住み替え計画を立てていかなければいけません。

最後に、この住み替えローンのデメリット部分について詳しく解説いたします。

注意点1.残債額が大きくなることを考慮し返済計画を立てよう!

これまでの住宅ローンと新しい住宅ローンをまとめると、当然のことながら返済金額が大きくなります。「ちょっと苦しくなるかもしれないけど、何とかなるだろう」など安易に考得た結果、後で返済に苦しむ人も意外と多いのです。

そのため返済計画を立てるときは、「何となく大丈夫!」ではなく「返済は何歳までするか」「定年後はどうするか」というように具体的な資金計画を立てていきましょう。

注意点2.売買の決済日を揃えるために同じ不動産会社へ依頼しよう!

住み替えローンを組むときは、旧居の売却と新居の購入を同時に行わなければいけません。具体的に言えば、売買契約日は別の日でも構いませんが、決済・引き渡し日を同日に合わせる必要があります。その理由は、旧居の抵当権を抹消し、新たな住宅ローンとまとめて新居に抵当権を設定する都合で、同時に手続きしなければならないからです。

もし決済のタイミングがずれてしまうと、住み替えローンは使えなくなるどころか、抵当権が残る旧居が売却できなくなり、住み替え自体が不可能になてしまいます。

売り買いの不動産取引を連携させ、スムーズに資金を流し手続きを一括して行うためには、不動産会社の協力が不可欠。しかし、決済日は所有権移転登記や売却金の振り込みなど、やらなければいけないことがたくさんあるため、売却と購入を別の不動産会社に依頼していると、どうしても連携を取るのが難しくなってしまうのです。

このような事態を防ぐためには、できる限り「売却」と「購入」を同じ不動産会社に依頼すると安心です。同じ不動産会社であれば、進捗状況の確認や、売主・買主・司法書士・金融機関のスケジュール調整、書類の準備が比較的、容易に行えます。

売り買い同時決済のタイミングを合わせやすくなるだけでなく、お客様自身も別々の不動産会社に足を運ぶ手間が省けるベストな方法です。

イエツグくん
住み替えローンの最大の注意点は、無理の返済額に留めること。
借り入れる前にはしっかり返済額のシミュレーションをしようね!

無理なく住み替えローンを組むためにシミュレーションしてみよう


住み替えローンは、残債があっても新居を購入できる方法ではありますが、残債を消すことはできません。これまでの住宅ローンよりも返済額を増やすという点では、ダブルローンと変わりないのです。

そのため、借り入れるときは事前に返済のシミュレーションを行い、資金計画に無理がないかどうか考えていく必要があります。

金融機関で提供している住み替えローンのシミュレーション

無理のない資金計画を立てるために、住み替えに必要な融資額と返済可能額を試算してみましょう。金融機関では、住み替えローンのシミュレーターを無料で提供しています。

三井住友銀行の住み替え資金計画シミュレーション

三井住友銀行のウェブサイトで、住み替え資金計画を立てるためのシミュレーターを無料で利用できます。入力欄が少ないので、簡単な情報で試算可能です。

ウェブサイトにアクセスしたら「受取金額」「自己資金」「現在のローン残高」「新規購入価格」さらに、本人の「年収」「年齢」「返済期間」を入力してください。ワンクリックで住み替えの資金計画を試算してくれます。

三井住友銀行の住み替え資金計画シミュレーション

横浜銀行のご返済額シミュレーション

横浜銀行のウェブサイトで、ご返済額シミュレーションを利用できます。こちらも無料で試算可能です。

横浜銀行のシミュレーションは種類が豊富で「住宅ローンご返済額シミュレーション」のほかに「年収から見たお借入可能額シミュレーション」「毎月返済額から見たお借入可能額シミュレーション」などが用意されています。

ご返済額シミュレーションでは「お借入金額」「ローン商品タイプ」「金利タイプ」「お借入期間」を入力するだけで試算できます。

横浜銀行のご返済額シミュレーション

りそな銀行のお借入れシミュレーション

りそな銀行のウェブサイトで、新規お借入れシミュレーションが無料で利用できます。

「希望お借入れ金額」「返済期間」を入力し「ボーナス時期の返済方法」「金利内容」にチェックを入れるだけで、シミュレーション結果が表示されます。

りそな銀行のお借入れシミュレーション

今後の資金計画を有利に立てるために、上記のように金融機関の便利なシミュレーターを活用してみましょう。

おすすめの金融機関と無理のない借り入れ可能額を知るには

弊社イエツグでは、様々な金融機関と取引しています。お客さまの資金計画に合わせ、どこの金融機関がおすすめなのか、ご提案させていただいております。

「ここの金融機関で融資を受けたい!」

「金利が安いおすすめの金融機関はどこ?」

このようなお悩みがあれば、ぜひイエツグにご相談ください。

弊社には、住宅ローンアドバイザ―や既存住宅ローンアドバイザー、FPの資格を持った担当者が在籍しております。

住宅ローンの事前審査に必要な物件確認の書類や金利を安くする方法、審査が通りやすくなるコツなど、お得に住宅ローンを組むコツをアドバイスさせていただきます。気になる金融機関や住宅ローンがあるときは、ぜひ弊社の担当者にお申し付けください。

住み替えでもローン控除は受けられる?適用条件について

借り入れ額の一部が還付金として戻ってくる住宅ローン控除。最大で住宅ローン残高の1%が還付されるため、住宅ローンを組むのであればどんどん活用していきたいところです。

ところで、この住宅ローンは住み替え時でも適用されるのでしょうか?

実は、住み替えローンを利用しても住宅ローン控除は利用できます。ただし、併用するためには、一定条件をクリアしなければいけません。特に他の控除特例を受けている人は適用条件から外れる可能性があるため、要注意です!

住宅ローン控除の適用条件については、以下のページで詳しく解説しています。

まとめ

旧居の住宅ローンが残っているとでも住み替えを可能にする住み替えローン。売却損が出てしまうときや貯蓄に不安があるときに、大変便利な融資方法です。

ただし、住み替えローンは「借り入れ額が増える」「売り買い同時決済しなければいけない」という点に注意していきましょう。同じ不動産会社に旧居の売却と新居購入の仲介依頼をすると、住み替えのリスクが軽減できます。

弊社イエツグでは、住宅ローンアドバイザーや既存住宅ローンアドバイザー、FP資格の有資格者が在籍しているので、住宅ローンが複雑になる住み替えも得意とするところ。さらにイエツグの仲介手数料は、182,900円(税別)定額なので、住み替えにかかる諸費用を大幅に抑えることができます。

安心で安全、かつお得に住み替えを行いたいときは、ぜひイエツグにご相談ください。

イエツグは、住宅とともに想いを”人から人に継ぐ”という願いから付けた社名です。仲介手数料を格安・定額にすることで、節約できた費用を住宅の質を向上させるために使っていただきたいと考えております。住まいを”継ぐ”には、耐震性や価値を向上することが不可欠だと思うからです。 イエツグ代表の私、丹は、元消防士。東日本大震災で多くの家屋が倒壊し、大切なものを失った方々を目の当たりにしたことにより、既存住宅の価値を上げ、良質な住宅を流通させることがこの国の急務なのではないかと考えるようになりました。小さな会社ではありますが、社員一同、同じ志を持って対応させていただいております。ぜひ一度ご相談ください。
監修者 亀梨奈美
監修者 亀梨奈美大手不動産会社退社後、不動産ライターとして独立。株式会社real wave代表取締役。「わかりにくい不動産を初心者にもわかりやすく」をモットーに、機関紙から情報サイトまで不動産ジャンルのあらゆる文章を執筆・監修。

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