IT重説とは、「IT(インターネット通信)」と「重説(重要事項説明)」を掛け合わせた造語です。
インターネットを通じて遠隔で重要事項説明を行えるIT重説は、新型コロナウイルス対策が叫ばれる現代において、感染リスクが抑えられる仕組みとして注目されています。
本記事では、IT重説実験事業者で実際に不動産取引に取り入れているイエツグが、不動産売買取引におけるIT重説の利点と、利用時の注意を解説します。
- コロナ禍中における不動産売買手続きの問題点
- IT重説がコロナ時代に求められる理由
- IT重説を安全に利用する方法
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
目次
コロナ禍における不動産売買の問題点
新型コロナウイルス感染に注意しなければならない現代において、従来の売買取引手続きはいくつかの問題を抱えています。
「対面」せざるを得ない
不動産売買取引においては、取引時の重要事項説明の読みあわせが必須です。
売買を行う売主・買主が遠方に住んでいたとしても、原則として重要事項説明を行う宅建士と売主・買主は、それぞれ対面して重要事項説明を読み合せなければなりません。
重要事項説明を受ける際、売主・買主は、代理人に契約業務を委任できます。ただし代理人への委任には「代理委任状」作成の手続きが必要なため、手続きが簡略化されるわけではありません。
また売主・買主当人の感染は防げても、代わりに代理人は宅建士と接触しなければならないため、新型コロナウィルス感染者を減らす目的にはそぐわない方法だといえます。
「3密」が生じる
不動産売買契約を行うためには、不動産仲介業者と売主・買主が揃って立ち会うため、基本的に複数人が同じ場所に集まらなければなりません。
売買契約手続きの場となるのは、不動産会社の会議室や応接室です。そのため必ずしも広い空間とはいえず、新型コロナウイルス感染防止のため避けなければならないといわれている「3密(密集・密閉・密接)」状態が生まれやすくなります。
売買契約時の重要事項説明の読み合わせ~売買契約締結は、長いときには2時間以上の時間が必要です。売主・買主が共有であったり、売主・買主にそれぞれ別の仲介業者がついていたりすれば、10名近い人々で3密状態が継続してしまうことも考えられます。
コロナ禍での不動産売買契約の問題は「重要事項説明」にある
実は、不動産の「売買契約」自体は、多くの人が対面しなくても実施できます。売買契約では、「持ち回り契約」と「電子契約」が可能だからです。
「持ち回り契約」とは、不動産会社が両者から別々の場所、タイミングで契約書に署名押印をもらう契約方法です。健康上の問題や、長期出張中など仕事上の問題があるなど、必ず売買人全員が一堂に会して契約できるとは限りません。そのような場合に持ち回り契約を行うことで、売買契約を進めることが認められています。
また、契約書への署名押印をインターネット上で完結させる「電子契約」の社会実験が2019年10月から3ヶ月間行われました。書類を郵送で送り合う必要がない電子契約は手続きがスムーズになると期待されており、すでに導入している不動産事業者も見られます。
つまり現在、不動産売買契約において必ず人と人とが対面して行わなければならないのは重要事項説明の読み合わせのみなのです。
IT重説がコロナ時代に求められる理由
少しでも感染リスクを下げたいコロナ時代において、「IT重説」は、感染リスクを抑え安全に取引を進められる画期的な契約方法として期待されています。
対面での重要事項説明が不要
IT重説は、インターネットを活用したテレビ通話で行います。
宅建士による重要事項説明を直接対面せずに受けられるため、3密環境を避けながら、長時間の説明を安全に受けられるという大きなメリットがあります。
端末・通信環境があれば地域を問わない
IT重説は、パソコン、スマホ、タブレットといったテレビ通話を行える機器や通信環境があれば、全国どこにいても重要事項説明を受けられます。
地方在住者が都内の物件を契約する際にも、わざわざ上京する必要はありません。インターネット上でのやりとりで説明が完結するため、地域差による契約の不便さは大きく解消されます。
移動時間不要のため時間を節約
IT重説は自宅でも重要事項説明を受けられるため、契約手続きのために不動産会社を訪れる必要はありません。
電車移動が主な交通手段である地域では、電車内の感染リスクは決して低くありません。IT重説により電車移動を避けられるのは、3密を避けたい売買人にとって安心できるポイントといえます。さらに仕事や病気、けが、高齢などにより、売買契約の場に行けない人でも、代理人を立てずに不動産購入が可能になります。
IT重説利用時の注意点
IT重説は遠隔地とのやりとりを可能とするため、新型コロナの感染リスクを抑えられます。
一方でIT重説を利用するためには一定の条件を満たす必要があるため、必ず誰でもIT重説を利用できるとは限りません。
2020年7月現在、IT重説実施可能な事業者は限られている
不動産売買におけるIT重説は、2020年7月現在、「実験段階」にあります。つまり、全ての不動産業者で実施可能というわけではありません。
実験段階では、国土交通省に認められた実験事業者のみがIT重説の実施が可能です。
弊社イエツグは、実験当初から全国59社しかない実験事業者の1つとしてIT重説を実施しております。
テレビ通話ができる機器・通信環境を用意
IT重説は、インターネットによるテレビ通話を行うための環境が必要です。そのため、IT重説を希望する場合には、普段使用しているパソコン、スマホ、タブレットなどの機器がテレビ通話に対応しているか確認しておきましょう。
パソコンを利用する場合には、本体にカメラがついているか確認してください。標準装備していないようなら、別途Web用のカメラを購入する必要があります。
スマホやタブレットにはカメラが標準装備されているため、基本的にカメラの心配はありません。ただし、古いモデルのスマホやタブレットは、通信用のアプリが動かない恐れがあります。
またテレビ通話は映像や音声データをやりとりする通信量が多いため、優れた回線状態も重要です。契約しているスマホの通信量は残っているか、自宅の回線はテレビ通話に耐えられるだけの速度が出ているか、前もって確認しておきましょう。
通信用のアプリを用意
IT重説に使う通話用のアプリは、仲介する不動産会社側から指定されるのが一般的です。以下の様なアプリがあるため、指定を受けたアプリを事前に準備しておきましょう。
- Zoom
- LINE
- Skype
- GoogleMeet
- Googleハングアウト
もし使い方がわからないようなら、インターネット上でやり方を調べておくか、不動産会社にガイドをお願いしてみてもよいでしょう。
重要事項説明書などの書類を用意
IT重説はオンラインで可能とはいえ、手元に「重要事項説明書」「売買契約書」など、契約手続きに必要な書類がないと行えません。当日までに間違い無く書類を揃えられるように、準備には気をつけましょう。
これらの書類は、仲介する不動産会社が用意し、売主・買主に送付します。事前にいつごろ書類が到着するか日程を確認し、スムーズにIT重説を行えるように、受け取った際には不動産会社へ書類到着の連絡をしておくとよいでしょう。
スケジュールを確認
不動産売買における重要事項説明は、非常に長い時間がかかります。最低でも1時間以上、説明事項の内容や質問の量によっては3時間程度、拘束されます。
IT重説においても、説明に必要な時間は変わりません。そのためIT重説を受ける当日は、事前にスケジュールを調整しておき、説明時間が延びてもよい状態にしておきましょう。パソコンやスマホの充電、Wi-Fi環境の残存データ容量など、事前に確認しておくことも大切です。
まとめ:IT重説を活用した不動産売買はイエツグにご相談ください
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、人と会う必要のないIT重説が注目を集めています。しかし現在、IT重説は、全国59の実験事業者と2020年5月に追加された限られた事業者のみに許可された運用実験段階です。全ての不動産会社でIT重説ができるわけではありません。
弊社イエツグは、より安全で手軽な不動産取引の実現を目指すべく、全国59の実験事業者の1つとして実験当初からIT重説を取り入れております。
新型コロナウィルス感染がリスクだと感じる方、あるいは遠方の物件を購入したい方、事情があって売買契約の場に足を運ぶことができない方は、ぜひイエツグまでご相談ください。