不動産を売るには、不動産会社に仲介を依頼するのが一般的です。
実は、不動産を購入に関しては、公開されている物件ならほぼどの不動産会社からでも購入できます。しかし、売却は依頼する不動産会社次第で売却価格や売却スピードに大きな差が出るため、”どこでもいい”というわけにはいきません。
本記事では、どんな基準で不動産を売却する会社を選べばいいのか、選び方のポイントをわかりやすく解説していきます。
- 大手と中小ってどっちがいいの?
- 不動産会社によるサービスの違い
- 不動産会社を選ぶポイントは?
不動産の売却を依頼する会社の選び方に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみて下さい。

不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
目次
【不動産会社の選び方】1.大手にする?中小にする?

不動産の売却を依頼する不動産会社を選ぶ際、全国に支店を持つような大手の不動産会社と地域密着型の中小不動産会社、どちらに依頼をすればいいのか悩むこともあるでしょう。会社の規模や知名度が、売却価格や売却先の選定力などに影響し、不動産の売却額が大きく変わる…との印象を持つ方は少なくありません。
しかし近年では、会社の”規模”が売却結果に影響することはほぼないといえます。
会社規模は不動産売却の結果に影響しなくなっている
不動産会社の規模について、一般的には「大手の方が高く売ってくれそう!」「中小は集客力が低そう……」というイメージがあるかもしれません。
しかし実際には、必ずしも大手だから高額で売れる、中小の集客力が低いということにはなりません。
正直、ひと昔前までは”大手有利”の傾向が強い時代もありました。ただ近年では、次の2つの理由により、大手が有利ということは一切ないと断言できます。
1.売却力の差を埋める不動産データベース「レインズ」
不動産会社の”規模”による売却力の差が無いと言い切れる理由に、「レインズ(REINS)」の存在があります。
レインズとは「Real Estate Information Network System」の略称で、国土交通大臣から指定を受けた指定流通機構が運営する不動産物件のデータベースの名称です。このデータベースは会員登録をしている不動産会社のみが利用でき、一般のユーザーが閲覧することはできません。
レインズにはほぼ全ての不動産会社が会員登録をしており、それらの不動産会社が扱う物件は全てレインズで相互に閲覧できるようになります。そのため、会社の規模に関係なく、売りたい物件の情報を全国の不動産業者に簡単に周知できるようになりました。
さらに、レインズには現在売りに出されている物件だけでなく、過去に売買取引が成約した物件の情報も登録されています。過去のデータは査定の際の相場形成や、価格交渉の参考材料としても活用されるため、大手と中小の価格差を埋めるのに一役買っています。
2.集客力の差を埋める「WEB広告」
また、集客力の差が埋まった理由に、WEB広告の価値が高まった点があります。
かつて不動産売買における集客には、多額の広告費が必要な紙媒体による広告活動の影響力が強く、資金が豊富な大手が有利とされました。
しかし近年では広告が折り込まれる新聞の契約者が減少。幅広い世代がインターネットを活用しており、不動産の情報もWEB上で収集しています。
WEB広告は中小規模の会社でも十分に扱えるため、会社の規模による売却力の差は埋まってきているのです。
大手不動産会社の傾向
販促面では大手と中小の差はなくなりつつあるとはいえ、大手と中小の“傾向”というものはあります。
大手不動産会社は不動産の売買取引に際し、豊富な資金力を活かしたサービスを提供する傾向があります。
物件の演出による売却活動のサポート、売却後に発覚した問題に対応する瑕疵(かし)保証サービス、法的トラブルに関する弁護士相談サービスなど、大手ならではの様々なサービスが期待できます。
さらに、WEB広告や紙媒体での宣伝以外に、独自の販路を持っている会社もあります。たしかに、豊富な販路を活用し早期売却が成立しやすい点は、大手ならではのメリットだといえるでしょう。
一方で、大手は仲介手数料の値引きが難しく、「売買金額×3%+6万円」と定められた上限額を請求してくる不動産会社が一般的です。
また、同じ不動産会社が担当する売主と買主の間で売買を成立させる「両手成約」にこだわり、不当に売却時期が延ばされる危険性も考えられます。
中小不動産会社の傾向
中小規模の不動産会社は資金に任せたサービスは大手に一歩譲りますが、大手では手が届かないような顧客に合わせたサービスを売りにする傾向があります。
中小の不動産会社の特徴として、顧客とのコミュニケーションにたっぷりと時間を使う点があげられるでしょう。時には営業社員だけでなく、経営者が直接担当につくことも。
大手の担当者は抱える案件が多く、顧客ひとりひとりに割ける時間はそれほど多くありません。その点、中小なら担当者や経営者に直接その物件に関する思いをぶつけ、満足いく交渉ができます。
また、地域に密着した不動産会社も多く、その地域の地主や投資家との独自のパイプが形成されていることもあります。駅近物件や築浅物件など、その地域で需要が高い物件ほど、好条件の売却が期待できるでしょう。
一方で、小さな規模の会社ほど、扱える物件の得手不得手がはっきりする傾向があります。物件の売買を扱う不動産会社であっても、商用テナントやビル以外は弱いというような、得意分野に偏りがあることも。そのため中小の不動産会社と取引の際には、その不動産会社が持つ得意分野やサービスを確認しておく必要があるでしょう。
【不動産会社の選び方】2.売却する”理由”で選ぶ

不動産会社の特徴は、企業の規模や得意ジャンルだけではありません。不動産取引には、売却時の事情などにより様々な手続きが付随します。
もし複雑な手続きが伴う不動産売却をするなら、他社が持たない独自の強みを持つ不動産会社を選ぶのがよいでしょう。
相続や離婚に伴う不動産売却なら「法律に強い不動産会社」
相続や離婚では、戸籍や所有権の変更手続きや協議と並行して不動産を売却処分しなければならないことがあります。売却には様々な法的な手続きが伴うため、専門的な知識が求められるでしょう。
相続の場合は、遺産分割や登記、税金の納付など、売却以外に法的な手続きが多く発生します。離婚による不動産売却もまた、財産分与に伴う売却金の分配など、法的な対応と切り離すことはできません。
法的手続きと不動産売買が密接に関わるような売却を依頼するなら、弁護士事務所との提携が売りにしている不動産会社や、過去に同様の売却事例を扱った経験のある不動産会社に依頼するとよいでしょう。
税金が不安なら「税理士と提携している不動産会社」
不動産売却では、売却益(=譲渡所得)が出た場合、所得税と住民税が課税されます。マイホームの売却は控除特例によって大幅に節税することができますが、その手続きのためには確定申告が不可欠です。
また売却額によっては、売却損(=譲渡損失)が出る場合もあります。この損失は給与などの所得との損益通算や繰越控除といった制度を利用し、税金面の負担を軽減することができます。これらの制度の利用にも確定申告が必要です。確定申告はある程度の専門的な知識が求められる上、申請書や計算書の用意など、非常に手間がかかる作業が伴います。
もし不動産取引に関する税制や確定申告で不安を抱えているなら、あらかじめ税理士と提携している不動産会社を選ぶことで、その不安を解消することができるでしょう。
【不動産会社の選び方】3.仲介手数料を比べる

不動産の売却に伴う費用の中で、最も大きな金額になりやすいのが仲介手数料です。
仲介手数料は、宅地建物取引業法により金額に上限が定められていますが、下限は決められていません。そのため不動産会社によって仲介手数料の額は大きく変動するものですので、不動産会社選びの判断基準の一つとして見るべきだといえるでしょう。
仲介手数料に見合ったサービスが受けられるか
不動産売却時の仲介手数料は、法律で「(物件価格×3%+6万円)×消費税」が上限が定められている一方、下限は定められていません。
一見自由度の高い仲介手数料ですが、不動産会社の多くは、上限いっぱいの金額を正規の価格として定めることが一般的です。
「(物件価格×3%+6万円)×消費税」この計算式だと、物件の売却額が高くになるにつれ、仲介手数料もどんどん高額になっていきます。しかし、不動産取引における不動産会社の役割は、”物件の値段”で決まるものではありません。不動産会社がやるべきことは、物件情報の周知と売買契約のサポート。物件の値段でやるべきことが変わるわけではありません。
それにも関わらず、仲介手数料の価格競争が起きない不動産業界は不自然だと思いませんか?今の仲介手数料の上限は、実は、昭和45年に制定されたときのまま。大手不動産会社を中心に、当たり前のように仲介手数料の上限額が請求されていますか、これからの時代はもっと本質的な部分を見極め、仲介手数料額に対して十分なサービスが受けられるかという点も確認するとよいでしょう。それが、消費者の権利であり、自分の利益を守る方法だと私は考えます。
仲介手数料は安ければいいわけではない
とはいえ、仲介手数料は安ければいいというものではありません。
仲介手数料が安い会社の中には、実績が少ないため手数料で顧客を集めたがっている場合もあります。また、悪質な方法で両手取引のみを狙う=”囲い込み”をする不動産会社も。さらには、広告では「仲介手数料無料」「仲介手数料半額」とうたっているにも関わらず、いざ問い合わせたら、偏屈な理由をつけて実際には減額できないと言われることもあるようです。
良い不動産会社か見極めるためのチェックポイント

不動産会社を、企業規模や知名度で選ぶ時代は終わりました。
”今”の不動産会社の選び方は、サービス・担当者の能力や人間性・売却以外のサポートを見極めることです。
会社独自のサービス内容
近年では、”不動産をそのまま売る”ケースは少なくなりつつあります。どういうことかというと、売却前の建物診断(ホームインスペクション)や売却後の保証付帯など、物件に一種の「付加価値」を付けることが一般的になってきているのです。
従って不動産会社を選ぶうえでは、仲介手数料の値引きを含めた売却に伴う以下のようなサービスの有無を比較しましょう。
- 仲介手数料の値引き
- インスペクション
- 売却後の保証制度
- 確定申告サービス
- ハウスクリーニング
- リフォーム・リノベーション
また、表示しているサービスは少なくとも、大手で扱えないような小規模の物件や空き家を扱うなど、地域に根付いた中小ならではの実績を持つ会社もあります。自分にとってどんなサービスがメリットがあるのかも、十分に吟味したいポイントですね。
売却以外の方法も提示してくれる
なんらかの事情のため不動産を売りたい売主にとって、物件の売却が最もよい解決方法とは限りません。資金面の問題を解決できれば、物件を手放さなくてもよい場合もあります。
たとえば弊社では、昨今のコロナショックで住宅ローンの返済が厳しくなった方には、不動産の売却だけでなく、住宅ローンの借り換えやリスケジュールもご提案しています。
売主の「売りたい」以前の事情に寄り添い、状況に応じて売却以外の提案もしてくれる不動産会社は、信頼に値するといえるでしょう。正直、不動産会社からすれば、売ってもらわなければ利益になりません。それを踏まえて、顧客のメリットを第一に考えてくれる提案をしてくれる不動産会社こそ、最終的にどんな手続きを行うにしても、心強いパートナーになれる会社だといえるでしょう。
出ていくお金についても教えてくれる
不動産売却では、「売却したお金をもらえるだけ」と思っている方も多くいらっしゃいます。しかし不動産の売却時には売主側が負担しなければならない費用があり、また売却額や条件によっては、多額の税金が課税されるケースもあります。
不動産売却で入ってくるお金のみならず、支出するお金を把握させてくれ、資金計画の相談にまで対応してくれる不動産会社は、売主の売却の判断を誤らせない信頼に値する会社と判断できるでしょう。
まとめ:”今”の不動産会社の選び方は、個性とサービスの比較にあり
かつては、資金力で勝る大手不動産会社が、不動産売却に優位だとされていました。しかし近年では、会社の規模や知名度による差はなく、不動産会社の”中身”で選ぶ時代だといえるでしょう。
各社とも、他社との差別化を図るべく、個性的で充実した付帯サービスを展開しています。
弊社イエツグでは、仲介手数料を基本定額18万2,900円(税別)とし、お客様の負担を軽減するよう努めております。また不動産売却に伴う「建物状況調査(ホームインスペクション)」「5年間の瑕疵保証」「税理士による確定申告代行」「ハウスクリーニング」といったサービスは、全て無料です。さらに、仲介手数料を他社と同様に「売却金額×3%+6万円」頂戴し、いただいた報酬の中で売却前のリフォームを実施するサービスも開始いたしました。
宅建資格はもちろん、FPや住宅ローンアドバイザー、既存住宅アドバイザーなどの有資格者が在籍しているため、資金計画やお住み替えのことまでご相談いただけます。
不動産売却をご検討中の方は、他社との比較の中に、弊社イエツグを加えていただけましたら幸いです。
