住宅性能評価とは?取得するメリットや概要について解説!

住宅性能評価書とは、“住宅性能表示制度”に基づいて発行されるものです。

「住宅性能評価書付きの家」と聞くと、なんだか安心できそうなイメージがありますよね。このご認識は誤りではなく、住宅性能が証明された住宅は、“安心”の他にも減税や保険料の割引等が受けられます。

この記事でわかること
  • 住宅性能評価とは?
  • 住宅性能評価を受けるメリット
  • 住宅性能評価の評価項目
本記事では、住宅性能評価の概要や評価を受けるメリットについて解説していきます。
執筆者 丹拓也
執筆者 丹拓也株式会社イエツグ代表取締役
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士

住宅性能評価とは第三者の専門家による客観的な評価

不動産広告などで、「住宅性能評価書付き住宅」といった記載を見たことはないでしょうか?

住宅性能評価書とは、住宅性能評価がおこなわれたことを証明する書類。住まいにおける設備の配慮や環境への配慮、建物の安全性などが分かりやすくまとめられていて、専門的な知識を持たない方でも物件の詳細が確認できます。

評価するのは第三者機関

住宅性能を評価するのは、国土交通大臣が指定した「登録住宅性能評価機関」と呼ばれる機関です。

実際に評価するのは、建築士等、所定の講習を修了した評価員。不動産仲介会社やリフォーム会社などの当事者ではない第三者が評価するため、客観的で中立的な評価に期待できます。

新築物件の住宅性能評価書は2種類

住宅性能評価書には、設計住宅性能評価書と建設住宅性能評価書の2種類が存在し、それぞれ記載されている評価結果が異なります。

「設計住宅性能評価書」は、設計の段階にチェック・発行される評価書のことで設計図書の評価結果が記載されています。

一方、「建設住宅性能評価書」は、物件が完成した際に発行されるもので、設計住宅性能評価を受けた建物の立ち入り検査や工事記録書類を確認したときの結果に基づき評価した結果を記載しています。

10の分野が1~5等級(分野によって異なる)で評価されることで、専門知識のない方でも数値を見ればどのような物件であるかが分かるのです。

中古住宅も対象

住宅性能評価の規定ができた頃は新築物件のみが対象となっていましたが、2002年からは既存住宅(中古住宅)も対象となっています。

新築住宅の評価分野が10個なのに対し、中古住宅は9個。さらに細かい評価項目までみると軽微な違いはありますが、新築、中古ともに等級の設定など表示方法の基準は同一です。

住宅性能評価の評価分野

住宅性能評価書の評価分野は、10個あります。(中古住宅は9分野)

ここからは、評価分野の具体的な内容について見ていきましょう。

①構造の安定

以下のように、災害時の耐久力を評価します。

  • 耐震等級
  • 耐風等級
  • 耐積雪等級(多雪区域)

上記のうち「耐震等級」で“等級1”以上が確認されれば、住宅ローン控除の適用要件を満たさない築年数の中古物件も、控除を受けることができます。

②火災時の安全

火災が発生した場合に「逃げやすいか」「延焼しにくいか」などが、等級で評価されます。

評価ポイントは「燃えにくい素材や日に強い素材を使用している」「火災報知器などの設備の充実さ」などがあげられます。

③劣化の軽減

住まいに使用される材質等から、劣化しにくい対策をとっているかを評価します。

たとえば「土台」「柱」などが傷みにくいよう配慮されているかといって点は、評価ポイントの一つ。等級が高ければ、建物の耐久性も高いといえます。

④維持や管理

住まいを維持するためには、メンテナンスや補修のしやすさについても重要です。

この項目の等級が高いほど、配管などの構造躯体部分の清掃や補修やしやすいことを意味します。

⑤エネルギー消費量

省エネルギー性に関する評価分野です。

冷房や暖房を使用するにあたり、効率よく設定温度に促せるかは、快適さにおいて重要な評価ポイント。断熱に関する設備の程度や結露の発生しにくさについて評価します。

⑥空気環境

シックハウス症候群などのリスクが気になる方に、ぜひチェックしてほしいのがこの項目。空気中のホルムアルデヒドなどの化学物質の濃度を測定し、評価します。

また、換気システムの性能やアスベストの有無なども表示されます。

⑦光・視環境

窓の向きや大きさなど、採光部を評価します。

日当たりを重視する方であれば、チェックしておきたいポイントです。

⑧音環境(新築のみの評価分野)

上下左右に住む近隣に生活音が響きにくいかを評価します。生活音が響きやすい構造の場合、「騒音」として近隣住民とトラブルになる可能性があります。

とくに、防音性に優れたマンションを希望する方はよく確認しておきましょう。

⑨高齢者等への配慮

高齢者や障害者の方にとって、不便なく暮らしやすい住まいか評価されます。

たとえば「段差をなくしてスロープにする」「適切な部分に手すりを設ける」「共有スペースは車いすでも利用しやすいよう広く設ける」などの点が、見られるポイントです。

⑩防犯対策

防犯で有効な設備が導入されているか、侵入防止対策性が主に評価されます。

開口部のドアやサッシ等が重点的に見られます。

住宅性能評価書付き住宅のメリット

10個(中古住宅の場合9個)もの分野で細かく住まいを評価することで、消費者にとってはどんなメリットがあるのでしょうか?

専門的な知識が無くても不動産情報が分かる

住宅性能評価の一番のメリットは、専門的な知識が無くても、不動産情報が明確に分かることでしょう。不動産業界には、専門的な用語が多く、一般的には理解が難しい内容が少なくありません。

その点、住宅性能評価書付き住宅の場合は誰でも理解しやすいよう等級で評価されているため、「この物件はなにが優れているか」「希望箇所が優れているのはどの物件か」など、一目で評価・比較がしやすくなります。

資産価値が維持しやすい

一般的な不動産と比較すると、「住宅性能評価書付き住宅」は、資産価値が維持しやすくなります。査定で有利になりやすく、仮に売却するとなった場合も相場よりも高く売却できる可能性があります。

つまり、売主、買主ともに、メリットのある物件だということです。

トラブル時には専門機関が対応

性能評価を受けた中古住宅は、万一トラブルが起きた場合、指定住宅紛争処理機関(各地の弁護士会)が対応してくれます。

(出典:国土交通省

地震保険や住宅ローン金利が優遇される

住宅性能評価書付き住宅は、指定の専門家による公平な評価であるため、信頼性が高いという点が特徴です。この点は、保険会社でも評価しており、地震保険の保険料が安くなるなどの優遇が受けられます。

また、金融機関からも「信頼できる物件」と評価され、金利が優遇されることもあります。

住宅性能評価とホームインスペクション(住宅診断)の違い

「住宅性能評価」と似たものに、「ホームインスペクション(住宅診断)」というものがあります。

住宅診断もまた、国交省の指定講習を受けた専門家が客観的に住まいを診断するもの。2018年には、不動産業者による買主・売主への説明が義務化されています。

住宅性能評価が「評価」であるのに対し、住宅診断は、劣化の状況や欠陥の有無、改修が必要な箇所などをチェックするものです。いうなれば、「どこが優れているか」をみるのが住宅性能評価、そして「どこが劣っているか」をみるのが住宅診断です。

弊社イエツグの仲介物件には、この住宅診断を無償で実施しており、診断後には既存住宅瑕疵(かし)保証を付帯しています。

既存住宅瑕疵保険もまた、住宅ローン控除の適用外となる築年数の古い物件が、控除を受けるために必要なものです。

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まとめ:住宅性能評価とは、第三者の専門機関が住まいを細かな分野ごとに評価するもの

住宅性能評価とは、細かな分野ごとに住まいの評価を等級分けするものです。

信頼できる物件を選びたい方にとって、住宅性能評価書付き住宅は魅力的な物件だといえるでしょう。また売主にとっても、買主の「安心」を獲得できる点は大きなメリットです。

住宅性能評価の他にも、住宅診断や耐震基準適合証明等、既存住宅の価値を測るもの・証明するための方法は複数考えられます。空き家問題が深刻化し、人口が減り続ける見込みの我が国において、中古住宅の価値向上・維持の重要性は、増しています。これから中古住宅の売買を考えている方は、既存の住宅の価値を高めて安心して取引するためにも、これらの仕組みを賢く利用していきましょう。

イエツグは、住宅とともに想いを”人から人に継ぐ”という願いから付けた社名です。仲介手数料を格安・定額にすることで、節約できた費用を住宅の質を向上させるために使っていただきたいと考えております。住まいを”継ぐ”には、耐震性や価値を向上することが不可欠だと思うからです。 イエツグ代表の私、丹は、元消防士。東日本大震災で多くの家屋が倒壊し、大切なものを失った方々を目の当たりにしたことにより、既存住宅の価値を上げ、良質な住宅を流通させることがこの国の急務なのではないかと考えるようになりました。小さな会社ではありますが、社員一同、同じ志を持って対応させていただいております。ぜひ一度ご相談ください。
監修者 亀梨奈美
監修者 亀梨奈美大手不動産会社退社後、不動産ライターとして独立。株式会社real wave代表取締役。「わかりにくい不動産を初心者にもわかりやすく」をモットーに、機関紙から情報サイトまで不動産ジャンルのあらゆる文章を執筆・監修。

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