「3,000万円特別控除」について解説!適用要件や申告時の必要書類とは?

不動産の売却後には、譲渡所得税という税金を支払わなければならないケースがあります。

不動産の売値は高額ですので、その分、譲渡所得税額も高額に。しかし売却した不動産が自宅であれば、3,000万円までの譲渡所得税が無税になる特例制度が利用できます。

これが、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」、通称”3,000万円特別控除”です。

特例適用には細かな要件があり、売却した年の翌年には確定申告が必要です。本記事では、3,000万円特別控除の内容適用要件、そして確定申告時の必要書類について解説します。

この記事でわかること
  • 3,000万円特別控除ってなに?
  • 3,000万円特別控除が適用される要件は?
  • 3,000万円特別控除の適用を受けるための確定申告で必要になる書類

「購入時より高く売れそうだな…」という方はとくに、必見です!

執筆者 丹拓也
執筆者 丹拓也株式会社イエツグ代表取締役
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士

譲渡所得税の計算方法

譲渡所得税は、売却した不動産の利益に対して課される税金です。

そのため、売却した金額よりも購入当時の金額の方が高い場合には、売却損(譲渡損失)となり譲渡所得税は課税されません。

譲渡所得の計算式

<譲渡所得の計算式>

売却金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除=譲渡所得金額

譲渡所得金額(利益)が発生した場合には、算出された譲渡所得金額に対して税率を乗じます。

譲渡所得税の税率は売却物件を所有期間によって異なるため、譲渡所得金額が同じでも、所有期間が違う場合には納める譲渡所得税も変わります。

譲渡所得税の税率

譲渡所得にかかる税率は、不動産の所有期間によって以下のように異なります。

※ 所有期間は売却した年の1月1日時点で判断

短期譲渡所得(※所有期間5年以下)

所得税30.63%、地方税9%

長期譲渡所得(※所有期間5年超)

所得税15.315%、地方税5%

3,000万円特別控除の適用要件

次に、3,000万円特別控除の適用要件について説明します。

特例適用する際の要件は6つあり、すべての要件を満たさなければ特例は適用できません。

3,000万円特別控除の適用要件
  1. 売却物件の用途と時期
  2. 売却先
  3. 建物を取り壊しの有無
  4. 特例の併用
  5. 過去年分の特例適用の有無
  6. 住宅ローン控除との併用

1.売却物件に本人が住んでいたこと

3,000万円特別控除は、売却物件に所有者が住んでいたことが前提要件です。
この要件により、3,000万円特別控除は、「マイホーム特例」とも呼ばれます。

また、売却前に自宅から転居した場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する必要があります。

<売却期限の例>
2020年2月に転居した場合⇒2023年12月31日までに売却すること

2.不動産の売却先

3,000万円特別控除を適用するには、売却相手との関係性にも注意してください。

自宅の売却先は、親子や夫婦など特別な関係にある人以外が要件です。近隣の方や不動産業者を介して第三者(赤の他人)に売却する場合は、問題ありません。

<3,000万円特別控除が適用できない売却先との関係>
・親子
・夫婦
・生計を一にする親族
・売却した物件に同居する親族
・内縁関係にある人
・同族会社など特殊な関係のある法人

3.建物を取り壊した際の売却時期

建物を取り壊し、自宅があった土地を売却する場合、以下の2つの要件を満たす必要があります。

  • その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
  • 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと
たとえば、自宅を更地にし、2年後に売却したケースでは、住まなくなった日から3年以内という要件は満たしていますが、家屋を取り壊した日から1年以上経過しているため特例は適用できません。
なお家屋が災害によって滅失し、その後売却するケースにおいては、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すれば、特例は適用可能です。

4.売却物件に対しての特例適用の併用

不動産売却の特例は、3,000万円特別控除以外にも多数存在しますが、同じ物件に対して併用できない特例も存在します。そのため複数の特例要件を満たしている場合には、いずれかの特例を選択し適用しなければなりません。

なお3,000万円特別控除と同様に、マイホームの売却時の節税につながる「所有期間が10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」は、3,000万円特別控除との併用適用は可能です。譲渡所得が3,000万円を超える場合には、軽減税率の特例を併用すると課税額をさらに引き下げられます。

5.過去年分の特例適用の有無

3,000万円特別控除を適用する場合、前年および前々年に以下の特例を適用していないことが要件です。

<前年、前々年に適用してはいけない特例>
・3,000万円特別控除(※)
・マイホームの買換え(交換)特例
・マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例
※「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」によりこの特例の適用を受けている場合を除く

6.住宅ローン控除との併用

3,000万円特別控除を適用する場合、重複して住宅ローン控除を適用とすることはできませんのでご注意ください。

3,000万円特別控除を適用する際の書類と注意点

「住まい」として利用していた物件であっても、以下で説明する特定の住まいについては、3,000万円特別控除が適用できません。

また、確定申告で特例適用の意思を表示し、必要書類を併せて添付しない場合にも不適用となりますので、注意が必要です。

不動産売却時に確定申告しないとどうなる?控除特例や必要書類についても解説!

3,000万円特別控除が適用できない物件

住まいとして利用していた物件を売却しても、以下のケースに該当する場合には、3,000万円特別控除は適用できません。

  1. 特例適用のために入居していた物件
  2. 仮住まいとして利用していた物件や、一時的な入居目的で住んでいた物件
  3. 別荘など、娯楽または保養目的のための物件

買い替え時の短期間の仮住まい住居やセカンドハウスについては特例が適用されず、あくまで「居住」のために供していた住まいである必要があります。

必要書類

3,000万円特別控除を受けるには、売却した翌年に確定申告しなければなりません。確定申告書と一緒に添付する書類は、以下の通りです。

  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】
  • 譲渡契約締結日の前日において、住民票に記載されていた住所と譲渡資産の所在地が異なる場合には次に掲げるいずれかの書類

・戸籍の附票の写し
・譲渡資産の所在地を管轄する市区町村の住民票に、登載されていなかった事情の詳細を明らかにする書類
・土地建物に居住していた事実を明らかにする書類で、譲渡者が譲渡資産を居住の用に供していたことを明らかにするもの

3,000万円特別控除を適用する際のよくある質問

ここからは、3,000万円控除適用に際してよくある質問にお答えします。

Q.売却金額よりも購入した金額の方が高かった場合には適用できるんですか?

A.譲渡所得税は、売却益が出た場合の税金ですので、売却益が出ていない場合には無税です。3,000万円特別控除は不動産売却益が発生した際の特例制度なので、売却損の場合には、特例を適用する必要はありません。

ただし、3,000万円特別控除とは別に、売却損の金額を給与所得など他の所得と損益通算できる特例が2種類あります。

一つ目は、10年以上の住宅ローンを組んで新居を購入する場合の買い替えで適用となる特例です。

マイホームの買い替えで、旧居の売却時に譲渡損失が出た場合、給与などその他の所得と損益通算することができます。また、損益通算を行っても控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡の年の翌年以後3年内に繰り越して控除(繰越控除)することができます。

一方、買い替えでなくとも、売却金額で不動産の借入金残高を完済できなかった場合にも、同様の控除が受けられます。

Q.3,000万円特別控除と住宅ローン控除は、どちらを適用した方が得でしょうか?

A.3,000万円特別控除は、不動産売却益を控除する特例です。一方、住宅ローン控除は、最大10年間控除できる特例です。(2020年12月までの居住については、増税に伴う3年延長措置が適用となります。)

住宅ローン控除が13年間に延長中!節税効果の違いをシミュレーションしてみた

不動産の売却益が多く発生した場合には、3,000万円特別控除を適用した方が節税になりますが、売却益が少なければ、住宅ローン控除を適用した方がお得です。
実際にはどちらの方がお得になるのかは、それぞれの特例を適用した場合の税金計算をシミュレーションしなければ判断できません。

Q.売却のタイミングは、契約日と引渡日どちらで判断するのですか?

A.税制上、原則として引渡日を譲渡した日とします。契約日と引渡日が年またぎになる場合、年明けに不動産を売却した扱いとなります。

なお不動産を売却した本人が、契約日を譲渡日として確定申告をすることも可能です。ただ契約日を譲渡日とする場合には、期限内申告が必須となりますので、ご注意ください。

まとめ:3,000万円特別控除の適用によって、マイホーム売却時に利益が出ても節税・非課税化が可能

自宅の売却で利益が発生したとしても、3,000万円特別控除を利用すれば、多くのケースで非課税とすることができます。ただし、特例を適用する場合には確定申告が必要です。譲渡所得税の確定申告期間は、不動産を売却した翌年2月16日から3月15日(2019年度の申告については1カ月延長)となっています。

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イエツグ代表の私、丹は、元消防士。東日本大震災で多くの家屋が倒壊し、大切なものを失った方々を目の当たりにしたことにより、既存住宅の価値を上げ、良質な住宅を流通させることがこの国の急務なのではないかと考えるようになりました。小さな会社ではありますが、社員一同、同じ志を持って対応させていただいております。ぜひ一度ご相談ください。

監修者 平井拓
税務署勤務10年以上の税務ライター。
在籍時には、2,000件以上の税金相談に対応。専門分野は、相続・贈与・不動産売買に関する税金。