住宅ローンが残っている家を売却する5つの方法と3つの注意点

住宅ローンが残っている家を売ることは、決して珍しいことではありません。実際、売却相談にいらっしゃる多くの方が「ローン残債がある自宅を売却したい」とおっしゃいます。

重要なのは、「売却できるかどうか」ではなく「どう売却していくのか」です。残債がある家を売却するためには、以下の点を確認していきましょう。

この記事でわかること
  • 売却するための条件は何か
  • 住宅ローン残債の清算方法
  • 返済できそうにないときの対策

本記事では、住宅ローンが残っている家を売却する5つの方法と3つの注意点について解説いたします。諸事情から残債がある家を売らなければいけなくなった方は、ぜひ当ページを参考にしてください。

イエツグくん
住宅ローンが残っている状態では、基本的に売却はできないよ。
大事なのは、どうやって売却までに完済するかなんだ。
執筆者 丹拓也
執筆者 丹拓也株式会社イエツグ代表取締役
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士

住宅ローンが残っている家は「売却可能」


はじめに結論を述べると、住宅ローンが残っている家を売ることは可能です。ただし「残債がない家」と比較すると、売却しにくい傾向にはあります。

「売却はできるけど、売りにくい」理由を知ると、売却するために何が必要か正しく理解することができます。

まずは、残債がある家が売りにくい理由から学んでいきましょう。

住宅ローンが残った家を売却するカギは「抵当権」

住宅ローン残債がある家が売りにくい理由は、抵当権があるからです。抵当権は融資を受けたときに金融機関から設定される担保になります。

抵当権とは?

抵当権は、住宅ローンを借り入れている金融機関が持つ権利。債務者のローン返済が滞った際には、金融機関は抵当権を行使して、不動産を強制的に競売にかけることができます。

抵当権をわかりやすく説明すると、「返済できないときは銀行が強制的に家を売ってしまいますよ」という約束手形のようなものです。もし、住宅ローンの支払いが滞ってしまうと、金融機関により抵当権が行使され、強制的に自宅が売却されてしまいます。

抵当権をついたまま売却すること自体は可能ですが、「売主のローン返済が滞ったら売却されてしまうかもしれない家」を買おうと思う人はほぼいないでしょう。

要するに、抵当権を外さなければ買い手がつかないということなのです。

抵当権を抹消させるためには完済が必要

抵当権の抹消は、基本的に住宅ローンを完済していることが条件です。つまり、売却までに住宅ローンを支払い切らなければいけません。

抵当権を外すことを「抵当権抹消登記」と言いますが、この手続きを行うためには金融機関が発行する「抵当権設定契約証書」「抵当権解除証書」などが必要です。この書類はローン完済後に発行されますので、残債がある状態で「発行してください」と頼んでも発行してくることは、原則ありません。

要するに、売却するためには「どうやってローン完済するか」を考えていかなければならないということです。

住宅ローンが残ったまま家を売却している人は多い

住宅ローンを完済しなければ抵当権が抹消できないとはいえ、残債があるまま自宅を売却する人は珍しくありません。

残債がある家を売りに出すことは、決して恥ずかしいことではありません。むしろ、家族の事情やライフプランの変化に合わせ、住まいを変えたり返済方法を見直したりしていかなければいけないこともあります。

条件をクリアし正しい手順を踏みさえすれば、住宅ローンが残った家を売却することは不可能ではないのです。まずは、残債を返済しつつ売却を進めていく方法を模索していきましょう。

イエツグくん
ここからは、住宅ローンが残っている家を売るための5つの方法を解説していくよ!

住宅ローンが残っている家を売却する方法5つ


ローン残債がある家を売るためには「自己資金で完済させる」か「売却金で清算するか」です。方法は全部で5つほどあります。

  1. 自己資金や家族からの援助で一括返済する
  2. 仲介で家を売る
  3. 住み替えローンを組んで家を売却する
  4. 任意売却で家を売る
  5. リースバック

ひとことで「売る」とは言っても、状況に応じた様々な売却方法がありますので、それぞれみていきましょう。

方法1.自己資金や家族からの援助で一括返済する

まずひとつ目は、貯金や退職金などの自己資金や家族からの援助金で一括返済する方法です。予定よりも返済期間を早めることができれば、利息負担の軽減にもつながります。

ただし、住宅ローン減税を活用している場合は、控除制度の恩恵から離脱してしまう可能性もありますので、その点はご注意ください。

自己資金で支払うのは、現実的に難しいという方もいるでしょう。そのような場合は、売却金を返済に充てる方法を選択していきます。

方法2.仲介で家を売る

不動産会社に家の売却を依頼し、売却金で残債を清算する方法もあります。

ただし家の売却金は購入したときより価値が下がるため、売却金だけでは住宅ローン残債を清算しきれないケースも。そのため、少しでも高い金額で家を売る必要があります。

安心して仲介依頼できる不動産会社を探し、高く売るための買主を見つけてきてもらうことが重要です。

方法3.住み替えローンを組んで家を売却する

住み替えローンとは、住み替え先の住宅購入資金とともに、残債分を含めた融資を受けるローンです。

住宅ローンが完済できない状況で住み替えをする方の多くが、住み替えローンを活用しています。

ただし、住み替えローンを組むときには「売買の決済日を同時にする」「返済額が大きくなるため計画性が必要」というデメリットも生じるため注意しなければいけません。

住み替えローンについては下記ページで詳しく解説していますので、ぜひこちらも参考にしてください。

方法4.任意売却で家を売る

任意売却は、自己資金でも売却金でもローンを返済できそうにもないときに用いられる方法です。いわゆる「経済的に破たん」した状態の人が任意売却を選択しています。

競売と似たようなイメージですが、任意売却は一般売却と同じ方法で家が売りに出されるため、「近所や親せきの人に経済事情がバレない」「競売よりも高く売れる」というメリットがあります。

ただし、任意売却を行うためには抵当権を設定している金融機関と話し合いを行わなければいけません。自分で勝手に「任意売却をしよう!」と決めることはできませんので、まずは金融機関か専門業者に相談することから始めましょう。

方法5.リースバック

リースバックは、一度売却した家に借主として住み続ける方法です。

任意売却とリースバックを組み合わせることで、住宅ローンが完済できない状況でも、引き続き家に住むことが可能になるケースがあります。

通常、家を手放してしまうと他人の所有物となってしまいますが、リースバックは時期がきたら買い戻すことも可能。所有権だけ移動するため、周囲の人に「お金がないから売った」とはバレません。返済が苦しいけれど、家を手放したくない!という人に適した売却方法だといえるでしょう。

ただし、購入後に貸し出してくれて、なおかつ買戻すことまで認めてくれる買主がなかなか見つからない点は、リースバックの難点だといえます。

イエツグくん
住宅ローンが残っている状況でも家を売ることは可能なんだね!
ここからは、住宅ローン残債がある家を売る前にすべきことを解説していくよ!

住宅ローンが残った家を売却する前に知っておくべき注意点3つ


家を売却するためには住宅ローンを完済する必要がありますが、家を売ったお金をすべて返済に充てることができるとは限りません。そのため、手元に残る金額がどのくらいになるのか、事前に把握しておく必要があります。

売却方法を考える前に、まずは以下のことを確認しておきましょう。

  • 残債を確認する
  • 売却額を調べる
  • 売却にかかる諸費用を把握しておく

住宅ローンが残った家を売却するときは、この3つの点に注意しながら売却計画を立てていきます。

ローンの残高を確認する

返済計画を立てるために、住宅ローンの残高を調べておきましょう。残高を確認する方法は、3つあります。

  • 返済予定表をみる
  • 残高証明書をみる
  • ウェブサイトをみる

住宅ローンを借り入れたときに金融機関から今後の返済計画として配布される「返済予定表」を確認するのが一番ベストな方法です。すでに手元にあるはずの書類ですので、自宅で住宅ローンの全容を確認しやすいでしょう。

もし返済予定表が見つからないときには、年に2~4回ほど発行される残高証明書を確認するという方法もあります。残高証明書は申告に使用するため、保管している人も多いのではないでしょうか。証明書発行のタイミングは金融機関により異なりますが、大体4月と10月に発行されることが多いものです。

さらに、インターネットバンキングを利用している人は、ウェブサイトやアプリから残高を確認するという方法もあります。ユーザー登録さえ済ませておけば出入金を24時間好きなときに確認することができる大変便利なシステムです。

ただし、金融機関によってはウェブサービス内容が異なるため注意しましょう。

家の売却額を調べる

売却価格がどれくらいかによって、今後どのような売却戦略を立てるべきか決めていく必要があります。

自己資金で住宅ローンの完済が難しいときは、いくらで売却できるのか事前にシミュレーションをしないといけません。いくらで売却できるかシミュレーションをしておけば、「自己資金がいくら必要か」「買い替えローンを組んだ方がいいか」「買い替え特約をつける必要があるか」など、売却戦略を立てやすくなります。

売却金額を調べるときは、不動産会社が行う査定を利用しましょう。弊社イエツグでも売却時には、「どのくらいで売れるのか」査定をさせていただいております。お見積りは無料ですので、ぜひご相談ください。

売却にかかる諸費用を把握しておく

不動産を売却すると「手数料」や「税金」などの諸経費が発生します。売却時には、売却金額のおよそ4%の諸費用を支払わなければいけません。

不動産売却に必要な費用を大きく分けると、次の5種類となります。

  1. 仲介手数料
  2. 印紙税
  3. 登記費用
  4. 譲渡所得税
  5. その他の費用

上記の費用は「いつ頃までに支払うのか」「コストカットする方法はあるの」について下記ページで詳しく解説しています。諸経費を安く抑えたい人はぜひ参考にしてください。

イエツグくん
住宅ローンを完済するためにできることってなんだろう・・・?

残っている住宅ローンを清算するため売却金を多く手元に残そう


たとえ、どんなにいい条件で売りに出しても、望むべく価格で売却できるとは限らない不動産売却。売却金からは「手数料」や「税金」がひかれると解説しましたが、売却金を手元に多く残すためには、できるだけこれらの支払い額を少なくするしかありません。

最後に、返済に充てる金額をより大きくする方法をご紹介いたします。

諸経費をおさえる

売却にかかる諸経費の中でも大部分を占める仲介手数料。この仲介手数料をおさえることができれば、売却金を手元に多く残すことが可能です。

仲介手数料は法律で「一般消費者に請求してもいい限度額」が定められています。反対にいうと、限度額さえ超えなければ仲介手数料を安く請求しても構わないのです。

イエツグでは、お客さまの負担を減らすために、10名様限定で仲介手数料一律182,900円(税別)にて仲介しております。また、できるだけ高く売却するために建物状況調査や既存住宅かし保証を無料で実施するプランもご用意しております。

税金控除制度を活用しよう!

売却時に利用できる控除制度には、「以前の所有期間が長いほど税率が低くなるもの」や「一定条件を満たせば非課税になるもの」があります。これらの制度はかなりお得なシステムとなるため、諸経費を減らしたいなら活用すべきです。

また、マイホームを買い換えた際に譲渡損失が出てしまう場合、翌年以降3年間で繰り越して譲渡損失を他の所得から控除できる特例もあります。

これらの控除制度を利用するには、居住期間や床面積など、定められた条件を満たしている必要があります。また居住している建物の形態も条件のひとつとなるため、適用可能かどうか事前にリサーチする必要があります。

下記ページでは、住み替え時の税金控除の種類や適用条件について詳しく解説しています。税金の疑問を解決したい人や節税したい人は、こちらも併せて参考にしてください。

【まとめ】住宅ローンが残っている家も売却可能

住宅ローンが残っていても不動産を売却することは可能です。事前にいくら売却できるかのシミュレーションをし、どう対応すべきかを考えるのがよいでしょう。

住宅ローンが残っている家を売却するためには、自分に合った方法で売却していきましょう。買い換えローンを有効活用する方法もあれば、もしもの場合に備えて買い替え特約をつける方法もあります。

イエツグのスタッフには経験豊富なFPや住宅ローンアドバイザーが在籍しております。どの控除制度を利用するのが一番お得なのか、診断させていただいております。さまざまケースを考慮して適切な対応をご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。

イエツグは、住宅とともに想いを”人から人に継ぐ”という願いから付けた社名です。仲介手数料を格安・定額にすることで、節約できた費用を住宅の質を向上させるために使っていただきたいと考えております。住まいを”継ぐ”には、耐震性や価値を向上することが不可欠だと思うからです。
イエツグ代表の私、丹は、元消防士。東日本大震災で多くの家屋が倒壊し、大切なものを失った方々を目の当たりにしたことにより、既存住宅の価値を上げ、良質な住宅を流通させることがこの国の急務なのではないかと考えるようになりました。小さな会社ではありますが、社員一同、同じ志を持って対応させていただいております。ぜひ一度ご相談ください。

監修者 亀梨奈美
監修者 亀梨奈美大手不動産会社退社後、不動産ライターとして独立。株式会社real wave代表取締役。「わかりにくい不動産を初心者にもわかりやすく」をモットーに、機関紙から情報サイトまで不動産ジャンルのあらゆる文章を執筆・監修。

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