不動産を親族間で売買するとなると、どうしても手続きが曖昧になりがちです。
- 親子だから契約書は要らない
- お金のやり取りが面倒だから価格設定は適当でいい
- 名義人は家族の誰かだから確認しなくても大丈夫だろう
このように漠然とした内容で手続きを進めていくと、贈与とみなされてしまったり、思わぬトラブルが発生したりすることも考えられます。不動産を親族間で売買する場合は、必ず事前に注意しておくべきポイントを押さえておきましょう。
こちらでは、不動産の親族間売買で注意すべき3つのことについて解説します。親子や兄弟間で不動産売買を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
目次
不動産を親族間売買するときの流れ
まずは、親族間で不動産売買するための基礎知識を理解しておきましょう。
親族間で不動産売買は可能だが知識が必要
親族間で不動産を売買すること自体、法律上の問題はありません。
一般的な不動産売買では不動産会社が仲介に入りますが、親族間売買では業者を挟まずに取引されることもよくあるのが事実です。しかし親族間の不動産売買は、その気がなくても脱税行為に該当してしまったり、トラブルになったりする可能性が高いため、注意して進めていかなければいけません。初めて不動産取引をおこなう人も、何度か不動産売買を経験した人も、まずは、不動産を親族間売買するときの流れを確認していきましょう。
不動産を親族間売買するときの流れ
親族間であっても、一般的な不動産売買と同じように手順を踏んでいくことが大切です。「あの人が名義人で間違いない」と思っていても、書面や本人確認書類をもって所有権者や不動産の情報を明確にしておきましょう。
不動産を親族間売買するときの流れ | プロのアドバイス |
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1.登記事項説明書を確認する | 所有権者や抵当権を確認する
該当不動産が登記されているかどうかもチェックする |
2.査定で相場を調べる | 売買する不動産の価格を調べる
相場通りの売買価格を設定しないと税金がかかることもあるので注意 |
3.売買契約 | 契約書を作成し調印を行う
売却金の受け渡しと登記は同時に行うことが望ましい |
4.所有権移転登記 | 法務局で所有権移転登記を行う
前名義人と新名義人が共同して行う 登記完了まで1カ月ほどかかることも |
以上が、不動産を売買するときの大まかな流れです。取引相手が身内だと、登記を確認したり契約書を作成したりすることを面倒に思うかもしれません。しかし、後に発生するかもしれない相続問題のことを考えても、売買の時点で正しい手続きを踏んで確実に所有権を移行することが大切です。
親族間売買の注意点1.価格によって税金問題が発生する
親族同士だからと安易に価格を設定すると、贈与税が課税される可能性があります。とくに注意したいのが、「税金対策のためにタダ同然の価格で売買することにしよう」と考えることです。
税務署は、脱税のため不正な売買価格で取引していないかどうか常に目を光らせています。とくに親族間売買は目をつけられてしまう可能性が高いので、とくに慎重になって価格付けすべきです。
売買のつもりが贈与になる?みなし贈与に要注意!
「みなし贈与」とは、売買のつもりが贈与として判断されてしまうことです。
親族間売買が贈与とみなされた場合、贈与税が発生します。以下のようなケースがみなし贈与と判断されるため注意しましょう。
みなし贈与に該当するケース
- 格安で不動産を売買した
- 不動産を売る代わりに借金を無くしてもらう
- 購入代金と所有権登記の持分の割合が大きく異なる
親族という近い関係だと、適当に価格を設定したり、無償に近い形で持分を譲渡したりしてしまいがちです。
無償で不動産を取引した場合は、もちろん贈与税の課税対象です。それに加え、上記のように適正価格以下で取引した場合も、同じように贈与と判断されてしまいます。
みなし贈与にならない価格設定方法
みなし贈与にならないためには、たとえ親族間であっても適正価格で取引できるよう、事前に相場を確認しておくことが大切です。相場を確認する方法は、以下の通りです。
不動産の相場を確認する方法
- 国税庁の路線価図を確認する
- 不動産鑑定士に鑑定依頼する
- 不動産会社に査定を依頼する
国税庁では、web上で固定資産税評価額のもとになる路線価図を公表しています。国税庁にアクセスし住所を入力すると、無料で該当不動産の価値を知ることができます。
「路線価図の見方がわからない!」とお困りのときは、不動産鑑定士や不動産会社に査定を依頼しましょう。ただし不動産鑑定士は、鑑定費用が高額。一方、不動産会社では土地家屋の価格を無料で査定しています。弊社では、親族間売買でトラブルを起こさないためのコツもアドバイスしておりますので、遠慮なくご相談ください。
親族間売買の注意点2.契約書を作成し親族間で同意を得る
契約書は、不動産取引の正当性を主張するためにとても重要な役割があります。
今回の不動産取引がきちんと正しく行われたことを他の親族など第三者に示すためにも、契約書は必ず作成しておきましょう。
契約書はリスク回避できる証明書となる
契約書は、どの不動産が誰の手に渡り、いくらで取引したのかを証明する書類です。
契約書に記載されたことは、簡単には白紙撤回させることができません。当事者は正当な方法で不動産を売買したと思っていても、心無い親族が「不正行為だ!」と主張してくる可能性もゼロではありません。
- 子が認知症の親を騙して無理やり契約させたのではないか?
- 他の相続人に相続させたくないから売買に持ち込んだのではないか?
例えば相続では、このように身近な人が心無い言葉を投げつけることもあります。相続になると、それまで良好だった親戚付きあいが豹変するとはよく聞いたもの。言いがかりをつけられないためにも、契約書を交付し取引が正しくおこなわれたという証拠を残しておきましょう。
契約書の作成だけを専門家に依頼することも可能
弊社では、5万円(税別)にて売買契約書の作成を承っております。
不動産会社が作成する契約書は、売主買主の氏名や住所以外に代金の額や支払い時期、権利をいつ頃移転したか、税金の負担についてなど、不動産売買に関する事項が細かく記載されます。
売主と買主の権利と義務をはっきりさせることで、後々のトラブルの発生を予防します。親族間のみならず、個人間売買の契約書の作成も承っているので、お気軽にイエツグまでご相談ください。手続きの進め方に不安を感じたら、契約の途中から仲介に入ることも可能です。
親族間売買の注意点3.住宅ローンが通りにくい
不動産の親族間売買は、買主の住宅ローン審査が通りにくく、金融機関では高確率で融資が断られてしまいます。しかも「融資が断られた」という情報が残されてしまうため、今後の取引に大きな影響を与えかねません。
金融機関が親族間売買の融資を断るのには、次のような大きな理由があります。
- 税金逃れのための売買を防止するため
- 保証会社の信用を得にくい
一般的な融資が受けられない場合は、保証会社を通さずに直接銀行から融資をうける「プロパー融資(プロパーローン)」を受けるしかありません。しかし、プロパー融資は保証料がかからない反面、金利が高く、審査が厳しいローンです。現在、通常の場合の変動金利が1%を切っている中、プロパー融資の変動金利は2%前後。非常に割高になってしまうことがおわかりになるでしょう。
しかし弊社であれば、豊富な親族間売買・個人間売買の実績により、銀行にどのように融資相談をし、どのような書類を準備したら一般的な住宅ローンの融資承認を得られやすいか熟知しております。
親族間売買での融資にお悩みの方は、ぜひイエツグにご相談ください。
不動産を親族間売買するときは専門家に相談を
不動産の親族間売買は、簡単そうに見えても非常に難しい取引です。
不動産登記には、手間も時間もかかります。そして相続や離婚による親族間売買にはとくに、専門的な知識も必要となります。そのため状況に応じて、司法書士や弁護士などの専門家に介入してもらうことも検討しましょう。
もちろん不動産に関することは、不動産会社に任せるのが一番。弊社では、お客様のニーズに合わせた売買方法を提案させていただきます。お客様と信頼関係を築くことを第一に考え、ご家庭ごとのお悩みに寄り添う接客を心がけています。
- 不動産の適正価格を知りたい
- 最低限のサポートだけお願いしたい
- トータルサポートで安心、安全な取引がしたい
どんなお悩みにも真摯に対応させていただきます。売買契約書の作成であれば5万円(税別)、仲介させていただくとしても、仲介手数料は、物件価格に関わらず定額18万2900円(税別)にて承ります。
まとめ
不動産取引の中でも、親族間売買こそ慎重におこなうべきです。リスク回避のために、適切な価格を設定し、必ず売買契約書を交わしておきましょう。
親族同士だからと安易に手続きを進めてしまうと、思わぬ税金の支払い通知が届いたり、親族から責められたりする恐れもあります。親族間売買で「どうしたらいいんだろう」と少しでも迷ったときは、ぜひ一度ご相談ください。ご家族のお悩みや状況に応じて、解決するための適切な対策をご提案させていただきます。