【正式決定】2021年度税制改正で住宅ローン控除の延長・要件緩和が実現!

これまで政府与党で議論されていた2021年度税制改正大綱が、12月10日正式決定しました。

全体的には、コロナ禍を受け減税措置の延長や要件緩和など消費者にとっては嬉しい改正内容となったようです。

来年度に不動産を購入される方にとっては、2021年度の税制改正は「プラスに働くことしかない」といった印象です。

本記事では、正式決定した2021年度の税制改正大綱を速報でお伝えします。

この記事でわかること
  • 住宅ローン控除の控除期間延長について
  • 住宅ローン控除の適用要件緩和について
  • その他2021年度税制改正で不動産購入される方が知っておくべき情報
執筆者 丹拓也
執筆者 丹拓也株式会社イエツグ代表取締役 不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。 保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士

2021年度税制改正の決定事項1.住宅ローン控除の期間延長

住宅ローン控除とは、住宅ローンの年末残高の最大1%を原則10年間に渡って所得税と一部住民税から控除する制度です。

2019年10月の消費税10%への増税に伴い、控除期間を13年間に延長する緩和措置が取られていましたが、こちらの措置は原則「2020年12月末までの入居」という要件があり間もなく終了します。

2021年度の税制改正では、この特例が2年間延長することが決まりました。

「2022年末の入居」に延長

つまり、現行制度では2020年12月末までの入居が対象となっていますが、それが2022年12月末までに延長されるということです。

契約期日はそれぞれ以下の通りです。

控除期間が13年に延長する契約期日
  • 新築住宅:2020年10月~2021年9月末
  • それ以外の住宅:2020年12月~2021年11月末

住宅ローン控除は、減税効果の高い制度ですから、3年間延長となるとかなり大きな節税ができます。

11年目~13年目の控除額算出方法は異なる

ただし、延長される3年間については、それまでの10年間と控除額の出し方が異なる点には注意が必要です。

出典:国土交通省

10年目までの控除額は、「借入残高の1%」「1年の最大控除額(一般住宅なら40万円)」「実際にその人が納めた所得税プラス住民税額」の3つのうち、いずれか最も小さい額がその年の控除額となります。

しかし、控除期間が13年に延長された場合、11年目から13年目の控除額はこの3つとともに「建物の取得価格の2%÷3」という指標が加わった4つのうち、最も小さい額がその年の控除額となります。

節税シミュレーション

出典:国土交通省

こちらは年収675万円の方が5,000万円を35年間、金利2%で借り入れた場合のシミュレーションですが、11年目以降は若干、控除額が下がります。

それでもこのモデルケースでは、控除期間が3年延長したことにより80万円多く控除されます。

2021年度税制改正の決定事項2.住宅ローン控除の広さ要件の緩和

住宅ローン控除の期間延長のみならず、2021年度の税制改正では、住宅ローン控除の適用要件が緩和されることも決定しました。

広さ要件が緩和

現行制度では「床面積が50㎡以上」が適用要件の一つになていますが、これが「40㎡以上」に緩和されます。

40㎡~50㎡というのお住まいは、1LDKや2DKなど単身者やご夫婦2人の世帯に適した広さです。

近年、核家族化および世帯人数の減少が進んでおり、ファミリー層のみならずマイホームを購入される方の多くを控除制度の対象にしようということで、今回、広さ要件が緩和されました。

50㎡未満は所得制限が厳しい

ただ、50㎡未満のお住まいに関しては、1,000万円という所得制限が設けられることになりました。

住宅ローン控除制度自体にも所得制限はありますが、こちらは3,000万円以下です。

小規模住宅の所得制限が低く設定されたのは、資金力のある高所得層まで税優遇することが望ましくないと判断されたためです。

2021年は不動産売買の好機

延長期間中の控除額の算出方法の違いや広さ要件の緩和にかかる所得制限などあるものの、これまで住宅ローン控除の恩恵が受けられなかった人も制度を利用できる可能性が高まります。

さらに控除期間が延長することで節税効果が大幅に高まるとなると、2021年度は不動産の買主のみならず売主にとっても好機だといえるでしょう。

2022年度以降には住宅ローン控除の最大控除額をローン残高の「1%」ではなく、実際に負担した金利まで引き下げようとする動きもあります。

昨今の住宅ローン金利は、変動金利が0.5%を切るなど著しく低い水準になっています。

ローン残高の1%ではなく、実際に負担した金利が控除額となれば、節税効果が半減してしまう可能性もあるということです。

つまり、住宅ローン控除で最大の節税効果を狙うには、2021年度に不動産購入を検討されたほうがいいといえるかもしれませんね。

【2021年度税制改正】その他の改正点

住宅ローン控除の控除期間延長、そして広さ要件の緩和以外にも、2021年度にマイホームを購入される方にとってはありがたい税制改正点が2つあります。

贈与税非課税枠の据え置き

1つは、直系尊属からの住宅資金贈与にかかる贈与税非課税枠の拡大です。「拡大」というよりは「据え置き」ですね。

直系尊属とは、ご両親や祖父母です。つまり、親やおじいちゃん・おばあちゃんから住宅購入に際して資金を援助してもらった場合の贈与税非課税枠が増えるということです。

出典:国税庁

たとえ直系尊属だとしても、基本的には年間110万円を超える贈与については贈与された側には上記の贈与税が課税されます。

しかし、住宅資金の贈与については、一定の非課税枠が設定されています。

そしてこの非課税枠は、2019年の消費税増税に合わせて最大3000万円にまで拡大しましたが、2020年4月には1,500万円に引き下がり、2021年度にはさらに1200万円まで引き下がる予定でした。

それが、2021年度の税制改正で、現行の「最大1,500万円」を保つことが決まりました。

このことにより、親御さんやおじいちゃん・おばあちゃんからの贈与を受けやすくなり、一層マイホームの取得がしやすくなるといえるでしょう。

ただ最大非課税枠である1500万円は、耐震や省エネなど性能が優れた住宅に限られます。一般住宅の非課税枠は「1000万円」ですのでご注意ください。

固定資産税の優遇

そしてこれから不動産を購入される方とともに、今不動産をご所有中の方にも朗報なのが、固定資産税額が2021年度に限り優遇されるということです。

近年、日本の地価は上昇傾向にありました。固定資産税もまた、地価の上昇に伴い上がる傾向にありますが、2021年度に限り、来年度の納税額が上がる予定の土地は、2020年度の税額が据え置きとなります。

一方で、地価が下がる土地については据え置きとはせず、そのまま固定資産税を引き下げるとのことですから、日本の不動産を所有される方、そしてこれから不動産を購入されるすべての方にとってありがたい措置だといえるでしょう。

まとめ:2021年度税制改正は減税傾向が強い!

2021年度税制改正大綱が決定しました。

これから不動産の購入される方にとって重要な点は、まず住宅ローン控除の控除期間が延長されるということです。

住宅ローン控除の控除期間は原則10年ですが、消費税増税後の対策として控除期間が13年になる緩和措置が取られています。しかし、この制度はいったん2020年末に終了します。

そして改めて、2021年の税制改正で「2022年末までの入居」に限り、控除期間が3年間延長することが決まりました。

さらに、住宅ローン控除の床面積の要件も緩和されることが決まっています。現行制度では、「50㎡以上」という制限がありますが、これが「40㎡以上」に緩和されます。

ただし、50㎡未満の場合は所得制限が1000万円となりますのでご注意ください。

また、両親や祖父母からの住宅資金提供にかかる贈与税の非課税枠を据え置くこと、そして2021年度に固定資産税が増税する地域においても2020年度の税額が据え置かれることもまた、これからマイホームを購入される方の後押しとなるでしょう。

イエツグは、住宅とともに想いを”人から人に継ぐ”という願いから付けた社名です。仲介手数料を格安・定額にすることで、節約できた費用を住宅の質を向上させるために使っていただきたいと考えております。住まいを”継ぐ”には、耐震性や価値を向上することが不可欠だと思うからです。 イエツグ代表の私、丹は、元消防士。東日本大震災で多くの家屋が倒壊し、大切なものを失った方々を目の当たりにしたことにより、既存住宅の価値を上げ、良質な住宅を流通させることがこの国の急務なのではないかと考えるようになりました。小さな会社ではありますが、社員一同、同じ志を持って対応させていただいております。ぜひ一度ご相談ください。

 

監修者 亀梨奈美
監修者 亀梨奈美大手不動産会社退社後、不動産ライターとして独立。株式会社real wave代表取締役。「わかりにくい不動産を初心者にもわかりやすく」をモットーに、機関紙から情報サイトまで不動産ジャンルのあらゆる文章を執筆・監修。

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