2020年11月の住宅ローン金利は、変化があった金利タイプもあれば、まったく変化がなかった金利タイプもあります。特定の金利タイプが下がりきるのを待っていた方は、本格的に検討するタイミングなのかもしれません。
本記事では、住宅ローン金利の変更点や今後の金利について解説していますので、ぜひご一読ください。
- 2020年11月現在の住宅ローン金利
- 前月からの変更点
- 住宅ローン金利が今後どうなるのか
【動画目次】
00:00 はじめに
00:59 1.2020年11月現在の住宅ローン金利と変化したポイント
03:25 2.新たな取り組みやキャンペーンを開始した金融機関
05:49 3.住宅ローン金利が今後どうなるのか
08:56 まとめ
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
目次
2020年11月最新の住宅ローン金利を比較
2020年11月現在の住宅ローン金利は、以下の通りです。先月よりも金利が上昇した箇所は赤文字、下降した箇所は青文字で記載しています。
全期間固定金利 | 変動金利 | 固定期間選択型(10年) | ||
三菱UFJ銀行 | 店頭 | 1.81% | 0.575~0.725% | 0.74% |
ネット | – | 0.475% | 0.64% | |
みずほ銀行 | 店頭 | 1.21% | 0.625~0.875% | 0.85~1.10% |
ネット | 1.06〜1.16% | 0.475~0.725% | 0.70~0.95% | |
三井住友銀行 | 店頭 | 1.68% | 0.575~0.775% | 1.10~1.60% |
ネット | 1.28~1.68% | 0.475~0.725% | 1.10~1.55% | |
auじぶん銀行 | – | 0.41% | 0.54〜1.52% | |
ジャパンネット銀行 | – | 0.38% | 0.53% | |
住信SBIネット銀行 | 1.15〜1.57% (フラット35) |
0.44% | 0.66〜1.06% | |
ARUHI | 1.11〜1.26% | – | – |
※2020年11月時点の各金融機関のHPを参照し作成
※記載の金利は各金融機関が2020年11月時点でもっとも高い優遇金利を加味した数値
※住信SBIネット銀行以外の固定金利はフラット35ではなく各金融期間が独自に取り扱っている商品を掲載
※ARUHIはスーパーフラット(団体信用生命保険加入)の数値を掲載
変動金利については、まったく変化がありませんでした。一方で全期間固定金利と固定期間選択型については、一部が変更されていますね。
2020年11月の変更ポイントは、以下の4点です。
- ジャパンネット銀行が固定期間選択型の最小値を更新
- 全期間固定金利(フラット35)が0.01%上昇
- 三菱UFJ銀行が3年固定金利を0.34%に引き下げ
- 住信SBIネット銀行が新たな引き下げプランを発表
ジャパンネット銀行が固定期間選択型の最小値を更新
ジャパンネット銀行は、10年固定期間選択型の金利を0.545%から0.53%に引き下げ、前月までの最小値であるauじぶん銀行の0.54%を下回りました。
10年固定期間選択型は、以下のようにジャパンネット銀行とauじぶん銀行が、最小値を争っています。
ジャパンネット銀行 | auじぶん銀行 | |
2020年8月 | 0.62% | 0.55% |
2020年9月 | 0.545% | 0.55% |
2020年10月 | 0.545% | 0.54% |
2020年11月 | 0.53% | 0.54% |
来月以降、auじぶん銀行がジャパンネット銀行に対抗して、10年固定期間選択型の金利を引き下げてくる可能性があります。
全期間固定金利型(フラット35)が0.01%上昇
全期間固定金利(フラット35)は、2020年10月に0.02%引き下げられましたが、今月再び0.01%引き上げられています。全期間固定金利の中でも、とくに利用者の多い融資期間21〜35年、融資率90%以下のフラット35(買取型)は、1.30%から1.31%に上昇しています。
全期間固定金利型が毎月わずかに変動しているのは、指標となる「新発10年物国債」の金利が日々変動しているためです。新発10年物国債は市場で取引されており、株式のように投資家の予想によって価格や金利が変わります。
住宅の売買契約を結んでから引き渡しまでの期間は、1ヵ月ほどです。住宅ローンの返済額は、物件が引き渡されて融資が実行されたときの金利で計算されます。
全期間固定金利で住宅ローンを組む場合は、購入を決断したときと実際に融資が実行されるときで金利が0.01〜0.02%変動すると想定しておきましょう。
三菱UFJ銀行が3年固定金利を0.34%に引き下げ
三菱UFJ銀行は、ネット専用住宅ローンの3年固定期間選択型を0.39%から0.05%引き下げ、0.34%に引き下げました。これは変動金利の最小値であるジャパンネット銀行の0.38%すら下回る低金利です。
加えて、ネット専用住宅ローンの10年固定期間選択型も、0.64%に引き下げられています。
2020年9月時点で、三菱UFJ銀行の3年固定期間選択型は0.44%、10年固定期間選択型は0.74%でした。わずか2ヶ月で、三菱UFJ銀行は固定期間選択型を0.1%引き下げています。
また三菱UFJ銀行は、2020年10月にネット申し込み型の変動金利を0.475%に引き下げており、金利の引き下げ競争に積極的な姿勢をみせています。
住信SBIネット銀行が新たな引き下げプランを発表
住信SBIネット銀行は、新たなキャンペーンを開始しており、所定の条件に当てはまると変動金利が0.44%から最大で0.03%引き下げられて0.41%となります。
ただし変動金利を0.41%とするためには、三井住友信託銀行で投資信託の自動購入プランを申し込まなければなりません。
また、三井住友信託銀行で投資信託口座やNISA口座を開設したり、定期預金口座の申し込みをしたりすると、住信SBIネット銀行の変動金利が0,01%引き下げられて0.43%となります。
住宅ローン金利は今後どのように推移するのか考察
では、今後の住宅ローン金利はどのように推移していくのでしょうか?今月の住宅ローン金利から読み取れる内容をもとに、考えていきます。
変動金利が低下する可能性は低い
今月、変動金利に変化はありませんでした。auじぶん銀行や住信SBIネット銀行は、最小値であるジャパンネット銀行に対抗する気配がありません。
またメガバンクの変動金利は、ネット申し込み型で0.475%となっており、ジャパンネット銀行に対抗するためには、0.1%以上引き下げる必要があります。
住宅ローンの利息は、金融機関にとって貴重な収入源です。ネット銀行よりも人件費がかかるメガバンクが、変動金利を大きく下げてくる可能性は低いでしょう。
以上の点から変動金利は、これから上昇する可能性のほうが高いと考えられます。
政府による金融緩和政策が続いている限り、変動金利が急上昇する恐れはないでしょう。しかし先月、住信SBIネット銀行が変動金利を0.41%から0.44%に引き上げていることから、0.1〜0.3%程度の上昇が起こっても不自然ではありません。
「もう少し待てばさらに金利が下がるかもしれない」と考えていた方は、住宅を購入するタイミングがきたといえるのではないでしょうか。
金融機関の引き下げ競争は変動金利から固定期間選択型へ
金融機関の金利引き下げ競争は、すでに変動金利から固定期間選択型へ移行しています。固定期間選択型は、変動金利の次に利用する人が多いだけでなく、引き下げる余地もまだ残っているためです。
2020年11月現在も、新型コロナウィルスによる景気の低迷が続いており、今後の先行きも不透明。毎月の返済負担を抑えつつ金利上昇の不安を避けたいという思いから、固定期間選択型を選んで住宅ローンを組む人が増える可能性があります。
しかし固定期間選択型は、金利の固定期間が終了すると返済負担が増えることが多いため、借り入れの際は返済負担を確認して慎重に判断しましょう。
たとえば三菱UFJ銀行の3年固定期間選択型は、返済4年目から利息計算に用いられる金利が上昇する可能性が高いです。
3年固定期間選択型の金利0.34%は、店頭表示金利2.94%から2.6%の優遇幅を差し引いた数値です。返済4年目以降は、優遇幅が1.75%に引き下げられるため、金利の固定期間が終わったときに世の中の金利水準が下がっていない限り、利息計算時に適用される金利は上昇します。
まとめ:住宅ローンの選択は返済シミュレーションを確認して慎重な判断を
2020年11月は、変動金利に動きがありませんでした。前月までの様子から、変動金利はほぼ底値に到達しており、今後は固定期間選択型で金融機関同士の金利引き下げ競争が展開されると考えられます。
新型コロナウイルスにより先行きが不透明な状況では、低金利かつ一定期間は金利上昇の心配がない固定期間選択型住宅ローンが、魅力的に感じられるかもしれません。
しかし固定期間選択型は、返済シミュレーションを確認し、金利の固定期間が終了したあとのことも考えて慎重に選ぶ必要があります。
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