住み替えで今の住まいの売却を先行させるか、新居の購入を先行させるかは、ご本人の事情や資金計画によってベストなタイミングが大きく変わります。
それぞれの住み替えタイミングは、どんなメリット・デメリットを持っているのでしょうか?本記事では、住み替えのタイミング別の注意点についてご紹介します。
- 住み替えのタイミング別メリット・デメリット
- 住み替え時に考えたい資金計画
- 不動産売買のベストタイミング
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
ベストな住み替えのタイミングを考えてみよう!
目次
住み替えは「タイミング」が大事!不動産の売却と購入どちらが先?
現在の住居である旧居を売却し、新たに購入した住居へ移転する住み替え。
新居購入と旧居売却のどちらを優先すべきなのかでお悩みの方は、両者のメリット・デメリットをまず確認していきましょう。
【売り先行】購入前に売却
旧居の売却後に新居を購入する場合、旧居の売却代金を新居の購入費用にあてられるため、資金面での余裕を持ちやすくなります。
また旧居が希望売却価格で売れるまでじっくりと待てるため、高額売却しやすいのは大きなメリットです。
一方で売却の手続きが終わるまで新居の準備ができないため、一時的に仮住まいを用意しなければなりません。新居購入までの時間が長引いてしまう場合、仮住まいを賃貸するための敷金、礼金、家賃といった費用がかさんでしまうリスクが生まれます。
- 資金面で余裕が持てる
- 高額売却を目指せる
- 仮住まいが必要になることも
【買い先行】売却前に購入
新居の購入を優先する場合、旧居の売却時期を気にせず、新居への転居を優先できるメリットがあります。また、購入にじっくりと時間をかけられるため、理想の住まいが見つかりやすいといえます。
一方で、旧居の売却代金を新居購入費用や引っ越し費用にあてられないため、売却代金を当てにしないだけの資金確保は必須条件です。
先に新居を購入するだけの余裕がない場合、新居と旧居両方のローンを支払い続ける二重ローン(ダブルローン)をさけるため、現住居を相場よりも安く早く売却せざえるを得ないリスクもあるでしょう。
- 仮住まい期間なく新居に引っ越せる
- 理想の住まいが見つかりやすい
- 資金が必要
- ローンが重複する期間が発生することも
同時進行で売買
物件の購入・売却のタイミングにズレによって生まれる資金面のやりくりは、住み替えにおいて大きな悩みの種です。もし旧居売却と新居購入のタイミングをぴったり合わせられるなら、資金面の大きな悩みがなくなる上、手続きに必要な期間を大きく短縮できます。
タイミングを合わせるべきは、「決済日」。売却の契約と購入の契約の決済・引渡しを同日にすることで、お金の流れを簡易にし、遅滞なく新居に引っ越せます。
しかし不動産売買においては売主と買主それぞれに事情があるため、タイミングを合わせるのは非常に困難です。上手く合わせられそうなケースでも、割高での購入や割安での売却が必要になる場合もあります。
タイミングを考慮しない
旧居売却と新居購入タイミングをあわせようとせず、個別に手続きを進めるのもひとつの選択肢です。
売りたい価格で売り、買いたい物件を買いたい価格で買うため、非常に満足度が高い取引が期待できるでしょう。
ただし旧居売却、新居購入のどちらを先行するか、予定を立てにくい面もあります。もし旧居売却が先に決まるようなら仮住まいの準備をせねばならず、新居購入が先なら二重ローンを抱えます。
どちらに転んでも問題がない程度の経済的な余裕を持てる方向けの選択肢といえるでしょう。
どんなタイミングで住み替えするにしても、必要なお金の計画はしっかり考えておこう。
住み替えのタイミングを考える上での重要なのは「資金計画」
住み替えには新居の購入費用のほか、物件の売却・購入に関わるさまざまな諸費用が発生します。住まいの売却には売却金額のおよそ4%。購入には、購入金額のおよそ7~10%の諸費用がかかるといわれています。住み替えのためには、諸費用も含んだ綿密な資金計画をたてなければなりません。
元物件の売却にかかる費用
物件の売却に必要な諸費用は、所得税・住民税・消費税を除くと、売却代金の4%程度が必要といわれています。
物件売却にかかる諸費用の内訳は以下の通りです。
項目 | 金額の目安 |
---|---|
不動産会社への仲介手数料 | 物件価格×3%+6万円(税抜) |
印紙税(契約書に貼付) | 契約金額によって異なる ※一覧表はこちら |
抵当権抹消費用 ※住宅ローンが残っている場合 | 2万円前後 |
ローン完済手数料 ※住宅ローンが残っている場合 | 5,000~5万円 |
また、売却により発生した売却益は所得税・住民税の課税対象です。必ず確定申告を行い、売却益に対する納税額を確定させなければいけません。
項目 | 税率 |
---|---|
所得税・復興特別所得税 | 譲渡した年の1月1日で保有期間が5年以下:譲渡所得の30.63% 譲渡した年の1月1日で保有期間が5年超:譲渡所得の15.315% |
住民税 | 譲渡した年の1月1日で保有期間が5年以下:譲渡所得の9% 譲渡した年の1月1日で保有期間が5年超:譲渡所得の5% |
ただし居住用物件の売却は「特別控除特例」による3,000万円分の控除が認められ、所得税・住民税を低額に抑えられる場合があります。
新物件の購入にかかる費用
物件の購入に対しても、売却同様に多くの諸費用がかかります。購入は売却に比べ税項目が多いため、購入価格の7%前後と高額です。
物件購入にかかる諸費用の内訳は以下の通りです。
項目 | 金額の目安 |
---|---|
不動産会社への仲介手数料 | 物件価格×3%+6万円(税抜) |
印紙税(契約書に貼付) | 契約金額によって異なる ※一覧表はこちら |
登録免許税 | 20万円前後 |
不動産取得税 | 土地(住宅用):固定資産税評価額×1.5% 建物:固定資産税評価額×3% ※令和3年3月31日まで ※固定資産税評価額は土地の場所や建物の規模、構造などをもとに各市町村が個別に決めている |
火災・地震保険料 | 10万~30万円前後 |
また物件購入にともない住宅ローンを組む場合には、別途以下の費用が必要です。
項目 | 金額の目安 |
印紙税(ローン契約書に貼付) | 契約金額によって異なる ※一覧表はこちら ※軽減税率は適用外 |
抵当権設定費用 | 3万~10万円前後 |
ローン手数料・保証料 | 3万~40万円前後 |
つなぎ融資や住み替えローンも検討してみよう!
住み替えのタイミングによっては「つなぎ融資」「住み替えローン」の検討も
わずかな資金不足や住宅ローンの清算を理由に、理想通りの住み替えができなくなるケースは少なくありません。
住み替えタイミングで起こる資金問題解決のために、「つなぎ融資」や「住み替えローン」の利用も検討してみましょう。
つなぎ融資
住宅ローンの融資が新居購入代金の支払いタイミングに間に合わない場合、住宅ローン融資までの期間を埋めるために受けられる融資が「つなぎ融資」です。
つなぎ融資は原則として住宅ローンと同じ金融機関で組み、住宅ローンの融資とともに即座に返済する必要があります。しかしつなぎ融資を扱っていない金融機関もあるため、必ず利用できるとは限りません。
また、一般的には住宅ローンよりも高金利です。2020年10月現在の住宅ローン金利が年0.4~1.8%程度のところ、つなぎ融資の金利は年2~4%。短期間とはいえ、割高の利息が発生してしまいます。
住み替えローン
物件を売却するためには、基本的に住宅ローンを完済して「抵当権」を抹消しなければなりません。今のお住まいのローンが完済できない見込みであれば、新居の購入資金に旧居の残債を合算して新しいローンを組み直す「住み替えローン」の利用を検討しましょう。
ローン残債の返済には旧居の売却代金をあてるのが一般的ですが、思ったよりも旧居が高く売れず、売却が済んでも残債が残ってしまうようなケースがあります。通常は残債を全て完済するまで抵当権は消滅しませんが、住み替えローンを利用し新たなローンに組み替えれば旧居のローンは完済扱いとなり抵当権が抹消できます。
ただし新居の住宅ローンに旧居の残債が加わるため、借入総額は大きな金額になります。あとあと毎月の返済額が重くのしかかってくる恐れもあるため、返済プランは慎重に計画しなければなりません。
また住み替えローンの契約のためには、旧居の売却と新居の購入を同時に行う必要があります。不動産売買には、売主・買主それぞれと契約する不動産会社のほか、金融機関や司法書士など多くの人が関わります。そのためスムーズに取引が行えるよう、一般的な不動産売買よりも連携のための調整が求められます。
いろいろなお金の問題も、不動産の価格次第で解決するケースもあるよね。
不動産はどんなタイミングだと高く売れるんだろう?
不動産売却のベストタイミングは?
不動産を売却するなら、できるだけ高い価格で売りたいものです。不動産は売るタイミングによって手元に残るお金が大きく変化するため、適切な売却時期の見極めが重要です。
すぐに売却しなければいけない事情がないようなら、次に挙げるような時期を狙うのもよいでしょう。
年度末
不動産の取引は、1月から3月の年度末に活発化します。この時期は4月からの新年度に向けた異動の辞令が多く、異動先での新生活を見据えた不動産購入が行われるためです。
また年度末に次いで異動が多い9月から10月も取引が活発化。異動先への移住準備のため取引も短期化しやすいため、スムーズな取引が望めるでしょう。
所得税・住民税率の変更時
不動産売却で生まれる売却益には、所得税・住民税といった税金が課されます。これらの税率は、「所有期間5年」を境とした所有期間によって大きく変わります。
5年より長く所有していた物件なら、5年以下に比べて半分程度まで税率が下がるんですね。
項目 | 税率 |
---|---|
所得税・復興特別所得税 | 譲渡した年の1月1日で保有期間が5年以下:譲渡所得の30.63% 譲渡した年の1月1日で保有期間が5年超:譲渡所得の15.315% |
住民税 | 譲渡した年の1月1日で保有期間が5年以下:譲渡所得の9% 譲渡した年の1月1日で保有期間が5年超:譲渡所得の5% |
さらに譲渡した年の1月1日で所有期間が10年を超えた物件は、さらに税率が低減。3,000万円の特別控除特例適用後、居住用財産軽減税率の特例により6,000万円以下の部分の税率が14.21%となります。
今のお住まいで売却益が大幅に出そうなときは、「所有期間」も考慮したいところです。
相場・ニーズ
不動産には相場があり、他の要因によって不動産の価格が大きく変動する場合があります。相場が高い時期に売却できれば、購入した時よりも高く売り抜ける場合もあるでしょう。
ただし、基本的にはマンションも一戸建ても経年につれて価値が下がっていくもの。地価の上昇や再開発等により、価格が上がることは「稀」だと考えたほうが賢明です。
また相場が高い時期は売却だけでなく、購入価格も上がっています。資金に余裕があるなら、先に物件を売却し、住み替え先の住居は相場が低い時期に購入してもよいでしょう。
まとめ:住み替えのタイミングはイエツグにご相談ください
住み替えは、先に旧居を売却するケース、先に新居を購入するケースで資金計画の方針が大きく異なります。どちらのケースが優れているというわけではなく、それぞれメリット・デメリットがありますので、自らの資金や相場などを参考に、住み替えの計画を立てましょう。
弊社イエツグは、不動産売買の仲介を専門とする不動産会社です。不動産の売却だけ、購入だけのお手続きはもちろん、適切な住み替えに向けたアドバイスもさせていただきます。
また一般的には「仲介手数料×3%+6万円」を請求される仲介手数料ですが、イエツグは182,900円(税別)の定額制。不動産の購入、売却という2つの取引をする住み替えでは、数百万円単位の仲介手数料がかかるものです。また「新居をイメージ通りにリフォームしたい!」という方には、仲介手数料無料のプランもご用意しております。さらに弊社には、FPや住宅ローンアドバイザーといった「資金計画」のプロも在籍しておりますので、お金のこと、ローンのこともお気軽にお問合せください。