2022年に資産価値重視で考える不動産購入の条件について

この記事は、これから住宅購入を予定している方や、将来的に売却を検討されている方に、「将来損をしたくない」「資産価値重視」で失敗したくない方向けの内容となっております。

住宅選びにおいてその人それぞれの最適解は皆それぞれです。

新築が良いのか中古が良いのか、戸建かマンションかなどなど…

このような議論はどれも定性的であり正解はありません。

しかし、不動産の資産価値に焦点を当てた場合、途端に定量的な議論となり、不動産購入で損をしたくないのであれば王道の条件というものがある。

高度成長期を経た後の日本では、人口減少、未婚晩婚化、少子高齢化、平均所得の減少、空き家問題などの諸問題があります。

そんな中で、持家ではなく一生賃貸でも良いという若者も増えてきており、「持家信仰」というものは崩壊してきております。

そんな中、そもそも今の時代と逆行してマイホームを購入しても大丈夫なのか。

もし住宅を購入するのであれば、資産価値の観点からどんな物件を買ったら安心なのか

これから不動産を購入する人に資産価値の観点から注意して欲しいことを解説します。

本記事のポイントは3つです。

ポイント

1.これから損しないための住宅購入とは

2.持家信仰の終焉と空家問題

3.住宅に求めるニーズの変化と人口動向

不動産購入で損しないためには立地と間取り、中古物件の維持管理が大事

不動産購入で損しないポイント

・駅近5分の立地

・コンパクトな間取り

・中古物件の維持管理を適正にする

駅近5分の立地

不動産購入で損しないために一つ目の重要なことは、駅近5分の立地です。

なぜなら、駅から離れるほど土地の下落率が低く、駅近の定義が徒歩5分以内に変わってきているからです。

出典:国土交通省

国土交通省の「地価公示の最寄り駅等からの距離別区分平均変動率」によれば、駅から近いほど土地価格の上昇率が高いです。

反対に駅から遠くなるほど土地価格の下落率が高まっています

その他にも不動産情報サイト公共住宅事業者等連絡業議会のアンケート調査によれば、駅までの距離の許容範囲が50歳代以上は「10分まで」が最多の38.6%でしたが、20歳代は「5分まで」が最多の42.9%でした。

つまり、これからの住宅購入者は駅近の物件を選ぶと土地価格が上昇する傾向があります。

そして、駅近の定義も10分から5分に変化していることからも駅近5分以内の物件の需要がこれからさらに増加すると言えます。 

当たり前の話にはなりますが、資産価値の観点から失敗しない不動産購入をするためには、駅近は必須条件であり例外はありません。

20分よりも10分、10分よりも5分、議論の余地はありません。

コンパクトな間取り

不動産購入で損しないための二つ目に重要なことはコンパクトな間取りです。

なぜなら、将来的に単身者がこれから増え続け、1LDKや2LDKが主流となっていくからです。

内閣府が発表している50歳時の未婚割合の推移と将来推計によれば、未婚率は年々増加傾向にあり、将来的にはさらに増加する試算となっております。

私たちの小さい頃は核家族化が問題でしたが、現在は単身者が多くなってきており、一生独身という選択をすることも普通になってきているのです。

この流れを不動産市況から見ると、高度経済成長期には3LDK〜4LDKの間取りが主流でした。

一方、現在では平均年収の低下や2015年施行の女性活躍推進法が2019年の改正により、さらに夫婦共働き世帯が増加しており、少子化が加速

そのため、2010年頃から30㎡〜60㎡のコンパクトマンションがブームとなり、2022年度の税制改正でコンパクトマンションであれば40㎡まで税制優遇(住宅ローン控除)が受けられるようになっております。

2022年度(令和4年度)の住宅ローン控除については最新情報をまとめた記事がありますので、下記記事をご参照ください。

どういうことかというと、政府もコンパクトな間取りの物件購入を後押ししているということです。

そうすると住宅購入者のニーズは将来的にも3LDKから2LDKへ、2LDKから1LDKへ変化していくでしょう。

要するに、今4LDKや5LDKなどの大家族向けの住宅を購入すると将来的に売却先が見つからない恐れがあります。

仮に売れたとしても住宅ローン残債以上の金額で売ることは難しい可能性が出てきます。

これから資産価値重視で住宅を購入するのでしたら、コンパクトな間取りの物件を選びましょう

中古物件の維持管理を良くすること

これからは都市部の中古物件が売買の主流になるため、中古物件の維持管理が適正になされている物件が評価されます

なぜなら、日本は人口減少によって過疎化するエリアが現れており、2040年までに全国で50%ある896もの基礎自治体が「消滅可能性都市」と言われております。

こういった都市では行政サービスが悪くなるため、都市部への人口移動がさらに進むでしょう。

共働き夫婦や単身者も働き方・利便性を重視すれば、都会への流入は続くと予想されます。

人口が集中する好立地エリアでは不動産価格は上昇します

駅近物件であればなおさら不動産価格は上昇するでしょう。

しかし、少子高齢化による税金がさらに重くなっていることも予想され、可処分所得は思ったほど上がらないと予測されます。

そうなれば、利便性を求める人々は価格が高い新築ではなく、中古物件を探すことになります。

中古物件の中で選ばれるには、建物の維持管理が行き届いているかが重要になってくるのです。

ただし、現在はホームインスペクションと呼ばれる住宅診断が日本では主流ではないため、買主は中古物件の状態が良い物件も悪い物件も同じ価格で購入しているのが現状です。

なぜかというと、建物内部の劣化状況は素人では把握しきれないからですね。

しかし、状態がいい物件も悪い物件も同じ価格で売られるのはおかしいです。

やはり今後は、ある程度築年数が経過した建物を販売する場合は、国が予算を出してホームインスペクション(住宅診断)の実施を義務付けたり、一定以上のリフォーム工事を実施するで税制優遇を受けられる制度が導入されて、建物の維持管理が適正に評価される時代が来るでしょう。

ちなみに 2018年4月の宅地建物取引業法改正により、建物状況調査(ホームインスペクション)を実施した場合、不動産仲介会社は買主へ説明することが義務化されました。

もっとも、今住宅を購入する人は不動産会社からホームインスペクションを提案することは少ないため、購入者負担で売買契約前に中古物件の状態を確認しておくことをおすすめします

始めに状態がいい物件であれば、そのまま維持管理を継続していくと、状態が良いということが値段に反映されるので、将来の売却時に損をしないことに繋がります

住宅診断をしないことの弊害はいたるところにあり、例えば出口戦略として不動産売却するときにも、住宅診断しないがために不動産が売れにくかったり、売るのに時間がかかったりすることがあります。

ちなみに住宅診断は物件の規模にもよりますが、5万円~10万円程度で建築士に依頼可能です。

たったこれだけの費用で住宅診断ができるのですから、資産価値の観点からも実施を強くお勧めします。

住宅診断については下記記事で詳しく解説しておりますので、合わせて参考にしていただけますと幸いです。

住宅診断 デメリット 費用

将来、不動産が処分できるかが大事な理由

いつまでも購入した物件に住み続けるとは限りません

転勤や月々の住宅ローンの支払いが厳しく住宅を手放すことがあります。

他にも若い時に住宅を購入しても、高齢になれば、養護施設や家族との2世帯住居への転居など、生じることがあるでしょう。

そうなってしまった場合に、お住まいの物件をできるだけ高く処分できるかがポイントとなります。

つまり、資産価値の高い不動産を購入することが言うまでもなく重要ということです。

日本の住宅市場の歴史

出典:総務省統計局

平成30年住宅・土地統計調査によれば、持ち家は3,280万2,000戸で持ち家率は61.2%です。

住宅の所有率が6割を超えていますが、これはごく最近の話なのはご存知でしょうか。

江戸時代から1945年の戦前までは、持ち家率は1割ほどで、多くの人が借家に住んでおりました。

戦後になって、GHQの占領下での経済政策によって「傾斜生産方式」で鉄鋼や石炭に資材・人材・資金を重点的に投入する政策がとられました。

その後の朝鮮戦争による経済特需を経て、高度経済成長期に日本は突入します。

地方から都心へ上京する人々が押し寄せて、住宅の供給が追いつかない状況でした。

まさに住宅を作れば売れる時代です。

1986年~1991年の高度経済成長期には、持家信仰が根付き、持ち家率が現在の6割台へと大幅に上昇しました。

しかし、その後、バブル崩壊とその失われた10年を経て、現在日本は人口減、少子高齢化、空家問題など諸問題を抱えるようになっていきます。

今では、住宅は作れば売れる状態にはありません。

最近では2020年の10月に世田谷区に空き家が5万戸以上あるという衝撃的なニュースがありました。

これに対して政府は新築物件の購入を後押ししています。

2022年度の税制改正では、課税物件の住宅ローン控除を13年間に延長する措置が決まりました。

先進国の中では、新築が盛り上がっているのは日本くらいです。

出典:国土交通省

平成25年に国土交通省から公表された国際比較した既存住宅の流通シェアでは、日本が14.7%しかないのに対して、ヨーロッパなどでは60%を超えています。

ちなみにそのヨーロッパの新築流通量は11%台となっており、日本とは対照的な状況です。

ヨーロッパなどの諸外国では、人口動向を元に新築制限が掛けられており、簡単には新築物件を建てることができません。

日本も人口減少が見込まれているのに新築の建築制限せずに、むしろ新築の後押しをしているので、必然的に空き家が増加し続けます

これが、今の日本の歴史的に見た住宅市場の現状です。

何も考えずに不動産を購入してしまうと、買い手が見つからない恐れがあります。

人口減少と不動産価格の減少

出典:国土交通省

人口減少について補足すると、2014年に国土交通省より発表された、「国土のグランドデザイン2050」によると、2010年と比較して、2100年には人口は50%以上減少すると予測されています。

2014年の増田寛也氏 元総務省大臣ら民間有識者で構成する「日本創生会議」では、2040年までに日本全国のおそよ50%の896の基礎自治体が「消滅可能性都市」であるという発表もあります。

「消滅可能性都市」とは人口流出が続き、存続できなくなる可能性がある自治体のことを言います。

また、こちらも2014年になりますが、日本大学の清水千弘教授らの研究によれば、2010年と比較すると、2040年には不動産の平均価格は46%下落するという発表があります。

郊外の空き家が増えてきている

郊外の住宅需要は下り坂です。

女性の社会進出に伴い、郊外のベッドタウンでは、通勤に1〜2時間掛かります。

これでは保育園の送迎時間がありません。

自然と保育園に近く、保育園から職場にも近い条件を満たす住宅へのニーズが高まります。

要するに利便性の良い立地にある住宅の需要が高まっており、逆に郊外の利便性の悪い立地にある住宅の需要は減少傾向にあります。

小ぶりな住宅を求めるニーズに変化

また、人口減少や平均収入の減少、世帯構成が大家族から核家族への変化で高度経済成長期は3LDKから4LDKの住宅を主流としておりましたが、今では1LDK〜2LDKが主流となっています。

さらには、郊外よりも利便性が高い都心部では物件価格は高額になるため、購入予算を上げるか、グレードを下げた大きさの物件を選択することになります。

小ぶりな物件ニーズが高まった象徴としては、2022年税制改正での住宅ローン控除の適用要件が緩和されて、床面積が狭い物件でも住宅ローン控除の適用が受けれるようになったことです。

現時点では一時的な政策ではあるものの、これをきっかけに小ぶりな物件への購入の追い風となるでしょう。

これからの人口動向

若者だけではなく、高齢者も郊外では住みにくい状況が続いております。

郊外のニュータウンでは人口減少の影響で商業施設の閉鎖が続いております。

公共交通網も縮小傾向にあり、1日1本から週に1本のバスなども聞くようになりました。

「第二の人生は地方で!」とはもはや死語になってきています。

出典:内閣府

国立社会保障・人口問題研究所で発表されている「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」では、都市規模が大きいほど人口の伸びが大きいと見込まれており、反対に人口5万人未満の都市は2020年をピークに人口は年々減少していくと予測されています。

これらのことからも全年齢で都心一極化は当然の流れとなりそうです。

要するに、都心の利便性に優れた立地のいい小ぶりな住宅でないと将来的に売却できない恐れがあるのです。

2021年にはミニマリストという言葉が流行りましたね。

不動産でも同じで、大は小を兼ねるが良しとされてきましたが、これからは自分が本当に必要なサイズ、必要最低限の不動産を購入することが、資産価値の観点からすると必須条件になっていくということです。

その他の不動産を購入する時の注意点

立地や間取り、維持管理以外にも住宅購入時の注意点は他にもあります。

・災害リスク
・契約リスク
・資金リスク

災害リスク

住宅購入において、目に見えない災害リスクは忘れてしまいがちです。

目に見える形で災害リスクを減らすには、ハザードマップで水害や土砂災害、液状化のエリアを確認しておくことです。

ハザードマップは各自治体のホームページから確認することができます。 

「私はハザードマップなど気にしない」

という方もいらっしゃると思います。

しかし、

資産価値の観点から言えば、それは大いに間違っています。

確かに不動産購入時に自身が防災ハザードマップに記載されている情報を重視せず、購入を判断するというのは間違いではありませんが、これからはそうはいきません。

理由としては2020年8月の宅地建物取引業法施行規則の一部改正で、不動産取引時に水害ハザードマップにおける対象物件の所在地説明および水害リスクの説明が義務化されました。

ということは、あなたが購入する不動産周辺エリアが水害リスクありと指定されている場合、売却時、つまり次の購入者は必ずその水害リスクについて検討する必要が出てくるということです。

あなたは気にしなくても、不動産仲介業者は水害リスクについての説明義務があるため、リスクを容認できなければ売るに売れなくなるというわけです。

これからは防災ハザードマップの確認は、資産価値の観点から必須事項ということです。

契約リスク

不動産購入時に契約内容を確認しておかないと後々大きなトラブルが発生することもあります。

回避するポイントは、重要事項説明書です。

契約書の締結前に必ず行われる重要事項説明という不動産に関する詳細な説明の情報量はとても多いです。

専門的な用語も多いため、一度聞いてもほとんどの方が全てを理解できずに、聞き逃してしまうことがあります。

重要事項説明書はコピーを貰うことができるので、しっかりと読み込んで契約に臨み、分からないことは恥ずかしくないので、契約担当に質問をしましょう。

 特に住宅ローンを組まれる際は、住宅ローン審査が通らなかった場合の契約解除に「融資特約あり」として具体的な条件を契約書に記載してもらえば、手付金の放棄や違約金の支払いを回避することができるのでしっかりと確認しておきましょう。

資金リスク

不動産の購入には、物件や土地の購入資金だけではありません。

初期費用として、印紙税や登録免許税、不動産取得税、消費税などの税金があります。

その他には仲介手数料、頭金、保険料や手付金が掛かってきます。

新居には家具を新調する人も多いでしょうし、引越し代も必ず掛かってきます。

中古物件であれば、リフォームやリノベーション代も掛かってくる場合もあるでしょう。

不動産そのものの価格だけではなく、その不動産に住む為にはいくらの諸費用がかかるのについても重要な要素となります。

逆に言えば、不動産購入時の諸費用が安い不動産を購入できれば、必然的に資産価値の高い不動産と言い換えることができますよね。

ちなみに初期費用の中で仲介手数料が一番高いと言われており、一般的には「販売価格×3%+6万円」ですが、弊社イエツグでは介手数料は無料+売主報酬55%プレゼント(キャッシュバック)もしくは仲介手数料定額18万2,900円(税抜)にてお手伝いしております。

初期費用の他に、毎月の住宅ローン、固定資産税、マンションなら管理費や駐車場の費用、修繕積立金も考えておいた方が良いでしょう。

子供がいれば、教育費も年々増えていきます。

共働き世帯でも、どちらかの転勤で単身赴任を選ばなければ辞めることもあります

将来も見据えた資金計画を練りましょう

最後に、値段が下がらない物件を選んでおけば、もしもの時に売却が選択肢として上がるので、購入時のポイントを忘れないでください

まとめ

住宅購入する際に、これから損しないための注意点、将来的に処分できることが大切な理由、そのほかの購入時の注意点を資産価値の観点からご説明しました。

不動産売買市況が縮小確実な現在でも、損をせず不動産購入する方法が都心で駅近5分で小ぶりな間取りの維持管理が適正な住宅を購入することです。

住宅購入希望者からすると不都合な話ばかりでしたが、決して住宅購入を否定するわけではありません。

しかし、持ち家が当たり前という時代は終わり、一生賃貸であっても不思議ではない時代です。

人口減少でありながら、新築が乱立する状態で、需要がない住宅の価格は当然ながら下がります。

そのリスクを考えれば、コスト面で言うと賃貸に住んでいた方が良いという判断もあります。

それでも住宅を購入したい、損をしたくないと考えるる方は、上記にあげたポイントに注意して、不動産選びをしてみてください

こちらの動画でも記事の内容を詳しくお話しさせていただいております。