【2020年7月住宅ローン金利】コロナの影響は?今後はどう推移する?

2020年7月現在の日本は、緊急事態宣言が解除されて経済活動が少しずつ再開されています。しかし、東京を中心に新型コロナウイルスの感染者数が再び増加しており、まだまだ安心できない状況です。

そんな中、7月の住宅ローン金利は、固定金利と変動金利の両方で変化がありました。

そこで今回は、2020年7月現在における住宅ローン金利だけでなく、固定金利や変動金利の値が変化した理由も併せて解説していきます。

この記事で分かること
  • 2020年7月現在の住宅ローン金利
  • 2020年7月の住宅ローン金利が変化した要因
  • 住宅ローンの選び方
執筆者 丹拓也
執筆者 丹拓也株式会社イエツグ代表取締役
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士

2020年7月最新の住宅ローン金利を比較

2020年7月現在における、各金融機関の住宅ローンの金利は、以下の通りです。先月よりも金利が上昇した場合は赤文字、下降した場合は青文字で記載しています。

全期間固定金利型 変動金利型 固定期間選択型(10年)
三菱UFJ銀行 店頭 1.50〜1.82% 0.625~0.775% 0.84%
ネット 0.525% 0.74%
みずほ銀行 店頭 1.131.25% 0.625~0.875% 0.90 ~1.15%
ネット 1.031.15% 0.525~0.775% 0.80~1.05%
三井住友銀行 店頭 1.68% 0.575~0.775% 1.15~1.65%
ネット 1.28~1.68% 0.475~0.725% 1.15~1.60%
auじぶん銀行 0.41% 0.55〜1.54%
ジャパンネット銀行 0.38% 0.62%
住信SBI銀行 1.17〜1.56% 0.41% 0.76〜1.16%
ARUHI 1.10〜1.25%

※2020年7月時点の各金融機関のHPを参照し作成
※記載の金利は各金融機関が2020年7月時点で実施している割引プランを加味した数値
※ARUHI、住信SBI銀行以外の固定金利はフラット35ではなく各金融期間が独自に取り扱っている商品を掲載
※ARUHIはスーパーフラット(団体信用生命保険加入)の数値を掲載

このように変動金利型は多くの金融機関で変化がみられませんが、全期間固定金利型と固定期間選択型は全体的に上昇しました。

たとえば三菱UFJ銀行は、固定期間選択型(10年)の金利を、0.79%から0.05%引き上げて0.84%に設定しています。全期間固定金利型も、6月の1.45〜1.75%から1.50〜1.82%に引き上げられました。

では、なぜ固定金利だけが上がり、変動金利はほぼ変化がなかったのでしょうか?詳しく解説していきます。

固定金利が引き上げられたのは長期金利の上昇が原因

固定金利が引き上げられた理由は、固定金利の値を決める際の指標となる、新発10年物国債(長期金利)が、2020年の6月上旬に上昇したためです。

長期金利は、投資家が安全資産である債券を売り、よりリスクの高い株式を購入した場合に上昇します。

2020年6月には、世界各国で経済活動が再開されたため、「今後景気が良くなるだろう」と予想した投資家が、債券を売却して株式を購入しました。

その結果、長期金利が上昇し、各金融機関は全期間固定型や固定期間選択型を、0.01〜0.05%引き上げたのです。

変動金利が前月と変わらないのは政府が金融緩和政策を継続しているから

変動金利は、多くの金融機関が利率を据え置いています。これは、日本がまだ金融緩和政策を継続しており、変動金利の指標となる無担保コールレート(オーバーナイト物)の利率が引き下げられたままだからです。

無担保コールレート(オーバーナイト物)
無担保コールレート(オーバーナイト物)とは、銀行間で短期的にお金を借りて翌日に返済する取引の際に適用される金利のこと
日本銀行が定める政策金利をもとに金利が決められる

しかし多くの金融機関が変動金利の利率を据え置くなか、ジャパンネット銀行は変動金利を0.399%から0.38%に引き下げています。

前月までは、キャンペーンを適用した場合のauじぶん銀行の変動金利が、0.38%で最小値でした。ただしauじぶん銀行の金利を0.38%にするためには、auじぶん電気を契約しなければなりません。

そのためジャパンネット銀行の0.38%は、キャンペーンを適用しない変動金利の中で過去最低値となります。

また住信SBI銀行とSBIマネープラザは、借り換え時の金利を0.398%まで引き下げています。

住信SBI銀行とSBIマネープラザの金利引き下げは、6月まで最小値であったジャパンネット銀行の0.399%を更新する目的があったのでしょう。

しかしジャパンネット銀行は、変動金利型を7月に0.38%に引き下げたため、住信SBI銀行(SBIマネープラザ)の思惑通りにはならなかったようです。

今後はどう推移する?コロナ禍における住宅ローンの金利

それでは、2020年8月以降、住宅ローン金利はどのように推移していくのでしょうか?未来のことなので、確実なことはわかりませんが、今の状況から今後の金利を推測してみます。

固定金利はコロナが収束するまで動きが読みづらい状況が続く

固定金利を決める際の指標となる長期金利は、6月上旬に上昇したものの中旬以降は下がっていました。しかし6月の終わりごろから長期金利は再び上昇しており、7月上旬には6月上旬と同じ水準に戻っています。

6月の中旬から日本の長期金利が下がったのは、アメリカがゼロ金利政策を2022年末まで継続する方針を発表したことによるものです。ゼロ金利政策の継続が発表されたあとの米国市場は、債券が買われて長期金利が低下したため、その影響で日本の長期金利も低下したと考えられます。

しかし6月の下旬からは、アメリカや中国の経済が回復に向かっている事実を受けて、日本の長期金利は再び上昇しているのです。

長期金利は、投資家の予想によって決まります。しかし世界中で新型コロナの感染が拡大してからは、投資家が将来を予測しづらい状況になったため長期金利の変動も激しいです。新型コロナが収束するまで固定金利は、上がる可能性もあれば下がる可能性もある状況が続くでしょう。

変動金利は金融機関同士の競争が激しくなる可能性がある

変動金利は、政府の金融政策によってコントロールされている、無担保コールレート(オーバーナイト物)を指標にしています。そのため政府による金融緩和政策が続く限り、変動金利が引き上げられる可能性は低いです。

それどころか、金融機関同士で金利の引き下げ競争が激化していく可能性があります。

ジャパンネット銀行は、7月に変動金利型住宅ローンの金利を過去最低の値に設定しました。 変動金利の最小値を更新できなかった住信SBI銀行(SBIマネープラザ)やその他の金融機関は、次月以降に金利をさらに引き下げてくるかもしれません。

また新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ需要を回復するために、各金融機関が住宅ローンの金利を引き下げてくる可能性があります。

金利はあくまで住宅ローン選びにおける判断要素の1つ

住宅ローンを選ぶときに、金利だけを比較するのはおすすめできません事務手数料や保証料、団体信用生命保険の保障内容など、さまざまな要素を比較して選ぶ必要があります。

たとえば、auじぶん銀行の変動金利型住宅ローンは、キャンペーンが適用されないと0.41%となり、ジャパンネット銀行の値を下回ります。しかしauじぶん銀行の住宅ローンは団体信用生命保険の保障が手厚いのです。

通常の団体信用生命保険は、住宅ローンを返済する人が死亡または高度障害にならない限り、残債は0円となりません。しかしauじぶん銀行の住宅ローンは、がんと診断された場合に残債が半分になるだけでなく、病気やケガで180日以上入院した場合も残債が0円となります。追加の保険料を、負担する必要はありません。

またネット銀行は、住宅ローンの金利がメガバンクや地方銀行よりも低く保証料が0円である代わりに、事務手数料が高額な傾向にあります。

住宅ローンを繰り上げ返済した場合、残っていた返済期間に応じた保証料が戻ってきます。しかし事務手数料は、繰り上げ返済しても戻ってきません。

そのため、将来繰り上げ返済を考えている人は、事務手数料が安い大手銀行や地方銀行を選んだ方が良いといえます。

このように住宅ローンは、複数の商品を比較してより自分に合ったものを選ぶことが大切です。

まとめ:2020年7月は固定金利が全体的に上昇し変動金利は過去最低値を更新

2020年7月の住宅ローン金利は、複数の金融機関が固定金利を引き上げた一方で、一部の金融機関は変動金利を引き下げてきました。今後の状況が読みづらいコロナ禍では、次月以降も金利が変更される可能性があります。

一方で2020年7月現在は、住宅ローン控除が13年に延長される特例措置やすまい給付金を活用して、住宅の購入にともなう金銭的な負担を緩和できます。そのため市場最低の金利と、お得な購入支援制度の両方を活用できる今こそ、住宅を購入する絶好のタイミングと考えることもできますね。

ただし住宅ローンの金利は、自分に合った住宅ローンを選ぶときの判断要素の一つに過ぎません。諸費用の料金設定や団体信用生命保険の保障内容など、さまざまな要素を比較して自分に合った住宅ローンを探しましょう

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イエツグは、住宅とともに想いを”人から人に継ぐ”という願いから付けた社名です。仲介手数料を格安・定額にすることで、節約できた費用を住宅の質を向上させるために使っていただきたいと考えております。住まいを”継ぐ”には、耐震性や価値を向上することが不可欠だと思うからです。 イエツグ代表の私、丹は、元消防士。東日本大震災で多くの家屋が倒壊し、大切なものを失った方々を目の当たりにしたことにより、既存住宅の価値を上げ、良質な住宅を流通させることがこの国の急務なのではないかと考えるようになりました。小さな会社ではありますが、社員一同、同じ志を持って対応させていただいております。ぜひ一度ご相談ください。
監修者 品木彰
監修者 小林だいさく金融ライター、ファイナンシャルプランナー。
大手保険会社で培った知識と経験から、保険、不動産、税金、住宅ローンなど幅広いジャンルの記事を執筆・監修。

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