全国的な社会問題として対策が行われている空き家問題。平成25年には全国で約820万戸だった空き家は、平成30年には約849万戸と30万戸近く増加しています。
一方で東京都内だけで見れば、平成25年の81.7万戸から平成30年には81.0万戸と微減傾向。全国とは異なる動きを見せています。
一見空き家対策が好調に見える東京都ですが、現在はどのような傾向にあるのでしょうか?今回は、東京都の空き家問題における現状についてご紹介します。
- 東京都における空き家問題の現状
- 東京都の格安・無償空き家に住む際の注意点
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
首都である東京ではどんな状態になってるんだろう?
目次
東京都における空き家問題の現状
東京都は空き家数の増加が進む全国に対し、微減の傾向を見せています。
東京都内の空き家は80万戸超も率・数ともに微減傾向
平成30年における東京都の空き家数は約81万戸。住宅総数767万戸に対し、およそ10.6%を占めています。
平成25年においては住宅総数736万戸に対し、空き家が約81.7万戸。空き家率は11.1%を締めていました。
現在の東京都は住宅数は増加していながらも、空き家数は減少。空き家率も減少傾向にあることがわかります。
▼東京都の空き家数・空き家率
東京都の住宅総数 | 東京都の空き家数 | 空き家率 | |
---|---|---|---|
平成30年 | 7,671,600 | 809,900 | 10.6% |
平成25年 | 7,359,400 | 817,100 | 11.1% |
引用:e-stat「平成25年・平成30年住宅・土地統計調査」より筆者作成
この空き家数の減少は、人口の変動が大きく影響しています。
平成25年の東京都の人口は約1,330万人。5年後の平成30年には1,382万人まで増加しています。この間に全国の総人口は約855万人減少していることからも、全国から東京に人口が集中し、その結果空き家となっていた住居が活用されていると推測できます。
▼全国と東京都の総人口比較
全国の総人口 | 東京都の総人口 | 割合 | |
平成30年 | 126,443,000 | 13,822,000 | 10.9% |
平成25年 | 127,298,000 | 13,300,000 | 10.4% |
差異 | -855,000 | 522,000 | – |
引用:e-stat「平成25年・平成30年住宅・土地統計調査」より筆者作成
23区内の空き家は57万戸、世田谷区だけで5万戸も!
平成30年における東京都内の空き家数は約81万戸。そのうち23区内にあるのは57万戸と、約7割を占めています。
その中でも世田谷区は一区だけで5万戸以上の空き家があり、空き家問題の象徴としてニュースに取り上げられたこともありました。
23区内全体における空き家率は10.4%と、東京都全体と見ても大きく変わりません。また各区別の空き家率も、異常値と言えるような大きな偏りはなく、全般的に空き家が使われている傾向が見て取れます。
▼東京23区内の空き家数・空き家率
住宅総数 | 空き家数 | 空き家率 | |
---|---|---|---|
東京都 | 7,671,600 | 809,900 | 10.6% |
23区 | 5,520,000 | 572,900 | 10.4% |
千代田区 | 41,700 | 4,470 | 10.7% |
中央区 | 105,540 | 12,510 | 11.9% |
港区 | 160,440 | 19,850 | 12.4% |
新宿区 | 244,780 | 27,920 | 11.4% |
文京区 | 139,790 | 13,220 | 9.5% |
台東区 | 131,160 | 12,810 | 9.8% |
墨田区 | 154,720 | 16,160 | 10.4% |
江東区 | 275,340 | 21,290 | 7.7% |
品川区 | 243,080 | 23,860 | 9.8% |
目黒区 | 162,000 | 13,010 | 8.0% |
大田区 | 427,580 | 48,450 | 11.3% |
世田谷区 | 521,110 | 50,250 | 9.6% |
渋谷区 | 160,700 | 16,260 | 10.1% |
中野区 | 229,060 | 25,820 | 11.3% |
杉並区 | 346,540 | 29,660 | 8.6% |
豊島区 | 206,360 | 27,350 | 13.3% |
北区 | 204,540 | 22,280 | 10.9% |
荒川区 | 119,010 | 14,070 | 11.8% |
板橋区 | 336,280 | 36,640 | 10.9% |
練馬区 | 376,710 | 36,430 | 9.7% |
足立区 | 356,080 | 39,660 | 11.1% |
葛飾区 | 237,010 | 28,020 | 11.8% |
江戸川区 | 340,430 | 32,980 | 9.7% |
引用:e-stat「平成25年・平成30年住宅・土地統計調査」より筆者作成
住宅街の空き家率が改善傾向あり
各区別の空き家率を見てみると、住宅街を持つ広いエリアでは空き家率が大きく改善している傾向が見て取れます。
平成25年と30年の空き家率を比較したところ、大田区が-3.5%、千代田区が-2.6%、中野区と豊島区が-2.5%と、大きな改善を見せました。
他県からの移住者が手頃に住めるエリアとして、これらの住宅街を選択しているものと考えられます。
▼東京23区内の空き家率推移
平成30年 | 平成25年 | 差異 | |
---|---|---|---|
東京都 | 10.6% | 11.1% | -0.5% |
23区 | 10.4% | 11.2% | -0.8% |
千代田区 | 10.7% | 13.3% | -2.6% |
中央区 | 11.9% | 10.6% | 1.2% |
港区 | 12.4% | 12.9% | -0.5% |
新宿区 | 11.4% | 12.2% | -0.7% |
文京区 | 9.5% | 10.0% | -0.6% |
台東区 | 9.8% | 9.7% | 0.1% |
墨田区 | 10.4% | 11.1% | -0.7% |
江東区 | 7.7% | 7.8% | -0.1% |
品川区 | 9.8% | 11.4% | -1.6% |
目黒区 | 8.0% | 9.8% | -1.8% |
大田区 | 11.3% | 14.8% | -3.5% |
世田谷区 | 9.6% | 10.4% | -0.8% |
渋谷区 | 10.1% | 12.1% | -2.0% |
中野区 | 11.3% | 13.7% | -2.5% |
杉並区 | 8.6% | 10.5% | -1.9% |
豊島区 | 13.3% | 15.8% | -2.5% |
北区 | 10.9% | 10.5% | 0.4% |
荒川区 | 11.8% | 10.0% | 1.8% |
板橋区 | 10.9% | 11.4% | -0.5% |
練馬区 | 9.7% | 9.5% | 0.2% |
足立区 | 11.1% | 9.7% | 1.5% |
葛飾区 | 11.8% | 11.1% | 0.7% |
江戸川区 | 9.7% | 10.9% | -1.2% |
引用:e-stat「平成25年・平成30年住宅・土地統計調査」より筆者作成
マンション・アパートの割合は70%超で全国一
東京都に存在する住宅のうち、マンション・アパートを含む共同住宅は71.0%の割合を占めています。
この割合は全国でも突出。全国平均の43.5%を大きく上回り、第2位である沖縄の59.0%を大きく引き離している状況です。
また建物の構造においても全国平均が木造56.9%、非木造43.1%に対し、東京都は木造35.0%、非木造が65.0%と、全国平均とはほぼ真逆の結果。新築マンションの増加に伴い、非木造構造の建物が大きく増加していることがわかります。
▼東京都における住宅の建て方・構造
東京都の住宅総数 | 建て方 | 構造 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
一戸建て | 長屋建て | 共同住宅 | その他 | 木造 | 非木造 | |
100.0% | 26.8% | 1.8% | 71.0% | 0.4% | 35.0% | 65.0% |
7,671,600 | 2,056,000 | 138,100 | 5,446,800 | 30,700 | 2,685,100 | 4,986,500 |
引用:総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査」から筆者作成
無償で手に入れられる空き家もあるけど、そのまま住んでも大丈夫?
東京都の空き家が無料で購入できる?無償譲渡・格安物件の探し方
微減傾向にあるとはいえ、今でも東京都内の賃貸用空き家は58万戸、売却用空き家は4万戸と非常に多くの空き家が存在しています。
そんな空き家の中には、都内であっても格安、または無償で入手できるものがあり、少ない費用負担で都内に住むチャンスがあります。もし都内に住みたいと思う方いるなら、一度は格安・無償の空き家を調べてみるとよいでしょう。
区市町村紹介の空き家を探す
空き家問題は、行政にとって解決したい大きな課題のひとつです。各自治体では転居してくる方向けに空き家の紹介を積極的に行っており、その中には格安物件や無償譲渡の物件も含まれています。
空き家と聞くと建物が傷んでボロボロというイメージをもつ人もいますが、区市町村が紹介する物件なら比較的状態がよく、大きな改修の必要なく住める傾向があります。
格安・無償譲渡の物件を探す
社会問題化する一方で、空き家は不動産投資の対象となることも増えています。そういった投資家が空き家の情報を集めるのに活用されているのが「空き家バンク」。各地域の空き家情報が集まっており、中には格安物件や無償物件の情報もあります。
広い地域の空き家情報を手に入れやすいため、まずは空き家バンクから覗いてみるのもよいでしょう。
空き家を格安購入・無償譲渡で入手する場合の注意点
格安や無償で入手できる空き家があったとしても、必ずしも本当にタダ同然で住めるとは限りません。空き家であっても立派な不動産。不動産の入手には、物件代金以外にも多くの費用がかかります。
またタダ同然で譲られる物件には、それなりの理由もあるもの。格安・無償だからといって飛びつかず、利用できる物件なのかしっかりと見極めましょう。
注意点1. そのまま住めない建物も多い
格安・無償物件はタダ同然で譲られるだけあり、物件の状態が悪くそのまま住めない物件も多く含まれています。戸建てなら雨漏りや損壊がひどいものも。リフォームを前提に予算を考えると、かえって有料物件よりも高くついてしまう場合もあります。
また築年数が長いマンションは、同じ地域にある他のマンションよりも修繕積立金や管理費が高く設定される場合があります。同クラスの賃貸マンションの家賃と変わらないようなケースもあり得るので、毎月の支払い額もしっかり計算しておきましょう。
注意点2. ワケあり物件の可能性あり
格安・無償の物件は、いわゆる「ワケあり物件」であるケースがあります。
周辺が他の土地に囲まれていて公道に接していない土地を「袋地」といいます。袋地が住宅用地である場合、すでに建築されている建物はそのまま使えますが、現在は1950年に改正された建築基準法にて定められた「接道義務」により、敷地が2m以上道路に接していないと建築物を建造できません。
そのため袋地にある家を格安・無償で譲ってもらった場合、接道義務を果たせないとその家がどんなに傷んで倒壊寸前だったとしても、家を建て直せない恐れがあります。
また格安・無償譲渡物件の中には、過去に死亡事故などが起きた「事故物件」が含まれている場合も。過去の事故・事件が気になるようなら、格安・無償物件となった背景を聞くことも大切です。
注意点3. 無償譲渡でも税金は必要
無償で物件を譲渡されたとしても、それはあくまで物件の代金が無償であるだけです。不動産の譲渡・売買、また維持には以下のような税金がかかるため、ある程度の出費は覚悟しないといけません。
- 贈与税(物件の価値による)
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 固定資産税・都市計画税(取得後)
注意点4. 不要になっても譲りにくい
不動産物件を無償で入手できるのは、譲り手が無償でもいいから引き取ってほしいと思っているためです。
もし譲ってもらった後に不要になったとしても、次の引き取り手が見つからなければ、税金や管理費を払い続ける必要があります。
まとめ:東京都の空き家をお探し&売却ならイエツグにおまかせ
東京都における空き家数はほぼ横ばいで推移。人口増の影響もあり、ゆっくりとですが改善の方向に向かっています。
とはいえ、現在も都内に80万を超える空き家が眠ることには変わりありません。問題のさらなる解決を図るためにも、空き家の活用を考えていかなければならないでしょう。
弊社イエツグでは、空き家にリフォームを施し再活用する「空き家再生事業」を展開しています。手持ちの空き家をどう活用しようかというお悩みには、イエツグが解決のお手伝いをさせていただきます。
もちろん都内に住みたい方へのリーズナブルな空き家物件もご紹介。住む、探す、売るなど、都内の空き家に関することはぜひイエツグまでご相談ください。