「転職したばかりだけど、住宅ローンを借りられるのだろうか」と悩まれる方は、非常に多くいらっしゃいます。
勤続年数が短い人でも、住宅ローンを借りられる可能性はあります。しかし事前に注意点を確認しておかなければ、通過できるはずだった住宅ローン審査に落ちてしまいかねません。
本記事では、勤続年数の面で住宅ローンの借り入れに不安がある人に向けて、審査の基準となる勤続年数や、融資を受けやすくする方法をわかりやすく解説します。
- 住宅ローンの審査に通過できる勤続年数の目安
- 勤続年数が短くても住宅ローンの審査に通過できるケース
- 勤続年数の短い人が住宅ローンを借りられる方法
【動画目次】
00:00 はじめに
01:58 1.住宅ローンの審査に通過しやすい勤続年数の目安
03:12 2.勤続年数が短くても住宅ローンの審査に通過できるケース
05:39 3.勤続年数の短い人が住宅ローン審査に落ちた場合の対処法
09:20 まとめ
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
目次
住宅ローン審査における「勤続年数」は収入の安定性を判定するための重要な指標
住宅ローンの審査時には、申し込んだ人の年収や職業などと併せて、勤続年数も確認されるのが一般的です。
国土交通省の調査によると、住宅ローンを取り扱う金融機関の95.6%が、審査時に勤続年数を確認しています。※出典:国土交通省「令和元年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」
住宅ローンは、20年や30年などの長期間にわたって返済していかなければなりません。そのため、収入が安定しており返済を滞納する心配のない人でなければ、金融機関は住宅ローンを融資してくれないのです。
勤続年数は、住宅ローン審査において収入の安定性を判断する指標の一つ。勤続年数が短い人や転職を繰り返している人は、安定した収入が期待できないと金融機関に判断されやすくなります。
住宅ローン審査に通過するためには勤続年数1年以上が望ましい
国土交通省の調査によると、金融機関が住宅ローンの審査基準としている勤続年数は、以下の通りです。
- 3年以上:234機関
- 2年以上:54機関
- 1年以上:701機関
- その他:212機関
※アンケートは複数回答可
以上の結果から住宅ローンを組むためには、勤続年数1年以上が望ましいといえます。
とはいえ、転職してから6ヶ月以内であれば申し込みできる金融機関や、中には勤続年数が審査にまったく影響しない金融機関も存在します。
勤続年数は、住宅ローンの審査項目の1つに過ぎません。たとえ勤続年数が審査基準を満たしていても、借入額や他の借入状況、完済時の年齢などによっては、住宅ローンの審査に通過できない場合があります。
自営業者は事業開始から「3年経過」が望ましい
自営業やフリーランスは、給与所得者と比べて収入の安定性が劣る傾向にあるため、審査時に過去3年分の確定申告書や納税証明書の提出を求められるのが一般的です。
よって自営業やフリーランスは、事業を開始してから3年が経過していなければ、基本的に住宅ローンを申し込むことは難しいといえるでしょう。
自営業やフリーランスは、収入から必要経費を差し引いた所得で審査されます。会社員や公務員といった給与所得者のように、収入だけで審査されるのではありません。所得が低いと、事業開始から3年が経過していても審査に通過できないことがあります。
勤続年数が半年や1年未満でも住宅ローン審査に通過できる可能性がある
勤続年数が短く金融機関の定める基準を満たしていなくても、収入や職業によっては返済能力があると判断されて、住宅ローン審査に通過できることがあります。
転職によって年収がアップした場合
スキルアップするための転職やヘッドハンティングによる転職などで年収が増加した場合、勤続年数が短くても審査に通過しやすくなる可能性があります。
年収が増加する転職をした人は、短期間で転職を繰り返すリスクが低く、将来的に再び転職をしても収入が下がりにくい傾向にあり、収入の安定性が高いと判断されるためです。
ただし勤続年数が短い場合は、見込みの年収を確認・計算できる以下のような追加書類の提出が必要です。
- 年収が記載されている雇用契約書や採用通知書
- 年収見込み証明書
- 3ヶ月以上の給与明細書や賞与明細 など
グループ会社や関連会社への転籍した場合
グループ会社や関連会社に転籍した場合、金融機関によってはそもそも転職とみなされないことがあります。
しかし転籍前の勤務先から退職金を受け取っていると、転職とみなされる場合があります。また、転籍によって収入が低下していると、審査に不利になる恐れがある点に注意が必要です。
国家資格が必要な職業や公務員に転職した場合
弁護士や税理士、医師などは、国家資格を取得しなければ職務につけない専門職は、転職によって収入の上昇が期待できます。また公務員は、会社員のようにリストラによる失業や勤務先の倒産などの理由で、返済が途絶えるリスクがありません。
よって公務員や士業に転職すると、勤続年数が短くても金融機関から安定した収入が見込めると判断されて、住宅ローンの審査に通過しやすくなる可能性があるのです。
ただし、医師や弁護士などで独立すると、自営業者と同じ基準で審査されることになるため、所得によっては融資を受けにくくなる恐れがあります。
勤続年数の短い人が住宅ローン審査に落ちた場合の対処法
住宅ローンの審査に落ちたとしても、諦める必要はありません。ここでは、勤続年数が理由でローン審査に落ちたと想定される場合の対処法を解説します。
フラット35の借り入れを検討する
フラット35とは、借り入れから返済終了まで金利は変わらない、全期間固定金利の住宅ローンです。住宅金融支援機構と民間金融機関が、共同で取り扱っています。
フラット35には、審査項目に勤続年数が含まれていないため、勤続年数が短い人でも審査に通過できる可能性があります。
ただしフラット35を申し込むためには、購入する物件が住宅金融支援機構の定める技術基準に適合している必要があります。
また、フラット35の借入額が住宅の建設費または購入価格の90%を超えると、借入時の金利が上昇して毎月の返済額や返済総額が増えるため、資金計画は慎重に立てましょう。
別の金融機関で借り入れを検討する
金融機関によって、住宅ローンの審査項目や審査基準が異なるため「A銀行の住宅ローン審査には落ちたが、B銀行では通過できた」といった事態も起こりえます。
また金融機関によっては、前職の勤続年数と合算できる場合があります。たとえば前職の勤続年数が8年6か月で転職先の勤務年数が6か月の場合、勤続年数を9年として審査してもらえることがあるのです。
しかし金融機関の審査基準は公開されていないため、勤続年数が短い人でも審査に通過できる可能性がある金融機関を、自力で調べるのは非常に困難です。そこで、どの金融機関で住宅ローンを借り入れたら良いかわからない方は、不動産会社に相談すると良いでしょう。
不動産会社は、購入希望者の住宅ローン申し込みを代行することがあります。優秀な担当者は、過去の審査結果も参考に、勤続年数が浅い人でも通過できる可能性がある住宅ローンを探してくれるのです。
弊社イエツグは、FPや住宅ローンアドバイザーといった専門資格を持つスタッフが、弊社と提携している複数の金融機関の中から、審査に通過できる可能性の高い住宅ローンを提案いたします。お気軽にご相談ください。
住宅ローンの審査時に嘘の勤続年数を申告してはいけない
住宅ローンを申し込む際、虚偽の勤続年数を申告してはいけません。金融機関は、審査時に借り入れる人の勤務先を入念に確認しています。たとえ勤続1年未満と申告すべきところを、2年と金融機関に申告しても、必ず発覚して融資を受けられなくなるのです。
また勤続年数だけでなく、年収や他の借入状況などを偽った場合も必ず発覚します。住宅ローンの審査に通過したいのであれば、金融機関にご自身の状況を正直に申告しましょう。
まとめ:勤続年数が短くても住宅ローンは借りられる可能性はある
住宅ローンの融資審査では、借り入れる人の返済能力を審査するために勤続年数が確認されます。審査の基準となる勤続年数は金融機関によって異なるため、複数の金融機関で住宅ローンの申し込みを検討すると良いでしょう。
また勤続年数が短い方でも、転職先の職業や年収によっては住宅ローンを借りられる可能性があります。フラット35のような、審査項目に勤続年数が含まれていない住宅ローンを検討するのも選択肢の1つです。
住宅は、非常に高い買い物ですので、あなたにとって有利な条件で住宅ローンを借りられるかが非常に重要です。どこでどのように住宅ローンを組めば良いかわからない方は、専門知識のあるスタッフが集結した弊社イエツグまで、ぜひご相談くださいませ。
大手保険会社で培った知識と経験から、保険、不動産、税金、住宅ローンなど幅広いジャンルの記事を執筆・監修。