ペアローンと連帯債務のメリット・デメリット、住宅ローン控除はどっちが得なのか

突然ですが、

連帯債務者と連帯保証人の違いを即答できますか

ご夫婦で不動産の購入を考えているのでしたら、この違いをしっかり理解しておく必要があります。

住宅ローンを「収入合算」で借りるのと、「ペアローン」で借りるのでは、どちらがお得になるのかそれぞれのシミュレーションでわかりやすく解説させていただきます。

不動産の営業マンの中には、住宅ローンの知識に乏しい人もいます。

さらに、

住宅ローン控除となると、もっと複雑になるので理解している営業マンは更に少なくなります。

ご自身の知識を付けることで、どんな不動産営業マンが担当者であっても、身に付けた知識で、自分にとって一番良い住宅ローンを組むことが出来るようにしましょう!

連帯債務については下記の記事でも詳しく解説しておりますので、合わせてご確認いただけますと幸いです。

ペアローンと収入合算(連帯債務、連帯保証)の違い

ペアローン 連帯債務 メリット デメリット 住宅ローン控除

繰り返しますが、不動産の営業マンは不動産取引のプロです。

しかし、

住宅ローンについて全く知識のない営業マンもいます。

実際に、

ペアローンと連帯債務の違いも分からないまま営業している営業マンもいますので、ご自身で二つの違いが分かるようにしましょう。

ペアローンとは

ペアローンとはご夫婦でお互い別々の※金銭消費貸借契約を結び、別々のローンを組みます。

例えば、

2,000万円借りたいが、旦那様が借入できる金額は1,000万円だった時に、奥様が別の契約で1,000万円借りる契約を結ぶことをペアローンと呼びます。

※金銭消費貸借契約とは、銀行と「お金を貸します」「借ります」という取り決めのことを言います。本記事では便宜上金銭消費貸借契約のことを ”契約”と言い換えますが、不動産売買契約のことを指すわけではないことにご注意いただけますと幸いです。

収入合算(連帯債務・連帯保証)とは

収入合算には種類が2つあります。

また、ペアローンは2本契約を結ぶ必要がありますが、収入合算は1本の契約となります。

それぞれ名前は似てるのですが、全く異なりますのでここでマスターしてしまいましょう。

連帯債務型

連帯債務型の収入合算ですが、例えば3,500万円の物件のローンを旦那様が主債務者となり、奥様が連帯債務者になった場合はお互いが3,500万円を返済しなければいけないという責任を負っています。

要するに、3,500万円の住宅ローンの返済について、お互いに返済義務があり、共同で返済をしていくというのがこの連帯債務型の収入合算になります。

連帯保証型

次に連帯保証型の収入合算です。

一度は連帯保証人という言葉は聞いたことがあると思いますが、同じ意味です。

この場合はローン契約者が債務者で、もう一方が連帯保証人となります。

連帯債務型では主債務者なのに対して、こちらは「主」がつかない債務者となっています。

例えば、

連帯保証型で、旦那様が3,500万円のローン契約を結んでいて奥様が保証人になっていた場合は、旦那様のみ責任を負う事になります。

この場合、保証人の奥様というのは、直接の返済義務はないものの、旦那様に何かあった時には返済義務が生ずるという状態です。

つまり、返済義務は債務者1人ということです。

連帯保証人は、あくまでも債務者の返済が滞った際に債務者に代わって返済義務が生じるということです。

連帯債務型と連帯保証型の違い

住宅ローンを返済しなければいけない責任は、連帯債務型も連帯保証型も変わりありません。

しかし、

最初のスタート時点で誰がその責任を負っているかが大きな違いです。

ペアローンと収入合算の違い

ペアローンと収入合算では、契約本数が違いますので契約毎に掛かる、銀行事務手数料、収入印紙税が違ってきます。

それ以外にも、団体信用生命保険と言って、債務者が死亡もしくは高度障害となった場合にローン返済が免責(残高が0円)となる生命保険がありますが、ペアローンであれば2人とも加入しなければいけません。

一方で、

収入合算の場合は1人だけ加入することになります。

ペアローンのメリット

ペアローン 連帯債務 メリット デメリット 住宅ローン控除

夫婦それぞれで住宅ローン控除の適用を受けるため、控除枠を更に広げて節税効果が期待できます。

借入額を増やすことができるため、希望に沿った物件を購入できる可能性が高くなります。

また、先ほども説明をいたしました通り、夫婦それぞれ団体信用生命保険に加入できるという点もメリットになります。

ペアローンのデメリット

ペアローン 連帯債務 メリット デメリット 住宅ローン控除

別々に契約を行うため、印紙代や事務手数料などの費用が2倍に増えます。

仮にご夫婦の片方が退職したとしても支払い額は変わらないだけではなく、退職した人は住宅ローン控除の適用が受けられなくなります。

例えば、

奥様が出産のために退職しても支払額は変わらないにも関わらず、更に収入が減り、所得税の支払いをしないため、住宅ローン控除の適用がなくなります。

住宅ローン控除については下記の記事をご覧ください。

収入合算のメリット

ペアローン 連帯債務 メリット デメリット 住宅ローン控除

連帯債務型

ペアローンとは異なり、契約が1つのため、諸費用を節約することができます。

また、住宅ローン控除は夫婦それぞれの持分割合に応じて控除を受けることが可能です。

諸費用の負担を抑え、収入合算によって借り入れ額を増やすことで、理想の物件を購入できる可能性を広げられます。

連帯保証型

金融機関によっては、アルバイトやパート、契約社員などで収入が低い場合でも、収入合算者としてローンのお取り組みが可能です。

ペアローンでは諸費用などの負担が2人分になりますが、収入合算は1本の契約となるため諸費用の負担を1人分へ減らすことができます。

収入合算のデメリット

ペアローン 連帯債務 メリット デメリット 住宅ローン控除

連帯債務型

連帯債務型は取り扱っている金融機関が限られています。

住宅支援機構のフラット35または、一部の金融機関の取り扱いとなります。

また、連帯債務者は一般の金融機関の場合、団体信用生命保険の加入対象ではありません。

つまり、夫婦で連帯債務型の住宅ローンを借り入れた場合、夫婦どちらか一方の借入に対してだけにしか、団体信用生命保険の適用がありません。

要するに、ご主人様に万が一があったとしても、ご主人様の持分割合に対する住宅ローン残高が免責されるだけであって、奥様のローン返済分は免責とならず今後も返済が続くということです。

ただし、

フラット35を選択すればデュエットという団体信用生命保険がありますが、加入時に金利が上乗せされます。

連帯債務型の収入合算を取り扱っている金融機関については下記に記載をいたしますので、もし連帯債務型の住宅ローンを検討する場合は参考にしてみてください。

【大垣共立銀行】

住宅ローン商品名:住宅ローン「連帯債務型」(愛称:ツヴァイ)

商品概要ページ:https://www.okb.co.jp/personal/home-loan/purchase/zwei.html

【京都】

住宅ローン商品名:京都銀行住宅ローン

商品概要ページ:https://www.kyotobank.co.jp/kojin/loan/jyutaku/

【群馬銀行】

商品名:夫婦連帯債務型住宅ローン

商品概要ページ:https://www.gunmabank.co.jp/kojin/kariru/jutaku/lineup/fuufu/

【三井住友銀行】

住宅ローン商品名:クロスサポート(連生団体信用生命保険付住宅ローン)

商品概要ページ:https://www.smbc.co.jp/kojin/jutaku_loan/reason/cross_support.html

【八十二銀行】

住宅ローン商品名:夫婦連帯債務住宅ローン

商品概要ページ:https://www.82bank.co.jp/kojin/kariru/jutaku/lineup/fuufu.html

【住宅金融支援機構 フラット35】

住宅ローン商品名:フラット35

商品概要ページ:https://www.jhf.go.jp/index.html

フラット35を利用される場合は、フラット35を取り扱っている代理店、もしくは銀行へお問合せ下さい。

連帯保証型

収入合算をしても、連帯保証人は住宅ローン控除の適用されないため、節税効果がありません。

さらに、

連帯保証人は団体信用生命保険に加入ができないため、万が一のことが起きた時のリスクがあります。

1人の支払能力では借入することができない場合に、連帯保証人を収入合算者とし、希望とする不動産を購入できる制度が収入合算になります。

連帯保証人に万が一があった場合、今後の住宅ローンの返済は1人でおこなう必要があるため、将来的な不安は拭えません。

収入合算とペアローンはどちらがお得か

ペアローン 連帯債務 メリット デメリット 住宅ローン控除

では実際に借入する場合はどちらがお得なのでしょうか。

実際にシミュレーションしていきます。

条件によって違う

実際にどちらがお得なのかは、借入の条件や物件、夫婦の状況によって異なるため、一概にこちらがお得だという事はありません。

今回は住宅ローン控除の適用ができる物件を前提に、具体的な数字を交えてご説明していきます。

事例 築25年以内の中古マンションの場合

売主は個人で非課税物件を、借入金額3.500万円で購入するとします。

旦那様の収入は400万で借入できる金額は2,800万円までとし、奥様は年収200万円で1,400万円借入できるとします。

一般的に年収の7倍が借入できる金額だと言われております。

2人の借り入れ可能額を合算すると、理論的には4,200万円借り入れすることができます。

収入合算の連帯保証型

まずは、

収入合算の連帯保証型を検討してシミュレーションしていきます。

連帯保証型ですので、住宅ローンは1本になり、収入印紙は2万円、住宅ローン控除は先ほど説明したように、旦那様のみとなります。

旦那様の借り入れ期間は35年、金額は3,500万円で金利は0.475%で計算していきます。

中古住宅の一般住宅のため、住宅ローン控除は10年間、最大140万円の所得税および住民税の控除を受けられるとします。

10年後のローン残高は約2,559万円になります。

住宅ローン控除がされるのは残高の0.7%ですが、今回は非課税物件ですので、借入限度額が2,000万円のため年間最大14万円までの控除です。

毎年14万円ずつ×10年ですので140万円の控除です。

※2022年度からは0.7%となりました。

詳しくは下記の記事でご説明しております。

ペアローンの場合

次にペアローンですが、結論を先にお伝えすると、住宅ローンは2本ですので収入印紙は4万円となりますが、住宅ローン控除は203万円となり、63万円も控除額が違います。

今は都市銀行がオンラインでの契約を行っており、紙の契約でなければ印紙税が掛かりません。

そのため、

ネット銀行を検討している方であれば、収入印紙代が掛かりません。

事務手数料に関しても借り入れ金額に対して〇〇%と近年で変わってきている金融機関もありますので、契約本数が増えても変わらない場合があります。

こうなってくるとますますペアローンの恩恵は大きなものとなります。

住宅ローン控除の試算をしてみましょう。

旦那様と奥様の年収を足すと、600万円になり、その中で旦那様の収入が400万となるので、4/6を占めています。

旦那様の借り入れ額も同様に、3,500万円の4/6借りるとして試算をすると、

旦那様の借入額は3,500万円×4/6=2,340万円

奥様の借入額が3,500万円-2,340万円=1,160万円

となります。

この割合にした理由は、半分ずつに分けてしまうと贈与にあたる可能性があるからです。

なぜなら、

奥様の方が年収額が低いのに、家の持分が半分になるからです。

ペアローンを利用する際は、お互いの年収を基に計算して借入額を決定しましょう。

旦那様

1年目 残高約2,278万円 控除額 14万円

2年目 残高約2,217万円 控除額 14万円

3年目 残高約2,154万円 控除額 14万円

4年目 残高約2,092万円 控除額 14万円

5年目 残高約2,029万円 控除額 14万円

6年目 残高約1,966万円 控除額 13.8万円

7年目 残高約1,903万円 控除額 13.3万円

8年目 残高約1,839万円 控除額 12.9万円

9年目 残高約1,775万円 控除額 12.4万円

10年目 残高1,711万円 控除額  12.0万円

10年間の住宅ローン控除額 約134万円

奥様

1年目 残高約1,129万円 控除額 7.9万円

2年目 残高約1,099万円 控除額 7.7万円

3年目 残高約1,068万円 控除額 7.5万円

4年目 残高約1,037万円 控除額 7.3万円

5年目 残高約1,006万円 控除額 7.0万円

6年目 残高約975万円 控除額 6.8万円

7年目 残高約943万円 控除額 6.6万円

8年目 残高約912万円 控除額 6.4万円

9年目 残高約880万円 控除額 6.2万円

10年目 残高約848万円 控除額 5.9万円

10年間の住宅ローン控除額 約69万円

住宅ローン控除はそれぞれに適用できますので、旦那様が約134万円の控除、奥様が約69万円の控除となるので、合計203万円となります。

ペアローンと収入合算という契約の差だけで約63万円の差が出てきます。

自分で住宅ローン控除の計算をするべき

ペアローン 連帯債務 メリット デメリット 住宅ローン控除

まず、

自分達の購入物件が、住宅ローン控除が受けられるかを調べてみましょう。

どういった物件の購入を検討しているのか、また自分達の年収を加味して住宅ローンの試算を行いましょう。

営業マンに相談しても作成してもらえる場合があります。

しかし、

そもそも住宅ローン控除の知識がなかったり、連帯債務やペアローンの知識がない事もありますので、損してしまう可能性もあります。

まとめ

ペアローン 連帯債務 メリット デメリット 住宅ローン控除

住宅ローンの借り入れの仕方1つで、最終的に損したり得したりすることがお分かりいただけたかと思います。

特に住宅ローン控除については一度借入をした場合やり直しはできません。

組み方ひとつで数十万円、時には数百万円も実質的な総返済額が変わってきてしまいます。

営業マン、不動産会社は住宅ローンのプロではないので知識があるとは限りません。

任せきりにせずに、自分で試算してみて、何を選べば1番得になるのかを正しく理解した上で、借り入れ方法を決めていくようにしましょう。

試算表はExcelのIPMT関数で作成可能ですので、ぜひ一度ご自身で試算してみてください。

もしご自身での試算が難しいなという事であれば、イエツグまでお問い合わせ頂けたら、作成した試算表をお渡しすることもできます。

また、弊社ではお客様が選ぶ住宅ローンの選択が人生をも変えるほどの影響力があるものだと考えております。

そのため、住宅ローンのご相談については弊社不動産営業マンが担当するのではなく、住宅ローンの専門部署にてご相談を承るようにしております。

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住宅ローンはとことんこだわりたいという方は是非、お気軽に無料相談のお問い合わせをいただければ幸いです。

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