団体信用生命保険(以下、団信)とは、住宅ローンを借り入れた人が亡くなったり重い障害状態になったりしたときに、保険金によってローンが完済される保険です。多くの金融機関が住宅ローンを組む際に、団体信用生命保険への加入を必須としています。
住宅ローンを選ぶとき、多くの人が金利の値や種類を比較します。しかし、団信の内容まで比較して住宅ローンを選んでいる人は、そう多くありません。
そこで株式会社MFSは、2020年10月に団信も考慮して金利を比較できる住宅ローンランキングを公開しました。本記事では、ランキングの内容や住宅ローン選びで団信の選択が重要である理由などを解説していきます。
- モゲチェックが提供を開始した住宅ローンランキングの内容
- 住宅ローン選びでは金利だけでなく団信の選択も重要
- モゲチェックの住宅ローンランキングを利用するときの注意点
【動画目次】
00:00 はじめに
01:22 1.モゲチェックが提供を開始した住宅ローンランキングの内容
02:43 2.住宅ローン選びで団信の選択が重要な理由
06:57 3.モゲチェックの住宅ローンランキングを利用するうえでの注意点
08:34 まとめ
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
目次
株式会社MFSが団信を簡単に比較できる住宅ローンランキングを発表
株式会社MFSは、住宅ローンに関する総合的なサービスを提供する「モゲチェック」を運営している会社です。モゲチェックは、金利ランキングの他に、商品紹介や返済シミュレーション、借入可能な住宅ローンの探索などさまざまなサービスを提供しています。
新しく公開された住宅ローンランキングでは、以下の項目ごとに金利の比較が可能です。
- 新規借り入れと借り換え
- 金利タイプ(変動、10年固定、20年固定、35年固定)
- 団信の種類
団信の種類は「一般」「ワイド」「がん」「がんー」「がん+」の5つから選択します。それぞれの定義は、以下の通りです。
保障内容 | |
一般 | 一般団信(死亡・高度障害保障)+無料疾病団信 |
ワイド | 加入条件が緩和されている団信 |
がん | がん100%保障以上の団信 |
がんー | がん保障100%未満の団信 |
がん+ | がん100%保障+αの疾病団信 |
実際のランキング画面は、以下のように表示されます。
※画像引用:モゲチェック
※画像は2020年11月現在のもの
金融機関や金利、団信の保障内容、おすすめポイントなどが、ひと目でわかるように表示されていますね。ワイド団信を選択すると、画面が以下のように切り替わります。
※画像引用:モゲチェック
※画像は2020年11月現在のもの
モゲチェックの住宅ローンランキングでは、商品の詳細を知りたい方のために、解説記事も用意されています。もし気に入った住宅ローンが見つかれば、金融機関のサイトに移動して事前審査の申し込みが可能です。
住宅ローン選びは金利だけでなく団信の比較も重要
モゲチェックの住宅ローンランキングが新しくなった背景には、多くの方が団信を比較して住宅ローンを選べていないことがあります。
日本人は、生命保険への関心が非常に高いです。生命保険文化センターの調査によると、生命保険の世帯加入率は89.8%。ほとんどの世帯が、生命保険や医療保険、がん保険などに加入しています。※出典:生命保険文化センター「令和3年度 生命保険に関する全国実態調査」
一方で、住宅ローンを選ぶ際に、生命保険であるはずの団信を重視して選んでいる人は以下のようにあまり多くないのが実情です。
※出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査(2020年5月調査)」
多くの方が、金利を重視して住宅ローンを選んでいる一方で、団信はほとんど重視していないことがわかります。
しかし、団信にはさまざまな種類があり、どれが適しているのかは人それぞれであるため、金利と同じくらい入念な比較・検討が必要です。
内容・特徴 | |
一般団信 | 死亡・高度障害 |
がん保障 | 死亡・高度障害に加えてがん(悪性新生物)も保障する団信 |
3大疾病保障 | 死亡・高度障害に加えて3大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)も保障する団信 |
7大疾病保障 | 死亡・高度障害と3大疾病に加えて高血圧性疾患・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変も保障する団信 |
8大疾病保障 | 死亡・高度障害と7大疾病に加えて慢性膵(すい)炎を保障する団信 |
11疾病保障 | 死亡・高度障害とがんに加えて⾼⾎圧・糖尿病・腎疾患・肝疾患・慢性膵炎・脳⾎管疾患・⼼疾患・⼤動脈瘤解離・上⽪新⽣物・⽪膚がんを保障する団信 |
全疾病保障 | 精神障害を除くすべての病気やケガを保障する団信 |
ワイド団信 | 告知項目が少なく、健康状態に不安がある方でも申し込みやすい団信 |
金融機関によっては、死亡・高度障害以外の保障を得る場合、住宅ローンの金利に0.1〜0.4%程度の上乗せが必要です。一方で、死亡と高度障害以外の保障が無料で付帯されている団信もあります。
たとえば、住宅ローンの金利が同じA銀行とB銀行があり、A銀行はがん保障が付帯された団信、B銀行は死亡・高度障害保障のみの団信を取り扱っていたとしましょう。
よく検討せずにB銀行で住宅ローンを借り入れると、無料で加入できるがん保険を逃してしまったといえます。
モゲチェックの住宅ローンランキングでは、団信の保険料が加味された金利を簡単に比較できます。うまく利用すると「あの銀行で借りておけばよかった」と後悔せずに済むでしょう。
金融機関によって団信の取り扱いはさまざま
2020年現在、政府の金融緩和政策と金融機関同士の競争により、住宅ローンの金利はほぼ下がりきっている状態です。おそらくですが、今後さらに金利が下がったとしても、0.01%程度であるため、返済負担はさほど変わらないでしょう。
そこで、金融機関は、団信の保障内容で差別化を図ってきています。
たとえば、auじぶん銀行が取り扱う住宅ローンの団信には、以下の保障が無料で付帯されています。
- がん50%保障:所定のがんと診断された場合に残債が半額になる
- 月次返済保障:すべての病気やけがで連続して31日以上入院したときに、住宅ローン返済月額(ボーナス返済額含む)と同額の保険金が支払われる
※以後、入院日数が継続して30日に達するごとに、保険金が引き続き支払われる
このように、死亡と高度障害以外を保険料無料で保障してくれる団信は、複数存在します。
一方で、フラット35のように団信への加入が任意である住宅ローンもあります。あえて団信に加入せずに住宅ローンを組み、民間の生命保険で万一に備えるのも選択肢の一つです。
ご自身にとってもっとも有利な住宅ローンを選ぶ際は、金利の値や種類だけでなく、万一の場合の保障も入念に比較しましょう。
モゲチェックの住宅ローンランキングの注意点
モゲチェックの住宅ローンランキングを利用するときは、表示されている金利の借入条件や注意事項を必ず確認しましょう。
たとえば、auじぶん銀行の住宅ローン金利は、auじぶん電気をセットで契約し、金利引き下げキャンペーンを受けたあとの値が表示されています。
マンションによっては、契約できる電力会社が指定されており、auじぶん電気を契約できないかもしれません。auじぶん電気をセットで契約できないと、引き下げが適用されなくなり、ランキングに表示されている金利に0.3%が上乗せされます。
またソニー銀行の金利は、物件購入価格の10%以上の自己資金を準備して借り入れた場合の値が表示されています。自己資金が物件購入価格の10%未満だと、金利が0.5%上乗せされる点に注意が必要です。
ランキングに表示されている金利の前提条件や注意事項は、ランキング右上の「前提条件お及び注意事項+」で確認できます。
※画像引用:モゲチェック
※画像は2020年11月現在のもの
まとめ:住宅ローンは金利だけでなく団信も比較して選ぶ
モゲチェックの新しい住宅ローンランキングでは、団信の保障を踏まえて金利を比較できます。専門的な知識がない一般の方でも、ご自身に合った住宅ローンが選びやすくなったといえますね。
金利が同じ水準なのであれば、保障がより充実した住宅ローンを選びたいもの。保険料が無料である団信の保障が、死亡・高度障害のみとは限りません。住宅ローンは、金利だけでなく団信も入念に比較して選ぶことが大切です。
しかし、中には「ランキングを見ただけでは住宅ローンを選べない」と思われる方もいらっしゃるはず。そんな方は、ぜひ弊社イエツグにご相談ください。
イエツグに在籍するFPや住宅ローンアドバイザーといったお金の専門家が、あなたの住宅ローン選びを精一杯サポートさせていただきます。
大手保険会社で培った知識と経験から、保険、不動産、税金、住宅ローンなど幅広いジャンルの記事を執筆・監修。