昨今、「副業」や「投資」がブームになりつつあります。
- 新型コロナウイルス感染拡大によって、収入が減った・将来が不安視される
- 老後資金捻出のため今からコツコツ投資したい
- 現金以外の資産を持っておきたい
このようなニーズから、資産形成や副収入にと不動産投資に人気が集まっています。
しかし、現物不動産は株やREITなどと異なり、流動性が低く価格も高額であるため、「失敗」が“破綻”など人生をも左右する事態にもつながってしまいかねません。
そこで本記事では、不動産投資の失敗事例とともに失敗を回避するための方法を不動産会社経営者の私がわかりやすく解説していきます
- 不動産投資で起きてしまいがちな5つの失敗事例
- 失敗の回避方法
- 不動産投資における最重要ポイント
【動画目次】
00:00 はじめに
01:23 1.物件選び
03:38 2.収支計画が狂ってしまう
05:23 3.管理にお金をかけすぎてしまう
06:24 4.出口戦略を見誤る
08:39 5.税金や諸費用を知らない
10:45 まとめ
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
目次
不動産投資失敗例1.物件選びで失敗
不動産投資の成功は、物件選びにかかっているといっても過言ではありません。
- できる限り安い物件
- 絶対新築
- 古くても汚くても立地さえよければいい
- 良く知っているエリアで買いたい
- よく分からないから不動産会社におススメされた物件を選びたい
上記のように物件選びに際して譲れない条件がおありでしょうが、不動産投資物件を選ぶうえでなにより重要なのは「儲かるかどうか」です。
予算はもちろんおありでしょうが、格安物件であればいいのではなく、いくらお金をかけていくら利益が得られるかという観点で物件を選ぶようにしましょう。
ただし、以下のような文句で販売している投資物件は注意が必要です。
- 利回り〇%(相場より著しく高い)
- 自己資金ゼロからOK
- 赤字分は損益通算で節税できます!
- 家賃保証・空室保証で損しない!
一見すると素晴らしい条件のように思える上記のような文句ですが、それぞれ言い換えれば以下のようにもなりえます。
- 利回りは高いけど、入居者が入ればの話ね?そして経費も考えなければね?
- 自己資金ゼロでもOKだけど、審査は通らないかもよ?さらに、自己資金ゼロだと月々の収支は赤字になるかもよ?
- 赤字分は損益通算で節税できます!所得税控除できても、収益、赤字になるかもよ?
- 家賃保証・空室保証で損しない!保証金額は将来変わるよ?
簡単にいえば、上手い話には裏がある可能性もあるということ。投資初心者の方はとくに、不動産会社のうまい販売戦略に踊らされてしまいます。
投資物件の広告では、「一番いいシミュレーション」や「いい捉えられ方をするコピー」が書かれているものです。よって、ご自身でしっかり収支シミュレーションを行い、本当にその利回りが期待できるのか?契約条件に落とし穴はないのか?しっかり確認することが大切です。
不動産投資失敗例2.計画が狂って失敗
購入前に収支シミュレーションを立てても、実際にシミュレーション通りの経営ができるとは限りません。
- 思ったより空室期間が長い
- 退去後、空室が埋まらない
- 家賃を下げざるをえない状況になった
上記のように想定外のことになってしまったら収支にも大きな影響を与えてしまうため、不動産投資するうえでは一大事だといえるでしょう。
さらに厄介なのは、途中で計画が狂ったからといって投資物件を売る選択をすることもなかなかできないということ。売り出すこと事態は可能なものの、経営状況が悪い投資物件は価値が下がり、購入時との価格差が大きくなってしまうおそれがあります。
空室リスク・家賃相場を経営前に想定することは、一筋縄ではいきません。また先述通り、不動産会社によっては「いいように見せる」こともされるため、「儲かりそう!」と安易に不動産投資を始めてしまう方も少なくないんですね。
経営中に当初の計画を狂わせないためには、物件選びのみならず、不動産会社選びにも慎重になるべきです。
不動産投資失敗例3.管理にお金をかけすぎて失敗
賃貸経営するうえでは、物件の管理を業者に委託できます。
「管理」の範囲は、以下のようなことです。
- トラブル対応
- 滞納保障
- 損害補償
- 入居審査
- 退去立会清算
- 入居者募集
管理業者への委託費用は、相場にして家賃収入の5~10%ほど。(保障等の範囲にもよる)決して安い費用ではありませんので、収支状況によってはできることは自分でやるようにするなど、経費削減を考えたほうがいいかもしれませんね。
併せて、弊社イエツグの「ゼロ円管理」もぜひご検討ください。
不動産投資失敗例4.出口戦略で失敗
不動産投資の目的は、家賃収入を得ることだけではありません。
投資全般にいえることですが、収益を最大化するためには「インカムゲイン=不動産投資でいう家賃収入」と「キャピタルゲイン=不動産投資でいう物件の売却益」が最大化するときを狙って「出口=投資の終了時期」を見定めることが大切です。
家賃収入を得ているときではなく、投資物件を売却したり買い替えたりするところまでが不動産投資だということですね。
出口を決めるにあたっては、必ずしも投資物件の収益が落ちたときだけが正解ではありません。それは先述でもお伝えした通り、収益性が落ちた物件は価値が下がってしまうため、「キャピタルゲイン=物件の売却益」に期待できなくなってしまうからです。
インカムゲイン・キャピタルゲインの両者が最大化するときを狙って出口を見定めるためには、常に投資物件の賃貸物件としての価値、そして売り出した場合の価値の両者を把握しておくようにしましょう。
またいつでも相談できる専門家がいると、なお良いと思います。不動産投資するうえでは、「買って終わり」ではなく、管理会社や不動産会社など、賃貸経営や出口戦略のことを相談できる窓口と、常につながっている環境があるとベストです。
不動産投資失敗例5.税金・諸費用を知らなくて失敗
不動産投資の出口を見定めるのが難しい理由は、インカムゲインとキャピタルゲインの両者が最大化するタイミングを見極めるのが難しいからです。
そしてもう一つ、出口を設定するのが難しい理由があります。
それは、売却にかかる税金や諸費用の存在です。税金や諸費用は高額になりえる費用ですので、考えずに売却時期や売却価格を決めてしまえば大きな損失・後悔にもつながってしまうでしょう。
不動産売却時の諸費用
不動産売却には、不動産売却金額の約4%の諸費用がかかるといわれています。
内訳の目安は、以下の通りです。
仲介手数料 | 売買金額×3%+6万円(税別) |
印紙税 |
(出典:国税庁) |
登記費用 | 売却時にローンを完済する場合:2万円前後(司法書士報酬含) |
ローン完済手数料 | 金融機関による |
上記の通り、不動産売却にかかる諸費用のほとんどを占めているのは仲介手数料です。
仲介手数料とは、不動産を仲介してくれた不動産会社に支払う成功報酬。上記にもある「売買金額×3%+6万円(税別)」は法律で定められた「上限額」ですが、ほとんどの不動産会社でこの上限額いっぱいいっぱいで請求するものだと考えておきましょう。
このように考える方は、弊社イエツグのような仲介手数料「定額制」を採用している不動産会社に仲介を依頼することを考えてみると良いでしょう。
不動産売却時の税金
不動産売却で住民税や所得税が課税されることがありますが、売却益(≒譲渡所得)が出た場合に限ってのことです。
譲渡所得の計算方法は、以下の通りです。
譲渡所得=不動産の売却金額−不動産の取得費用−不動産売却時の費用
「キャピタルゲイン=売却益」も狙う不動産投資では、売却時に課税されるケースは多いと考えておきましょう。
そして大事なことを一つ。それは、売却益(譲渡所得)に課税される住民税・所得税の税率は不動産の所有期間によって異なるということです。
譲渡所得にかかる税率は、以下のように不動産を所有した期間によって異なります。
所有期間 | 所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 | 合計 |
5年以下 | 30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
5年超 | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
ご覧のように、所有期間が5年を超えるかどうかによって、税率は2倍近くも変わってきます。
このときの「所有期間」の考え方は、不動産を売却した年の1月1日時点の所有期間です。つまり、「実質的な所有期間」ではなく、購入時期によっては「5年以上」所有していた場合でも「5年以下」とみなされ、税率が39.63%となってしまう可能性がありますので注意が必要です。
まとめ:不動産投資で失敗を回避するためには信頼できる相談窓口を持っておくべき
今回は、不動産投資で失敗しがちな5つの事例について解説いたしました。
不動産投資は、物件選びと経営中の判断によって命運を分けます。初心者の方はとくに、不動産投資の成功は、投資物件の購入前と購入後の経営に際し、適切な助言をしてくれる不動産会社が見つけられるかどうかがにかかっているといっても過言ではありません。
中には、投資物件を「売る」ことだけに必死になり、その後のことは知らないと言わんばかりの不動産会社も存在しています。ときにはセカンドオピニオンを得るなどし、物件選びと不動産会社選びを慎重に進めることをおすすめいたします。