「地震保険への加入は必要なのだろうか?」と、住宅を購入される方の多くが悩まれます。
結論をお伝えすると、地震大国ともいわれる日本でマイホームを購入する場合、地震保険の必要性は高いです。
本記事では、地震保険の補償内容や必要性が高い理由について解説しますので、これからマイホームを購入しようと考えている方は、ぜひご一読ください。
- 地震保険の必要性が高い理由
- 地震保険の補償内容
- 地震保険を選ぶポイント
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
目次
地震保険とは地震によって住宅が受けた損害を補償する保険
地震保険は、地震の被害に遭った人の生活再建を目的とした保険です。地震保険に加入していると、地震によって購入したマイホームが倒壊したり、火災で消失したりした場合に保険金が支払われます。また、津波によって自宅が損害を受けた場合も補償の対象です。
では、なぜ地震保険が存在するのでしょうか?それは、住宅購入時に加入する火災保険では、地震や津波によって受けた損害が補償の対象外に指定されているためです。
火災が発生しても原因が地震であれば、火災保険の補償は受けられません。また津波によって住宅が浸水被害に遭っても、火災保険の水災補償は適用されないため、地震保険に加入する必要があるのです。
地震保険は、必ず火災保険とセットで加入します。また加入中の火災保険に、追加で地震保険を付帯させることも可能です。
本当に必要ない?地震保険の必要性が高い理由を解説
住宅を購入した場合、災害から生活を守るためには、地震保険への加入が不可欠です。
日本は世界有数の地震大国。実際に2010〜2020年の10年間で、震度が6を超える大地震が以下のように3回も発生しています。
- 東北大震災(2011年3月):最大震度7
- 熊本地震(2016年4月):最大震度7
- 大阪府北部地震(2018年6月):最大震度6弱
また文部科学省の地震調査研究推進本部の調査によると、今後30年以内に震度6弱の地震が発生する可能性が0%である地域はありません。
※出典:文部科学省研究開発局地震・防災研究課 地震調査研究推進本部「全国地震動予測地図2018年版」
とくに太平洋側に位置する地域は、南海トラフ地震と呼ばれる大地震の発生が懸念されていることもあり、30年以内に震度6弱の地震に見舞われる確率が高いです。
このように大規模な地震が発生する確率の高い日本で住宅を購入する場合、地震保険に加入して備えておく必要があります。
近年は、自然災害が立て続けに起こっているためか、人々の防災意識は高まっています。その結果、地震保険の付帯率は2004年に37.4%であったのが、2019年には66.7%まで上昇しました。※出典:損害保険料算出機構「グラフで見る地震保険統計速報」
地震発生時に公的支援制度だけでは足りない可能性がある
地震によって自宅が損害を受けた場合は、公的支援制度による補償が受けられます。
たとえば「被災者生活再建支援制度」では、地震を含む自然災害で住宅が被害を受けた場合に、最大300万円の支援金が支給されます。ただし300万円を受け取れるのは、地震によって建物が全壊し、建物を再建設する場合や再購入する場合です。
震災発生時の生活再建には、住宅の修繕・購入費用の他にも、家具・家財の購入費用や、仮住まいの家賃、生活費が必要でしょう。そのため被災者生活再建支援制度だけでは、地震発生時の生活再建の費用を賄えない可能性があります。
地震保険に加入していると、地震発生時に保険金を受け取って、支援制度と併せて生活を再建するためのさまざまな費用の支払いに充てられます。
住宅ローンを組んでいる人は必要性が高い
住宅ローンを組んでいる場合、地震によって建物が倒壊するとローンだけが残る状態となりかねません。
また生活の再建費用に残債の返済が重なると、非常に重い金銭的負担となり、自己破産するリスクを高めてしまいます。
そのため住宅ローンを組んでマイホームを購入した方は、震災発生時にローンだけが残る事態とならないように、地震保険に加入しておきましょう。
地震保険の保険料や補償内容はどの保険会社も同じ
地震保険は、保険会社と政府が共同で運営しています。政府が介入している理由は、地震発生時の損害を確実に補償するためです。よって、地震保険の保険金額や保険料の決まり方は、保険会社による差はありません。
ここでは、地震保険の基本的な仕組みについて解説します。
地震保険の保険金額は住宅の損害状況によって変わる
地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30〜50%の範囲で設定します。ただし建物は5,000万円、家財(家具・家電など)は1,000万円が上限です。
地震保険の保険金は、火災保険と同様に実際の損害に応じた金額が支払われる実損払い方式です。支払われる保険金額の決まり方は、以下の通り。
- 全損:保険金額の100%(時価が限度)
- 大半損: 保険金額の60%(時価の60%が限度)
- 小半損: 保険金額の30%(時価の30%が限度)
- 一部損: 保険金額の5%(時価の5%が限度)
再調達価格とは、損害を受けた建物や家財と同等のものを新しく取得した場合に必要な金額
時価とは、再調達価格から時間の経過や使用によって減少した価値を差し引いた金額
地震保険の保険料
地震保険の保険料は、建物のある地域や構造によって決まります。
◯保険金額1,000万円あたりの地震保険料(建物・家財)
建物の所在地 | 構造 | |
耐火構造 | 非耐火構造 | |
岩手、秋田、山形、栃木、群馬、富山、石川、福井、長野、滋賀鳥取、島根、岡山、広島、山口、福岡、佐賀、長崎、熊本、鹿児島 | 7,100円 | 11,600円 |
北海道、青森、新潟、岐阜、京都、兵庫、奈良 | 7,800円 | 13,500円 |
福島 | 8,500円 | 17,000円 |
宮城、山梨、香川、大分、宮崎、沖縄 | 10,700円 | 19,700円 |
愛媛 | 12,000円 | 22,400円 |
大阪 | 12,600円 | 22,400円 |
愛知、三重、和歌山 | 14,400円 | 24,700円 |
茨城 | 15,500円 | 32,000円 |
埼玉 | 17,800円 | 32,000円 |
徳島、高知 | 15,500円 | 36,500円 |
千葉、東京、神奈川、静岡 | 25,000円 | 38,900円 |
※損害保険料算出機構「地震保険料基準率表」をもとに作成
※耐火構造とは主として鉄骨・コンクリート造、非耐火構造は主として木造
30年以内に震度6弱以内の地震が発生する確率が低い岩手県や山形県は、地震保険料が安く設定されています。反対に、大地震が発生する確率の高い千葉県や東京都などの地震保険料は高額です。
また地震保険料は、以下のような耐震性能に応じた割引制度が受けられて、最大で半額となります。
◯地震保険料に適用される割引
割引率 | |
①免震建築物割引 | 50% |
②耐震等級割引 | 耐震等級3:50% 耐震等級2:30% 耐震等級1:10% |
③耐震診断割引 | 10% |
④建築年割引 | 10% |
※各割引を重複して適用できない
地震保険の保険期間(補償が有効な期間)は、1〜5年で設定でき、保険期間が長くなるほど割引が適用されて保険料を安くなります。
よって大地震が発生する確率の低い地域に、耐震性能の優れた住宅を購入して、保険期間を最長の5年にして地震保険に加入すると、保険料は安くなります。
地震保険の保険料は地震保険料控除の対象
地震保険に加入し支払った保険料は、地震保険料控除の対象です。年間で支払った地震保険料額に応じた以下の金額が、所得税や住民税を計算する際の対象となる所得から差し引かれるため、税負担を軽減できます。
年間払込保険料 | 所得税計算時の控除額 | 住民税計算時の控除額 |
50,000円以下 | 支払保険料全額 | 支払保険料×1/2 |
50,000円超 | 50,000円 | 25,000円 |
たとえば、地震保険料が年間で30,000円の場合、所得税を計算するときに所得から30,000円が、住民税の計算時は15,000円が控除されて税額が計算されます。
必要?不要?地震保険に加入すべきか迷う場合はFPに相談する
ご自身にとって地震保険が必要かどうか判断できない方は、FPに相談してみてはいかがでしょうか。
FPは、あなたの資産状況や今後のライフプラン、購入する住宅の価格などを総合的に考慮して、地震保険に加入すべきかどうかを提案してくれます。
弊社イエツグには、FPや住宅ローンアドバイザーといって有資格者が在籍しており、住宅探しだけでなく保険選びも精一杯サポートいたしますので、お気軽にご相談ください。
まとめ:地震保険の必要性は高い
震災が発生した場合は、貯蓄や公的な支援制度、地震保険の保険金をすべて活用して生活を再建する必要があるため、地震保険の必要性は高いです。
とはいえ、住宅購入の際には火災保険料や地震保険料だけでなく、建物の購入代金や税金・手数料なども支払うため、できるだけ安く抑えたいですよね。
弊社イエツグの仲介手数料は、定額の182,900円(税抜)。また所定の条件を満たした物件は「仲介手数料無料+現金キャッシュバック」となるキャンペーンを実施中です。
金銭的な負担を抑えつつ、FPや住宅ローンアドバイザーからのアドバイスを受け、少しでも安心して住宅を購入したい方は、ぜひイエツグまでご相談ください。
大手保険会社で培った知識と経験から、保険、不動産、税金、住宅ローンなど幅広いジャンルの記事を執筆・監修。