住宅ローンは固定金利と変動金利どっちがいい?選び方と金利上昇リスクを解説

住宅ローンの変動金利と固定金利はどっちがいいのか。これは永遠のテーマのような議題なのですが、結論からいえば「一概には言えない」というのが正直なところです。 ブログやYouTube上では、「固定金利は選んではいけない」ですとか、「変動金利一択だ」のような情報を発信している方がいらっしゃいますが、不確定要素の強い将来的な金利予測をするなどして、「変動金利が絶対得だ」「固定金利では損をする」といったことは言い切れません。 本記事では、ご覧になっていただいている方が変動金利か固定金利かを選びやすくなるよう、両者の特徴や判断を助けるための情報を余すことなくお伝えしていきます。
この記事でわかること
  • 変動金利の特徴
  • 固定金利の特徴
  • 今の金利水準と今後の見立て
執筆者 丹拓也
執筆者 丹拓也株式会社イエツグ代表取締役 不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。 保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・賃貸不動産経営管理士・外壁診断士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
この記事の結論

固定金利と変動金利のどちらが正解かは、金利の数字だけでは決まりません。返済額が上がったときも家計を維持できるか、金利上昇リスクをどこまで許容できるか、購入後の教育費や修繕費まで含めて選ぶ必要があります。

住宅金融支援機構の2026年1月調査では、実際に住宅ローンを利用した人の金利タイプは変動型が75.0%でした。一方、同じ調査では73.7%が今後1年間の住宅ローン金利は現状より上昇すると回答しています。利用者が多いことと、自分の家計に合うことは別の話です。

「変動金利」の特徴

住宅ローンの変動金利を説明するイメージ 「変動金利」とは、定期的に金利が見直されるローンです。 金利の見直し時期は商品ごとに異なります。半年ごとに基準金利を見直す商品でも、見直しのたびに毎月の返済額が変わるとは限りません。契約条件を確認しましょう。

5年ルール

一部の変動金利商品には、金利が上がっても一定期間は毎月の返済額を据え置く「5年ルール」があります。ただし、すべての金融機関・商品に共通する制度ではありません。適用の有無と、返済額が据え置かれている間に元本と利息がどう変わるかを確認してください。

125%ルール(1.25倍)ルール

商品によっては、5年後の返済額見直しに上限を設ける「125%ルール」があります。これも一律に適用されるわけではなく、返済額の上昇を抑えるだけで利息の支払いがなくなる制度ではありません。契約書や金融機関の説明資料で確認しましょう。

変動金利のリスク

たとえば、毎月10万円を返済していて、返済開始から半年後に金利が上がったとしましょう。 変動金利のリスクを説明するイメージ 仮に5年ルールが適用される商品であっても、毎月の返済額が一定期間10万円のままになる一方、金利上昇による利息額の増加で、元本が占める割合が低下することがあります。 つまり、10万円のうち元本が5万円だったのものが、4万円、3万円と減っていく可能性があるのです。 5年後の返済額見直し時に上限が設けられる商品もありますが、具体的な見直し時期と上限は商品ごとに異なります。契約前に試算を確認しましょう。 返済額に占める元本の割合が減るということは、総返済額が当初の返済計画通りに減っていかないということです。 5年ルールや1.25倍ルールは、返済額を調整するものであり、調整された元本の返済を免除するものではないので、結果的に、5年後ごとに返済額が上がり続けることにもなりかねません。 また金利が急激に上昇した局面では、毎月の返済額に占める元本の割合がゼロとなり、逆に返済額が利息額を上回ってしまう可能性もあります。 これを「未払い利息」といいます。 変動金利の金利上昇リスクを示すイメージ (出典:一般社団法人住宅金融普及協会 未払い利息が発生するまで金利が上昇すると、払っても払っても元金が減らず、当初借り入れていたローンを完済してもなお、未払い分の利息だけが残ってしまうことも考えられます。

固定金利は「全期間固定」と「期間選択型」にわかれる

住宅ローンの固定金利と期間選択型を比較するイメージ 固定金利の住宅ローンは、全期間固定金利型固定金利期間選択型に分かれます。 全期間固定金利型は、返済完了まで金利が固定されるタイプの住宅ローンです。代表的なローン商品は、住宅金融支援機構の「フラット35」ですね。 一方で、固定期間選択型は、借り入れ当初から3年間や10年間など期間を決めて、その間だけ金利を固定します。

「全期間固定金利」の特徴

全期間固定金利の仕組みを説明するイメージ 全期間固定金利の特徴は、簡単なものです。借り入れ当初の金利が、返済完了まで続きます。金利が変動したとしても、毎月の返済額も総返済額も変わりません。 全期間固定金利の金利水準は、変動金利や期間選択型の固定金利より高いのが一般的です。その分、月々の返済額も総返済額も高くなります。 「お金で安心を買う」「金融機関が金利上昇リスクを負担する」のが、全期間固定金利型の住宅ローンです。

「固定期間選択型」の特徴

固定期間選択型金利の仕組みを説明するイメージ 固定期間選択型は、あらかじめ決めた期間のみ金利が固定です。 一般的に、固定期間は短い方が金利は低くなりますが、金利上昇局面にあれば長期固定の方が返済額は少なくなります。 当初設定した固定期間が完了すると、その後の返済を一定期間の固定金利にするのか、変動切にするのか選択しますが、このとき適用となるのは固定期間満了時の金利です。 固定期間選択型の金利推移を示すイメージ 固定期間選択型では、固定期間が終わった後の適用金利や返済額の上限が商品ごとに異なります。固定期間満了時の金利水準によって返済額が上がる可能性があるため、終了後の条件まで確認が必要です。

【参考:2020年】当時の利用傾向と金利表(現在の比較には使用しない)

この章の資料について

この章に掲載している利用傾向や金利表は2020年当時の参考資料です。現在の金利や取扱条件を示すものではないため、申込みを検討する際は各金融機関の最新資料を確認してください。

住宅ローン金利の過去データを確認するイメージ 2020年9月現在における各金融機関の住宅ローン金利は、以下の通りです。先月よりも金利が上昇した箇所は赤文字、下降した箇所は青文字で記載しています。
全期間固定金利 変動金利 固定期間選択型(10年)
三菱UFJ銀行 店頭 1.82% 0.625~0.775% 0.84%
ネット 0.525% 0.74%
みずほ銀行 店頭 1.14% 0.625~0.875% 0.85~1.10%
ネット 1.04〜1.14% 0.525~0.775% 0.75~1.00%
三井住友銀行 店頭 1.68% 0.575~0.775% 1.10~1.60%
ネット 1.28~1.68% 0.475~0.725% 1.10~1.55%
auじぶん銀行 0.41% 0.55〜1.50%
ジャパンネット銀行 0.38% 0.545%
住信SBI銀行 1.17〜1.58% 0.41% 0.76〜1.16%
ARUHI 1.12〜1.27%
※2020年9月時点の各金融機関のHPを参照し作成 ※記載の金利は各金融機関が2020年8月時点で実施している割引プランを加味した数値 ※ARUHI、住信SBI銀行以外の固定金利はフラット35ではなく各金融期間が独自に取り扱っている商品を掲載 ※ARUHIはスーパーフラット(団体信用生命保険加入)の数値を掲載 全期間固定金利は1.2%前後変動金利は0.5%前後の金融機関が多いですね。 10年間固定金利は、ジャパンネット銀行が0.545%ですが、これは、固定金利期間選択型の金利で過去最低値です。 ジャパンネット銀行は、2020年7月に変動金利を0.38%に引き下げて、キャンペーンを適用しない住宅ローン金利の最低値を更新したばかりです。 今後、他の金融機関がジャパンネット銀行に対抗して、固定期間選択型の金利を引き下げてくる可能性も十分に考えられるでしょう。

コロナ禍で最も選択された金利タイプは「変動型」

住宅ローンの金利タイプを比較するイメージ (出典:住宅金融支援機構) フラット35でお馴染みの住宅金融支援機構によれば、2019年10月から2020年3月の半年間では、60.2%の人が変動型の住宅ローンを選んでいるようです。 全期間固定型は13.2%固定期間選択型は26.6%となっています。 変動金利型の住宅ローンを選択する人は近年増加傾向にありますが、だからといってそれが「正解」とは限りません。 適した住宅ローンというのは、借り入れる方の収入や勤務形態、借入額、返済期間等によって異なるものです。「変動金利を選択している人が多いから変動にしよう」などとするのではなく、しっかり各金利タイプの特徴とリスクを把握したうえで決定することが大切です。

2026年7月時点:固定金利と変動金利を比べるときの確認ポイント

この記事には過去の金利記録が含まれています。過去の数字を現在の借入条件として使うのではなく、申込み時点の公式金利と、金利が見直された場合の返済額を確認してください。

2026年7月時点で確認できる公式情報

  • 日本銀行は2026年6月16日、無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.0%程度で推移させる方針を公表しています。ただし、政策金利の変更が各銀行の住宅ローン金利へ同じ幅で直ちに反映されるとは限りません。
  • フラット35の公式ページでは、2026年7月の21年〜35年の金利範囲を年3.14%〜年5.40%、最頻金利を年3.14%と案内しています。融資率、団信、金利引下げメニューなどで条件は変わります。

日本銀行の2026年6月金融政策決定資料と、フラット35の新規借入れ公式ページで最新条件を確認しましょう。

数字より先に、返済額が変わる条件を確認する

変動金利が怖いかどうかを、金利の数字だけで決めるのは少し乱暴です。確認したいのは、基準金利の見直し時期、返済額の変更ルール、優遇金利の適用期間、そして金利が上がった場合の家計への影響です。金融機関によって取扱いが異なるため、契約前に商品説明書と返済シミュレーションを確認してください。

固定金利も「高いから損」とは限りません。将来の返済額を読みやすくしたい人にとって、金利上昇リスクを抑えるための費用と考えられる場合があります。固定・変動のどちらかを一律に勧めるのではなく、借入期間、手元資金、教育費などを含めて比較するのが実務的です。

金利上昇局面で固定・変動を比較するポイント

ここからは、古い時点の金利表ではなく、現在の住宅ローン選びで確認したいポイントを整理します。金融機関や商品によって適用金利、基準金利の見直し時期、返済額の見直し方法は異なるため、申込先の説明資料で確認してください。

固定・変動を選ぶ前の確認表
確認すること変動金利で特に確認固定金利で特に確認
返済額金利上昇時の返済額と家計の余力固定期間終了後や全期間固定の総返済額
契約条件基準金利、見直し時期、返済額のルール固定期間、終了後の適用金利、手数料
家計の変化教育費・修繕費と同時に負担が増えないか初期の返済額を無理なく継続できるか

いわゆる「5年ルール」や「125%ルール」は、すべての金融機関・商品に一律で適用されるものではありません。適用される場合でも、返済額の急な上昇を抑える仕組みであって、利息の負担が消える制度ではありません。契約前に、金利が上がった場合の返済額と未払利息の扱いまで確認しましょう。

金融庁の監督指針でも、金融機関が金利変動型または一定期間固定型の住宅ローンについて、金利変動リスクを説明し、将来の返済額を示す場合は合理的な前提で試算することが求められています。銀行の試算を聞いて終わりにせず、自分の家計でも確認するのが実務的です。

住宅金融支援機構の住宅ローン利用者の実態調査などで全体の傾向を確認しつつ、最終的な条件は検討中の金融機関へ確認してください。

まとめ:変動金利と固定金利どっちがいいのかは借り入れる人と状況によって異なる

変動金利は、金利が低いというメリットがありますが、金利上昇リスクがあります。金利固定期間は、長ければ長いほど金利水準が上がりますが、その分、金利上昇リスクは減っていきます。 金利タイプの選択は、要は将来の安心を買うかどうかということ。返済期間も年収も、将来的な繰り上げ返済の可否も人によって違うわけですから、「変動が絶対お得」や「固定では損する」なんてことは、あなたの状況や意志を知らないうちはなおのこと断言できません。 弊社には、FP住宅ローンアドバイザーの有資格者が在籍しておりますので、物件選びのみならず住宅ローンや資金計画のご相談も承っております。住宅ローンは、変動か固定かのみならず、団体信用生命保険(団信)やどの金融機関で借りるかについても選択しなければなりません。
数十年と長きにわたって返済していく借り入れです。悩むのは当然です。その悩みを少しでも解消し、安心して住宅ローン組み、不動産をご購入いただけるよう、少しでもお力添えさせていただけましたら幸いです。
イエツグは、住宅とともに想いを”人から人に継ぐ”という願いから付けた社名です。仲介手数料を格安・定額にすることで、節約できた費用を住宅の質を向上させるために使っていただきたいと考えております。住まいを”継ぐ”には、耐震性や価値を向上することが不可欠だと思うからです。 イエツグ代表の私、丹は、元消防士。東日本大震災で多くの家屋が倒壊し、大切なものを失った方々を目の当たりにしたことにより、既存住宅の価値を上げ、良質な住宅を流通させることがこの国の急務なのではないかと考えるようになりました。小さな会社ではありますが、社員一同、同じ志を持って対応させていただいております。ぜひ一度ご相談ください。
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監修者 亀梨奈美
監修者 亀梨奈美大手不動産会社退社後、不動産ライターとして独立。株式会社real wave代表取締役。「わかりにくい不動産を初心者にもわかりやすく」をモットーに、機関紙から情報サイトまで不動産ジャンルのあらゆる文章を執筆・監修。

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