【2020年9月住宅ローン金利】「固定期間選択型」の金利が過去最低の値に

「今の住宅ローン金利はどうなっているのだろう」と、気になっている方も多いのではないでしょうか?

いまだに新型コロナウイルスの感染が収束しない中、2020年9月現在の住宅ローン金利は、固定金利と固定期間選択型に少し変化がありました。とくに住宅ローンを固定金利で借りようと考えている方は、住宅購入の判断を早めた方が良いかもしれません

本記事では、住宅ローン金利の変化だけでなく、金利を選択するうえでの注意点もシミュレーションを用いてわかりやすく解説していますので、ぜひご一読ください。

この記事で分かること
  • 2020年9月現在の住宅ローン金利
  • 固定期間選択型を選ぶうえでの注意点
  • 固定金利と変動金利のどちらが得なのか
執筆者 丹拓也
執筆者 丹拓也株式会社イエツグ代表取締役
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士

コロナ禍でどう推移した?2020年9月最新の住宅ローン金利

2020年9月現在における各金融機関の住宅ローン金利は、以下の通りです。先月よりも金利が上昇した箇所は赤文字、下降した箇所は青文字で記載しています。

全期間固定金利 変動金利 固定期間選択型(10年)
三菱UFJ銀行 店頭 1.82% 0.625~0.775% 0.84%
ネット 0.525% 0.74%
みずほ銀行 店頭 1.14% 0.625~0.875% 0.85~1.10
ネット 1.04〜1.14% 0.525~0.775% 0.75~1.00%
三井住友銀行 店頭 1.68% 0.575~0.775% 1.10~1.60%
ネット 1.28~1.68% 0.475~0.725% 1.10~1.55%
auじぶん銀行 0.41% 0.55〜1.50%
ジャパンネット銀行 0.38% 0.545%
住信SBI銀行 1.17〜1.58% 0.41% 0.76〜1.16%
ARUHI 1.12〜1.27%

※2020年9月時点の各金融機関のHPを参照し作成
※記載の金利は各金融機関が2020年9月時点で実施している割引プランを加味した数値
※ARUHI、住信SBI銀行以外の固定金利はフラット35ではなく各金融期間が独自に取り扱っている商品を掲載
※ARUHIはスーパーフラット(団体信用生命保険加入)の数値を掲載

2020年9月の住宅ローン金利は、前月と比較して以下2点が変化しました。

前月からの主な変更点
  1. ジャパンネット銀行が固定期間選択型を引き下げている
  2. 全期間固定金利の一部が引き上げられている

それぞれについて、解説していきます。

1.ジャパンネット銀行が固定期間選択型の最低値を更新した

ジャパンネット銀行は、固定期間選択型(10年)の金利を前月の0.62%から0.545%に引き下げました。これは、キャンペーンを適用しない固定期間選択型の金利としては、auじぶん銀行とソニー銀行の0.55%を下回る最低値です。

2020年7月にジャパンネット銀行は、変動金利を0.38%に引き下げて、キャンペーンを適用しない住宅ローン金利の最低値を更新したばかり。他の金融機関がジャパンネット銀行に対抗して、固定期間選択型を引き下げてくる可能性は十分に考えられます。

2.全期間固定金利(フラット35)が引き上げられた

全期間固定金利であるフラット35の金利は、前月から0.01%上昇しました。これで全期間固定金利は、2カ月連続で上昇したことになります。

固定金利は、新発10年物国債(長期金利)の値で決まります。2020年8月における新発10年物国債は、前月の最小値と最大値のどちらも上回ったため、全期間固定金利が引き上げられました。

新発10年物国債は、今後も上昇を続けるかもしれません。固定金利は、変動金利よりも先に上昇するため「金利が低いうちに固定金利で住宅ローンを借り入れたい」と考えている方は、今のうちに住宅を購入するのも選択肢の一つでしょう。

固定期間選択型は固定期間が終了したあとの返済負担を確認しよう

固定期間選択型では、金利の固定期間が終了すると変動金利へ自動的に移行しますが、再び金利を一定期間固定させることもできます。しかし、どちらを選択しても返済負担が増加する可能性がある点に注意が必要です。

住宅ローンの返済額の計算に用いられる適用金利は、金融機関が独自に定める基準金利(店頭金利)から優遇金利を差し引いて計算されます。金利の固定期間が終了すると、優遇金利が引き下げられて適用金利が上昇し、返済負担が増加する場合があるのです。

たとえば、ジャパンネット銀行の10年固定期間選択型の0.545%は、基準金利2.445%から優遇金利である1.9%を引いた値です。返済11年目からは、以下のように優遇金利が引き下げられるため、適用金利が上昇します。

金利の固定期間中
(借入当初の10年間)
固定期間終了後
変動金利 10年固定金利
①基準金利 2.445% 2.280% 2.445%
②優遇金利 1.9% 1.4% 1.0%
③適用金利(①-②) 0.545% 0.88% 1.445%

固定期間終了後の返済額をシミュレーション

では、優遇金利が変わると、毎月の返済額はどのようになるのでしょうか?ジャパンネット銀行から、以下の借り入れをした場合の返済負担を計算してみましょう。

  • 借入額:3,000万円
  • 返済期間:35年
  • 返済方式:元利均等方式(毎月の返済額が一定である返済方式)
借入当初10年間の金利は0.545%ですので、毎月の返済額は78,474円となります。これが返済11年目から変動金利へ移行すると、適用金利は0.88%となり、毎月の返済額は81,737円に増加します。

ただし上記の結果は、ジャパンネット銀行の基準金利が現在と同じ場合です。もし10年後に市場の金利が0.5%増加して、適用金利が1.38%となった場合、毎月の返済額は86,767円まで増加します。

一方、返済11年目で再度10年間の固定金利にした場合、適用金利は毎月の返済額は87,435円です。もし借り入れから10年後に市場の金利が0.5%上昇し、適用金利が1.945%となった場合、返済月額は92,677円まで増えます

このように金利の固定期間が終了すると、変動金利に移行しても再び金利を固定しても、返済負担が増えてしまう可能性があるのです。加えて、金利を再び固定する場合、金融機関によっては特約設定手数料を支払う必要があります。

10年後の金利は、誰にもわかりません。しかし、固定期間の終了後に返済を続けるつもりであれば、将来的に金利が上昇しても返済できるかどうかを、契約前にシミュレーションで確認することが大切です。

固定金利と変動金利のどちらが得かシミュレーション

金利が低いうちに、固定金利の住宅ローンを借り入れるのも選択の一つです。しかし、低金利の状態であるからと言って、全期間固定金利が必ずしも正解とはいえません。たとえ将来的に金利が上昇しても、変動金利の利息負担の方が少なくなるケースもあるのです。

ここで、以下の条件において固定金利で借り入れた場合と、変動金利で借り入れた場合とで返済負担がどれだけ異なるのかをシミュレーションしてみましょう。

  • 借入額:3,000万円
  • 返済期間:35年
  • 返済方式:元利均等方式(毎月の返済額が一定である返済方式)
  • 固定金利:1.32%
  • 変動金利:0.41%(10年ごとに1.0%ずつ上昇していき最終的に3.41%になると想定)

これだけ金利が上昇すると、利息負担は変動金利のほうが高くなりそうですよね。しかし返済月額や返済総額、利息負担総額を計算すると、以下のように変動金利の方が100万円ほど安い結果となりました。

固定金利 変動金利
毎月の返済額 89,233円 1〜10年目(金利0.41%):76,688円
11〜20年目(金利1.41%):86,517円
21〜30年目(金利2.41%):92,951円
31〜35年目(金利3.41%):95,280円
返済総額 37,477,928円 36,455,581円
 うち利息負担総額 7,477,928円 6,455,581円

金利が上昇したにもかかわらず、固定金利の方が返済総額や利息負担が高くなる理由は、借入当初の金利が変動金利よりも高いためです。

住宅ローンの利息は、前回の返済後の借入残高に金利をかけて計算します。つまり元本が多いときに金利が高いと、毎月の返済額や利息負担が高くなってしまうのです。

一方で変動金利は、最終的に3.41%まで上昇したものの、借入元本が減っていたため毎月の返済額はあまり増えていません。そのため借り入れから数年以内に金利が急上昇しない限り、固定金利の方が返済負担は重くなるのです。

もし、金利上昇に対する不安が小さいのであれば、固定金利だけでなく変動金利も検討してみましょう。

まとめ:住宅ローンは金利が上昇した場合の返済負担も確認して選ぼう

2020年9月の住宅ローン金利は、ジャパンネット銀行が固定期間選択型(10年)を0.545%に引き下げ、変動金利に続いて最小値を更新しました。また全期間固定金利のうちフラット35は、0.01%上昇しています。

固定金利が今後も上昇を続けるのか、変動金利がどのタイミングで上がり始めるのか、未来のことは誰にもわかりません。住宅ローンは、金利が上昇した場合の返済シミュレーションを確認して、借入後に不安が残らない金利タイプを選ぶことが大切です

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監修者 品木彰
監修者 小林だいさく金融ライター、ファイナンシャルプランナー。
大手保険会社で培った知識と経験から、保険、不動産、税金、住宅ローンなど幅広いジャンルの記事を執筆・監修。

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