変動金利で住宅ローンを借りても大丈夫?返済額が固定金利より高くなるケースとは

2021年2月現在、住宅ローン金利の最低値は、変動金利が0.3%台固定金利のフラット35が1%強という状況です。金利の値だけを見ると、変動金利で住宅ローンを借り入れたほうが、お得と考えられます。

一方で、現在が住宅ローン金利の底値だという考えも。「本当に変動金利で借りてもいいのだろうか?」と不安を感じている方は多いはずです

そこで今回は、どれほどの金利上昇が起こると、変動金利の返済負担が固定金利を上回るのか考察していきます。住宅ローンの金利タイプでお悩みの方は、ぜひご一読ください。

この記事でわかること
  • 変動金利と固定金利の仕組み
  • 変動金利の返済負担が固定金利を上回るケース
  • 変動金利が固定金利の返済負担を上回る可能性はあるのか?

変動金利と固定金利の仕組みの違いを解説!

返済負担をシミュレーションする前に、変動金利と固定金利の仕組みを解説します。

変動金利とは、返済期間中に住宅ローンの利息計算に用いられる金利が、半年に一度見直される金利タイプです。変動金利の多くには、金利が急上昇したときに毎月の返済額が急増して返済が滞らないよう、以下2つのルールが設けられています。

  • 5年ルール:毎月の返済額が見直されるのは5年に1度
  • 125%ルール(1.25倍ルール):見直し後の返済額が見直し前の125%を超えない

一方で全期間固定金利は、返済期間中の金利が一切変わらない金利タイプです。借入時に、毎月の返済額と返済総額が確定するため、金利上昇に不安を抱える心配がないというメリットがあります。

ただし全期間固定金利は、借入時の金利が変動金利よりも高く設定されているため、借入当初の返済額は、固定金利の方が高くなります

変動金利は固定金利の仕組みを詳しく知りたい方は、以下の記事もご一読ください。

変動金利は怖くない!5年ルールと125%ルールの仕組みをわかりやすく解説

「全期間固定金利」の住宅ローンとは?メリット・デメリットと金利推移を解説

変動金利がどれほど上がると返済負担が固定金利を上回る?4つの返済シミュレーションで検証

ここでは、変動金利の返済負担が固定金利を上回るような金利上昇について、4つの返済シミュレーションを用いて検証していきます。共通する条件は、以下の通りです。

  • 借入額:3,000万円
  • 返済期間:35年
  • 返済方法:元利均等方式(毎月の返済額が一定である返済方法)
  • ボーナス返済:なし
  • 変動金利:0.475%
    ※2021年2月現在のメガバンクの金利をもとに設定
  • 固定金利:1.32%
    ※代表的な全期間固定金利であるフラット35の、2021年2月現在における金利をもとに設定

1.まったく金利が変動しなかった場合

返済期間中に市場の金利がまったく変動しなかった場合、返済負担は以下の通りです。

変動金利固定金利
毎月の返済額77,544円89,233円-11,689円
総返済額32,568,480円37,388,627円-4,820,147円
 うち利息部分2,568,480円7,388,627円-4,820,147円

変動金利と固定金利で、毎月の返済額に約1.1万円の差があります。総返済額や利息合計では、約482万円もの差がつきました。

金利の変動がまったく起きなかった場合、変動金利で住宅ローンを借り入れた方がお得であるといえますね。

2.10年ごとに金利が0.5%ずつ上昇した場合

次に、10年ごとに変動金利が0.5%ずつ上昇し、最終的に1.975%となった場合の返済負担を確認してみましょう。

変動金利固定金利
毎月の返済額〜10年:77,544円
〜20年:82,420円
〜30年:85,503円
〜35年:86,596円
89,233円〜10年:-11,689円
〜20年:-6,813円
〜30年:-3,730円
〜35年:-2,637円
総返済額34,574,256円37,388,627円-2,814,371円
 うち利息部分4,574,256円7,388,627円-2,814,371円

10年ごとに0.5%ずつ金利が上昇した場合、変動金利の返済額は最終的に86,596円まで増えます。しかし固定金利の返済額である89,233円は下回っており、総返済額や利息合計も変動金利の方が約280万円安いです。

金利が緩やかに上昇していく場合も、変動金利で借り入れた方が、返済負担は少なくなるといえます。

3.5年ごとに金利が0.5%ずつ上昇した場合

続いて、金利が5年ごとに0.5%ずつ上昇していった場合の返済負担を確認してみましょう。最終的な変動金利の値は、3.475%です。

変動金利固定金利
毎月の返済額〜5年:77,544円
〜10年:83,387円
〜15年:88,512円
〜20年:92,814円
〜25年:96,192円
〜30年:98,550円
〜35年:99,792円
89,233円〜5年:-11,689円
〜10年:-5,846円
〜15年:-721円
〜20年:+3,581円
〜25年:+6,959円
〜30年:+9,317円
〜35年:+10,559円
総返済額38,129,916円37,388,627円+741,289円
 うち利息部分8,129,916円7,388,627円+741,289円

5年ごとに金利が0.5%ずつ上昇した場合、毎月の返済額は返済16年目から変動金利の方が高くなりはじめ、最終的に固定金利よりも約1万円上回っています総返済額や利息合計も、変動金利の方が約74万円高くなりました

借り入れから5年で金利上昇が始まり、その後もじわじわと上がり続ける場合、固定金利で住宅ローンを組んだ方が返済負担は低くなります

4.借り入れから20年後に金利が3%上昇した場合

最後に、借り入れから20年後に変動金利が3.475%に急上昇した場合の返済負担を確認していきましょう。

変動金利固定金利
毎月の返済額〜20年:77,544円
〜35年:96,236円
89,233円〜20年:-11,689円
〜35年:+7,003円
総返済額35,855,496円37,388,627円-1,533,131円
 うち利息部分5,855,496円7,388,627円-1,533,131円

返済開始から20年後に金利が3.475%へ急上昇すると、毎月の返済額は96,236円に増えます。しかし固定金利との差は、約7,000円しかありません。総返済額や利息合計は、変動金利の方が153万円ほど安い結果となりました。

金利が急上昇しても、変動金利の返済負担が固定金利を上回らなかったのは、返済が進んで借入残高が減っていたためです。

毎月の返済額に占める利息額は、前回返済後の借入残高に、金利をかけて計算します。返済から20年も経過していると、借入残高が当初の3,000万円から約1,350万円に減っていたため、金利が急上昇しても返済負担は大きく増えなかったのです。

ちなみに、返済開始から10年後に金利が3.475%へ上昇した場合、毎月の返済額は約11万円(+約2万円)、総返済額は約4,704万円(+約966万円)と大きな差になります。※カッコ内は、固定金利との差額

このように、借入残高が多いタイミングで金利の急上昇が起きると、変動金利の方が遥かに重い返済負担となります

変動金利で借り入れても大丈夫?今後の日本で金利が一気に上がるのか考察

2021年2月現在の低金利が、いつまでも続くとは考えにくいです。しかしながら、これからの日本を考えると、変動金利の返済負担が固定金利を上回るほどの金利上昇が起きる可能性は低いのではないでしょうか。

変動金利0.475%というのは、金融機関が決める基準金利2.475%から、2%の金利が優遇された値です。よって基準金利が5.475%まで上昇しなければ、住宅ローンの利息計算に用いられる金利は3.475%になりません

過去に基準金利が5.475%であったのは、以下のように、バブル真っ只中の1980年代後半とバブルが終わろうとしていた1993年ごろです。

※出典:住宅金融支援機構「フラット35」

10年後にバブルが訪れた場合や、これから景気が良くなって少しずつ金利が上がり、30年後にバブルとなった場合、変動金利の返済負担が固定金利を上回ると考えられます。

今後の日本がバブル経済に突入する可能性は低い

2021年2月15日、日経平均株価は、バブルであった1990年8月2日以来、約30年半ぶりに3万円台となりました。しかし、新型コロナの影響が続いていることもあり、景気が良くなったと感じている人はいないはずです。

また今後の日本では、少子高齢化の進展が確実視されています。約20年後の2040年には、1.5人の現役世代が1人の高齢者を支える時代となるのです。

健康保険や年金制度などの社会保障制度を維持するために、社会保険料や所得税、消費税などの負担が増えても不思議ではありません。社会保険料や税負担が増えると、手取り収入が減って消費も減るため、景気の悪化が起こりやすくなります

未来は誰にも分かりませんが、2021年に住宅ローンを借り入れた場合、完済するまでに日本が再びバブルに突入するとは考えにくいといえます

変動金利が安全とは限らない

日本が再びバブルとなる可能性が低いからといって、変動金利が必ずしも安全とは限りません。金利が上昇して返済負担が増加したときに、家計が苦しくなって返済が滞る恐れがある場合、無理に変動金利で借り入れるのは禁物です。

また変動金利で住宅ローンを借り入れる場合は、金利の上昇時に繰上げ返済をして利息負担が減らせるように、資金を計画的に貯める必要があります

まとめ:変動金利で借り入れても大丈夫なのは「日本にバブルは来ない」と考えている人

シミュレーションの結果、借入元本が多く残っているタイミングで金利の上昇が始まり、最終的に日本が再びバブルになると、変動金利の返済負担が固定金利を上回ることがわかりました。

よって「バブルと同じ水準まで金利は上がらないだろう」と考えている方は、変動金利で借りても良いでしょう。「これからの日本ではバブルを彷彿とさせる金利上昇が起きる」と考えている方は固定金利で借りた方が安心かもしれません

とはいえ、頭では理解していても実際に住宅ローンを借り入れるとなると、ご自身に合った金利タイプを選べない方もいらっしゃるはずです。

ご自身にとって、最適な住宅ローンの組み方が分からない場合は、FP住宅ローンアドバイザーといった有資格者が在籍する弊社イエツグまでご相談ください。あなたのライフプランを踏まえたうえで、最後まで返済していけるプランを提案いたします。

イエツグは、住宅とともに想いを”人から人に継ぐ”という願いから付けた社名です。仲介手数料を格安・定額にすることで、節約できた費用を住宅の質を向上させるために使っていただきたいと考えております。住まいを”継ぐ”には、耐震性や価値を向上することが不可欠だと思うからです。 イエツグ代表の私、丹は、元消防士。東日本大震災で多くの家屋が倒壊し、大切なものを失った方々を目の当たりにしたことにより、既存住宅の価値を上げ、良質な住宅を流通させることがこの国の急務なのではないかと考えるようになりました。小さな会社ではありますが、社員一同、同じ志を持って対応させていただいております。ぜひ一度ご相談ください。

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