不動産はとても価格の高い資産なので、多くの人が安全・確実に売却したいと思っているでしょう。しかし、不動産の売却には買取・仲介と2種類の売り方があるため、どちらが自分に合っているのかわからないという人も多いのではないでしょうか。
不動産買取と仲介は特徴に違いがあり、適した不動産もそれぞれ異なります。この記事では、不動産買取と仲介の違いや、それぞれに適したケース・物件について解説します。
- 「買取」と「仲介」の違い
- 「買取」で売却したほうがいいケース
- 「仲介」で売却したほうがいいケース
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
目次
不動産買取と仲介とで異なる6つのポイント
不動産買取と仲介とでは、主に6つのポイントが異なります。具体的な違いは以下の表の通りです。
買取 | 仲介 | |
売却先 | 不動産会社 | 主に第三者の個人 |
手続き内容 | 少ない | 多い |
売却価格 | 安い | 高い |
仲介手数料 | なし | あり |
売却期間 | 短い | 長い |
契約不適合責任 | なし | あり |
それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。
売却先
不動産仲介は、不動産会社が探してきた個人に対して売却する方法です。一方、不動産買取は不動産会社に対して物件を売却します。
不動産仲介は、大半の場合は住む目的で個人が物件を購入します。一方、不動産会社が物件を買取る目的は、リフォームやリノベーションを施してから第三者に売却することです。不動産会社から見ると、不動産仲介は仲介手数料が収入源で、不動産買取は物件の転売益が収入源となります。
不動産会社に対して物件を売却するという点で、不動産買取を利用すると、不動産会社にだまされないか不安に感じる人もいるかもしれません。安全に取引するためのポイントは、不動産の周辺相場と手続き内容について把握しておくことです。
自分が売却する不動産の周辺相場がわかっていれば、不当に低い金額で買取られる可能性を下げられます。また、手続き内容についても把握できていれば、不審に感じた時点で不動産会社に指摘できるでしょう。
手続き内容
不動産買取と不動産仲介とでは、売却が完了するまでの手続き内容が違います。それぞれの手続き内容は以下の通りです。
不動産買取の手続き
2.不動産会社から査定を受ける
3.買取価格について話し合う
4.売買契約を締結して手付金を受け取る
5.物件引渡し
不動産買取の場合は、関係者が少ない上に期間も短いので、不動産会社の見極めが重要になります。買取価格について合意ができれば、その後はすぐに物件引渡しまで進むからです。
安全に不動産会社と取引するためには、複数の不動産会社を比較して、各社の査定に関する根拠を確認することがポイントになります。営業マンの人柄や、査定の根拠が具体的で論理的かどうかなどを見極めましょう。
不動産買取の流れについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
不動産仲介の手続き
2.不動産会社から査定を受ける
3.不動産会社と媒介契約を締結して売却活動を始める
4.買主を探す・必要に応じて内覧などに対応する
5.買主と売買契約を締結する
6.決済資金の入金確認が取れたら引渡し手続きをする
不動産仲介で売却を成功させるためには、不動産会社選びのほかに売却価格の設定も重要なポイントになります。不動産の売却成否には価格が大きく関わるからです。
売り出し価格が周辺相場よりも高すぎると、価格の時点で買主の候補物件から漏れてしまいます。確実に売却を成功させるためには、周辺相場の1割増し程度を限度として価格設定することが重要です。
売却価格
不動産買取と不動産仲介とでは、売却価格が変わります。不動産仲介の場合は、極端に不便な立地や極端に古いなど、条件が悪くなければ周辺相場に合った値段で売れるでしょう。
一方、不動産買取を利用すると、買取価格は周辺相場よりも低くなります。不動産会社は、物件を買い取った後に転売するからです。
不動産会社は周辺相場に合わせた価格で売り出すため、物件を買取る時には、周辺相場よりも不動産会社の利益分だけ低い価格で買取ります。一概にはいえませんが、買取価格は相場の7割前後になることが一般的です。
不動産買取は、仲介よりも確実に売却できる点がメリットですが、その反面で売却価格が下がるというデメリットもあります。
売却にかかる手数料
不動産仲介で物件を売却すると不動産会社に仲介手数料を支払いますが、不動産買取で売却した場合は、仲介手数料が不要です。
仲介手数料は、物件の広告を掲出して買主を探したり、買主との契約を取り持ったりなどの業務に対して支払うお金です。不動産買取の場合は、不動産会社は買主を探す必要がないので、仲介手数料はかかりません。
売却期間
不動産仲介の売却期間は、買主を探す期間の分だけ不動産買取より長くなります。不動産仲介による売却には、通常4ヶ月〜6ヶ月程度の期間が必要です。一方、不動産買取は、査定申込から売却完了まで1週間〜1ヶ月程度の期間で完了します。
不動産買取は手続き完了までにかかる期間が短く済みますが、買取金額の入金日については事前の確認が必要です。不動産会社によっては、入金日を買取手続きの完了から数週間~1ヶ月後などに設定している場合もあります。
入金日までに時間が空いてしまうと、その後の住み替え計画などに狂いが生じることもあるでしょう。不動産会社から査定金額を提示された時点で、入金日を確認しておくと安心です。
売却後の契約不適合責任
契約不適合責任とは、売却完了後に契約と不適合の箇所が見つかった場合、売主が修繕等する責任を問われるというものです。
不動産仲介で第三者に物件を売却する場合には、売主は契約不適合責任を負います。しかし、不動産買取で不動産会社に対して物件を売却する場合は、買取後にリノベーションされるため、売主は契約不適合責任を負う必要がありません。
契約不適合責任の有無の観点から見れば、不動産買取は売主にとって安全な売却方法といえるでしょう。
不動産買取と仲介どちらで売却すればいい?
不動産を確実に売却するためには、状況によって不動産買取と仲介とで使い分けることが重要です。
不動産買取と仲介とで、それぞれ適しているケースについて解説します。
不動産買取で売却した方がいい場合
不動産買取で売却した方がいいのは、仲介で売れにくい物件を売却する場合や、短期間でまとまったお金が必要な場合などです。以下の特徴を持った物件は、仲介でなかなか売れない可能性があるので、不動産買取で売却すると良いでしょう。
・駅から遠いなど立地があまり良くない物件
・過去に事故があった物件
・内装の状態が悪く大規模なリフォームを要する物件
6ヶ月以上など長期間に渡って仲介で売れない物件なども、確実に売却するためには不動産買取が有効です。最初に仲介で売却活動を始め、一定期間中に売却できなかった場合は買い取ってもらう「買取保証」という方法もあります。
不動産仲介で売却した方がいい場合
一方、たとえば以下の場合などは、不動産仲介で売却するほうが良いでしょう。
・多少の時間がかかっても高く売却したい場合
・比較的新しい物件を売却する場合
不動産買取の最大のメリットは、短期間で確実に不動産を現金化できることです。現金が必要な期限までに余裕がある場合は、高く売れる可能性が上がるため、仲介で売却するほうが良いでしょう。
また、比較的新しい物件を売却する場合は、とくに仲介で売却するほうが、高く売れる可能性が上がります。不動産買取による売却額と大きな差が出ることもあるので、時間的に余裕があるのならば、新しい物件は仲介で売却するほうが良いでしょう。
まとめ:買取と仲介の違いを理解して正しい選択を!
安全に不動産を売却するためには、不動産会社の選定が重要になります。不動産買取も仲介も、最初に物件の査定を受けます。物件の査定を受けた時点で、査定の根拠や営業マンの人柄などから不動産会社を判断しましょう。
また、確実に不動産売却を成功させるためには、自分の状況や物件の特徴などに合わせて買取と仲介とを使い分けることが重要です。仲介で売りにくい物件は、買取も検討すると良いでしょう。とくに急いでいる事情などがない場合は、仲介のほうが高く売れる可能性が上がります。
弊社イエツグでは、「仲介」による売却でも仲介手数料を182,900円の定額としております。また、「買取保証」「即時買取」にも対応しておりますので、どんな状況にある方も、まずは一度ご相談ください。
現在はフリーライターとして、国内不動産および海外不動産投資関連の記事を多数執筆している。