変動金利は怖くない!5年ルールと125%ルールの仕組みをわかりやすく解説

2020年6月時現在、住宅ローンの金利は史上最低の状態が続いています。とくに、返済期間中の金利が市場の金利に応じて変わる変動金利型住宅ローンは、借入当初の金利が最低値で0.4%を下回る水準まで低下しました。

しかし変動金利を選んだ場合、今後の金利上昇や返済負担の増大が気になりますよね。そこで知っておきたいのが変動金利の5年ルールと125%ルールです。この2つのルールがあることで、金利が上昇しても一定期間は返済負担の増加を抑えられます。

変動金利で住宅ローンを借りるときは、変動金利の金利が変わる仕組みを知っておくと、余計な心配を減らせるはず。そこで本記事では、5年ルールと125%ルールのみならず、変動金利の仕組みについてもわかりやすく解説していきます。

この記事で分かること
  • 変動金利の金利が変わる仕組み
  • 5年ルールと125%ルールの仕組み
  • 5年ルールと125%ルールの注意点
イエツグくん
「5年ルール」と「125%ルール」によって、変動金利型でも急激な返済額増加を防げるんだよ!
執筆者 丹拓也
執筆者 丹拓也株式会社イエツグ代表取締役
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士

【わかれば怖くない!】変動金利の金利が変わる仕組み

変動金利型の住宅ローンは、簡単に言うと景気が良ければ金利が上がり、景気が悪くなれば金利が下がる仕組みです。

景気が悪くなり物価が下がると、金融緩和政策が実施され、日銀が一般の銀行にお金を貸し出す際の金利(政策金利)が下げられます。

政策金利が下がり銀行が日銀からお金を借りやすくなると、銀行は個人や企業に低い金利でお金を貸せるようになります。その結果、企業はお金を借りて設備などに投資をしやすくなり、個人は車や住宅のような高額な買い物をしやすくなって経済活動が活発化するのです。

そして経済活動が活発になると、物価が上昇するインフレーションの状態になり景気が回復します。

一方で変動金利の指標となる無担保コールレート(オーバーナイト物)は、政策金利をもとに金利が決められています。無担保コールレートは、「銀行Aが銀行Bからお金を借りて明日返す」のような、金融機関同士の短期的なお金の貸し借りの際に適用される金利です。

景気を回復させるために日銀が金融緩和政策を行うと、政策金利が下げられて無担保コールレートも引き下がり、変動金利も連動して下がります。反対に景気が過熱しすぎると、日銀が金融引締政策を行って政策金利と無担保コールレートが上がり、変動金利も連動して上がる仕組みです。

住宅ローンの低金利はいつまで続く?

現在日本は、異次元の金融緩和政策により、超低金利時代が続いています。この金融緩和政策が解除されるのは、政策の目標である「物価上昇率2%」が達成されたとき。つまり、物価が毎年2%ずつ上昇するインフレの状態になるまで金融緩和政策は継続されます。

総務省の調査によると、2019年の物価上昇率は変動幅の大きい生鮮食品を除いて0.6%でした。※出典:総務省統計局 東京オリンピックの開催を翌年に控え、景気が盛り上がる条件が揃っていてもまだ低インフレの状態なのです。

以上の点から、金融緩和政策はしばらく継続され、住宅ローンの変動金利が急上昇する可能性も短期的には低いと考えられます。

5年ルールとは返済額を5年間据え置いてくれるルール

変動金利型の住宅ローンは、金利が半年に一度見直されます。

しかし半年ごとの見直し時に金利が上がっても、5年ルールの存在により毎月の返済額は5年間変わりません。

仮に変動金利型住宅ローンの金利が、半年に1度の見直し時に金利が高くなり、ローンの返済額も半年に1度のペースで上がり続けたらどうなるでしょうか?

金利上昇が一時的であればさほど問題ないかもしれません。しかし金利が半年ごとに上がり続けた場合、当初は毎月10万円だった返済額も半年ごとに12万円、15万円と上がってしまいます。これでは、生活が苦しくなって住宅ローンの返済が難しくなりますよね。

銀行側の視点で考えてみても、金利の上昇によって住宅ローンの返済が困難な人が増えると、大量の不良債権を抱えてしまい銀行の経営に大きな支障が出ます。

そこで、変動金利に5年ルールを設けることで、金利が上昇したとしても住宅ローンの返済に困る人が発生しないように5年間は返済額を据え置いてくれるのです。

5年ルールで金利が上がった場合をシミュレーション

5年ルールが適用されると、金利が上昇しても返済額が見直されるタイミングでない場合は、返済額のうち住宅ローンの借入元本と銀行側の収益となる利息の内訳が変わるのみとなります。

たとえば、毎月の返済額が10万円で、借入当初の内訳が元本5万円、利息5万円であるケースで考えてみましょう。このケースで借り入れた住宅ローンは、返済額が一定である元利均等方式とします。

住宅ローンを組んだ半年後に金利が上昇してしまい、利息が5万円から6万円に増えると、本来は元本5万円と利息6万円の合計11万円を支払わなければなりません。

しかし5年ルールが適用されると、以下の図のように月々の支払額10万円はそのままで、元本の返済額を5万円から4万円に減額され、利息が5万円から6万円に増えるのです。


イエツグくん
続いて「125%ルール」について解説していくよ!

125%ルールとは見直し後の返済額が最大で1.25倍しか上がらないルール

125%ルールが適用されると、見直し後の返済額がどんなに金利が上がっても見直し前の返済額の1.25倍を超えることはありません。

5年ルールにより、金利が上昇しても返済額は5年間据え置かれます。そのため、6年目に5年前と比較して金利が上昇していた場合は、金利に応じた返済額を支払わなければなりません。

もしも当初10万円であった返済額が、金利の上昇によって2倍の20万円に見直されてもローンを返済していけるでしょうか?

返済額が見直される時のお給与が5年前と比べて上がっていればいいのですが、そうとも限りませんよね。よって銀行は、変動金利に125%ルールを適用させて返済額の上限を定め、急激な金利上昇でも返済できなくなる人が増えないようにしているのです。

たとえば、以下のように見直し前の返済額が10万円の場合は、見直し時に金利が上昇していても10万円の1.25倍である125,000円までしか増えません。

変動金利の5年ルールと125%ルールの注意点

変動金利に5年ルールや125%ルールがあると、返済負担が急激に増えないため「変動金利は安全じゃないか!」と思われた方もいらっしゃるでしょう。

しかし、5年ルールや125%ルールがあるからといって、変動金利が安全とは言い切れません。変動金利型住宅ローンは、ここでご紹介する注意点を理解したうえで選びましょう。

調製された元本が免除されるわけではない

5年ルールや125%ルールによって金利が上昇すると、返済額のうち元本部分が減って利息部分や実際の返済額が調製されます。しかし調整された分の元本は、返済を免除されたわけではありません。

住宅ローンの返済期間が終了しても返済額の調整によって借入元本が残っていた場合は、一括もしくは返済期間を延長して残った元本を返済する必要があります。

また元利均等方式の住宅ローンを組んでいた場合は、金利が大幅に上昇し利息負担が返済額を超えると未払い利息が発生して元本が減らなくなる可能性もあります。

そのため変動金利を組む場合は、将来金利が上昇した場合に、住宅ローンの一部もしくは全部を繰り上げ返済できるように返済資金を貯蓄しておくと安心です。

5年ルールと125%ルールがない銀行もある

5年ルールと125%ルールは、すべての変動金利に適用されるわけではありません。2020年6月時点で、ソニー銀行と新生銀行の取り扱う住宅ローンの変動金利には、5年ルールと125%ルールが無い点に注意が必要です。

またネット銀行で住宅ローンを組みたいと不動産会社に伝えると「ネット銀行は5年ルールと125%ルールがないから危険です」と言ってくる場合があります。

しかし変動金利に5年ルールと125%ルールがないのは、ソニー銀行と新生銀行の2行のみですので鵜呑みにしてはいけません。

不動産会社がネット銀行で住宅ローンを組ませないように誘導してくる理由については、下記の記事にまとめてありますので併せてご一読ください。

まとめ:5年ルールと125%ルールによって変動金利のリスクは軽減される

変動金利には5年ルールと125%ルールがあり、金利が上昇しても返済額のうちの元本と利息の内訳が調整されるため返済額は急激に上昇しない仕組みです。

しかし、返済額が調製されたことで返済期間終了後に借入元本が残った場合は、一括返済や返済期間を再設定したうえでの返済が必要です。

そのため変動金利は、5年ルールや125%ルールによって金利上昇による返済負担の急上昇はないものの、金利上昇リスクがなくなるわけではありません。金利が上昇したときに、借入残高の一部もしくは全部を繰り上げ返済できるように貯蓄するといった対策も必要です。

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イエツグは、住宅とともに想いを”人から人に継ぐ”という願いから付けた社名です。仲介手数料を格安・定額にすることで、節約できた費用を住宅の質を向上させるために使っていただきたいと考えております。住まいを”継ぐ”には、耐震性や価値を向上することが不可欠だと思うからです。 イエツグ代表の私、丹は、元消防士。東日本大震災で多くの家屋が倒壊し、大切なものを失った方々を目の当たりにしたことにより、既存住宅の価値を上げ、良質な住宅を流通させることがこの国の急務なのではないかと考えるようになりました。小さな会社ではありますが、社員一同、同じ志を持って対応させていただいております。ぜひ一度ご相談ください。
監修者 品木彰
監修者 小林だいさく金融ライター、ファイナンシャルプランナー。
大手保険会社で培った知識と経験から、保険、不動産、税金、住宅ローンなど幅広いジャンルの記事を執筆・監修。

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