相続財産のなかでも、厄介になりがちなのが不動産です。


とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そして相続した不動産を売却するとなると、気になるのが税金のことですよね。
そこで今回は、相続した不動産の売却方法と、節税のポイントをまとめました。
売却することで利益が出る場合には、課税される税金が高くなってしまうことも。相続した不動産の売却を検討している人は、ぜひ参考にしてみてくださいね!
・相続した不動産を売却するときに気を付けるべきポイントとは?
・相続不動産を売却するときにかかる税金の節税方法は?
相続税の納税は10カ月以内と決まっているから、できるだけスムーズに売却できるよう、やるべきことを順を追って詳しく解説していくよ!

不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
目次
相続した不動産の売却の流れ

相続した不動産を売却する場合、そのままの状態では不動産を売却することができません。
相続の場合は、必ず被相続人(亡くなった人)から相続人の名義に変更する必要があります。
では、どのように名義変更するのでしょうか?
まずは、不動産を相続してから売却までの流れを知りましょう。
以下に、相続した不動産を売却するまでの工程をまとめました。
- 遺言書の確認
- 法定相続人の確認
- 相続財産の調査
- 遺産分割協議
- 不動産の相続登記申請
- 不動産の売却
ここから1つずつ詳しく解説していきます。
1.遺言書の確認
亡くなった人が遺言書を遺していて、不動産についてどのように相続するかを書いてあった場合、その内容に従います。
遺言書は自宅にある場合もありますが、公正証書遺言が公証役場に保管されている場合もあります。自宅に遺言書が見つからなかったら、公証役場に公正証書遺言があるか確認しましょう。
なお、自宅にて遺言書が見つかった場合は家庭裁判所での検認手続きが必要になります。
2.法定相続人の確認
続いて、被相続人の出生時から死亡時までの連続した戸籍謄本及び除籍謄本を取得し、相続人を確認します。
これらの書類は、相続登記の添付書類になる相続証明情報を取得する際にも必要になります。
古い戸籍は見方が難しく、戸籍が数回変わっている場合などは取得までに時間もかかります。司法書士に依頼すると費用がかさみますが、お願いして代理で取得してもらうと、作業の負担が減り、次の工程までスムーズにおこなうことができるでしょう。
3.相続財産の調査
現金・預貯金の他、借入や債務の有無を調査します。
不動産の場合は、まず権利証の名義を確認しましょう。相続した不動産は、必ずしも被相続人の名義になっているわけではありません。
被相続人が生前に不動産を相続して所有していたにも関わらず、名義変更していなかった場合には、先代の名義のままになっていることもあります。
4.遺産分割協議
相続人の間で、相続財産をどのように分けるかを決めます。
相続資産に不動産がある場合は、「換価分割」といって不動産を売ることで現金に換えて分割することが可能です。
換価分割は相続人同士で平等に遺産を分割することができ、なおかつ売却金額を相続税の納税にも充てることができます。
不動産をどのように分割するか協議がまとまったら、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書は、次の工程である相続登記の際に必要な書類となります。
5.不動産の相続登記申請
続いて、相続した不動産の名義変更を行います。
具体的には、不動産の名義を被相続人から相続人に変更するよう法務局に申請します。これを相続登記と言います。
通常相続人の持ち分に応じて所有権の名義変更をしますが「換価分割」の場合、便宜的にひとりの相続人に名義を移すことが可能です。
遺産分割協議書の作成や相続登記申請は煩雑な作業なので、こちらも司法書士にお願いするのが負担減かつスムーズに行えます。
6.不動産の売却
ここまで来て、やっと不動産を売却することができます。
不動産を売却する上では、「建物があまりにも古いから解体した方がいいかな?」と思うこともあるかもしれません。
しかし解体には費用がかかるとともに、更地になると固定資産税が上がるため、解体の必要性やタイミングについては不動産会社に相談するのがおすすめです。
無事に不動産の買い手が見つかれば売買契約を締結し、不動産の名義を新たな買主に変更します。
ここからは、気になる税金の話を進めていくよ!
相続した不動産を売却したときにかかる税金

相続した不動産を売却する際に気になるのは、なんといっても税金ではないでしょうか?
不動産の売却で覚えておくべきなのは、以下の3つの税金です。相続した不動産を売却した場合のみならず、通常の不動産を売却した場合でもこの3つの税金が発生します。
・印紙税(売買契約書に貼付)
・登録免許税(相続登記・所有権移転登記時に必要)
相続した不動産の売却で注意すべきは譲渡所得税
相続時の不動産売却で、最も気を付けたいのが譲渡所得税です。譲渡所得とは不動産を売却して出た利益のことを言い、課税対象となります。
譲渡所得は、以下の計算式で計算します。
不動産の取得費用とは、土地や建物の購入代金、仲介手数料のほか設備費や改良費など、取得にかかった費用のことを言います。
購入時(贈与・相続等も含む)に納めた登録免許税や印紙税、土地の測量費や造成費用なども含まれます。
なお、建物の取得費は、購入代金又は建築代金などの合計額から減価償却費相当額を差し引いた金額となります。
売却時の費用となるものは、土地・建物を売るために支払った仲介手数料、印紙税、建物を解体した場合の解体費用などです。
譲渡所得に課される税金は以下の3つで、これらをまとめて譲渡所得税と呼んでいます。
・所得税
・住民税
・復興特別所得税
譲渡所得に対する税率は所有期間によって異なります。
所有期間 | 所得税 | 住民税 | |
長期譲渡所得 | 5年超 | 15% | 5% |
短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 9% |
※復興特別所得税は、上記所得税(15%又は30%)に対し2.1%を乗じた額となります。
相続した不動産の取得費が不明な場合
相続した不動産の取得費がわからない場合は、どうしたらよいのでしょうか?
例えば先祖代々の土地建物や、買い入れた時期が古い場合、取得代金を確認できるものが何もないということがあるでしょう。相続した不動産は、当時の売買契約書を紛失していることが少なくありません。
このように取得費がわからない場合には、取得費は売った額の5%相当額として計算します。
取得費が不明な場合の譲渡所得の計算例
取得費=3000万円×5%=150万円
譲渡所得=3000万円-150万円-200万円=2650万円
譲渡所得税の計算
所得税=2650万円×15%=約398万円
住民税=2650万円×5%=約1132万円
復興所得税=398万円×2.1%=約8万円
合計=約538万円
譲渡所得=3000万円-2000万円-200万円=800万円
譲渡所得税の計算
所得税=800万円×15%=120万円
住民税=800万円×5%=40万円
復興所得税=120万円×2.1%=約2.5円
合計=約162.5万円
試算の結果、購入時の金額がわかる場合は、取得費が不明な場合に比べて税額が3分の1以下になりました。
取得費が不明の場合は税金が高くなる可能性が
取得費が不明な場合、実際に取得した価格よりも大幅に低い金額が取得費として計算されてしまう可能性があります。
計算例からわかるように、取得費が低くなってしまうと譲渡所得の額が著しく大きくなってしまい、結果的に課税される税金の額も大きくなってしまいます。
そのため相続財産の中に不動産がある場合、売買契約書があるかどうかは必ず確認しましょう。
もし無い場合でも、金額がわかるものなら有効になる可能性もあります。領収書や明細書など手掛かりとなる書類を何としてでも見つけ出すのが節税の第一歩です。
相続不動産の売却で節税するポイント①取得費加算の特例

相続財産を売却した場合の節税ポイントとして、取得費加算の特例があります。
取得費とは先ほど説明したとおり、不動産を取得する際にかかった費用のことで譲渡所得から差し引くことができます。
取得費加算の特例とは、相続により取得した土地、建物、株式などを一定期間内に譲渡した場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができる特例です。
この特例を利用することにより、譲渡所得税の節税が可能となります。
取得費に加算できる相続税額について
支払った相続税は、全額取得費用に加算できるわけではありません。
譲渡資産の相続税評価額に該当する分の相続税額を計算し、取得費用として加算できます。
なお、平成27年1月1日以後の相続又は遺贈により取得した財産を譲渡した場合と、平成26年12月31日以前の相続又は遺贈により取得した財産を譲渡した場合の計算式は少し異なるので注意しましょう。(参考:国税庁)
取得費加算の特例を受けるための手続き
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例を受けるためには、確定申告が必要です。確定申告書には、以下の書類を添付します。
・相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書
・譲渡所得の内訳書もしくは株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書
相続不動産の売却で節税するポイント②相続空き家の3000万円特別控除

相続した不動産が空き家だった場合に利用できる特例もあります。
要件を満たせば、相続した空き家を売却することで、譲渡所得から3000万円の特別控除を受けることが可能になります。控除の額が大きいので是非とも知っておきたいところですね。
3000万円特別控除の特例の対象となる不動産とは
3000万円の特別控除を受けることができる不動産には、条件があります。対象となるのは、被相続人が相続開始直前まで居住していた家屋及びその敷地で、以下の要件に当てはまるものとなります。
- 昭和56年5月31日以前に建築されたこと
- 区分所有建物登記がされている建物でないこと
- 相続の開始の直前において被相続人以外に居住していた人がいないこと
空き家を解体して更地にすることを推進するための特例ですので、マンションは対象外となります。
特例を受けるための相続不動産売却の要件
3000万円特別控除の特例を受けるためには、売却時にも要件があります。
- 売主が相続又は遺贈によりその不動産を取得した相続人であること
- 相続の時から譲渡の時まで事業用、貸付用、居住用になっていないこと
- 譲渡の時において地震に対する安全性に係る規定に適合していること、または建物を取り壊して更地にすること
- 売却代金が1億円以下であること
- 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
(引用:国税庁)
特例の対象となる昭和56年5月31日以前の建物は、建築後に耐震対策をしていない限り耐震基準を満たしていない建物となります。
もし売却時に3000万円控除を受けたいのなら、耐震基準を満たすようなリフォームをするか、建物を解体する必要があります。
特例を受ける要件について注意すべきこと
買主が親子や夫婦など特別な関係にある人の場合、この特例は使えません。
また既に他の不動産の売却でこの特例を受けている場合には、追加でこの特例を受けることができなくなってしまいます。
そして相続不動産の売却で節税するポイント①でお伝えした取得費加算の特例と相続空き家の3000万円特別控除は、併用できません。
両方の特例の要件に当てはまる場合は、どちらがより節税になるかをしっかり計算してから判断するようにしましょう。
相続空き家の3000万円控除を受けるためにもまた、確定申告が必要となります。
添付書類として、特例を受ける要件を満たしているかを確認するための書類が必要になります。
相続した不動産、及び空き家を売却する場合、すぐに買い手が見つからない場合もあります。特に交通の便が悪いエリアなどは敬遠されがちなので、できるだけ早いうちから売りに出さないと期限が過ぎて特例を受けられなかったということにもなりかねません。
いずれの控除にしても、節税したい!特例を受けたい!という場合には、早めの行動がベストです。
まとめ
以上、相続した不動産売却の流れと節税のポイントについて解説しました。
不動産の売却にはお金がかかります。相続した不動産となると、相続税や分割のことも考えなくてはなりません。
少しでも売却にかかる費用を抑えるためには、ぜひ弊社イエツグをご利用ください。
イエツグは、仲介手数料が一律182,900円(税抜)。不動産売却にかかる諸費用の大部分を占める仲介手数料を、安く抑えることができます。
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