不動産の「引渡し」とは?売買契約締結後の流れを解説!

多くの商取引においては、売買契約が結ばれた直後に代金と商品がやりとりされます。しかし不動産売買の手続きはやや特殊で、不動産の引渡しが終わるまでに多くの手続きがあるため数週間~数ヶ月の時間がかかることが一般的です。

不動産売買における「引渡し」とは具体的にどんな手続きで、どんな用意が必要なのでしょうか。本記事では、不動産売買の引渡しについてプロの目線から徹底解説いたします。

この記事でわかること
  • 不動産売買契約から引渡しまでの手順
  • 不動産の引渡し前にしておく準備
  • 不動産引渡しで注意したい「引渡し前の滅失・毀損」「引渡し猶予」
イエツグくん
不動産は売買契約を締結してから引き渡すまでに、ちょっと時間が必要なんだ。
少しでもスムーズに不動産を引き渡すための秘訣を教えるよ!
執筆者 丹拓也
執筆者 丹拓也株式会社イエツグ代表取締役
不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士

不動産の「引渡し」は契約後に物件の所有権を引き渡すこと

不動産の売買契約は、他の商取引と同様に売主と買主が条件に同意して結ばれますが、契約締結直後に不動産が買主に渡されるとは限りません。

不動産取引では非常に大きな金額が動くのと同時に、土地や建物に関係する多くの権利の移転や義務が伴います。売買契約が結ばれた後には、それらの権利や義務、そして財産を移転するためのいくつかの手続きをしなければなりません。

決済・引渡し日は契約日とは別日が基本

不動産売買における多くの場合、契約を締結する日と、代金の決済および物件の引渡し日は別の日に設けられます。

不動産売買の多くは大きな金額で取引されるため、買主は金融機関から住宅ローン契約により融資を受け、購入代金を支払います。

この住宅ローンの本審査および契約は、不動産の売買契約を締結した後に行われます。住宅ローンの金額は購入する不動産の金額が基準となるため、不動産の金額が確定後でないと契約を結べません。

売買契約が成立した不動産の引渡しは、原則として決済日当日に行われます。ただし、売買契約時に売主・買主の同意があれば、決済日と引渡し日を別の日程に定める場合もあります。

契約当日に引き渡す「同時決済」

なお特定の条件を満たした上で、不動産売買契約を結んだ当日に物件の引渡しを行うケースがあります。この手続きは「同日決済」とよばれ、売買契約から引渡しまでの時間差を無くし、早期に手続きを終わらせられる点が大きなメリットです。

一般的な不動産売買において契約日と決済日が別日となるのは、買主の住宅ローン契約締結に時間がかかるためです。同時決済は、買主が即金で購入代金を支払えるような特殊なケースで行われます。

イエツグくん
大きなお金が動き、多くの権利や義務も生まれる不動産売買。
スムーズに取引するためにはどんな準備が必要なんだろう?

不動産引渡し前の準備

不動産という商品の特性上、売主は物件を売却する前にさまざまな準備が必要です。

不動産には法的に多くの権利・義務をともなっているため、それらを整理して買主へ引き渡さなければなりません。

所有権移転の準備

不動産は「登記」という形で、誰が所有権をもつ財産なのか記録しています。不動産を売却するには、買主に所有権を移すための登記が必要であり、その手続きには「登記済権利証」や「固定資産評価証明書」など、いくつもの書類を用意しなければなりません。

多くの場合、登記申請手続きは司法書士に委任して行われます。売主は登記申請に必要な書類を前もって司法書士に確認し、書類に不備がないか、紛失したものがないかなどを確認しておきましょう。

抵当権抹消の準備

住宅ローンの利用には抵当権の設定が必須です。抵当権が残ったままでは不動産を売却できませんので、買主へ引渡す際には必ず抵当権を抹消しなければなりません。

抵当権はローンを返済できなかった際の弁済権として設定されているため、住宅ローンを完済してはじめて抹消できます。売却時点でローンの残債がある場合には、買主から受け取った売却代金で残債を返済し、抵当権を抹消した上で物件を引き渡します。

抵当権の抹消手続きは、不動産代金の決済日当日に行われます。いつどのようなスケジュールで不動産の決済が行われ、抵当権の抹消手続きへ進むのか、不動産会社や金融機関との調整が必要です。

現地の確認

売買契約が結ばれる前には、売主・買主・仲介の不動産会社が立ち会い、直接、現地の確認をします。

引き継ぐ契約の設備や備品の状態、修繕の有無や状態を確認し、契約書と異なっていないかを確認するためです。

境界の確認

土地や建て売り物件の売買では、土地の境界の確認が必要です。どこまでが売買される土地なのか、売主・買主・隣地所有者が立ち会いの上で確認を行います。

隣地所有者との間で境界が決まらない場合には、買主から境界確定を求められ、土地家屋調査士による測量が必要となる場合もあります。境界確定には、調査、測量、隣地所有者との交渉に数ヶ月の期間を要することがあるため、売買前の確認が望ましいでしょう。

その他の準備

物件を引き渡す前に、売主の荷物はすべて運び出しておきましょう。原則的には、残存物ゼロ・空室での引渡しですが、買主との協議の上、空調設備やカーテンなどを残す取り決めをすることもあります。

また、物件にかかる固定資産税や都市計画税の清算についても確認しておきましょう。これらの税は、物件の所有期間に応じて売主と買主で按分します。

按分比率は、引渡し日を基準にした日割り計算とするのが一般的です。多くの場合、引渡し当日までは売主、引渡しの翌日からは買主の負担として按分されますが、売主・買主協議の上で異なる比率とされる場合もあります。

イエツグくん
ここまでやれば事前の準備はバッチリ。
引渡し当日は自信持っていこう!

不動産引渡しまでの流れ

無事に売買契約を結んだ後は、いよいよ物件の引渡しです。

買主が住宅ローンを利用する場合、引渡しの手続きは住宅ローンを融資する金融機関で行うのが一般的です。

残債金の決済

買主の住宅ローンの契約が無事に済めば、買主は融資金から売主の口座へ残代金を支払います。

売却物件に住宅ローンが残っている場合は、振り込まれた口座から住宅ローンの残債を返済。返済を受けた金融機関は、抵当権抹消書類を交付します。

抵当権抹消書類はその名の通り、抵当権の抹消を証明する書類です。売主と買主が住宅ローンを組んだ金融機関が異なる場合、司法書士が売主側の金融機関に出向き、抵当権抹消書類を受け取ります。

所有権移転の登記

残代金の支払いを受けた売主は、所有権移転登記に必要な書類一式を司法書士に引渡します。

書類を受け取った司法書士は登記所で、同時に所有権移転登記抵当権抹消を手続きします。

税金の清算

固定資産税および都市計画税は、毎年1月1日の時点で所有している不動産に対し、4月からの1年分として課税されます。

買主は、事前に定めた割合の税額を売主に支払います。

書類・鍵の引渡し

書類上の手続き、清算が終わり次第、物件の実測図や建築関連書類、引き渡す設備や備品の保証書や説明書などの書類、物件の鍵を売主から買主へ引き渡します。

なお、引渡しの証明として売主・買主両者が署名・押印した「引渡確認書」を発行する場合があります。

不動産会社への手数料支払

引渡し完了後、最後に不動産会社との媒介契約に基づいた仲介手数料を支払います。不動産売買における仲介手数料は、宅地建物取引業法で以下の上限が定められています。

売買価格 報酬額の上限
200万円以下の部分 取引額の5%
200万円超400万円以下の部分 取引額の4%
400万円超の部分 取引額の3%

※すべて税抜き

なお、400万円以上の物件を扱った際の仲介手数料は、以下の計算式で求められます。

仲介手数料の速算式

売買価格×3%+6万円

不動産売買における仲介手数料の計算方法をわかりやすく紹介!

イエツグくん
不動産の引き渡しは専門家の力を借りれば楽ちんだけど、案外イレギュラーな事情も多いんだ。
万が一のケースにも対応できるように、契約はしっかり見直そう!

不動産引渡しの注意点!「引渡し前の滅失・毀損」「引渡し猶予」とは?

不動産の引渡し手続きは、司法書士や不動産会社が間に入ることもあり、ほとんどのケースではスムーズに進行します。

ただし取引する売主・買主それぞれの事情や思わぬトラブルにより、予定通りに引渡しが進まないケースもあります。

引渡し前の滅失・毀損

引渡しが完了する前の不動産が天災や事故などの思わぬトラブルにあい、不動産が価値を失ってしまうことがあります。この損害は程度により「滅失」「毀損」と呼ばれ、売買契約に大きな影響を及ぼします。

滅失とは対象の不動産そのものが無くなってしまう、または使い物にならなくなってしまう状態。毀損は一部分が壊れ、修理・修繕が必要である状態を指します。

売買契約書の多くには、売主・買主どちらの責任とも言えない事情で滅失・毀損が発生した場合の対応が盛り込まれます。滅失が発生した場合には、契約の解除および買主への代金返還とされるのが一般的です。一方で毀損の場合は契約解除までは定めず、多くの場合には売主が修復した上で買主へ引き渡すように定められます。

引渡し猶予

残代金決済が済んだ物件の引渡しについて、決済後の特定の日を指定する特約が組まれる場合があります。

売主の住み替えなどで転居までに期間を要するケースで主に使われ、多くの場合では数日から1週間程度の短期間が猶予されます。

決済・引渡し日がズレることもある

引渡し日は契約書で定められますが、売主・買主のスケジュール次第では、前後にズレ込むことも起こりえます。

買主のローン審査が早めに通過した場合などには、引渡し日の前倒しが検討されます。一方、売主の住み替え先が見つからないなど、やむを得ず延期される場合もあります。

引渡し日を変更せざるを得ない事情が生まれたとしても、原則として契約書に記載された引渡し日までの引き渡しが優先されます。しかし、売主、買主、双方合意の上で、書面により新たな引渡し日を定める手続きを行えば、引渡し日を変更することが可能です。

まとめ:不動産売買の引渡しに関するご不安もご相談ください

不動産売買には、他の商取引とは異なるルールが多く存在しています。はじめて取引に臨まれる方はとくに、法律や税金に関する取り決めなど専門家の手を借りなければ理解しきれないことも多いでしょう。

弊社イエツグでは仲介手数料の定額制を導入し、購入も売却も一律18万2,900円(税別)にて仲介させていただいております。不動産売買がシンプルにわかりやすくなるよう、小さなことからでもお手伝いさせていただきます。

不動産売買の難関である引渡しも、ご不安がないようにしっかりサポート。不動産売買でお困りの点がございましたら、ぜひ弊社イエツグまでご相談ください。

イエツグは、住宅とともに想いを”人から人に継ぐ”という願いから付けた社名です。仲介手数料を格安・定額にすることで、節約できた費用を住宅の質を向上させるために使っていただきたいと考えております。住まいを”継ぐ”には、耐震性や価値を向上することが不可欠だと思うからです。
イエツグ代表の私、丹は、元消防士。東日本大震災で多くの家屋が倒壊し、大切なものを失った方々を目の当たりにしたことにより、既存住宅の価値を上げ、良質な住宅を流通させることがこの国の急務なのではないかと考えるようになりました。小さな会社ではありますが、社員一同、同じ志を持って対応させていただいております。ぜひ一度ご相談ください。



編集長・監修者 亀梨奈美
監修者 亀梨奈美大手不動産会社退社後、不動産ライターとして独立。
機関紙から情報サイトまで不動産ジャンルのあらゆる文章を執筆・監修。