コロナショックによって日本、そして世界の経済は大打撃を受けており、今後一定期間は、収入が減ってしまう方や失業してしまう方は増加するものと見られます。
昨今のコロナショックに伴い、「住宅ローンの返済が厳しい…」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?住宅ローン返済は生活費の中でも高額な支払い額になるので、現在は返済できていても、「将来的に返済難になるのでは?」と心配している方も多いことでしょう。
そこで今回は、コロナショックによって住宅ローン返済が厳しくなっている方…もしくは厳しくなりそうな方に向けて「任意売却」について解説します。任意売却とは、住宅ローンを滞納させてしまうことで手続きが始まる「競売」を避けるための”救世主”ともいえる不動産売却方法です。
- 住宅ローンの返済ができなくなるとどうなるの?
- 任意売却とは?
- 任意売却のメリットと注意点

不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
目次
住宅ローンの返済ができなくなるとどうなる?

まずは、住宅ローンを滞納させてしまったらどうなるかについて解説していきます。
結論からいえば、住宅ローンを滞納させてしまったら“競売”は避けられません。とはいえ、すぐに競売に向けた手続きが開始するのではなく、次のように順を追って返済を催促されるのが流れです。
金融機関から催促される
まず、住宅ローンの支払いに遅れると金融機関から連絡が入ります。そして、連絡後に2~3か月支払いをしないと、督促状や催告書のような書類が届くという流れです。
督促状や催告書には、支払期限が記載されています。その期限までに支払わないと、最終的に住宅ローンの一括返済を求められることになります。これは、「期限の利益が喪失」した状態。要は、“住宅ローンという高額な借り入れを、一括ではなく35年などの長い期限をもって返済していく”という“利益”が喪失してしまうことで、一括返済が求められるのです。
債権者が保証会社に代わる
住宅ローンを滞納させてしまった債務者の多くは、一括返済はできません。月々の返済が苦しいゆえの滞納ですから、一括返済できるだけの財力はないと考えられるからです。
債務者が一括返済できないとなると、保証会社が自分に代わって金融機関に一括返済します。これを、「代位弁済」といいます。その後、債権者は、銀行や信用金庫などの金融機関から保証会社に代わります。
競売にかけられる
代位弁済をもって、ここから保証会社は競売手続きに入ります。
競売は裁判所が主導して行うため、競売の準備ができたら裁判所から「競売開始決定通知」が届きます。この通知は強制なので、拒否はできません。一方的な通知です。
競売にかけられた後は、強制的に内部の調査が行われ、住む場所を追われ、残債の一括返済を要求される…という流れとなります。この間、約半年。落札価格は、相場価格の半値ほどになってしまうこともあり、多くのケースで競売後にも多大な債務が残ってしまいます。残債務については基本的に一括返済を求められますが、ここでもやはり一括返済できる債務者は少なく、結果としてそのまま自己破産にいたってしまうケースも少なくありません。
任意売却とは住宅ローンを完済できないときの不動産売却方法

では、本記事の本題「任意売却」について解説してまいります。
任意売却の概要
任意売却とは、「住宅ローンを滞納させてしまった」、あるいは「住宅ローンを完済できない」という不動産を売却する方法です。
そもそも、不動産を売却するときは住宅ローンを完済して抵当権という担保権を抹消する必要があります。しかし、不動産の売却金額が住宅ローン残債に及ばない「オーバーローン」の状態では、不足分を手持ち資金などから充当しなければ住宅ローンを完済できません。
基本的に住宅ローンを完済しなければ売れない不動産ですが、任意売却なら売却可能です。しかし、任意売却には、住宅ローンを借り入れている金融機関の承諾が必要となります。
任意売却の流れ
任意売却の流れは以下の通りです。
- 住宅ローンを滞納
- 不動産会社へ相談
- 物件の査定
- 媒介契約の締結
- 金融機関との交渉
- 売却活動
- 申込み&契約&引渡し
通常の不動産売却と異なるのは、先述の通り金融機関との交渉が必要な点です。ただ、金融機関との交渉は債務者には難しく、一般的には任意売却を取り扱ってくれる不動産会社に交渉を依頼します。つまり、任意売却するときは「売却活動」だけでなく「金融機関との交渉」も行ってくれる不動産会社を選ぶ必要があるということです。
そして、任意売却が可能な時期についても知っておきましょう。
任意売却が可能なのは、代位弁済から競売の開札までです。この間、約半年。任意売却は時間勝負でもあるので、住宅ローンの返済が厳しくなってきそうだ…という段階から、早めに不動産会社に相談することを強くおすすめします。
競売と任意売却の違い
住宅ローンを3月ほど滞納してしまい、なにも行動を起こさないでいると、金融機関は強制的に不動産を競売にかけ、最終的に強制退去を迫られます。
さらに、競売には以下のように大きなデメリットがあります。
- 相場より大幅に安い金額で売られる
- 競売物件として住所が公開される
- 基本的に競売後に残った債務は一括返済が求められる
- 相場価格に近い金額での売却が見込める
- プライバシーが確保される
- 任意売却後の残債務は無理のない返済計画が立てられる
任意売却の注意点

任意売却は、住宅ローンを完済しなくても不動産を売却できます。そしてなにより、競売を避けられる点が大きなメリットだといえるでしょう。
ただし、任意売却は以下の注意点があることは認識しておきましょう。
借金が残る
任意売却は、そもそも売却金額では住宅ローンを完済できない見込みの不動産の売却です。そのため、任意売却後には多くのケースで債務が残ります。
ただ、債務が残る点においては競売も同じ。さらに競売の方が売値(落札価格)が安いことが一般的ですので、競売後に残る債務は大きいと予想されます。さらに残債務の一括返済を求められる競売と異なり、無理のない返済計画が組める任意売却のメリットは大きいといえるでしょう。
競売のリスクはある
任意売却の手続きに入ったからといって、競売になるリスクがゼロになるわけではありません。というのも、任意売却中にも競売手続きは止まらないため、買主様が見つからずに売却が長引けば競売が開札してしまうからです。
そのため、任意売却は債権者である金融機関と密にリレーションを取った上で、期間を意識しながら売却しなければいけません。実際に不動産の売却活動をする不動産会社には、この辺りのコントロールも求められるわけです。
信用情報に履歴が残る
信用情報とは、ローンの滞納歴や自己破産歴のことです。これらの履歴は、CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センターなどの保証機関に記録として残ります。そして、ローンを組むときやクレジットカードをつくるときは、金融機関やクレジットカード会社は信用情報の履歴を調べます。
任意売却は住宅ローンの滞納が伴いますので、信用情報に「事故」という2文字が記載されます。これはいわゆる、「ブラックリスト」入りしてしまうということです。任意売却後5~7年の間は、新たな借入やクレジットカード作成時に非常に不利な立場になってしまうでしょう。
上記、任意売却の注意点をリスクと考える場合には、住宅ローンの滞納をなんとしてでも避けなくてはなりません。
コロナショックなどによる一時的な返済難は、各金融機関が救済策を講じてくれることもあります。住宅ローンの返済猶予やリスケジュールについては、以下の記事をご参照ください。
まとめ:任意売却成功の秘訣は不動産会社選びにあり
昨今は、コロナショックの影響で住宅ローンの返済に不安を抱えている方が増えています。住宅金融支援機構によれば、4月の住宅ローン返済に関する相談は3月の6倍。住宅ローンの返済が厳しいが取るべき道は、任意売却だけではありません。まずは、金融機関に返済負担を軽減してもらえるかどうか確認を取りましょう。
「それでも状況が好転しない」「すでに住宅ローンを滞納させてしまった」という方は、できるだけ早くイエツグまでご相談ください。弊社は不動産仲介のプロであることはもちろん、お金のプロフェッショナルであるFPが在籍していますので、あなたにとって最善の救済方法をご提案させていただけます。任意売却も対応可能です。任意売却はどんな不動産会社でも請け負ってくれるものではありませんので、あらゆる選択肢をご提案できるイエツグにどうぞお任せください。
