住宅ローンの一種であるフラット35は、団体信用生命保険への加入が必須ではありません。そのため、あえて団信に加入せずに民間の生命保険に加入している方もいらっしゃいます。
ただし団信よりも生命保険の方が、必ずお得であるとは限りません。ご自身の状況に応じて、適切に判断する必要があります。
この記事では、団信ではなく生命保険に加入するメリットや、注意点について解説します。
- フラット35で団信ではなく生命保険に加入するメリット
- 団信よりも生命保険に加入した方が得するケース
- 団信の代わりに生命保険に加入する場合の注意点
【動画目次】
00:00 はじめに
01:47 ①フラット35で団信ではなく生命保険に加入するメリット
03:41 ②団信の代わりとなる生命保険の種類
07:06 ③団信の代わりに生命保険に加入する場合の注意点
09:38 まとめ

不動産業界の活性化・透明化を目指し、2018年仲介手数料定額制の不動産会社「イエツグ」を設立。お客様の「心底信頼し合えるパートナー」になることを目標に、良質なサービスと情報を提供している。
保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・賃貸不動産経営管理士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士
目次
フラット35は団体信用生命保険に入らずに借り入れられる

フラット35とは、住宅金融支援機構と民間の金融機関が共同で提供する、全期間固定金利型の住宅ローンです。平成29年10月1日以降にフラット35を申し込んだ場合、新機構団体信用生命保険(以下、新機構団信)が自動付帯されます。
団体信用生命保険とは、借り入れた人が死亡や高度障害となった場合に、残債が0円となる保険
銀行のような金融機関から住宅ローンを借り入れる場合、団体信用生命保険への加入が借入条件となっています。その代わり、団信の保険料は金融機関が負担してくれるため、借り入れた人が支払う必要はありません。
一方でフラット35は、新機構団信の保険料としてローンの金利に0.2%が上乗せされています。そのため金利から0.2%を差し引いて、新機構団信に加入せずにフラット35を借り入れられます。
団信ではなく生命保険に加入するメリット

フラット35で団信に加入せず、生命保険に加入すると、以下のようなメリットを得られる場合があります。
- 健康優良体割引が適用されると保険料負担を抑えられる
- 生命保険料控除によって節税ができる
- クレジットカードのポイントが貯まる
1.健康優良体割引が適用されると保険料負担を抑えられる
健康優良体割引とは、以下のような保険会社が定める条件を満たす場合に、生命保険の保険料が割り引かれる制度です。
- 血圧値の最高値と最低値が一定の範囲内
- BMI値が一定の範囲内
※BMIとはボディ・マス・インデックスのことで体重kg ÷ (身長m)2
- 過去1年間喫煙していないこと
健康優良体割引が適用されると、生命保険の保険料の方が新機構団信の保険料よりも安く抑えられる場合や、同等の保険料負担で保障を手厚くできる場合があるのです。
2.生命保険料控除によって節税ができる
生命保険料控除とは、年間で支払った保険料に応じた一定額が、所得税や住民税の計算対象となる所得(課税所得)から控除される制度です。
所得税や住民税は、課税所得に所定の税率をかけて算出されるため、生命保険控除を受けて課税所得が減額されると、税負担を軽減できます。
生命保険で保険料を支払った場合は、所得税と住民税それぞれの計算時に課税所得から、最大で以下の金額が控除されます。
- 所得税:4万円(年間払込保険料8万円以上)
- 住民税:2.8万円(年間払込保険料5.6万円以上)
3.クレジットカードのポイントが貯まる
保険料をクレジットカード決済できる保険会社で生命保険に加入すると、支払った保険料の金額に応じたポイントを獲得できます。
たとえば、還元率が1%のクレジットカードで、毎月3,000円の保険料を支払うと、30ポイントの獲得が可能です。
貯まったポイントは、商品や商品券と交換できるたけでなく、クレジットカードの支払いに充てることも可能です。近年は、貯まったポイントで投資信託を購入して、資産運用ができるケースも増えてきました。
団信の保険料は、住宅ローンの金利に含まれているため、生命保険のようにクレジットカードで決済できません。団信ではなく生命保険に加入することで、お金と同等の価値があるポイントを獲得できます。
団信の代わりになる保険は「逓減定期保険」と「収入保障保険」

団信の代わりに生命保険へ加入する場合、逓減定期保険(ていげんていきほけん)もしくは収入保障保険のどちらかを選択しましょう。
内容・特徴 | |
逓減定期保険 | ・保険金額が毎年一定の割合で減少する生命保険 |
収入保障保険 | ・保険期間内に死亡すると、保険期間の満了まで毎月一定額の年金が支払われる生命保険 ・保険金を一括で受け取ることも可能 |
逓減定期保険と収入保障保険は、どちらも加入している期間が経過すると死亡保険金の総受取額が減っていきます。その代わり保険料は、保険期間中の死亡保障額が一定である定期保険よりも割安です。
団信で保障される住宅ローンの残債は、時間の経過とともに返済が進むことで減っていきます。団信の代わりに生命保険に加入する場合は、時間の経過とともに保険金額が減少する逓減定期保険や収入保障保険を選ぶ方が合理的なのです。
団信と収入保障保険のどちらがお得かシミュレーション

では、団信と生命保険のどちらに加入した方が得なのか、シミュレーションで確認してみましょう。フラット35の借り入れ条件は、以下の通りです。
- 借り入れる人の年齢と性別:30歳・男性
- 借入額:3,400万円
- 返済期間:35年(元利均等方式)
- 借入金利:1.3%
※金利は2020年10月現在の数値です
団信の代わりに、月額給付金10万円、保険期間65歳まで(35年間)の健康優良体割引が適用された収入保障保険に加入すると、30歳男性の保険料相場は2,000〜2,500円です。
よって、新機構団信に加入するよりも、健康優良体割引が適用される収入保障保険に加入した方が、金銭的な負担を毎月700〜1,200円ほど緩和できます。
毎月で考えると少しの差に感じるかもしれませんが、返済期間が35年ともなると、約29万〜約50万円も変わるのです。
加えて、生命保険料控除による税負担の軽減や、クレジットカードのポイント獲得などによって、さらに金銭的なメリットを得られる可能性があります。
団信の代わりに生命保険へ加入する際の注意点

団信の代わりに生命保険への加入を検討する場合は、ここでご紹介する3つのポイントに注意が必要です。
1.生命保険のほうが団信よりもお得とは限らない
生命保険の保険料は、加入時の年齢が高いほど高額になります。また、ご自身の健康状態によっては、保険料の割引条件に当てはまらないかもしれません。
そのため、生命保険ではなく新機構団信に加入した方が、保険料負担を抑えられる場合もあります。
加えて、すでに他の死亡保険や積立保険に加入しており、生命保険料控除が上限に達している場合は、新たに生命保険へ加入しても節税効果を得られません。
団信と生命保険のどちらにするのかは、返済シミュレーションや保険料の試算などを確認したうえで慎重な判断が必要です。
2.保険金額と保険期間を適切に設定する
団信の代わりに生命保険に加入する場合、残された家族に負担が残らないように、保険金額や保険期間を適切に設定する必要があります。
保険金額は住宅ローンの残債よりも高く設定しましょう。保険金額が残債を下回ると、万一の場合に残された家族が差額を支払わなければなりません。
また生命保険の保険期間は、住宅ローンの返済期間以上の年数に設定しなければ、返済途中で保障が途絶えてしまいます。
3.保険金を受け取ったあとの手続きを確認する
生命保険の保険金を受け取って住宅ローンを完済する場合、以下の流れで手続きをしなければなりません。
- 保険会社に保険金を請求
- 不動産の所有権移転登記
- 住宅ローンを借り入れた金融機関で名義変更
金融機関での名義変更の際には、遺産分割協議書を添付した相続届けの提出が必要です。よって遺産分割で揉める恐れがある場合、手続きがスムーズに進まないかもしれません。
団信の代わりに生命保険に加入する際は、金銭的なメリットだけでなく、手続きにどれだけの手間がかかるのかも踏まえた検討が必要です。
まとめ:団信と生命保険のどちらにするかは慎重に判断する
フラット35の新機構団信に加入しない場合、借入金利が0.2%引き下げられます。そのためあえて団信に加入せず、生命保険に加入した方がお得な場合があるのです。
しかし団信と生命保険のどちらがご自身に合っているのかは、さまざまなシミュレーションを比較して検討する必要があります。専門的な知識が無い方にとっては、判断が難しいかもしれません。
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大手保険会社で培った知識と経験から、保険、不動産、税金、住宅ローンなど幅広いジャンルの記事を執筆・監修。