不動産の内見に行く時、売主さんに何回会う必要があるのだろうか
不動産の内見をする当日に売主さんに聞くことって何があるんだろう。
こういった疑問や要望をお持ちのあなたにお伝えします。
この記事では、
- コロナ禍での対面事情について
- 売主と顔合わせするパターンとシチュエーション
- 不動産の内見当日に売主さんに聞くこと
この記事を読むと、コロナ禍での対面事情で変わったことや売主さんと顔合わせをするパターン、不動産の内見当日に売主さんに聞いておくべきことが分かります。
結論から言うと、今後対面での取引は少なくなっていきます。
しかし、まだまだ非対面取引での障壁はあるので、直接売主さんにお会いすることがあります。
当日売主さんに聞くことに難しいことは何もなく、しっかり順序良くこなしていけば、失敗することはありません。
不動産は非常に大きな買い物の一つです。
万全の準備をして、不動産の内見に臨みましょう。
目次
コロナ禍での対面事情について
コロナ禍ではアルコール消毒を始め、マスクの着用や人数制限などが当たり前になりました。
建築業界でも非対面での注文住宅の打ち合わせや商談、契約までが可能となってきました。
建築業界について、詳しくはこちらの動画で紹介しております。
未だに連絡手段にFAXを利用するなど、ITに疎い不動産業界もコロナの影響を受けて、徐々にIT化が進んでいます。
それを表すのが2021年2月に行われた宅建業法の解釈・運用の考え方の改正です。
その中で、IT重説について一歩踏み込まれたことが決まりました。
IT重説とは
そもそもIT重説とは、「IT(innformation technology)」と「重説(重要事項説明)」を結びつけた造語です。
不動産の取引について、宅建士が対面で行うべき重要事項説明をテレビ会議などのオンラインで行うことです。
コロナ禍で売買でのIT重説が本格運用された
そもそも、2017年10月から賃貸契約ではIT重説の本格的な運用が始まっておりました。
そして、売買に関しては2021年3月30日から本格的にIT重説を運用することになりました。
(参照:国土交通省)
もっとも、IT重説と行なっても、最終的に書類には押印が必要で、物件の資料も郵送で送る必要があるといった準IT重説のようなものであり、普及には障壁がありました。。
しかし、2021年5月のデジタル改革関連法によって、2022年5月までに宅建業法を改正・施行して、宅建士の押印が必要なくなり、物件の資料もPDFなどのデータで送ることが認められました。
遅くとも2022年5月までには電子書面の交付を含めた完全なIT重説が可能になり、一気にIT重説が加速するのではないかと考えられています。
IT重説をするには買主側・売主側双方の不動産仲介業者の合意が必要
IT重説はこれから増えていくとは思われますが、一つ問題なのが、買主側と売主側双方の不動産仲介業者のIT重説をするかどうか合意が必要であるということです。
買主側でIT重説の取扱が可能だとしても、売主側が拒否すれば、結局IT重説はできません。
そのため、法整備が進んでいったとしても、実際にIT重説をするのは難しいかもしれません。
IT重説については、こちらでも詳しくまとめています。
次にお伝えするのがIT重説が進まなかった場合、コロナ禍でも売主さんと対面で何回会う必要が生じていくのか、売主さんと会うメリットなどをご説明していきます。
まずは、売主さんと顔合わせするパターンについてご説明します。
売主さんと顔あわせするパターン
- 新築か中古か
- 空き家か居住中か
- 売主さんが業者か個人か
例えば、新築で空き家で個人であれば、1つのパターンとなりますので、合計で8パターンが想定されます。
しかし、次に示す4パターンについては売主さんと顔を合わせる必要がありません。
- 新築・空き家・業者
- 中古戸建て・空き家・業者
- 中古戸建て・居住中・個人
- 中古戸建て・空き家・個人
新築・空き家・業者
業者が保有している新築やリフォームした物件は仲介業者がご案内をするので、売主さんである業者と顔合わせをすることはありません。
ただし、オープンハウスなどで業者が直接販売をしている場合は顔合わせをする場合があります。
中古戸建て・空き家・業者
先ほどの新築・空き家・業者と同様に売主さんが業者なので、基本的に売主さんと顔を合わせる機会はありません。
中古戸建て・居住中・個人
中古戸建て・居住中・個人の場合が一番多いパターンです。
内見時には売主さんと顔を合わせる機会がありますが、新築時などに行う内覧会がないので、顔合わせをする機会が一つ減ります。
例外として、買主さんが気を使ってしまうことを避けるために、内見時には売主さんが鍵の受け渡しだけをして外で待機する場合があります。
この場合ですと、内見時でも売主さんと顔合わせをすることは基本的にありません。
ちなみに内覧会とは新築を購入した際に、引き渡し前の1週間前を目安に内見時になかった傷や汚れ、不具合が契約後にないかどうかをチェックすることです。
この内覧会で傷や汚れ、不具合が見つかれば、修繕してから引き渡しを行うことになります。
もっとも、中古物件の場合は現状渡しというもので、今ある現状のまま引き渡しますという契約になりますので内覧会というものはありません。
中古戸建て・空き家・個人
空き家であるので、売主さんと顔を合わせる機会はありません。
中古戸建て・業者の場合の例外
中古戸建ては基本的に現状渡しであるので、契約後の内覧会はありません。
しかし、売主さんが業者である場合、内覧会を行うことがあります。
内覧会をする目的は以下の通りです。
- 売主が置いていった残置物の確認
- 家具・家電を置いていくと契約時に話していた場合、そのことの確認
- リフォーム設備の説明
契約時に家具や家電、カーテンなどをリビングに置いていくという話をしていたのに、引き渡しの時に家具などがリビングに置かれていないと契約とは違うということになります。
そのため、契約時の確認という意味で中古物件でも内覧会を行う場合があります。
また、中古戸建て・空き家・業者の場合、内見の際は顔を合わせることはないのですが、内覧会の時に顔を合わせることがあります。
なぜなら、中古戸建て・空き家・業者の場合はリフォームをしている物件が多いため、リフォームした設備、使用方法、お手入れ方法などを説明する必要があるからです。
内見時に売主さんに聞くべきこと
顔合わせをするシチュエーション
売主さんと顔を合わせるタイミングは、物件の引き渡しまでにだいたい3~4回です。
- 物件を見学する内見時
- 売買契約時
- 業者による内覧会時
- 物件の決済時(引き渡し)
1回目に売主さんにお会いするのは物件を見学する内見時です。
2回目が売買契約を締結するときに再度売主さんとお会いすることになります。
3回目は内覧会時に売主さんとお会いします。
前述したように、中古物件・個人の場合は現状渡しのため内覧会を行うことはありませんが、中古物件・業者の場合、内覧会を行う場合があり、これが3回目となります。
最後の4回目は物件の決済時、あるいは物件の引渡し時になります。
銀行や不動産会社に集まり、お金の引渡しをして鍵を受け取ることによって、物件の引渡しが完了します。
売主さんしか知らない情報を重視しよう
それでは、それぞれのタイミングで聞いておくべきことを説明します。
ここで重要なのが、売買契約書や重要事項説明書など不動産業者からもらう書類に書いてあること以外のことを聞くようにしましょう。
なぜなら書類に書いてあることは、見れば分かるからです。
売主さんからしか得られない情報が大切であったりします。
物件を見学する内見時
菓子折りの有無
余談にはありますが、物件を見学する前によくいただくご質問を紹介しておきます。
「内見時に菓子折りを持っていく必要があるのか」というご質問です。
物件を内見する際は、菓子折りなどは必要ありません。
不動産業界自体にも菓子折りを持っていく習慣はありませんので、気になさらないで結構です。
ただし、内見の予約をしていたのにもかかわらず、直前に予定を変更したなどで売主さんに迷惑を掛けたと言うことであれば、菓子折りを持参するのがベターです。
近くのスーパーの情報
皆さんの生活に欠かせない買い物ですが、近所のスーパーに何度も行くかと思います。
そのため、家から徒歩何分の場所にスーパーがあるか、最寄りのコンビニはどこにあるかなどの位置関係を気にする方は多いです。
しかし、そのスーパーにどういったものが売っていて、どういった商品が一押しで、どれくらいの安さなのかまでを気にしている方は意外と少ないです。
自分が生まれ育った土地勘がある場所での住宅購入であれば別ですが、そうでなければ地方など行くと〇〇スーパーという名前は聞いたことがないや自分が思っていたよりも高いなということはよくあることです。
私も横浜から東京へ引っ越してきましたが、駅近のスーパーの値段が2割から3割くらい高い印象を受けました。
実際に2割から3割値段が違うと生活に直接影響が出てきます。
住宅ローンの支払いについて気にされる方は非常に多いですが、日頃買い物をする値段まで機にされる方が少ないのでご紹介いたしました。
「家の近くにスーパーはあるけれど、欲しい商品がない」や「他のスーパーと比べて値段が高すぎる...」などといった事態に陥らないように魚ならあそこのお店、野菜ならあのお店、パンならあのお店などの買い物についての情報を隅から隅まで聞いておきましょう。
さらに言うと、時間があれば自分の足で見に行った方がいいです。
百聞は一見に如かずという言葉の通り、一度は自分の目でチェックしに行って見てください。
不要になる家具や家電はないか
売主さんは賃貸へ引っ越す方もいますが、買い替えで新しい家に引っ越すという方が多いので、引っ越し先で使わない家具やサイズが合わない家具や家電が出てくることが多いです。
デザインがよろしくないけれども、サイズが合うからこの家具を買おうと、みなさん住む家のサイズにフィットする家具や家電を選ばれています。
そのため、引っ越し先ではサイズが合わないために新しい家具や家電を新調することがあるのです。
使わなくなった家具や家電を次の方がもし使ってくれるなら譲ってもいいと考えている売主さんが多いです。
そこで、内見時に気になる家具や家電があれば、一度売主さんに必要になくなる家具がないかを聞いておきましょう。
例えば、「この物件が気に入っているのですが、購入するならこのオシャレなテーブルセットはつけれいただけますか」や「あの素敵なキッチンのボードはオプションかと思いますが、もしこの家を購入したらお譲りいただけませんか」などコミュニケーションを取ってみることです。
こういったコミュニケーションを取ることで、売主さんも感じ良さそうな人だなと思ってくれたりして、その後の交渉がスムーズに行くケースがよくあります。
譲り受けることができれば、買う側はラッキーですし、売主さん側からしても引っ越し時の手間が減ってありがたいと思いますし、お互いに良い思いができます。
売買契約時
続いて契約時に聞いておきたいことです。
契約の際にこの物件を購入しても大丈夫なのかという「重要事項説明」を宅建士から直接説明がされます。
重要事項説明を聞いてやっぱりこの物件が欲しいとなれば、売買契約がなされるという流れです。
この契約時にも売主さんと顔合わせをします。
内見の時よりも具体的に実際に住むことをイメージして踏み込んだ質問をしましょう。
契約前の最後のチャンスなので、気になったことは全部聞いておくことをおすすめします。
住んでみないと分からないこと
売主に聞くことは内見時と同様に、契約書や重要事項説明書などに書かれていること以外のことを質問しましょう。
おすすめは住んでみないと分からないことをメインに聞いておきましょう。
- お隣さんはどういった方が住んでいるのか
- 上階の人はどういった方なのか
たとえ内見時や契約時に聞きたいことが聞けなかったとして、もし納得いかないことがあれば、無理に契約を進める必要はありません。
100%納得した上で、売買契約の締結をしましょう。
業者による内覧会時
続いて内覧会の時です。
売主さんが個人の場合だとないことが多いのですが、大手不動産会社が絡む場合、実施されることが多いです。
前述した通り、引き渡し前に売主へ傷や故障箇所がないかを最終的にチェックするものになります。
中古物件の場合は残置物の確認や契約時の内容の確認、リフォーム設備の説明などがメインとなります。
内覧会時に特に確認するべきことが、売買契約時の内容と相違ないかということです。
売買契約時の内容の最終確認
エアコン
エアコンなどの動かせる物に関しては、売主さんの負担で撤去をするのが基本的な原則です。
新調する場合、撤去していただけないかを確認して双方合意すれば、撤去という流れになります。
通常は付帯設備表という物を交付して契約書と一緒に撤去の有無など確認されます。
しかし、売買契約時には合意したのに内覧会の時にエアコンが撤去されていないということもあります。
入居後のトラブルを少なくするためにも、この段階でしっかり確認を取っておきましょう。
家具や家電の備え付けなど
備え付けの家具や置いていってもらえる家具に関しても同じです。
売買契約時には譲って貰えるはずだったソファーなどの家具やテレビなどの家電が持って行かれていることがあります。
その際には、「契約内容と相違があります」と言った旨を伝えて、お互いにすっきりとした状態で契約を進めていきましょう。
このように、中古物件では現状渡しではありますが、残置物の確認を始め、家具家電の撤去など引渡し後のトラブルが発生するケースがあります。
そのため、内覧会を一度挟んでおくと売主さんとコミュニケーションを取る機会もあり、細かく擦り合わせていくことで、引渡し後のトラブルに会う機会が減ります。
物件の決済時(引き渡し時)
最後に売主様にお会いするのは物件の決済時(引き渡し)です。
基本的には銀行で行われることが多いです。
集まるメンバーは
- 売主さん
- 売主さん側の仲介会社
- 買主さん
- 買主さん側の仲介会社
- 司法書士(2名の時もある)
です。
決済時には金融機関の混み具合によって短いと30分、長くて3時間ほどは掛かることがあります。
3時間ですと、話すことに非常に困ってしまうかと思います。
政治の話やニュースなどの話題になっていることを話すのもいいのですが、コロナ禍で敢えてリスクをおかして売主さんとお会いしているのであるならば、その分をリターンが欲しいと思うでしょう。
そこで話しておいた方がいいことをお伝えします。
それは思い出です。
売主さんがその家でどんな風に過ごしてきたのかという出来事、どんなことがあったのかなどの過去の話を聞いてみるといいです。
- なぜ売主さんがその物件を買ったのか
- なぜ売主さんはその住宅に住んでいたのか
- 売主さんの生い立ち
などです。
不動産の売買では、土地や建物だけでなく、売主さんの想いや思い出も譲り受けるという気持ちが大切です。
なぜなら、これから住む物件の思い出を知ることで、その後のメンテナンスに対する想いが変わってくるからです。
例えば、私の話で言うと「この家は生まれた時から住んでいて、おじいちゃんやおばあちゃんもいてワイワイしていました。当時はあそこはフローリングじゃなくて和室でした。そこで5歳くらいの自分に将棋をよく指していました。今の人では使わないラジオをベランダに置いてラジオを聴きながらやっていましたかね。ルールもよくわかっていませんでしたけど楽しかったです。」
「去年亡くなってしまったおばあちゃんとの思い出といえば、今テーブルが置かれている所がありますが、あそこは前はコタツが置かれていました。大きいコタツだったのでみんなで集まって家族団欒の時間を過ごしていました。おばあちゃんの膝の上でミカンを食べていたのがいい思い出ですね。」
何も知らずに物件を譲り受けるのと比べて、売主さんにとっても大切な物件だったからと、長持ちする家にするようにメンテナンスをしっかりしようという発想になる人は多いはずです。
あなたのためにも、売主さんの思い出のためにも、これから住む家を大事に扱うようにしましょう。
まとめ
- コロナによって進む新生活だが、不動産のIT化はまだまだ進まず…法改正したものの売主・買主の双方があって進むので非対面形式での取引はまだ難しいのが現状
- リスクをおかして売主さんとお会いすることがあれば、重要な情報を聞き出しましょう
コロナによって、不動産業界もIT化の流れがきています。
しかし、買主・売主の双方の合意が必要など障壁もまだあり、非対面形式での不動産売買取引はまだまだ難しいです。
それでもリスクをおかしてでも売主さんとお会いするなら、重要な情報を聞き出しましょうということが今回のテーマでした。
売主さんとはどこかの時点でお会いすることになります。
それは、
- 内見時
- 契約時
- 内覧会時
- 取引終了後の決済時
です。
売主さんとお会いする際は、契約書類や重要事項説明書などからは分からない情報を収集することが大切です。
近所のスーパーの情報だったり、隣や上階にはどんな人が住んでいるかなど、実際に住んでみないと分からないことを中心に聞きましょう。
また、双方の契約に対する相違がないか確認しておくことも重要です。
引き渡し後のトラブルを無くすためにも、面倒くさがらずにしっかり擦り合わせておきましょう。
そして、何よりも聞いていただきたいことは、中古物件の場合、売主さんがそこに住んでいた思い出はどうがったのかということです。
不動産は土地や建物だけではありません。
売主さんの思いも引き継ぐのです。
住宅への思いがあるということは、今後住む住宅を綺麗に使ったり、メンテナンスに気を配り、長く住宅を持たせようと思うようになるはずです。
人間は想いがなければ、行動にはなかなか移らないです。
不動産は大きな買い物です。
失敗しないようにできる準備を全てやって、契約に臨むことをおすすめします。
また、弊社イエツグでも不動産購入や売却について、1億円以下の物件であれば定額18万2,900円(税込20万1,190円)にて仲介のお手伝いが可能です。
お気軽にお問合せください。
コロナ禍でも売主に会う必要があるのか